ありふれない錬成師は最高最善の魔王の力で世界最強を超越する 作:天元突破クローズエボルハザード
「お待たせいたしました!さて、前回はお見苦しい所をお見せいたしました……。」
芽依
「えっと……南雲、大丈夫?」
ハジメ
「あぁ、よかった……今回のゲストは比較的まともだ……。」
芽依
「前回一体何があったの!?あ、どうも!藤本芽依です!」
ハジメ
「アハハ……ちょっとね。さて、前回のあらすじといこうか。」
芽依
「う、うん……たしか、神山爆破して魂魄魔法ゲット!だったような?」
ハジメ
「大方あっているよ。さて、今回はうちの部下のやらかしの後始末からだね。」
芽依
「……社会人って大変だなぁ。第6章第3話」
ハジメ・芽依
「「それでは、どうぞ!」」
フリード「南雲ハジメ……貴様一体部下にどういった教育をしたのだ!?
あのひ弱そうな兎人族共が見る影もないではないか!?」
ハジメ「ハハハ……い、意識改革を少々……。」
目の前の光景を信じられなかったフリードが、思わず詰め寄ってきた。
まぁ、あの光景を信じろと言う方が無理だよなぁ……。
カム「ボスに何か用かな、魔人族の将軍殿?」
そう言ってカムがフリードの首筋にナイフを突き立てる。
他のハウリアも警戒態勢に移っているし……素早いのはいいんだけどもうちょい我慢をさぁ……。
ハジメ「お前ら落ち着け、こいつは客人だから。後、取り敢えず、死体全部こっちに集めてこい。
種族問わずだ。40秒でダッシュな?」
「「「「「「「「「「Sir、yes、sir!!」」」」」」」」」」
俺の命令に、ハウリア達は号令で返し、即座に散らばった。
フリード「……あれは意識改革の域を超えているだろう!?本当に何をしたんだ!?」
ハジメ「止めてくれ、これ以上の追及は俺の精神が死ぬ!」
だってこんなんになるまで酷くなるとは思っていなかったんだもん!
俺にだって予知できないことだってあるんだよ!
アルフレリック「……とんだ再会になったな、南雲ハジメ。
何故魔人族の将軍を連れているかは知らないが……引き渡してはくれんようだな。」
ハジメ「ゴメンよアルフレリック、今は人手が欲しいんでね。
まぁ、他の獣人たちも蘇生するから、それでチャラで!」
全く……運命の針はいつだって待ってくれないものだなぁ……。
ハジメ「それで……話を続けてもいいかな?これ以上の邪魔は勘弁願いたいものなんだけど。」
???「きっ、貴様!」
フリード「よせ、ダヴァロス!」
???「しかし!」
フリード「くどいっ!」
樹海襲撃部隊の奴等は蘇生された直後、俺やハウリアに襲い掛かろうとしていたが、フリードの一喝で全員が渋々矛を収めた。
獣人側も反対意見があったものの、俺自身が急いでいることもあったので、ハウリアを使って黙らせた。
やり方としては褒められたものではないが……こっちもこっちで緊急事態なんでね。
アルフレリック「それで……何故こちらへ来たのだ?まさかとは思うが……魔人族の命乞いの為か?」
アルフレリックが以前とは違った様子で見てくる。まぁ、そういう気持ちはわかるけどもね……。
ハジメ「正直、クソ野郎やタイムジャッカーとのドンパチには、出来るだけ戦力が欲しいからね。
それに、解放者は過半数が人間族とはいえ、そこに種族差別はなかった。
なら俺も、種族動向なんざ構っていられない。まぁ、こいつ等にしっかり罰は受けてもらうけどね。」
そう言って俺はダヴァロスと呼ばれた魔人族の隊長を一瞥する。
アルフレリック「それはいいが……どのような罰にするつもりかね?」
ハジメ「う~ん、樹海形式で行くならゴキブリ風呂とか?幻覚でやるけどいいよね?」
「「「「「「「「「「………。」」」」」」」」」」
俺の発案にドン引きしたのか、全員が押し黙った。なんでだろ?
ハジメ「そもそもだ。樹海の迷宮には条件があるってこと、お前ら知らないだろ。」
フリード「!やはり何かあったのか!?」
ハジメ「そう焦るな。先ずは……ホレ、ごめんなさいしようか。」
俺の言葉に、フリードが魔人族を促す。奴等は渋々といった様子で頭を下げていた。
ダヴァロス「大変……申し訳……なかった……!」
余程の屈辱なのか、歯ぎしりしている口の間から血が滴っていた。自業自得でしょうが。
ハジメ「さて……先ず前提として獣人達と友好的でなくてはいけない。
案内人を得てない時点でアウトだよ、そもそも情報も聞いていないのに皆殺しとか愚策でしょうに。」
ダヴァロス「!貴様ッ!」
俺の言葉に怒り立ったのか、席を立って襲い掛かろうとする部隊長。だが……
フリード「いい加減にしろ、ダヴァロス。」
ダヴァロス「しっ、しかし!?」
フリードから放たれた圧が、奴を立ち止まらせる。
フリード「これ以上話を長引かせるのであれば……私自らが手を下すことになるぞ?」
ダヴァロス「!?!?!?」
信頼していた将軍からの死刑宣告に、思わず戸惑う部隊長。
ハジメ「悪いね……態々憎まれ役を引き受けてもらって。」
フリード「いや、こちらこそ部下が失礼した。大変申し訳ない。」
そう言ってフリードは、頭を下げた。それも獣人側に向けて、だ。
フリード「誤って許されることでないのは承知している。
だがせめて……部下だけでも許しては貰えないだろうか。」
するとその姿勢に調子づいたのか、獣人側が大きく出てきた。
ゼル「取引できる立場だと思っているのか?貴様等は直ちにここで亡き者となるというのに!」
……面倒ごとばかり増やすなと言っているのに、どうしてどいつもこいつも……。
アルフレリック「よすんだ、ゼル。これ以上南雲ハジメに殺されかけたくはないだろう?」
おい族長さんや、何故そこで俺を脅しの道具に使う?そして猫野郎は何故即座に座り込む?
後ハウリア、お前等はちょっと黙っていてくれるか?
ハジメ「残り二つの条件は、再生に関する神代魔法含む4つの証が必要だ。
フリード、攻略可能なのはお前位だろう。場所は西の海にある。」
フリード「!?意外にあっさり教えてくれるものだな?いいのか?
私が裏切るという可能性もなくはないだろう?」
フリードのその問いに、思わず吹き出してしまう。
ハジメ「ならお前は何故俺の情報をあっさり信じる?それと同じことではないのか?」
フリード「!」
俺の言葉にハッとなった後、フリードは口元を緩めて大笑いした。
フリード「ハハハッ!そういう男だったなお前は!負けたよ、南雲ハジメ!約束通り、私はお前に下ろう!」
「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」
……はい?
ハジメ「ちょい待ち!?何故にそうなる!?」
フリード「お前の民とやらになれば、仲間達も私も助かる。お前は戦力を手にする。
互いに利益はあるだろう?ならばこれが最善の策という訳だ!」
そう来たかぁ……いやまぁ嬉しいっちゃあ嬉しいけどさぁ……そいつらまだ洗脳中だぜ?
フリード「まぁ、どうしてもいうことを聞かない部下たちには……
お前が先程提案した幻覚とやらで……。」
魔人族の皆さん「「「「「「「「「「All hail My Lord!!」」」」」」」」」」
ハジメ「うぉい!?そんなに嫌なのか!?俺も嫌だけど変わり身早すぎるだろォ!?」
もうどうすんだよこれ……収集つかねぇよ……。
アルフレリック「……まぁ、お前さん預かりなら心配はなかろう。では頼むぞ。
私たちは生き返った者達への説明をせねばならんからな。」
ちょっと待ってェ!?お願い!神水あげるからさぁ!?クソッ、こうなったら……!
ハジメ「ハウリア!あいつらを逃がすなよ!まだ話は終わってな「「「「「「「「「「ウオォォォ!!!流石ボス!自分達にはできないことを平然とやってのけるッ!そこにシビれる!あこがれるゥ!!!」」」」」」」」」」」……もういいや。」
早く済みそうだったので、考えるのをやめた。
ハジメ「さて、俺の部下になった以上……特訓を受ける覚悟はいいな?」
魔人族の皆さん「「「「「「「「「「……え゛?」」」」」」」」」」
取り敢えず、訓練諸々は後でやることにして、魔人族達をライセンの隠れ家へと移送した。
序に洗脳も解いておいた。これで反逆の心配はなしッと!
ハジメ「……マジで恨むからな、フリード。お前は特訓の後迷宮行きな。」
フリード「フッ、そのくらいなら安いものだ。西の海にあるんだったな?」
ハジメ「あぁ……月の光と五芒星、そして攻略の証が鍵になる。
先に魂魄魔法手に入れてるなら試練の方は問題ないだろう。道中は保証できんが。」
そんな軽口をお互いに叩き合いつつ、俺達は王都の近くまで戻ってきた。
ハジメ「それじゃあ……他の魔人族への説明頼むぞ。ミハイル?だったか、そいつ以外の。」
フリード「任されたよ、我が魔王。」
ハジメ「その呼び方はやめろォい!」
俺は転移で神山へと向かい、フリードは郊外の仲間の下へと向かった。
ハジメ「ただいま、何か進展は?」
ティオ「お帰りじゃ、ご主人様よ。ちょうどユエ達が戦闘に入ったところじゃ。」
ハジメ「そうか、なら俺達も早く合流しよう。先生、ティオに乗ってくれ。」
愛子「はっ、はいっ!」
ただでさえ、あのタイムジャッカーの件もあるからな……皆の為にも……
――……、……
ハジメ「うん?」
ティオ「どうかしたかの、ご主人様?」
ハジメ「今何か、声が聞こえたような気がして……。」
――……て、…けて、助けて、
ハジメ「ッ!」
途切れ途切れではあるが聞こえる、しかも聞き覚えのある声だった。
ハジメ「……悪い、直ぐに追いつくから先に行ってくれ。ちょっと、やらなきゃいけないことができた。」
ティオ「……承知したのじゃ。先生殿、しっかり掴まっておってくれ。」
愛子「あっ、はい!ハジメ君もお気をつけて!」
そう言って二人は皆のところへ向かい、俺は声の聞こえた方向、神山麓へと向かった。
ハジメが神山で大暴れしていた頃……
ユエ達は夜陰に紛れて王宮の隠し通路を進んでいた。リリアーナを光輝達の下へ送り届ける為だ。
自分達がいない間に、光輝達が洗脳の類を受けていないか、彼等が安全と言えるかの確認が必要なのだ。
それに【神山】は文字通り聖教教会の総本山であり、ミュウとレミアの救出までは出来るだけ騒動を起こさない事が望ましいところ。
彼等に気付かれず愛子の監禁場所の捜索と救出を行う為にも、ハジメと浩介の方が都合が良かったのだ。
そんなユエ達が隠し通路を通って出た場所は、何処かの客室だった。
振り返ればアンティークの物置が静かに元の位置に戻り、何事も無かったかの様に鎮座し直す。
リリアーナ「この時間なら、皆さん自室で就寝中でしょう。
……取り敢えず、雫の部屋に向かおうと思います。」
闇の中でリリアーナが声を潜める。向かう先は雫の部屋の様だ。
リリアーナの言葉に頷き、索敵能力が一番高いシアを先頭に一行は部屋を出た。
殿をトシが務め、メルドも前で護衛を担当している。
雫達異世界組が寝泊まりしている場所は現在いる場所とは別棟にあるので、月明かりが差し込む廊下を小走りで進んでいく。
そうして少し進んだ時、ハジメから「二人の救出に成功、派手に暴れてくれ。」と連絡もあり、安心してこちらへ集中できると思い、更に進んだ時、それは起こった。
突如、窓の向こう(神山側)から激しい光が飛び、爆撃でも受けたかの様な轟音が王都を駆け抜けたのだ。
衝撃で大気が震え、ユエ達のいる廊下の窓をガタガタと揺らした。
シア「わわっ、何ですか一体!?」
ユエ「……ん、多分ハジメ。」
トシ「みたいっすね……うわ、神山崩壊しているし……。」
そう呟くトシの視線の先には、跡形もなく崩れた神山のなれの果てが映っていた。
ミレディ「皆!ハジメンがやらかしたみたいだよ!」
香織「ミレディさん!ハジメ君は!?」
ミレディ「多分大丈夫だと思う!オーちゃんと同じ錬成師だもん!」
ミレディがそう言うと、神山の頂上にて何かが地面から盛り上がる様な光景が見えた。
トシ「うん、マジで大丈夫そうだな。んじゃ行きましょうか。」
リリアーナ「そ、そうですね!」
メルド「とうとうやってしまったかぁ……」
メルドは頭を抱えながらも、もうこれでいいのかもしれないと思ったのであった。
同時刻、王宮の異世界組の寝室棟にて……
―――ズドォオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!
雫「ッ!?一体何っ!?」
激しい光と轟音に、自室で就寝中だった八重樫雫はシーツを跳ね除けて枕元の黒刀を手に取ると、一瞬で臨戦態勢を取った。
明らかに普段から気を休めず警戒し続けている者の動きだ。
雫「……。」
暫くの間、抜刀態勢で険しい表情をしながら息を潜める雫。
室内に異常がないと分かると次に窓の外を確認した。するとそこには……
雫「!?神山が消し飛んでる!?」
そう、愛子がいるはずの神山が消し飛んでいるのだ。
驚かずにはいられないだろうが、乱れる心を雫は何とか抑え込む。
雫がここまで警戒心を強めているのは、ここ数日顔を合わせる事の出来ない人達の事が引っかかっているからだ。
あの日。
【オルクス大迷宮】から出て、親友が再会した想い人と旅立ち、王国に帰還してから、少し経ってからだろうか。
何となく抱く様になった違和感。
"何が"と言われても明確な答えは返せないのだが、確かに第六感とも言うべき感覚が王宮内に漂う不穏を感じ取っていた。
言葉で表現出来ず、正体も分からず。或いは親友が傍らにいない事や魔人族の勢力が拡大した事実、"人を殺す"という覚悟の問題に直面した仲間、それらが積もり積もってナーバスになっているのだけなのではと思う事もあった。
だが勘違い等ではない、何かが起きている。そう確信したのは今日の事だ。
3日前、愛子が帰還した日に夕食時に重要な話があると言って別れたきり、その姿を消した。
夕食の席に現れなかったのだ。愛子の身に何か良くない事が起きているのではとも疑っていた。
おまけに、時を同じくしてリリアーナまで行方が分からなくなっていると側近や近衛、侍女達が慌てていた。
親しい二人が行方を晦ましたのだ、雫だけでなく光輝達は当然愛子の護衛を務めていた優花率いる愛ちゃん護衛隊のメンバーも探し回った。
そんな時だ。
優花達と同じく愛子の護衛をしていたデビッド達神殿騎士をも集めて、イシュタルが「愛子達は総本山で異端審問について協議している」という尤もらしい説明をしてきたのは。
当然「ならば自分達も」と言い募った雫達だったが、遂に直接会わせてもらう事は出来なかった。
【神山】山頂にある聖教教会総本山へ繋がるリフトも停止させられており、直接向かう事も出来なかった。
リリアーナの父親たるエリヒド国王へ直談判したが、3日もすれば戻るから大人しくしていろと言われればそれ以上騒ぐ事も出来ず、渋々ではあるが一先ず引き下がるしかなかった。
言いようのない不安感、訳も無く膨れ上がる焦燥感。
こういう時こそ頼りになるメルドと会えない事も、雫達の不安を強める要素だった。
だが3日だ。3日待てば、きっと……。そう思って迎えた3日目の今日の朝。
結局、愛子もリリアーナも戻ってはこなかった。
それどころか、王宮内からイシュタル達教会関係者の姿が消え、地上待機を命じられていた筈のデビッド達まで消息を絶った。
リフトが停止したままにも拘わらず。エリヒド国王も、宰相や側近達も面会すらしてくれなかった。
明日で愛子とリリアーナが消えて4日目、この件について明確な危機感を持っているのは雫以外では優花達だけだろう。
光輝も違和感は覚えており、表面上は楽観視していながらも、メルドや愛子がいないこともあり、少し警戒している。
ただ、皆に不安を与えないためにも"きっと大丈夫だ"としか言えないので、実質あてにはできない。
故に雫は、唯一危機意識を共有出来ている優花達と相談して決めていた。
今晩中に愛子達が戻って来なければ、自分達だけでも明朝より【神山】への登頂を開始しようと。
勿論、物理的にだ。しかし、その神山自体が爆破されてしまった以上、それも出来なくなってしまった。
雫「こんな真似が出来るのは魔人族以外……いえ、結界があるから無理ね。
だとすると……まさか、ハジメ君じゃないわよね?」
雫のその犯人と思われる人物に予想をつけていた。実質当たってはいるが。
雫「だとしても、愛ちゃんがいる筈の場所を何故……!そうだ、ヒカリちゃんなら!」
そう思って交信のためにと渡された指輪に念を送るが……
雫「……ダメね、全然繋がらないわ。本来なら遠藤君にも連絡してもらいたいのだけど……ッ!」
自分で言った言葉に漸く気付いた雫。そう、誰か一人足りないとは思ってはいたのだ。
雫「遠藤君!?遠藤君はどこ「……ここなんですが。」きゃあっ!?」
窓から聞こえた声に思わずビックリしてしまい、可愛らしい悲鳴を上げる雫。
自分でも予想外の声に顔を赤らめながらも、窓の方へ視線を向ける。すると……
雫「遠藤君……貴方いつの間に。」
窓に張り付いている人物、"最強の暗殺者"遠藤浩介がいたのだ。
浩介「まぁ、色々あってな……それより、ユエさんたちは来ていないのか?
後、中に入れてもらえると助かるんですが……。」
どういうことかと思い、雫は浩介を招き入れて事情を聴く。
雫「そう、愛ちゃんとリリィは無事なのね……にしても、教会はなんてことを……。」
教会の所業に思わず頭を抱える雫。とんでもない相手を怒らせていることに、思わず倒れそうになる。
浩介「まぁ、そっちはもう解決したらしいけどさ。こっちもこっちで危機的状況なんだけどな。」
そういう事情で、浩介自身もリフトからのフリーフォールで滑空し、こちらへと来たという訳だ。
雫「取り敢えず、先ずは香織達と合流しなきゃいけないわね……
問題は偽物の恵理の眼をどうやって誤魔化すか、ね。」
浩介「……俺がいれば何とかなると思う。だって俺影薄いし。」
雫「え、遠藤君……。」
浩介の身も蓋もない自虐に、思わず同情してしまう雫。
浩介は死んだ目で「大丈夫だ、問題ない。」と苦笑しながらサムズアップしているが。
そんな訳で雫は、気配遮断発動中の浩介の後ろに隠れて移動することにした。
今回の浩介さんは、最早情緒も羞恥心も投げ捨てているので、全力の気配遮断だが。
目指すは親友たちのいる場所へ、数秒で装備を整えて慎重に部屋の外へ出た。
──キィ、と。小さなドアノブを回す音が鳴り、雫は思わず身構える。
視線の先には、少し離れた部屋の扉が僅かに開き、そこから優花、妙子、奈々がまるでトーテムポールの様に縦に頭を並べて怖々と部屋の外を窺っている光景があった。
そんな中でも浩介は堂々としており、三人もその気配には気づかない。後ろに隠れている雫にも、だ。
浩介(……三人も連れていくか?俺の気配遮断がどれ位なのかはわからないが……。)
雫(……遠藤君、ごめんなさい。やっぱり皆が心配だわ。)
浩介(……了解した。行かれよ、大和撫子よ。)
雫(……深淵卿が出ているわよ。)
最後まで閉まらない浩介の影からそっと出て、優花達の方へ向かう。
奈々「あっ、雫っち!」
雫を発見した奈々が思わずといった様子で名前を呼ぶ。
途端、雫が黒刀の柄に手を掛けて身構えた為、「もしや廊下に不審者が!?」と考えた優花と妙子から「馬鹿!」「不用心!」と怒られながらペシペシと頭をはたかれる。
涙目で「ごめ~ん!」と謝る奈々の様子に良い意味で緊張感を削がれた雫は、大丈夫という意味を込めてパタパタと手を振った。
優花達がソロソロと部屋から出てくるのを尻目に、雫は直ぐに向かいの光輝達の部屋をノックした。
光輝「……誰ですか?」
雫「光輝、私よ。」
光輝「!雫か、入ってくれ。」
扉が開くと、光輝が聖剣を構えている様子が見えた。部屋の奥には龍太郎もいて、既に起きている様だ。
どうやら、先程の大音響で雫と同じく目が覚めたらしい。
光輝「雫、さっきの音だが……」
雫「えぇ、取り敢えず、皆を集めましょう。何か、大変なことが起きている気がするわ。」
雫の言葉に光輝は頷き、龍太郎を急かす。そのうちに雫は、優花達に視線を投げる。
それだけで意図を察した優花達は、手分けして他のクラスメイトを起こしに行った。
流石は前線組と言うべきか、重吾や健太郎、綾子、真央の永山パーティや、檜山、近藤、中野、斎藤の檜山パーティは既に準備を整えており、雫達の呼びかけと同時に廊下へ集まった。
淳史や昇、明人達残りの愛ちゃん護衛隊メンバーも呼びに行く前に廊下へと集った。
ただやはりと言うべきか、居残り組のクラスメイト達は未だ眠ったままの者達もいて、文字通り"叩き起こす"必要があったり、轟音に怯えて部屋から出るのを渋る者達もいて、集合には少し手間取ってしまった。
光輝「皆、寝ていたところを済まない!だが先程、何かが爆発した大きな音が響いたんだ。
王宮内は安全だと思うけど、一応何が起きたのか確認する必要がある!
万が一に備えて、一緒に行動しよう!」
不安そうに、或いは突然の睡眠妨害に迷惑そうにしながら廊下に出てきた居残り組に活を入れるべく、光輝が声を張り上げる。
部屋に残って、光輝達がいない間に何かあったら……
そう思った居残り組のクラスメイト達は、光輝の言葉で蒼褪めつつもコクリと頷いた。
と、その時。パタパタと軽い足音が廊下の奥から響いてきた。
何事かと雫達が視線を向けると同時に駆け込んできたのは、雫と懇意にしている専属侍女のニアだった。
以前燻っていた優花や淳史達に、雫に頼り過ぎないでほしいと諭した侍女だ。
雫「ニア!」
ニア「雫様……。」
呼びかけられたニアは、どこか覇気に欠ける表情で雫の傍に歩み寄る。
騎士の家系であり自身も剣を嗜むが故に、彼女はいつも凛とした空気を纏っているのだが……
いつものその雰囲気に影が差している様な、生気が薄い様な、そんな違和感がある。
友人の様子に眉を寄せる雫、先程浩介から聞いた"虚ろ"の症状に似ていることから、思わず警戒する。
ニア「神山が崩壊いたしました。魔人族の侵攻です。
大軍が王都近郊に展開されており、彼等の攻撃により大聖堂が破壊されました。」
雫「そんな……一体どうやって!?」
齎された情報が余りに現実離れしており、クラスメイト達は冷静さを失い、ざわざわと喧騒が広がった。
魔人族の大軍が、誰にも見咎められずに王都まで侵攻するなど有り得ない。
北大陸でもずっと上の方にあるこの王都まで、【魔国ガーランド】がある南大陸から一体どれだけの領と町、関所を通過しなければならないか。
加えて、何百年もの間、王都の守りを絶対たらしめてきた守りの要である大結界があるにも関わらず、教会の総本山である神山が、いきなり爆散したというのも信じ難い話だ。
雫は警戒していたものの、それを聞かされた光輝達は、冷静ではいられなかった。
光輝「……ニア、被害は大聖堂だけかい?」
険しい表情をした光輝がニアに尋ねる。
神山に襲撃があった以上、他の場所にも何かしらの異変があったに違いない。
ニア「はい、光輝様。今のところは、ですが。
……しかし、教皇様方は亡くなられてしまったと思われます。神殿騎士の皆様も恐らくは……。
このままでは、他に被害が出るのも時間の問題かと……。」
ニアの回答に頷いた光輝は少し考える素振りを見せた後、自分達の方から討って出ようと提案した。
光輝「俺達で少しでも時間を稼ぐんだ。
その間に王都の人達を避難させて、兵団や騎士団が態勢を整えてくれれば……」
光輝の言葉に決然とした表情を見せたのはほんの僅か。前線組と愛ちゃん護衛隊のメンバーだけだった。
他のクラスメイトは目を逸らすだけで、暗い表情をしている。
彼等は前線に立つ意欲を失った者達、心が折れたままなのだ。時間稼ぎとはいえ、とてもでないが大軍相手に挑む事など出来ない。
その心情を察した光輝は、仕方ないと目を伏せる。
そして、それならば俺達だけでもと号令を掛けようとして、意外な人物──恵里に待ったをかけられた。
恵理「待って、天之河くん。勝手に戦うより、早くメルドさん達と合流するべきだと思う。」
光輝「恵里……だけど。」
逡巡する光輝から目を逸らして、恵里はニアに尋ねた。
恵理「ニアさん、大軍って……どれ位か分かりますか?」
ニア「……ざっとですが、10万程かと。」
その数に、生徒達は息を呑む。ニアの言う通り、確かにそれは"襲撃"ではない。歴とした"侵攻"だ。
恵理「天之河くん、とても私達だけじゃ抑えきれないよ。数には数で対抗しないと。
私達は普通の人より強いから、一番必要な時に必要な場所にいるべきだと思う。
それには、メルドさん達ときちんと連携をとって動くべきじゃないかな……。」
普段の恵里らしくない控えめな言い方ではあるが、その瞳に宿る光の強さは、光輝達にも決して引けを取らない。
そしてその意見も、尤もなものだった。
鈴「うん、鈴もエリリンに賛成かな。さっすが鈴のエリリンだよ!眼鏡は伊達じゃないね!」
恵理「め、眼鏡は関係ないよぉ鈴ぅ。」
雫「……そうね、私も恵里に賛成するわ。少し冷静さを欠いていたみたい。光輝は?」
パーティの女子三人の意見に、光輝は逡巡する。
しかし、実力も高く一歩引いて物事を見ている恵里の判断を、光輝は結構信頼している事もあり、
光輝「そうだな。こういう時こそ焦って動かず、連携を取るべきだ。メルドさん達と合流しよう。」
結局、恵里の言う通りメルド達騎士団や兵団と合流する事にした。
重吾や檜山、優花等各パーティのリーダーも否は無い様だ。
光輝達は、出動時における兵や騎士達の集合場所に向て走り出した。
雫以外、すぐ傍の三日月の様に裂けた笑みには気づかずに……
ハジメ
「ここまで読んでいただき、ありがとうございます!さて、今回のゲストさんは、ってあれ?」
うp主
「すまん、ネタ切れした。なので自分が来た。」
ハジメ
「……ホセさんの予定だった筈じゃなかったっけ?」
うp主
「神殿騎士でも行けたから彼等でも行けるかな?って思ったんだけど……
思ったよりキャラが薄すぎてどうにもならなさそう。」
ハジメ
「いや、ひでーなオイ。」
うp主
「最悪、Yes,○○だけで統一しちゃおうかと思ったけど、カオス過ぎたからやめた。」
ハジメ
「その選択だけはグッジョブとだけ言っておく。」
うp主
「という訳で、次回予告行ってみよー!」
次回予告
ハジメ
「次回は雫サイドのお話になるな。」
うp主
「驚愕の裏切り、その正体は!?」
ハジメ
「香織達も向かっているから大丈夫だろ。」
うp主
「しかし、事態はハジメの予想を超えていたのであった!」
ハジメ
「いや、結末はお前次第なんだから適当言うなよ。」
うp主
「正直、話自体はストックがあるけど、前置きと後書きに手間取っている!」
ハジメ
「大声で言うことじゃねぇだろ!?てか今回メタすぎるわ!」
うp主
「次回、どうなるハジメk「怒られるだろうがー!!!」Door!?」
もしも、ハジメさんが召喚するとしたら、どのサーヴァント?
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勿論我妻、モルガン陛下
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本家後輩、マシュ
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正義の味方同士、エミヤ
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魔王と賢王、ギルガメッシュ
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勝ち確の死神、山の翁
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影の国の槍姫、スカサハ
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最強の母、ティアマト
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建築と錬成師、トラロック
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武器庫の獣、コヤンスカヤ
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どう見ても嫌な予感、LA
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ヒーロータイム、シャルル
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かつての推し、魔人さん
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時空と戦国の魔王ズ、ノッブ
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出来る良妻賢母、キャス狐
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恋する剣豪、武蔵ちゃん
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騎士道か覇道か、アーサー
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中国産AI皇帝、即ち朕
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恋愛クソザコ、カーマちゃん
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え⁉未実装⁉オルガマリー
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