ありふれない錬成師は最高最善の魔王の力で世界最強を超越する   作:天元突破クローズエボルハザード

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ハジメ
「さて、前回もお見苦しい所をお見せいたしましたが……今回で漸くクラスメイト編が終わりそうです。」
琴音
「そんな最後に呼ばれた私、星野琴音は南雲家のメイドを目指している!」
ハジメ
「募集していないしもう間に合っています。てか何でモブ9人衆大半がイロモノなの?」
琴音
「お願いです!どんなプレイでも応えてみせますので、夜伽のメイドに是非!」
ハジメ
「だーかーらぁ……そー言うのはお断りって言ってんでしょうがァァァ―!!!」
琴音
「そんな……じゃあどうやったら住み込みメイドになれるんですか!?」
ハジメ
「求めていねぇっつってんだろォ!ゼェゼェ……前回は漸く敵の掃討が完了したわけだが……。」
琴音
「ハッ!ご両親に直談判すればワンチャン……!」
ハジメ
「そんなことしたら予備メンバー募集の候補から省いておくから。それじゃ、第6章第8話」
ハジメ・琴音
「「それでは、どうぞ!」」


75.2018/Over Quartzerー即位之刻―

ミハイルくぅんの遺体を氷漬けにして"宝物庫"にしまった俺は、皆の所へと一旦戻った。

あのDQNBBAはトシが葬ったようだ。そして少し遅れて、光輝が浩介に担がれて戻ってきた。

光輝「南雲…俺は、やったぞ…!」

ハジメ「あぁ、お疲れさん。限られた時間内とはいえ、よくやった。」

そう言って互いにサムズアップする。

光輝はボロッボロではあったものの、その表情はやりきった感で溢れていた。

男子三日会わざれば刮目して見よとはいうが、いやはや頼もしくなったものだなぁ。

そして敵がいなくなったからか、他の避難していた皆もこちらに来ていた。

 

シア「ハジメさ~ん、こちらも皆さん無事です!」

ユエ「……ん、今回はあんまり出番無かった。」

ハジメ「おう、お疲れ。まぁ、次の迷宮まで取っておこうや。二人には期待しているからさ。」

あの時、エ何とか(名前忘れた)……エロスだったっけ?まぁいいや。

そいつ以外にもタイムジャッカーがいないか確認したけど、気配感知には引っかからなかったからなぁ。

俺の気配感知を欺くには、浩介レベルじゃなきゃ無理だし……。

 

香織「ハジメ君!」

ハジメ「うおっ!?香織!?」

急に香織が抱き着いてきた。驚いてそちらを向くと、少し体が震えていた。……まぁ、無理もないか。

何せアナザーウォッチで消えかけていたって話だったらしいからな、そりゃあ怖い思いをしただろう。

なので、「よく頑張りました。」の意を込めて、頭を撫でてあげる。

 

香織「ホントに……ホントに怖かった……。」

ハジメ「……あぁ、よく頑張った。」

全く、俺に惚れる女性って、手のかかるほど可愛く思えるのかなぁ?

…いや、元々俺が落とされているのか。それ程までに、大切に思える人達ってことだな。

 

ユエ「…どけ、バカオリ。」

香織「あぅ…。」

香織だけ撫でられていることに拗ねたのか、そう言ってユエが間にインターセプトしてきた。

でも頑張ったのは確かなので、撫でてあげる。すると直ぐに上機嫌になる。

 

シア「あー!ユエさんもずるいです!ハジメさん、私も撫でてください!」

ティオ「妾も撫でてほしいのぅ。先生殿をしっかり守ったのじゃからな。」

ミレディ「ミレディさんも撫でても―らおうっと!」

メイル「お姉さんはミュウちゃんになでなでしてもらいたいわぁ~。」

ホルアド同様、ナデナデの波が……後メイル、それは願望だ。まぁ、今から呼んでくるけど。

 

そう思ってオーロラカーテンを開き、オルクスの隠れ家へ転移する。

早速、ミュウとレミアを迎えに行こうと踏み出した先には……

イナバ『オルゥアァァァ!』

『グワーッ!?』

……老害共相手に無双しまくるイナバの姿があった。張り切ってんな、アイツ。

 

ミュウ「あ!パパー!」

っと、家屋の方からステテテテテーと、ミュウが駆けて来る。

そのままダイブしてくるのを、そっと受け止め、頭をナデナデする。

ハジメ「お~、ミュウ。いい子に留守番していた~?心配かけてごめんね~?怖くなかった?」

ミュウ「えへへ~、大丈夫だったの!」

あ゛ぁ゛~、クズ共を殺った後のこの笑顔は至高だなぁ……心が浄化されていくんじゃあ~。

 

レミア「あらあら、ミュウったら。本当にパパのことが大好きなのね~。」

そう言ってレミアも家屋からこちらに来る。勿論、空いている方へ抱き寄せる。

ハジメ「一先ず脅威は去ったよ、怖い思いさせちゃってごめんね。」

レミア「大丈夫です、きっと助けに来てくれるって信じていましたから。ね、ア・ナ・タ?」

ハジメ「その呼び方、なんだか落ち着くなぁ~。ワンモアプリーズ。」

レミア「あらあら、うふふ。」

そんなやり取りをしながらミュウとレミアを抱きしめ、その温もりを堪能する。

少し経ってからか、イナバの蹂躙も終わったようだ。

 

イナバ『王様!いらっしゃったのですか!ちょうど今しがた、任務を遂行いたしやした!』

ハジメ「おう、お疲れ。にしても……派手にやったねぇ。」

そう言って俺は狂信者共が山積みになった場所を見る。

全員イナバにボコボコにされ、四肢の骨が既にだらんとしている。

 

取り敢えず狂信者共は王宮の牢屋に檜山諸共ぶち込んだ。

そして皆の所へ戻れば、ミュウはユエ達に抱きしめられ、レミアはメイルに抱きしめられていた。

こらこら、ミュウがあっぷあっぷしているでしょうが。一旦落ち着きなさい。

そしてメイル、その危ない目をやめろ。色々と教育に悪い。

帰って来て早々このカオス……まぁ、悪くはないけどさ。

さて、一先ず襲撃自体はもうない筈だ。後はどうするかな……。

 

恵理「あの……兄さん。」

ハジメ「うん?どったの?」

何か言うのを躊躇っているような表情で恵理が話しかけてきた。

恵理「元の肉体に戻った時ね、あの人がやったことの記憶が流れ込んできたの。そしたら……。」

そう言って恵理は一旦口を噤むと、リリィをチラッと見てこう言った。

 

恵理「国王様や貴族の人達も……殺されていたの。」

リリアーナ「えっ、そ、そんな!?」

ハジメ「オイオイ……。」

なんてこった……それじゃあ上層部が機能しないわけだ。にしても不味いなそれは。

トップがいないと復興に遅れが生じる、それだけは何とか避けなければ。

だがどうする?代わりに誰か王様に……!これなら、いけるかもしれん!

 

ハジメ「リリィ、ちょっと頼みがある。」

リリィ「!…は、い……。」

力なく答えるリリィ。それもそうか、親が殺されてしまったのだから、そのショックは大きい筈だ。

ハジメ「一応、死んだ人達の蘇生はできる。少しばかり無茶をするが……必ず生き返らせるよ。」

リリアーナ「ッ……!ありがとうございます!」

そう言ってリリィは目をこすって、笑顔で答える。まぁ、別嬪さんには涙は似合わんからな。

 

リリアーナ「それで、頼みとは?」

ハジメ「あぁ、うん。頼みともとれるし、提案ともいえるかな。」

そう言って俺は息を吸うと、その考えを口にした。

 

ハジメ「王都が復興するまでの間、建前上だけでいい……。俺を――代理の王にしてくれ。」

リリアーナ「え!?」

『えッ―!?』

 


 

王都郊外より魔人族が撤退し、王都内に残っていた敵勢力も捕縛・始末された後。

リリアーナの陣頭指揮によって、大混乱の只中にあった王宮も夜が明けぬ内に態勢が立て直され、負傷者の搬送や状況の調査が速やかに行われた。

それによれば、アナザー恵里に傀儡兵化されていた兵士は500人規模に上ったらしい。

 

また、王都の近郊に幾つかの巨大な魔石を起点とした魔法陣が地中の浅い所に作られていた様で、それが魔人族軍の対軍用空間転移の秘密だった様だ。

恐らくアナザー恵里が傀儡を使って作らせ手引きしたのだと思われる。

そして国王を含む重鎮達は既にアナザー恵里の傀儡兵により殺害されており、現在【ハイリヒ王国】国王の座は空席になってしまっていた。

 

何より一番混乱に拍車を掛けているのは、聖教教会からの音沙汰が無い事だ。

王都が大変な事になっているというのに、戦時中も戦後も一切姿を見せない聖教教会関係者――特に教皇イシュタル、に不安や不信感が広がっている様である。

【神山】から教会関係が降りて来ないことを不審に思って、当然確かめに行こうとする者は多かった。

 

しかし、それを事前に見越していたハジメによってリリアーナが接近禁止令を出していた為、実際に登頂する者などいなかった。

仮にそれが無かったとしても、王都の復興やその他諸々のやらねばならないことが多すぎて、とても標高8000mを登山できるものなどいなかったであろう。

 

因みに直通のリフトは停止したままなので、未だ地道な登山しか総本山に辿り着く方法が無いからこそ有効な手段だと言える。

尤も普通に作動していた場合、恐らくハジメは破壊していただろう。

 

そうして色々な事が判明しつつ、陰謀渦巻く襲撃から夜が明けた。

前線組や愛ちゃん護衛隊のメンバーはハジメの実力を知っていたつもりだが、さらに強力な力で敵の軍勢を捻じ伏せる、圧倒的なその様を見せつけられ、改めて隔絶した力の差を感じて思うところが多々あった。

光輝達ですらそうなのだから、居残り組にとっては衝撃的な出来事だった。

帰還したメンバーからハジメの生存や実力の事は聞いていたが、実際のハジメの凄まじさは自分達の理解が億分の一にも達していなかった事を思い知ったのだ。

誰も彼も、ハジメの事やハジメの仲間の事が気になって仕方ないのである。

 

檜山の裏切りに、いつも一緒だった近藤達は引き籠りがちになり、居残り組は身内の裏切りにより疑心暗鬼が芽生えているらしく、以前に増して自室に籠る者が多くなった。

檜山の妄執と狂気が生徒達に齎した傷は、想像以上に深かったのだ。

それでも自暴自棄になったり深刻な程精神を病む者も無く、現実逃避的な意味が強いとはいえ王都復興に向けて動ける生徒達が多々いるのは、偏に愛子や優花達の存在あってだろう。

 

愛子も何か手伝える事が何かないかと思ったが、ハジメ達が復興の手伝いに回ると言い出したので、彼等に任せても問題ないだろうと判断したのだ。

なので、傷ついている生徒達のケアを優先することにして、持ち前の一生懸命さで生徒一人一人を鼓舞し、その心情を聞いて回った。

 

元より信頼を寄せる教師なのだから、生徒達の救いになったのは間違いない。

また優花達は元居残り組であるから、彼等の心情はよく分かった。

愛ちゃん護衛隊の精神的ケアは、居残り組にとって確かな支えになっていた様だ。

 

因みに少し話はズレるが、デビッド達愛子護衛隊の神殿騎士達は健在だったりする。

デビッド達は神殿騎士の立場を利用して何度も愛子との面会を要求したり、それが叶わないとみるや独自に捜索する等して教会上層部を相当辟易させた為、地上待機の命令──

基総本山への出入り禁止を喰らっていたところ、王都侵攻の明朝より姿を消していたのだが……

どうやらその間、とある場所にて拘束・監禁されていたらしい。

 

何故彼等が傀儡兵化や洗脳を免れたのかは分からないが、恐らくは後の"神の遊戯"に於いて駒として使うのにその方が都合が良かった、という理由も考えられるが、今となっては確かめる必要性は無い。

そんな彼等も、今のところ現実逃避の為王都復興に精を出している。

 

そんな訳で、誰もが半ば現実逃避で心の平穏を保っている中、ハジメが破壊したものとは別の訓練場において、王国騎士団の再編成を行う為各隊の隊長職選抜試験が行われていた。

因みに、暫定的な新騎士団長の名はクゼリー・レイル。

女性の騎士でリリアーナの元近衛騎士隊長である。

同じく暫定副団長の名はニート・コモルド。元騎士団三番隊の隊長である。

 

本来であれば、失踪したと思われていたメルドに引き続き団長の職務を続けてほしかったところであったものの、とある人物によってそれに待ったがかかったのだ。

そしてそんな事情を含んだ選抜試験における模擬戦で、騎士達の相手を務めていた光輝が練兵場の端で汗を拭っていると……

 

リリアーナ「お疲れ様でした。光輝さん。」

そんな労いの言葉が響いた。

光輝がそちらに視線を向けると、リリアーナが微笑みながらやって来るところだった。

光輝「いや、これ位どうって事無いよ。……リリィの方こそ、昨日の今日で殆ど寝てないんじゃないか?

ホントにお疲れ様だよ。」

光輝が苦笑いで返すとリリアーナもまた苦笑いを浮かべた。

 

リリアーナ「今は寝ている暇なんてありませんからね。……大変ですが、やらねばならない事ばかりです。泣き言を言っても仕方ありません。お母様も分担して下さってますし、まだまだ大丈夫ですよ。

……本当に辛いのは大切な人や財産を失った民なのですから……。」

光輝「それを言ったら、リリィだって……。」

 

光輝はリリアーナの言葉に、彼女もまた父親であるエリヒド国王を失っている事を指摘しようとしたが、言っても仕方の無い事だと口を噤んだ。

リリアーナは光輝の気持ちを察してもう一度「大丈夫ですよ」と儚げに微笑む。

 

ハジメ「少年少女がしていい雰囲気じゃないよ、二人とも。」

光輝・リリアーナ「「うわぁっ!!!??!?」」

そんな二人に声をかけたのは、ご存じ我等が魔王、ハジメさんだ。

 

ハジメ「リリィ、そろそろ例の準備は出来ている?」

リリアーナ「!はい。

今この場にいない騎士及び兵士、そして国民達には城下に集まる様に周知しています。」

ハジメ「ありがとう。こんな早くから民達が従うのは、リリィの人気の賜物だね。」

リリアーナ「ありがとうございます。」

 

『……。』

『?』

二人のそのやり取りに、光輝達異世界組以外の全員が疑問符を浮かべるが、二人はそれを気にせず会話を続ける。

 

ハジメ「じゃあ、後は宣言だけだね。」

リリアーナ「えぇ、後はそのように。」

ハジメ「では始めるとするか、"人の世"を。」

リリアーナ「……はい。」

短いやり取りと共に、ハジメはリリアーナを伴って歩き始める。

他の皆が呆然としている中、リリアーナに「ついてきて下さい」という言葉が告げられ、事情を知っている者達は昨夜の一件が脳裏を過ったのか、表情を硬くしながら後を追って歩き始めた。

 


 

たどり着いた先は、王都を一望出来るバルコニーの様な場所だった。

その眼下の広場には、リリアーナの言葉に集まったハイリヒ王国の国民達がいた。

そして彼等の眼の前には、大人2人分はあろう高さの柵が立っており、その内側には、今回の襲撃で亡くなった国民(アナザー恵里の傀儡となった人々、或いはその傀儡か魔物に殺されてしまった人達)の遺体が敷き詰められていた。

 

そして国民達は、やってきたリリアーナの姿を見て、「何事か!?」と騒ぎ出した。

しかし、彼女が「静粛に。」とでも言うかのように軽く手を翳すと、その意味を理解したのか、ピタリと喧騒が止んだ。

それを確認したリリアーナは、後から来た人物を前に出す様に恭しく頭を垂れて3歩下がる。

 

その人物は何と、ハジメであった。

既にオーマジオウに変身しており、その姿から威厳と圧が放たれている。

そして、リリアーナと入れ替わる様に前に出ると宙に手を翳し、空中に巨大なディスプレイを幾つか出現させる。

その様はまるでS・F作品のようだ。

 

国民達がそれに驚く中で、光輝達異世界組は「もう何でもありだなぁ……。」と今更感を感じながら他人事の様に思っていた。

そして、ハジメの宣言が始まった。

 

ハジメ『【ハイリヒ王国】、及びトータスに住む全ての民よ、ごきげんよう。

突然だが名乗らせていただく。私の名は南雲ハジメ。

勇者と共に喚ばれた異世界人であり───

今日この時を以て、この国の王座に就く、"最高最善の魔王"である。』

 

"この男は今何と言った?"

"勇者様と同じ異世界人?"

"この国の王座に就くって?"

いきなり告げられた宣言に、王国民全員が驚愕の喧騒に包まれる、

無理もないだろう。突然、見知らぬ人物が即位宣言をしても、混乱するだけだ。

当然、集まった国民達はザワザワと騒ぎ始めた。

 

ハジメ『まぁ、名も知らぬ男がいきなり王位につくなどと、信じがたい事態なのは承知している。

なので、私がこの国の王となった経緯を、皆に説明しよう。

我々人類が真に戦うべき、本当の敵についても、な。』

そう言ってハジメは語り始めた。

今まで攻略した5つの大迷宮、そして本人達から聞いた、反逆者と呼ばれた"解放者"達の歴史を。

そして地球(ほし)の本棚にて判明した、エヒトの正体・トータスの真の歴史・繰り返されてきた歴史の陰謀を。

 

………………

…………

……

 

ハジメ『───以上が、この世界で信じられてきた神、否、詐欺師エヒトが作り出した、三流もいい所の脚本だ。

そしてこれが、今現在のこの世界における真実である。

それを聞いて私は思った、このような矮小で下劣なる疫病神に、それを信仰し崇拝する教会の信徒達と先王の愚かさを放置すれば、遠くない内に多くの人々が混乱に陥る。

そこに、人間も亜人も魔人も関係なくな。

そして最悪の場合、この世界が崩壊の一途をたどり、奴によって弄ばれ続けては飽きられ、捨てられる運命にあるとな。』

 

その真実の数々はあまりも驚きに満ちていて、民衆達は大いに戸惑っていた。

何せ、自分達が崇め奉っていた神が、実は信仰心を昇華させた異世界人で、人間族以外の種族はエヒトが遊び半分で作っては、互いに人同士で争わせていた、などと聞けば、自分達は一体なんのために戦っていたのだ!?と思うだろう。

そんな民衆の不安・困惑を目にしたハジメは、そこで一度言葉を切り、握り拳を胸に当て、話を続ける。

 

ハジメ『……約束しよう!

私は無能な先王とは違う、確かな力と信念を以て、諸君らの安寧を守ろう!

神を騙る詐欺師等必要ない!信仰だけに縋る必要の無い、"人の為の統治"をここに!

神代は既に去った、今は人の世である!

一人一人が自らの力で以て時代を切り開くのだ!"人の時代"なのだ!』

 

その力の籠った宣言は、確かな人の未来を紡がんとする王の信念が、民衆達の耳に、眼に、心に、確りと届き、響き、刻まれたのだろうか。

リリアーナが制止する間もなく、喧騒はピタリと止み、再び民衆の視線はハジメに集められた。

 

ハジメ『私を王として仰いでくれるならば、諸君等に恩恵を与えよう。

この様に、な。』

そう言った直後、ハジメは天に手を翳した。

その瞬間、ハジメの掌から金色と白銀の光が波の様に放たれ王国全体を包んでいく。

すると空中に王都を包み込むほどの大時計が出現し、その針は遡る様に逆回転する。

 

その針が回るにつれ、崩れ去った筈の建造物が元の形を形成してゆき、驚いている聴衆達の傷を癒し、柵の内側の遺体、アナザー恵里によって傀儡になっていた騎士や兵士・国の重鎮等が、まるでビデオの逆再生のように激しく動き出したかと思えば、息を吹き返しては、自分が生きていることが信じられないのか、その感触を確かめては辺りを見回していた。

 

その光景に、事前に説明を受けていたとはいえ、光輝達異世界組は勿論、ハジメの実力を理解していた雫達やリリアーナですら、驚愕で開いた口が塞がらなかった。

それとは対照に、旅に同行していたユエ達はその光景を自慢げにし、ミュウに至っては「パパはとっても凄いの!」と、レミアに抱きしめられながら、はしゃいでいた。

 

そして、神すら及ばないであろうその所業がもたらした光景を見た国民達は、理解が追い付くまでの一瞬の沈黙の後――

その素晴らしき大偉業に、大歓声を挙げた。

 

 

「魔王陛下、万歳!」

「南雲ハジメ陛下、万歳っ!」

「ハイリヒ王国、万歳!」

「ハイリヒ王国に、栄光と希望を!」

「ハイリヒ王国に、大いなる幸福を!」

「貴方様に、永久の忠誠を誓います!!」

『我らが新しき最高最善の魔王、南雲ハジメ陛下に!万歳!!万歳!!万々歳!!!』

 

 

広場はまさに歓声の嵐。ハジメを称える声が湧き上がっては止まない。

それは民衆だけでなく、後ろに控えていた騎士・兵士達、生き返った国民達、そして巨大なディスプレイを通じて、その光景を目にした民衆達も、皆一様にハジメを称えては、興奮冷めやらぬ様子で周りの者達とその感動を享受する。

その光景に満足がいったのか、ハジメは再び手をかざし、歓声を制して尚も続けた。

 

ハジメ『我が誇らしき民達よ。諸君等の忠誠と心からの賛辞に、感謝する。

さて、諸君。話は変わるが……

此度の様な悲劇は、今まで諸君等の痛みを理解しようともしなかった、教会上層部に原因があると、私は考えている。

であれば当然、そのような事態が二度と起きぬ様、元凶は排除せねばならぬ。

諸君らもそう思うだろう?』

 

ハジメは話題を自身の統治から、教会の罪状へと切り替える様に、国民達に問いかけた。

民衆は、ハジメの言葉こそが正しいとでも言うかの様に、皆次々に首を縦に振る。

それを確認すると、ハジメ自身も国民達に頷きを返し、続けて宣言した。

 

ハジメ『であれば、やるべきことは二つだ!これより、私が行う政策を発表する!』

そう言うとハジメが腕を振り下ろせば、まるでディスプレイが真っ二つになったのように裂けたかと思えば、あっという間に先程までと同じ大きさのものが3つに増えていた。

内一つには勿論ハジメが映っており、その画面を確認すると、声を張り上げ宣言した。

 

ハジメ『一つ!

明日この広場にて、今回の襲撃事件を企てた主犯格2名を公開処刑とする!

勿論、この罪人達に加担した者達は勿論、どちらの一族郎党も同罪とする!』

その宣言に、国民達はまたも歓声を上げる。

 

それを確認すると、ハジメは空中のディスプレイに2人分の顔写真を映しだし、言葉を続ける。

ハジメ『此度の一件の元凶たる、罪人2人の人相だ。これよりその罪状を告げる。』

興味津々で耳を傾ける聴衆を確認し、ハジメは冷酷な声でその判決を告げた。

 

ハジメ『"元"聖教教会教皇、イシュタル・ランゴバルト。

本来国に仕えるべき聖職者の長という身分でありながら、邪教の使徒に唆され王国に混乱と反旗を齎した。

その上、神権政治と偽った傀儡政権による横領によって私腹を肥やし、更には詐欺師エヒトを支持し、多くの無辜の民を犠牲にしてきた、狂信者共の首領である!

よって罪状は死刑!遺体は全て虚数の海に落とし、二度と蘇生できぬようにする!』

 

告げられた判決に、国民からはハジメを称える声が上がり、同時にイシュタルへの罵倒が投げかけられる。

神殿騎士達は教皇が元凶の一因だった事に驚愕と失望を抱いていた。

リリアーナと異世界組は、それには動じておらず、ハジメも更に続けた。

 

ハジメ『そして、私や勇者と共に召喚された異世界人でありながら、己の欲望の為に仲間を裏切り、多くの者を手にかけた裏切り者、檜山大介!

この男は、此度の騒動の首謀者であり、詐欺師エヒトの配下と共に、王都を混沌と恐怖に陥れ、汚れた思想によって同郷の仲間ですらも駒として利用しようとしていた!

その罪は最も重く、死を持って償わせるべきだ!

よってこの者も同様に死刑、否、極刑である!』

 

その言葉によって、勇者パーティのメンバーであった檜山が、仲間を裏切って今回の騒動を実行し、自分達を危険に晒したという事実に、国民達からは驚愕の声が広がる。

無理もない筈だ。

自分達より圧倒的な力を持ち、人間族の希望だと思っていた筈の勇者一行から裏切り者、それも今回の出来事の首謀者が出た。

その事実は、国民達にとっては、とても衝撃的な内容であった。

 

ハジメ『我が民達よ、諸君等の不安は大いに理解できる。

この国のために戦うべき勇者一行から、このような罪人が出た以上、絶対的な信頼を置いていた彼等をもう一度信用することが難しい。

また期待を裏切られるのではないかと心配しているのだろう?』

その問いかけに、国民達は答えを口にはせずに、心の中で頷いていた。

 

信頼していた勇者の仲間がこの国を裏切った、その事実は民衆の不安を煽り、彼等にほんの僅かでも疑念を抱かせるには充分過ぎるのだ。

ましてや、その勇者一行の誰かが、また自分達に牙を向いたらと想像すれば……

考えたくもない事だろう。

 

──しかし、そんな彼等の思いも、その打開策も、全てはハジメの思い(描いたシナリオ)通り。

 

ハジメ『だが、案ずることはない!

何故ならば、我が同胞のリーダーでもある勇者が、皆の不安を払拭し、心からの安心をもたらすためにと、罪人達の処刑執行人をすると申し出たからだ!

決別と決意の表明として、自ら汚れ役を引き受けてくれた!それもたった一人で!

これは、非常に誇らしいとは思わんかね?私は讃えよう、あっぱれだ、勇者よ!』

 

その言葉に、民衆は安堵と共に深く頷き、期待の眼差しで光輝を見ていた。

最も、見つめられている光輝本人は、複雑な気持ちでありつつも、そこは笑顔で微笑みかけ、民衆を安心させようと手を振った。

それを見て「大丈夫そうだな。」と判断したハジメは、更に続けた。

 

ハジメ『次に。

私に忠義を捧げず未だ旧教会に与する者、及び詐欺師エヒトを支持する者についてだが……。』

ハジメはそう言うと掌に漆黒の球体を出現させ、天に向けて飛ばす。

漆黒の球体はとある町の教会へと降り注ぎ、着弾した瞬間白と黒の閃光となって天を裂き、狂信者諸共虚無に返した。

 

ハジメ『その様な輩は国家並びに世界への反逆者と看做し、指名手配とする!

無論、その者等を信仰を理由に匿った者達も同罪だ!

もし、教会の建造物に立て籠もろうものならば、先程のように諸共に吹き飛ばすまでだ!』

その光景は、この場にいながら僅かにハジメへ不信感を抱いていた聴衆の心をへし折るには充分だった。

そして突然の容赦も躊躇もない虐殺に誰もが息を呑み、一部の者達は泣き崩れた。

しかし、それも計算に入れていたハジメは、それに勝る報酬を発表した。

 

ハジメ『無論、諸君等に得の無い話では無い。

生死を問わず、捕らえた者及び捕縛に協力した者達全員に、国庫に眠るアーティファクトを褒賞として出そう!

勿論、神代の力を私が付与したものだ!

武具に防具は当然、持ち運びできる銭湯、食物を新鮮な状態に保つ宝物庫、そして馬よりも早く駆ける乗り物に、どんな毒でも癒す"神水"まであるぞ!

諸君の協力を、私は心待ちにしている!

我こそはと思う者達は、騎士団の詰所へと名乗り出るがいい!』

 

その報酬を聞いた瞬間、先程まで泣き崩れていた者達は、"神代のアーティファクト"という言葉に希望を持ったかのように顔を上げ、彼等を含む聴衆全員が歓声を挙げては狂喜乱舞した。

それ程までに神代のアーティファクトの力は凄まじいのだろう。

 

特に、その具体的な内容がハジメによって知らされたのだ。

どれも喉から手が出るほどに欲しい位の効果を有している。

それ程までに魅力的なのだ。

それも錬成師としても名高いハジメが手掛けたのであれば尚更だった。

 

そして、政策に満足の表情と自分を讃える歓声が聞こえたのを確認したハジメは、リリアーナ達を引き連れて踵を返した。

後には興奮で騒ぐ国民達だけが残され、彼等は一様に新しい時代の産声に歓喜した。

 

そんな彼等の様子を見ながら、ハジメは自分の物となったハイリヒの玉座に座る。

そのまま流れる様な動きで足を組んで頬杖をつけばそのままリリアーナが玉座の隣に侍り、ユエ達がその周りに(ミュウのみハジメの膝の上に座っている)立っていた。

今ここに、最高最善の魔王が、異世界の国家の玉座に君臨した瞬間であった。




ハジメ
「ここまで読んでいただき、ありがとうございます!さて、今回は「祝え!」早ェなオイ。」
ウォズ
「今ここに、南雲ハジメが王国の王座につき、また一つ覇道への道を歩み始めた瞬間である!」
ハジメ
「まさかの本家登場しちゃったよ……。いや、嬉しいけどさ。」
ウォズ
「別次元の我が魔王よ、心からの祝福を申し上げます。」
ハジメ
「あぁ、うん。ありがとね。さて、今回は祝福の鬼兼魔王の忠臣こと黒ウォズが来てくれました!」
ウォズ
「この世界でも、我が魔王が玉座に君臨することは絶対的な運命にあるのです。
他と比べるにはあまりにも尊く、その名声は遍く者達に響き渡るであろう!」
ハジメ
「うぉぉ……間近で本場の祝福聞くと照れるな……。それじゃあ、次回予告に行こうか。」
ウォズ
「了解したよ、我が魔王。」

次回予告
ハジメ
「次回は俺が玉座につくまでの解説をするよ。」
ウォズ
「つまり、我が魔王の道のりの総集編、ということでしょうか?」
ハジメ
「いや、今回の補足的なものかな?何の脈略もなく王様になったら、読者の皆も混乱するだろうし。」
ウォズ
「成程……流石は我が魔王。民のことを誰よりもお考えになるとは……!」
ハジメ
「それと、今回のお話で80話達成できたよ。あっという間にここまで来たねぇ~。」
ウォズ
「後20話……平成の時代……。」
ハジメ
「おっと、そろそろウォズが思考の海にダイブする前に、この辺で!」
ウォズ
「これは……次も祝わねばなるまい!」

もしも、ハジメさんが召喚するとしたら、どのサーヴァント?

  • 勿論我妻、モルガン陛下
  • 本家後輩、マシュ
  • 正義の味方同士、エミヤ
  • 魔王と賢王、ギルガメッシュ
  • 勝ち確の死神、山の翁
  • 影の国の槍姫、スカサハ
  • 最強の母、ティアマト
  • 建築と錬成師、トラロック
  • 武器庫の獣、コヤンスカヤ
  • どう見ても嫌な予感、LA
  • ヒーロータイム、シャルル
  • かつての推し、魔人さん
  • 時空と戦国の魔王ズ、ノッブ
  • 出来る良妻賢母、キャス狐
  • 恋する剣豪、武蔵ちゃん
  • 騎士道か覇道か、アーサー
  • 中国産AI皇帝、即ち朕
  • 恋愛クソザコ、カーマちゃん
  • え⁉未実装⁉オルガマリー
  • その他(活動報告4にコメントを)
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