ありふれない錬成師は最高最善の魔王の力で世界最強を超越する   作:天元突破クローズエボルハザード

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ハジメ
「お待たせいたしました。さて今回から漸くオープニングゲストが、クラスの皆に戻ります!という訳で。」
礼一
「あーえっと……どうも。」
ハジメ
「うん?どったの、コンちゃん?」
礼一
「いや、ゴリラじゃないからな!?いやさ……俺、信治達のようにキャラの描写がさ……。」
ハジメ
「……前回は並行世界の俺達との別れ、そしてミュウとレミアとの別れだったなぁ。」
礼一
「オイ!当たり前のように現実逃避するなよ!?」
ハジメ
「正直そんなの後で考えりゃいいでしょ。二次創作なんだし。」
礼一
「過去一番のメタ発言過ぎるぞ!?ハァ……取り敢えず、第5章第19話」
ハジメ・礼一
「「それでは、どうぞ!」」


66.異端認定魔王

ミュウとレミアと別れて数時間。

俺達はオーロラカーテンでアンカジの入場門近くに転移した。

ギルド経由でもよかったけど……今回は業務じゃなくて依頼だからね。

そして現在、アンカジの入場門が見え始めた所なのだが、何やら前回来た時と違って随分と行列が出来ていた。

大きな荷馬車が数多く並んでおり、雰囲気からしてどうも商人の行列の様だ。

 

ハジメ「これって王国の救援かな?にしては随分と大規模だけど……。」

ユエ「……ん、時間かかりそう。」

香織「多分、物資を運び込んでいるんじゃないかな?」

香織の推測通り、長蛇の列を作っているのは【アンカジ公国】が【ハイリヒ王国】に救援依頼をし、要請に応えてやって来た救援物資運搬部隊に便乗した商人達だったらしい。

王国側の救援部隊は当然の如く先に通されており、今見えている隊商も余程アコギな商売でもしない限り、アンカジ側は全て受け入れている様だ。

 

まぁ、恐らくはギルド経由の転移の応募が、間に合わなかった者達なんだろうな。

でも流石にこんな数を待つのは面倒なので、門番さんに話を通してもらった。

最初は疑いの視線を向けられていたけど、奥の詰所から現れた他の兵士さんに説明してもらって通してもらった。

更に他の兵士に指示して、伝令に走らせた様だ。

 

門番「ああ、やはり使徒様方でしたか!戻って来られたのですね!」

兵士さんは香織の姿を見ると、ホッと胸をなで下ろした。

何せ、"神の使徒"の一人として、香織はアンカジで知れ渡っている。

俺もオアシスの浄化はしたけど、知名度は香織が一番なので、代表して前に出てもらう。

 

香織「はい。実は、土壌を再生できるかもしれない術を手に入れたので試しに来ました。

領主様に話を通しておきたいのですが……。」

門番「農地地帯を!?それは本当ですかっ!?」

香織「は、はい。あくまで可能性が高いというだけですが……。」

門番「いえ、流石は使徒様です。と、こんな所で失礼しました。既に領主様には伝令を送りました。

入れ違いになってもいけませんから、待合室にご案内します。

使徒様の来訪が伝われば、領主様も直ぐにやって来られるでしょう。」

 

やはり、国を救ってもらったという認識なのか兵士さんの俺達を見る目には多大な敬意の色が見て取れる。VIPに対する待遇だ。

俺達は好奇の視線を向けてくる商人達を尻目に、門番の案内を受けて再び【アンカジ公国】に足を踏み入れた。

領主であるランズィ公が息せき切ってやって来たのは、俺達が待合室にやって来て15分程だった。

随分と早い到着だ。それだけランズィ公達にとって俺達の存在は重要なのだろう。

 

ランズィ「久しい……という程でもないか。息災な様で何よりだ、ハジメ殿。

先日の静因石の件は、誠に助かった。」

ハジメ「国の一大事だからね。それよりも、漸く王国も動き出したみたいだね。」

ランズィ「ああ。

備蓄した食料と、ハジメ殿が浄化してくれたオアシス、それにユエ殿たちが作ってくれた貯水池のおかげで十分に時間を稼げた。

王国から援助の他、商人達のおかげで何とか民を飢えさせずに済んでいる。」

 

そう言って、少し頬がこけたランズィ公は穏やかに笑った。

アンカジを救う為連日東奔西走していたのだろう。

疲労が滲み出ているが、その分成果は出ている様で表情を見る限りアンカジは十分に回せていけている様だ。

 

今回は土壌の再生に来ており、、香織が今すぐ再生できる可能性があると伝えると、それを聞いたランズィ公の反応は劇的だった。

掴みかからんばかりの勢いで「マジで!?」と口調すら崩して唾を飛ばして確認するランズィ公に、香織は完全にドン引きしながらコクコクと頷く。

俺の影に隠れる香織を見て、取り乱したと咳払いしつつ居住まいを正したランズィ公は、早速土壌再生を頼んできた。

元よりそのつもりだと頷き、俺達一行はランズィ公に先導され農地地帯へと向かった。

 

農地地帯には、全くと言っていい程人気が無い。

普段は作物の収穫で賑わっているのだが……

その事を思い出し、ランズィ公が無表情ながらも何処か寂しそうな雰囲気を漂わせている。

そんな農地の端に立って再生魔法を行使するのは香織だ。

 

一番適性が高かったのは香織で、次がティオ、その次がユエだった。

ユエの場合、相変わらず自前の固有魔法"自動再生"があるせいか、任意で行使する回復作用のある魔法は苦手な様だ。

反対に、"治癒師"である香織は回復と"再生"に通じるものがある様で一際高い適性を持っており、より広範囲に効率的に行使出来る様だ。

 

因みにシアの場合、まともに発動できなくてもオートリジェネのような自動回復効果があるらしく、また、意識すれば傷や魔力、体力や精神力の回復も段違いに早くなるらしい。どんどん超人化していくシア。身体強化のレベルや体重操作の熟練度も上がっているようなので、自動回復装置付きの重戦車のようになって来ている。

 

イナバもシアと同じようで、どんどん蹴り兎の概念を超越していっている。

お前、一体どこを目指しているんだ?

トシもデバフとして、回復前に戻すという使い方で、腕を上げているらしい。

俺?元より時間操作は得意だから、香織よりも腕は上だよ?だって魔王だし。

 

と、そうこうしているうちに香織の再生魔法が発動する。

「──"絶象"!」

瞑目したままアーティファクトの白杖を突き出し呟かれた魔法名。

次の瞬間、前方に蛍火の様な白菫の淡い光が発生し、スっと流れる様に農地地帯の中央へと落ちた。

すると農地全体が輝きだし、淡い光の粒子が湧き上がって天へと登っていく。

それは、まるでこの世の悪いものが浄化され天へと召されていく様な神秘的で心に迫る光景だった。

誰もがその光景に息をするのも忘れて見蕩れる。

 

術の効果が終わり、農地地帯を覆った神秘の輝きが空に溶ける様に消えた後も、ランズィ公達は暫く余韻に浸る様に言葉も無く佇んでいた。

少し疲れた様子で額を拭う香織を労いつつ、俺はランズィ公を促す。

ハッと我を取り戻したランズィ公は、部下の人に命じて土壌の調査をさせた。

部下の男性が慌てて検知の魔法を使い農地地帯をくまなく調べる。

 

固唾を呑んで見守るランズィ公達に、検知を終えた男は信じられないといった表情でゆっくりと振り返り、ポロリと溢す様に結果を報告した。

検知官「……戻っています。」

ランズィ「……もう一度言ってくれ。」

ランズィ公の再確認の言葉に部下の男は、息を吸って今度ははっきりと告げた。

 

検知官「土壌に異常なし!元の土壌です!完全に浄化されています!」

その瞬間、ランズィ公の部下達が一斉に歓声を上げた。

手に持った書類やら荷物やらを宙に放り出して互いに抱き合ったり肩を叩きあって喜びを露わにしている。ランズィ公も深く息を吐きながら、感じ入った様に目を瞑り天を仰いでいた。

 

ハジメ「さてと、次は作物だね。ランズィ公、以前言った場所に?」

ランズィ「あぁ、勿論。貴殿に言われた場所にある。……まさか……それも?」

ハジメ「ユエとティオがいれば大丈夫ですよ。ね?」

ユエ「……ん、問題無い。」

ティオ「うむ。折角丹精込めて作ったのじゃ、全て捨てるのは不憫じゃしの。任せるが良い。」

 

俺達の言葉に本当に作物も復活するのだと実感し、ランズィ公は胸に手を当てると人目も憚らず深々と頭を下げた。

本来、領主がする事では無いが、そうせずにはいられない程ランズィ公の感謝の念は深かったのだろう。

公国への深い愛情が、そのまま感謝の念に転化した様なものだねぇ。

さて、早速作物のある方へ移動……こんな時にか。

 

ハジメ「やれやれ……面倒この上ない場面になったな。」

不意に感じた不穏な気配に、俺の呆れた様な言葉で皆がその歩を止められる。

視線を巡らせば、遠目に何やら殺気立った集団が肩で風を切りながら迫ってくる様子が見えた。

【アンカジ公国】の兵士とは異なる装いの兵士が隊列を組んで一直線に向かってくる。

どうやらこの町の聖教教会関係者と神殿騎士の集団の様だった。

 

俺達の傍までやって来た奴等は、直ぐ様俺達を半円状に包囲した。

そして神殿騎士達の合間から、白い豪奢な法衣を来た初老の男が進み出てきた。

物騒な雰囲気に、ランズィ公が咄嗟に男と俺達の間に割って入る。

 

???「ゼンゲン公……こちらへ。彼等は危険だ。」

ランズィ「フォルビン司教、これは一体何事か。彼等が危険?二度に渡り、我が公国を救った英雄ですぞ?

彼等への無礼は、アンカジの領主として見逃せませんな。」

フォルビン司教と呼ばれた糞爺は、馬鹿にする様にランズィ公の言葉を鼻で笑った。

 

糞爺「ふん、英雄?言葉を慎みたまえ。

彼等は既に異端者認定を受けている、不用意な言葉は貴公自身の首を絞める事になりますぞ。」

ランズィ「異端者認定……だと?馬鹿な、私は何も聞いていない。」

ハジメ「だろうな、王国でもそういった傾向になっていたみたいだし。」

 

俺の発言に糞爺が驚き、「何故それを!?」と言わんばかりの視線で見てくるが、無視する。

一方、俺に対する"異端者認定"という言葉に、ランズィが息を呑んだ。

ランズィ公とて、聖教教会の信者だ。その意味の重さは重々承知しているだろう。

それ故に、何かの間違いでは?と信じられない思いで糞爺に返した。

 

糞爺「当然でしょうな。今朝方、届いたばかりの知らせだ。

このタイミングで異端者の方からやって来るとは……クク、何とも絶妙なタイミングだと思わんかね?

きっと、神が私に告げておられるのだ。神敵を滅ぼせとな……これで私も中央に……」

おい、糞爺。下らない本音駄々洩れてんぞ。それよりも、どうしたものかねぇ?

正直、教会なんざどうでもいいが、アンカジの人達に迷惑はかけたくないしなぁ……。

 

どうやら俺が異端者認定を受けた事は本当らしいと理解し、思わず背後の俺を振り返るランズィ公。

取り敢えず視線で「どうします?」とランズィ公に問いかけてみる。

俺の視線を受けて眉間に皺を寄せるランズィ公に、如何にも調子に乗った様子の糞爺がニヤニヤと嗤いながら口を開いた。

 

糞爺「さぁ、私は、これから神敵を討伐せねばならん。

相当凶悪な男だという話だが、果たして神殿騎士百人を相手に、どこまで抗えるものか見ものですな。

……さぁさぁ、ゼンゲン公よ、そこを退くのだ。よもや我ら教会と事を構える気ではないだろう?」

ランズィ公は瞑目する。

まぁ、俺の力や性格、その他あらゆる情報からして、要は制御できない程強力な力が許せないだけだろう。

 

てか、今俺と戦うとか正気か!?とでも言いたくなる。だって魔人族との戦争真っ只中なんだし。

実際、俺フリード倒したし。

取り敢えず、オーロラカーテンやゲームエリアといった、市街地での戦闘用の隔離系技能はある。

後はランズィ公、貴方の決断だけだ。

 

するとランズィ公は目を見開くと、口元に笑みを浮かべた。

そして黙り込んだランズィ公にイライラした様子のフォルビンに領主たる威厳をもって、その鋭い眼光を真っ向からぶつけ、アンカジ公国領主の答えを叩きつけた。

 

ランズィ「断る。」

糞爺「……今、何といった?」

全く予想外の言葉に、糞爺の表情が面白い程間抜け顔になる。

そんな糞爺の様子に、内心聖教教会の決定に逆らうなど有り得ない事なのだから当然だろうなと苦笑いしながら、ランズィ公は揺るがぬ決意で言葉を繰り返した。

 

ランズィ「断ると言った。彼等は救国の英雄。例え、聖教教会であろうと彼等に仇なす事は私が許さん。」

糞爺「なっ、なっ、き、貴様!正気か!教会に逆らう事がどういう事か分からん訳では無いだろう!

異端者の烙印を押されたいのか!」

ランズィ公の言葉に、驚愕の余り言葉を詰まらせながら怒声をあげる糞爺。

周囲の神殿騎士達も困惑した様に顔を見合わせている。

 

ランズィ「フォルビン司教。中央は、彼等の偉業を知らないのではないか?

彼は、この猛毒に襲われ滅亡の危機に瀕した公国を救ったのだぞ?

報告によれば、勇者一行もウルの町も彼に救われているというではないか……そんな相手に異端者認定?

その決定の方が正気とは思えんよ。

故に、ランズィ・フォウワード・ゼンゲンは、この異端者認定に異議とアンカジを救ったという新たな事実を加味しての再考を申し立てる。」

糞爺「だ、黙れ!決定事項だ!これは神のご意志だ!逆らう事は許されん!

公よ、これ以上その異端者を庇うのであれば貴様も、いやアンカジそのものを異端認定する事になるぞ!

それでもよいのかっ!」

 

どこか狂的な光を瞳に宿しながら、糞爺はチンピラプリーストのような雰囲気で喚きたてた。

それを冷めた目で見つめるランズィ公。ちょっと心配になって問いかけた。

ハジメ「本当にいいの?王国と教会の両方と事を構える事になるよ?

領主として、その判断はどうかと思うけど……。」

ランズィ公は俺の言葉には答えず、事の成り行きを見守っていた部下達に視線を向けた。

俺も誘われる様に視線を向けると、二人の視線に気がついた部下達は一瞬瞑目した後、覚悟を決めた様に決然とした表情を見せた。

瞳はギラリと輝いている。明らかに「殺るなら殺ったるでぇ!」という表情だ。

 

その意志を糞爺も読み取った様で、更に激高し顔を真っ赤にして最後の警告を突きつけた。

糞爺「いいのだな?公よ、貴様はここで終わる事になるぞ。

いや貴様だけではない、貴様の部下も、それに与する者も全員終わる。神罰を受け尽く滅びるのだ!」

ランズィ「このアンカジに、自らを救ってくれた英雄を売る様な恥知らずはいない。神罰?

私が信仰する神は、そんな恥知らずをこそ裁くお方だと思っていたのだが?

司教殿の信仰する神とは異なるのかね?」

ランズィ公の言葉に怒りを通り越してしまったのか無表情になった糞爺は、片手を上げて神殿騎士達に攻撃の合図を送ろうとした。

 

と、その時。ヒュ!と音を立てて何かが飛来し、一人の神殿騎士のヘルメットにカン!と音を立ててぶつかった。

足元を見れば、そこにあるのは小石だった。

神殿騎士には何のダメージも無いが、なぜこんなものが?と首を捻る。

しかしそんな疑問も束の間、石は次々と飛来し、神殿騎士達の甲冑に音を立ててぶつかっていった。

 

何事かと石が飛来して来る方を見てみれば、いつの間にかアンカジの住民達が大勢集まり神殿騎士達を包囲していた。

彼等は農地地帯から発生した神秘的な光と、慌ただしく駆けていく神殿騎士達を見て何事かと野次馬根性で追いかけて来た人々だ。

 

彼等は神殿騎士が自分達を献身的に治療してくれた"神の使徒"たる香織や、特効薬である静因石を大迷宮に挑んでまで採ってきてくれた俺達を取り囲み、それを敬愛する領主が庇っている姿を見て、「教会の奴等乱心でもしたのか!」と憤慨し、敵意も露わに少しでも力になろうと投石を始めたのである。

 

糞爺「やめよ!アンカジの民よ!奴等は異端者認定を受けた神敵である!奴等の討伐は神の意志である!」

糞爺が殺気立つ住民達の誤解を解こうと大声で叫ぶ。

彼等はまだ、俺達が異端者認定を受けている事を知らないだけで、司教たる自分が教えてやれば直ぐに静まるだろうとでも思っているのだろう。

実際、聖教教会司教の言葉に住民達は困惑を露わにして顔を見合わせ、投石の手を止めた。

 

そこへ、今度はランズィ公の言葉が、威厳と共に放たれる。

ランズィ「我が愛すべき公国民達よ。聞け!彼等はたった今、我等の農地地帯を浄化してくれた!

我等のアンカジが彼等の尽力で戻ってきたのだ!そして、作物も浄化してくれるという!

彼等は、我等のアンカジを取り戻してくれたのだ!この場で多くは語れん。故に、己の心で判断せよ!

救国の英雄を、このまま殺させるか、守るか。……私は、守る事にした!」

糞爺は「そんな言葉で、教会の威光に逆らう訳がない」と嘲笑混じりの笑みをランズィ公に向けようとして、次の瞬間その表情を凍てつかせた。

 

──カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!

 

住民達の意思が投石という形をもって示されたからだ。

糞爺「なっ、なっ……!?」

再び言葉を詰まらせた糞爺に住民達の言葉が叩きつけられた。

 

「ふざけるな!俺達の恩人を殺らせるかよ!」

「教会は何もしてくれなかったじゃない!なのに、助けてくれた使徒様を害そうなんて正気じゃないわ!」

「何が異端者だ!お前らの方が余程異端者だろうが!」

「きっと、異端者認定なんて何かの間違いよ!」

「香織様を守れ!」

「領主様に続け!」

「香織様、貴女にこの身を捧げますぅ!」

「冒険者さん!今の内に逃げて下さい!」

「おい、誰かビィズ会長を呼べ!"香織様にご奉仕し隊"を出してもらうんだ!」

 

う~ん、最後の団体についてはちょっと相談が必要だけど……

取り敢えず、住民の皆さんが俺達に深い感謝と敬愛の念を持っているってことだけは分かった。

信仰心を押しのけて、目の前のランズィ公と俺達を守ろうと気勢を上げた。

否、きっと信仰心自体は変わらないのだろう。

ただ自分達の信仰する神が、自分達を救ってくれた"神の使徒"である香織を害す筈が無いと信じている様だ。

要するに、"信仰心"が糞爺への信頼を上回ったという事だろう。まぁ、元々無かったと思うけど。

 

ミレディ達の時代にも、解放者じゃないとはいえ教会を非難する信者もいたにはいたとのことだ。

かつて聖剣"ウーア・アルト"を振るった、ラインハルト・アシエという男性もその一人らしい。

でもなんか聞いたことある様な苗字だな……王都辺りで聞いたような?

事態を知った住民達が、続々と集まってくる。

彼等一人一人の力は当然の如く神殿騎士には全く及ばないが、際限なく湧き上がる怒りと敵意に糞爺や糞坊主、木偶の坊共はたじろいだ様に後退った。

 

ランズィ「司教殿、これがアンカジの意思だ。先程の申し立て……聞いてはもらえませんかな?」

糞爺「ぬっ、ぐぅ……ただで済むとは思わない事だっ!」

歯軋りしながら最後に俺達を煮え滾った眼で睨みつけると、糞爺は踵を返した。

その後を、神殿騎士達が慌てて付いていく。

糞爺は激情を少しでも発散しようとしているかの様に、大きな足音を立てながら教会の方へと消えていった。

 

ハジメ「ハハハ、正直スカッとはしたけど……随分と思い切ったものですね?」

当事者でありながら、最後まで蚊帳の外に置かれていた俺が笑いながらランズィ公に問いかける。

一方香織達は、自分達のせいでアンカジが今度は王国や教会からの危機に晒されるのではと心配顔だ。

だがそんな俺達に、ランズィ公は何でもない様に涼しい表情で答えた。

 

ランズィ「なに、これは"アンカジの意思"だ。この公国に住む者で貴殿等に感謝していない者などおらん。そんな相手を、一方的な理由で殺させたとあっては……

それこそ、私の方が"アンカジの意思"に殺されてしまうだろう。

愛すべき国でクーデターなど考えたくもないぞ。」

ハジメ「成程。別にあの程度の連中程度返り討ちに出来るけど……

どうやら貴公は、確りと民の声を聴いているようですね。素晴らしい国だと改めて思いましたよ。」

ランズィ公の言葉に、機嫌がよさそうに俺がそう言うと、ランズィは我が意を得たりと笑った。

 

ランズィ「そうだろうな。つまり君達は、教会よりも怖い存在という事だ。

救国の英雄だからというのもあるがね、半分は君達を敵に回さない為だ。

信じられない様な魔法を幾つも使い、未知の化け物をいとも簡単に屠り、大迷宮すらたった数日で攻略して戻ってくる。

教会の威光を微風の様に受け流し、百人の神殿騎士を歯牙にもかけない。

万群を正面から叩き潰し、勇者すら追い詰めた魔物を瞬殺したという報告も入っている……

いや、実に恐ろしい。

父から領主を継いで結構な年月が経つが、その中でも一、二を争う英断だったと自負しているよ」

 

俺としては、ランズィ公が自分達を教会に引き渡したとしてもどうこうするつもりは無かったのだが、ランズィ公は万一の可能性も考えて教会と俺達を天秤にかけ後者を取ったのだろう。

確かに国の為とは言え、教会の威光に逆らう行為なのだ。英断と言っても過言ではないだろう。

 

ハジメ「そう思ってもらえるならば、こちらも返礼をしなければいけませんね。」

ランズィ「ハジメ殿?」

そんな事を言う俺に、ランズィ公は疑問を浮かべて問いかける。

その俺の視界の先には、教会がある。

 

ハジメ「俺は、いや、私はお前を、このアンカジを気に入った。

そして先程のお前の言葉と民達の勇気に応えて、褒美を出す事にした。」

その言葉と共に、腰に手を翳した。

 

ハジメ「"変身"。」

 

ゴォーン!!!

 

『祝福の刻!』

 

『オーマジオウ!』

 

オーマジオウになり、片手を教会へと向ける私。何をする気か、ユエ達は何となく予想がついているだろう。

何故なら、それと同時に私の手中に、何か巨大なエネルギーが溜まっていくのを感じたからだ。

ハジメ「今回の件でお前達が余計な面倒事に巻き込まれるのは気に喰わん。

よって、お前達の翻意が大本に伝わらん様口封じをするとしよう。」

その言葉と共に、私は魔力を解き放った。

 

ハジメ「──"涅槃(ニルヴァーナ)"。」

その言葉と共に、黒と白の閃光が教会を飲み込んだ。

それは、嵐のように吹き荒れたかと思えば、まるで蝋燭の火を吹き消すかのように、消えていった。

目の前でその光景を見ていたユエ達やランズィ公、いつの間にか合流していたビィズですら理解出来なかった様で、漸く理解した時には既に教会は底の見えない大穴に変わっていた。

 

トシ「おまっ、今どんな魔法を放ったんだ!?」

トシが驚きつつも、先程の魔法について聞いてくるので、遠慮なく答える。

ハジメ「私が毎度使っている"暴食の黒天窮(グラトニーホール・カタストロフ)"、それに空間魔法とフリードの白竜が使っていた極光を合わせた、複合魔法だ。」

ユエ「……反則過ぎる。」

"雷龍"を得意としているユエですら、呆然としたようだ。

 

ハジメ「罰だの裁きだのとほざく前に、経典を体中にでも書いてくるがいい。

そうでもしていれば、神罰とはこういう事を言うのだと、理解できたであろうに。」

教会跡地に向けて、そう言ってやった。そうして踵を返すと、ランズィ公を促した。

 


 

シア「ハジメさん、何だか最近鋭さに磨きがかかっていません?」

ティオ「うむ、先日の冒険で何かを得たり、という表情だったしのぅ。」

ミレディ「あれ、絶対喰らったらヤバいやつだよね……それに比べてクソ野郎は……。」

オスカー『言葉で焚き付けるしか、出来ないからねぇ。』

ナイズ『信に値するは、人の心だというのに。所でメイルはどこいった?』

ミレディ・オスカー「『あ。』」

この後、アイリーに引っ付くメイルが目撃されたらしい。

それと、イナバが害虫駆除に当たっていたのを皆が知るのは、この後だった。




ハジメ
「ここまで読んでいただき、ありがとうございます!さて今回もゲストに来てもらいました。」
ジェイド
「女神護衛隊近衛騎士、ジェイド。ただいまここに。」
ハジメ
面倒くせぇ……、さて今回は旧教会との決別の話だったな。」
ジェイド
「ハッ!それにしても当時でさえ、ここまでの実力とは……流石聖王様。」
ハジメ
「だからその呼び名やめい。聖王だと宗教っぽいから嫌なの!」
ジェイド
「?承知致しました。」
ハジメ
「はぁ……これ後3人もやるの?まぁいい、それじゃあ次回予告だ。」
ジェイド
「次回予告……何かの預言でしょうか?」
ハジメ
「違わい!」

次回予告
ハジメ
「次で二大迷宮編は終了だ。次の章はドンパチしまくるぞ~!」
ジェイド
「そして次回は我等が女神の再登場!待ち侘びておりました!」
ハジメ
「いや、リリィのこと忘れてんぞ……浩介もだったな。」
ジェイド
「しかし、王女殿下は既にこの章で登場しておられますが……?」
ハジメ
「細かいことはいいの、そして動き出す闇の軍勢……面倒事間違いなしだなこりゃ。」
ジェイド
「!もっ、もしやこれはあの……!」
ハジメ
「ストップ、そこから先はネタバレになるから。」
ジェイド
「女神のお説教事件の!」
ハジメ
「そっちかい!?まぁ、それでいいけどさ……次回もお楽しみに!」

もしこの中の他作品の女性キャラで、ハジメさんに絡ませるとしたら?

  • 星野アイ
  • 篠ノ之束
  • ラキュース(オーバーロード)
  • ヤマト(ONEPIECE)
  • 歌住サクラコ
  • シェーレ
  • 白織
  • イーディス(SAO)
  • エキドナ(リゼロ)
  • 八重巫女
  • 東堂刀華
  • 大好真々子
  • 森ノゾミ
  • スヤリス姫
  • ロード・ディアーチェ
  • 鬼龍院皐月
  • 湾内絹保
  • 安心院なじみ
  • ネプテューヌ
  • ウィズ
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