ありふれない錬成師は最高最善の魔王の力で世界最強を超越する   作:天元突破クローズエボルハザード

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ハジメ
「お待たせいたしました!さて今回からゲストが……ゲストがなぁ……。」

「何だ?何が問題なんだ?」
ハジメ
「……まぁ、今は触れないでおこう。それじゃ、自己紹介どうぞ。」

「?おう、荒川直だ。それと綺麗なお姉さん!ぜひ俺を罵って……!」
ハジメ
「やめれ。読者の皆様が驚くやろがい。」

「ハッ!画面の向こうにも綺麗なお姉さん達が!」
ハジメ
「いないからな?いたとしても会えないから。さて前回は漸くアンカジから出発、愛子達と合流したな。」

「どうかぁ!もっと俺を楽しませてくれぇ!」
ハジメ
「帰れい!それじゃ、第6章第1話」
ハジメ・直
「「それでは、どうぞ!」」


原作第6巻~王都動乱編:2073/真に勝利するのは誰か
68.憤怒


さて、オルクスの隠れ家に転移した俺達はというと……

リリアーナ「ハジメさん、せめてメルド団長の生存報告だけでもしてほしかったのですが……。」

ハジメ「ゴメンよ、王宮にも奴等の手が回っているかもしれないって思ったから……

それに、敢えて隠しておいた方が敵の意表をつけるかと思って。」

まぁ、そりゃ行方不明で安否不明の人間がここにいたら流石に驚くよなぁ。

それに、俺の特訓で色々とんでもないことになっているし。

 

愛子「それにしても、まさか檜山君が……メルドさん、ごめんなさい。」

メルド「気にしないでくれ、愛子殿。我々が王宮の防衛態勢を過信した、そのツケが来ただけのことさ。」

愛ちゃん先生はショックを受けているようだが……檜山(あのカス)に反省の二文字は無いだろ。

現に、同じクラスになった時から知らんうちに敵意向けてきた位だし。てかそんなことより……

 

トシ「……。」

浩介「トシ、大丈夫か?」

トシ「……大丈夫だ、俺は至って正気だ。」

流石に彼女が悪事に加担しているって話を聞くと、なぁ……。

俺だって信じたくない。でも、バックにタイムジャッカーがいる以上、油断して足を掬われたくはない。

 

ハジメ「香織、雫は今どうしているかわかるかい?」

香織「ううん、タイムジャッカー?っていうのが動いているから、あまり連絡はできないみたい。」

成程、奴等もようやく本腰入れてきたってことか。さて、どうやって叩き潰すか。

 

――パパ!

 

ハジメ「ッ!?」

ユエ「ハジメ?」

ハジメ「……悪い、ちょっと外の空気吸ってくる。」

そう言って俺は、転移でエリセンへと向かった。

 

ハジメ「ミュウ!レミア!」

俺は悪寒を感じていた。あの時、ミュウの声が頭の中に響いた。

それはつまり、緊急事態が起こったということだ。

まさかとは思うが、攫われたりしていないよな?どうか無事でいてほしい。そんな俺の願いは……

 

ハジメ「……。」

絶望という形でへし折られてしまっていた。周りには男たちが倒れていた。

まだ死んで間もないようだ。直ぐに因果律操作で蘇生して、何があったかを聞き出す。

ハジメ「二人は?」

海人族A「!おっ、お前!「二人に何があった?言え、早く!」ッ!ぎ、銀髪の……。」

ハジメ「もういい。」

そう言って俺は男を放すと、オルクスへと戻った。

 

多分、今の俺はミュウには見せられないくらいの顔をしているだろう。

それほどまで俺はキレていた。

ユエ「は……ハジメ?」

ユエが俺に何か聞いている。内容は分からないので、取り敢えずこう返しておく。

 

ハジメ「俺、決めたよ。神山、消し飛ばしてくる。それでエヒトに与するクズ共全員、駆逐してやる。

この世からも、あの世からも、誰一人残さず。」

 

 

〈浩介視点〉

 

どうも、遠藤浩介です。えっ?誰って?……まぁ、覚えていないよな。

どうせ覚えられていないよな俺。うん分かっていたよ?だって影薄いし。

前回漸く出番貰えたくらいだし?全然気にしていないよ?ホントに。

さて、そんな俺が現在置かれている状況はと言いますと……

 

ハジメ「……。」ゴゴゴゴゴゴゴ

我らが魔王様が絶賛ブチギレ中なんだよなぁ……。

まぁ、ミュウちゃんに加えてその母親まで人質として攫われたってんだから、怒って当然なんだけど……

今動き出したら、目に付くもの全部破壊しかねなさそうな感じだからなぁ……。

 

ユエ「……滅ぼす。」

シア「これは処刑確定ですねぇ……。」

ティオ「最もじゃのぅ……。」

香織「フフフ……。」

ミレディ「よし、やっちゃおう☆」

メイル『あらあら、ミレディちゃんったら♪』

いつもは諫めてくれる女性陣も、訳を聞いたら即座に殲滅派に賛成だし……

こっちはそれに加えて、トシのケアもしてやらないとダメなんですけど!?

 

浩介(どうしましょう、メルドさん、先生、リリィ。

このままだとアイツが世界滅ぼしかねない感じなんですけど……。)

メルド(あぁ、早急に対処せねばなるまい。……愛子殿、大丈夫か?)

愛子(だ……大丈夫ですぅ……。)

何で先生が震えているのかって?……それは俺からは言えない。先生の尊厳に関わるから。

 

リリィ「まさか、そんな非道な手を使うなんて……教会も神も腐っています……!

こんなこと……心ある人間がやっていいことじゃありません……!」

リリィも先程の説明を聞いた上に、ミュウちゃん誘拐の知らせに関しては、怒っているようだ。

メルドさんが宥めてはいるが……じゃあハジメ達はどうしろと!?

ただでさえ、参謀も不調な上、頼みの綱のオスカーとナイズとイナバはだんまり……

いや、こっちも怒っている……もう駄目だ、お終いだ!

 

トシ「まぁ落ち着け、ハジメ。攫われたんなら、奪い返せばいいだけだ。」

浩介「うぉっ!?トシ、お前さっきまで思い詰めていたんじゃないのか!?」

トシ「……ハジメの怒り様に引いて、逆に冷静になった。」

浩介「あぁ~確かに。」

ハジメ「どういう意味じゃワレェ!?」

あっ、いつもの雰囲気に戻った。

 

ハジメ「確かにキレてはいたが、作戦を考えてもいたんだぞ?ホントに。」

愛子「あっ、あの!ハジメ君、やり過ぎないようにしてくださいね?」

ハジメ「勿論!それに、今回は一石二鳥のチャンスでもあるからね!勝利と大義名分は、我等にあryyy!」

……どうやら、いつもの調子に戻ったようだ。いや~ホントマジで危なかったわ。

取り敢えず王国は滅ばなさそうだし、大丈夫か。えっ?教会?俺の記憶にそんなものはない。

あってもすぐ忘れる。だって、目の前の魔王様がキレるのが目に見えてるからね!

 


 

ふぅ~、全く二人揃って俺をなんだと思っているんだか……まぁ、今はそんなことどうでもいい。

先ずは、作戦と配置の説明だな。

ハジメ「この作戦は三組に分かれるつもりだ。伝令、雫達の護衛、ミュウとレミアの救出の3班だ。

今からメンバーを言う。皆、頼むぞ!」

そう言うと皆が頷く。そして説明を続けた。

 

ハジメ「最初に、ミュウとレミア救出チーム。これは俺と浩介、ティオと愛ちゃん先生の4人で行く。」

浩介「おっ、俺ぇ!?」

愛子「私も!?」

ティオ「ふむ、理由を聞いてもよいかの?」

まぁ、驚くのも無理はない。だがな、このメンバー、特に浩介が最適なんだよ。

 

ハジメ「確か、愛ちゃん先生の技能には、"発酵操作"があったよね?

それで、神山周りの可燃性ガスとかを一点に溜め込めないかな?」

愛子「な、何でそんなことを……まさか!」

そう、そのまさかだ。

 

ハジメ「神山ごと聖堂を消し飛ばす。あぁ、安心してくれ。

糞坊主共は出来るだけ無力化した上で避難させる。先生に人殺しの片棒なんざ担がせねぇよ。

これは、俺に売られた喧嘩だ。なら相手を殺す権利は、俺にある。

先生に守ってもらってまで、好き勝手やるほど餓鬼じゃねぇよ。」

愛子「ハジメ君……。」

少し寂しそうな視線で俺を見る先生。

でもなぁ、正直これくらいしか、愛ちゃん先生に出来ることが見つからないんだよなぁ……。

 

ハジメ「まぁ、そういう訳で、ティオと愛ちゃん先生には、教会から少し離れた場所に待機してもらってほしい。

俺が合図を出したら、さっき言ったとおりに先生が"発酵操作"をして、ティオのブレスで焼き払ってくれ。」

ティオ「承知したのじゃ。して、ご主人様はどのようにして二人を助ける気じゃ?

敵もそう易々とは返すつもりはなかろうて。罠の可能性も捨てきれぬ。」

当然だ、後ろ盾にはタイムジャッカーまでいる。正面突破してもやられるだけだ。そこで、だ。

 

ハジメ「浩介の"気配遮断"に頼るしかない。ぶっちゃけ、奴等の目を欺くにはそれしか手が見つからん。」

浩介「俺任せかい!まぁ、やるだけやってやるよ。ミュウちゃんはお前の大事な娘なんだし。

レミアさんって女性も、ミュウちゃんのお母さんなんだろ?なら手伝うのに理由なんていらねぇよ。」

そう言って俺に頼もしい視線を送る浩介。やはり、俺の目に狂いはないな。こいつには、凄味がある!

 

ハジメ「ありがとう、友よ。いざとなったら分身で攪乱も頼むかもしれない。

きつかったら、後は何とかする。」

浩介「任せとけって、ちったぁ部下を信頼しな。何せ俺の上司は、最高最善の魔王、だろ?」

……言うようになったな。全く……本当に頼もしすぎる。

 

ハジメ「ミレディ、君には伝令を頼みたい。全体の様子を把握できるように、偵察機も貸すよ。

念話石もあるから、他2チームの状況について、報告してほしい。」

ミレディ「おっけい!ミレディさんがしっかり見ているからね!」

そう言っていつもの決めポーズ(片足をクイッと曲げ、左手を腰に、右手を横ピースで目元に添えて)でウインクするミレディ。

その眼にはいつものおふざけ感はなく、頼もしさが籠っていた。

 

ハジメ「イナバはここで、救出したミュウとレミアの護衛を頼む。

他の皆は、雫達の援護に向かってくれ。」

ユエ「んっ!」

シア「はい!」

香織「うん!」

イナバ『合点承知!』

力強く返事するユエ達。序にトシの方へ向き直って激励を飛ばした。

 

ハジメ「それとトシ、今回は手加減無用だ!全力で行け!」

トシ「!あぁ、勿論だ!手加減無用でやってやんよ!」

うっし、後は侵入経路だけだ!さぁてと、教会ぶっ潰すぞ大作戦、開始だぁ!

 


 

時間は少し進み、神山の大聖堂にて。

そこには、イシュタル率いる聖教教会の司祭達や神殿騎士達といった、教会関係者が大勢集まっていた。

そんな彼等の眼には、"主のお役に立てる"といった、狂信者特有の気持ち悪……恍惚とした表情が浮かんでいた。

 

そしてその目の前には、二つの磔台があった。そこに縛られているのは海人族の母娘、ミュウとレミアだ。

二人は、パパの帰りをゆっくり待とうとしていたある日、突如空から強襲した謎の銀髪の女性に攫われてしまったのだ。

周りにいた海人族の男性たちも自分達を守ろうとしたが、相手は中々の手練れでもあったので敵う筈もなく、抵抗虚しく連れられてしまった結果、現在に至るという訳だ。

 

そんな二人を「計画が上手くいった」かのような目で見ているのは、檜山にウォッチを与えたローブの男だった。

ローブの男「いやはや、まさかこうも手早く連れてくるとは……御見それいたしますなぁ。」

ローブを深めに被った男が、ニヤニヤを顔に出しながら、目の前の人物を称賛する。

その人物は、かつて愛子を攫おうとした修道女によく似ており、ハジメが倒したエーアストにも似ている。

 

???「元々は貴方の失態です。

あの時主のコレクションの一つを出さなければ、あのような被害が出なかったものを……。」

ローブの男「いやぁ~、あの時は本当にすみませんでした。何せ、こちらも予想外だったものでして。

……あんなの誰に予想しろってんだ。

小声で誰にも聞こえない愚痴を零しながらも、のらりくらりと躱す男。

その言葉には気づかないながらも、気色悪いものを見るような眼で、男を見る修道女。

 

その関係は、利害が一致しているので仕方なく協力している、と言ってもいいだろう。

実際、この男の本質は感情がなくとも警戒するべきだと、使徒の本能が知らせている。

うっかり背中を任せたら最後、何かされるに違いないと、修道女から思われていることを知らないローブの男は、その場にいたもう一人にも声をかける。

 

ローブの男「まぁ、流石のオーマジオウでも、泣き所を突かれてはひとたまりもないでしょうなぁ?

貴方もそう思うでしょう?フリード将軍。」

フリード「……フンッ。」

そう、なんと教会の総本山にも拘らず、魔人族であるフリードが、ここにいるのだ。

しかも周りには教会信者に加えて神の使徒、なのに誰もフリードへの敵意を持たない。その理由は……

 

ローブの男「何をそんなに不機嫌なのでしょうか?

貴方は雪辱を晴らせる上に、王の力を手にするまたとない機会ではありませんか。

そのために態々ツテを使ってまで、こうして舞台を整えたわけなのですから。」

そう、このローブの男こそがタイムジャッカーであり、フリード達魔人族陣営にアナザーウォッチを渡していた者なのだった。

その上、檜山にアナザーグランドジオウの力を与え、ハジメへの徹底的な嫌がらせが隠しきれていない。

 

フリード「……下らんな。急に王都侵攻の命令が出たかと思えば、私情を挟んだ謀略に付き合えと?

私の雪辱は私自身で晴らす。やりたければ勝手にやればいいだろう。」

ローブの男「そっ、そんなご無体な!?折角魔王様から名誉挽回のチャンスをもらえたというのに!?」

ローブの男のわざとらしい焦り様に、怒りを覚えながらも冷静に言い放つフリード。

 

フリード「魔人族は奴に敵視されてはいるが、私だけは例外のようだからな。

友好的態度を装ってから、奴から他の迷宮についての情報を聞き出す方が容易いだろう。

そもそもこの作戦は貴様の独断だろう。何故貴様の失敗が私の名誉にも影響する?」

ローブの男「おやおや、フリード将軍らしくないですなぁ。

いつもなら、あんな混じり者の醜い劣等種なぞ、微塵の慈悲もなく切り捨てるはずですのに……。」

舐めまわすようにねっとりとした口調に、思わずいきり立ちそうになる気持ちを抑え、フリードはローブの男を睨みつける。

 

フリード「……何が言いたい?

まるで私の元々の在り方を知っているかのような口調だが……貴様に測られる程、私は矮小ではない。

大体、何故貴様は人間族の教会にも顔が利くのだ?今まで魔人族についていた、貴様が?」

ローブの男「!?い、いや~、それはですね……。」

フリードの問いに思わずドキッとなりながらも、ローブの男が取り作ろうとした時。

 

???「それについては、私から説明させていただきましょう。」

そう言ってやってきたのは、口元を隠した壮年の男だった。

その身から放たれるオーラは、どう見ても正常なる者の放つオーラではない。

ローブの男以上、いやもしかしたらあのイレギュラーの仲間にも匹敵するのでは、と身震いするフリード。

 

ローブの男「ボ、ボス!?何故こちらに!?」

フリード「ボスだと?貴様等、一体何が目的だ?」

ローブの男はうっかり口を滑らせたとばかりに焦るも、必死にしらを切ろうとする。

その態度を益々怪しむフリード。となれば、この男も必然的に怪しい。

 

以前、あのイレギュラーから聞いた戦争の真実。

もし神々が遊戯感覚で自分達を弄んでいたとするならば、神の使徒は勿論、目の前の二人組にも、ここで消えてもらわねばならない。

全ては、己が最初に願った、「同胞達が何に脅かされることもない、安心できる国」の為。

それが今、自分の戦う理由であるが故に。

 

???「まぁまぁ、部下がとんだ無礼を働いたようで。

教会や使徒様へのお願いは、この私めが執り行わせていただきました。

戦力が多い方が、奴の手数も封じられるかと思ったのですが……どうしてもお一人で相手を?」

友好的な雰囲気を装いながらも、この男は何かがヤバい。

そう本能で感じ取るフリードは、咄嗟に曖昧な返事で躱す。

フリード「叶うことならな、だが今は王都侵攻作戦が先だ。奴の同胞もここにいると聞いている。

ならば、エサはそれで十分だろう?何故このような回りくどいことを?」

フリードの問いに、思わず苦笑いを浮かべながらも、壮年の男は淡々と返す。

 

壮年の男「それに関しては、貴方様が一番ご存じでしょう。あの男の力は強大過ぎる。

それもただの人間一人が持つには、ね。ならば、異端認定されてもおかしくはないのです。

つまり、あの男はいずれは人間族の脅威になりうるかもしれないのですよ。」

フリード「成程な、すると何か?私は反逆者を煽る為の御輿とでも言いたいのか?

貴様があのイレギュラー一人に、そうまでしなければならない程に、弱いとは思えんがな。」

フリードの鋭い考察に一瞬固まりながらも、壮年の男の男は続ける。

 

壮年の男「いえいえ、あの男を侮ってはいけませんよ。

貴方と戦った時でさえ、力の一端しかまだ出していないのですから。

奴には時を操る力があります。それをどうにかしないことには「どうでもいい。」……何ですって?」

フリード「結局は私を利用するだけして、貴様らは奴の力を奪いたい。ただそれだけだろう。

貴様ら人間族の諍いなぞ私には関係ないが、私の邪魔だけはするなよ?貴様もだ、木偶人形。」

フリードは修道女、否、神の使徒にもその鋭い視線を向ける。

 

使徒「我々は主の命に従っているだけです。

不満ではありますが、こうして貴方を招き入れたのも、主の意向なのです。

感謝こそされども、警戒は理解できません。」

フリード「フンッ、いずれにしろ奴は私の獲物だ。邪魔立ては許さんぞ。

もし横槍なぞ入れようものなら、その時は……。」

まさに一触即発の状況。そんな空気を察したのか、壮年の男は懐からあるものを取り出した。

 

壮年の男「では、これを信頼の証として貴方に。あの男のアナザーウォッチです。」

なんと、壮年の男は既にハジメのアナザーウォッチを形成していたのだ。

フリード「信用ならんな。

それが本物という証拠もない上、もし私が貴様らの意にそぐわなかった時のための拘束具としか思えん。

いい加減本音を言ったらどうなんだ?貴様等にとって、私はただの道具である、とな。」

 

しかしそれでも尚、フリードは警戒を緩めない。

あのイレギュラーによって精神操作の解除がされてから、判断思考能力が以前よりも上がっている上、周りで起こっている妙な出来事を察知できるようになってから、ローブの男が忙しなく報告を行っていることが分かった。

そのことから、上司であるこの壮年の男も神の盤上遊戯の関係者であることに違いない。

そう考えたフリードは、敢えて高慢かつ疑心的な態度でカマをかけてみたのだ。

 

ローブの男「ッ!さっきから言わせておけば!」

壮年の男「止めろ。」

ローブの男「しかし!」

壮年の男「くどいっ!」

ローブの男を制止する壮年の男。しかし、その腕がわずかに震えているのを、フリードは見逃さなかった。

 

壮年の男「ふぅ……先程から少し言葉が過ぎますよ、フリード将軍閣下。

私共は貴方方とは対等な関係でありたいと思っているのです。

勿論、このウォッチは正真正銘の本物ですとも。

何せ、滅びた並行世界から取り寄せた、南雲ハジメ本人から抜き取ったのですから。」

フリード「!……。」

滅びた並行世界、そう聞いたフリードは思考を巡らせた。

 

フリード(つまり……

あのイレギュラーが死んだ歴史も存在していて、その死体から力を抜き取った、ということか……

だがそれで本当に効力を発揮するのか?

……いや、我々が使っていたウォッチとやらと同じ世界やもしれん。先ずはそれを聞き出すか……

この男があのイレギュラーを目の敵にしているなら、私に本物を渡すとは思えん。

恐らくこれは代替品、万が一ウォッチを手放さなければならなくなった時のためのダミーだろうな。

私が奴なら、これを本物だと偽って、自分の手元にだけこっそりとウォッチを隠し持つだろう。

この男もそう考えているに違いない。ならば……!)

 

フリード「……いいだろう、その信頼の証を受け取ってやる。

ただし、私の邪魔をしたその時は……分かっているな?」

壮年の男「……勿論ですとも、ではこちらを。」

そう言って壮年の男からウォッチを渡され、フリードはその手の中の実感を確かめると……

 

フリード「所で話は変わるが、何故貴様たちは並行世界という言葉を知っている?

異世界からの者が何故、我々の事情を知っているのだ?まるで、未来を分かっていたような物言いだが?」

ローブの男「!?」

壮年の男「……。」

フリードの言葉にローブの男は驚き、壮年の男も表情は取り繕って入るものの、若干体がビクついていた。

更にそこへ畳みかけるように、フリードは追撃を進める。

 

フリード「あのイレギュラーのことに関してもそうだ。

あの男の愛娘のことはまだわかるが、何故母親の居場所まで分かったのだ?

まるでそこに絶対いるという確信を持ったような行動だったが……貴様もどうなのだ、木偶人形?」

使徒「余計な口は慎みなさい。いい加減にしないと、貴方を先に始末しますよ?」

使徒に睨まれても尚、フリードは怯まず睨み返す。

近くに集まっている司祭達や神殿騎士達も殺気を込めて睨みつけるものの、全く意に介さない。

 

フリード「まぁ、いずれにしろもうどうでもいいな。」

そう言ってフリードが踵を返した瞬間、

ズドォオオオオオオオオ!!!!!

教会上空より、極光が降り注いだ。

 

実はここに連れられてきた時、奇襲を警戒してウラノスを見張りとして、神山上空に待機させていたのだ。

が、それはただの建前で、本当の目的はこの場所への奇襲、つまりローブの男や使徒を一網打尽にするつもりだったのだ。

まさかあのイレギュラーの愛娘までいたのは計算外だったものの、それでも支障はなかった。

 

ローブの男「なっ!?」

使徒「ッ!」

壮年の男「チィッ!」

三者三様にその攻撃に焦りつつも、咄嗟に回避行動をとる。

となれば、残ったのは司祭達や神殿騎士、そして囚われたミュウとレミアだけになるが……

 

フリード「甘いっ!」

そう言ってフリードが繰り出したのは"界穿"。

しかも不思議なことに、空間魔法の腕は以前以上のパワーアップを遂げており、フリード自身も当初は驚いていた。

 

これは知らぬことだが、実は気絶していたフリードに、ウラノスがこっそり口づけを行っていたことにより、間接キスによる神水の摂取がされており、それによるパワーアップが施されたのだ。

その経緯を知らないものの、ウラノスは自慢げだった。

そして、その開かれたゲートは、ミュウとレミアのみを庇うよに展開され、もう一方のゲートの矛先には……

 

壮年の男「!?」

壮年の男のちょうど真後ろだった。しかも飛びのいた状態であるからか、体勢が崩れている。

普通なら避けることもままならない。そう、普通ならば、だ。

しかし極光が当たるその直前、周りの動きが一瞬にして停止した。

 

壮年の男「……まさか、このような形で反逆を起こすとはな。所詮は、敗北者という訳か。」

そう、この男もタイムジャッカーであり、ミライ達が危険視していたハイパータイムジャッカーなのだ。

その実力は勿論、時間停止能力も持っている。

しかもフィーニスやティード同様、周りの時間も止められるので、当然極光は止まったままだ。

 

壮年の男「やはり、事前にダミーとすり替えておいて、よかったよかった。

という訳で、残念だったなぁ?哀れな哀れなフリード坊や?

君の能力は高く買っていたつもりだったが……がっかりだよ。

精々、その偽のウォッチで、勝ったつもりで死んでくれ。」

そう言って壮年の男は、懐から本物の南雲ハジメアナザーウォッチを取り出した。

そのままフリードの方へ歩き出し、ウォッチを埋め込もうとしたその時。

 

壮年の男「ッ!?体が……!?」

突然、壮年の男の動きが鈍くなった。否、動かなくなった。

その事実に、今まで余裕の表情を浮かべていた壮年の男は焦った。

何故なら……こんなことが出来る人物は、この世界に一人しかいないからだ。

 

???「ほぅ、どうやら……欺く手間が省けたようだな?

まさか、こんなにも容易く時間停止を使ってくれるとはな……。

流石は、私の認めた男だと褒めてやりたいところだ。フリード、そして従者のウラノスよ……

いや、今は時間停止中だったな。」

大聖堂に突如響いた声と拍手、そして荘厳な足音。その方向へ意識を向けると……

 

ハジメ「いやはや、まさかこんな形で会えるとは……運命とはわからんものだなぁ?

貴様もそうは思わんかね、雑種?」

憤怒のオーラを纏った魔王がいた。

その怒気はまさに、天をも焼かんとする勢いだった。

 

王都近くにそびえたつ、教会総本山「神山」にて繰り広げられる、謀略と悪意の狂宴。

この出来事こそが、後に語り継がれる「教会事変の乱」の開幕になることは、まだ誰も知る由はなかった……。




ハジメ
「ここまで読んでいただき、ありがとうございます!そしてゲスト、漸く半分まで行ったよ……。」
チェイス
「どうも。女神護衛隊副隊長、チェイス=ルーティンです。」
ハジメ
「うん、もう長ったらしいけど自己紹介それでいいや。さて、今回も大波乱の展開だったねぇ。」
チェイス
「そうですね、まさか教会でこのようなことがあったとは……。」
ハジメ
「……実を言うとね、本気で神山ごと吹っ飛ばそうとしてたんだわ。」
チェイス
「何故今になってそんなことを!?」
ハジメ
「だって次回で解決しそうだしいいかな?って。」
チェイス
「さ、左様でございますか……。」

次回予告
ハジメ
「次回、神山飛ぶ。」
チェイス
「唐突過ぎませんか!?」
ハジメ
「だってすぐケリが付きそうだし……。」
チェイス
「身も蓋もないですね!?」
ハジメ
「そして愛子の説教事件の真相が、遂に明かされる!」
チェイス
「それは楽しみですね!」
ハジメ
「切り替え速いなオイ。さぁ、次回もご照覧あれ!」
チェイス
「是非、我等が女神のご活躍をご覧に!」
ハジメ
「主役は俺だがな!」

もしこの中の他作品の女性キャラで、ハジメさんに絡ませるとしたら?

  • 星野アイ
  • 篠ノ之束
  • ラキュース(オーバーロード)
  • ヤマト(ONEPIECE)
  • 歌住サクラコ
  • シェーレ
  • 白織
  • イーディス(SAO)
  • エキドナ(リゼロ)
  • 八重巫女
  • 東堂刀華
  • 大好真々子
  • 森ノゾミ
  • スヤリス姫
  • ロード・ディアーチェ
  • 鬼龍院皐月
  • 湾内絹保
  • 安心院なじみ
  • ネプテューヌ
  • ウィズ
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