ありふれない錬成師は最高最善の魔王の力で世界最強を超越する 作:天元突破クローズエボルハザード
「神を騙る悪が蔓延る異世界"トータス"にて、最高最善の魔王、南雲ハジメとその仲間達は、囚われたカム達ハウリア族の先発隊を救出するため、帝都へと乗り込む。
その冒険者ギルドにて情報を知る人物を教えてもらったハジメは、現在絶賛拷問執行中だった……。」
トシ
「いや、そんな死んだ目で語っても意味ないと思うぞ……?」
ハジメ
「そう言うトシこそ……てか、もう情報はあらかた聞き出せたんだが。」
トシ
「なら止めろよ!?お前の嫁だろォ!?」
ハジメ
「誠に残念ながら……ユエはスマッシュしだしたら、気の済むまで止めない。
俺の制止も無駄無駄無駄ァなんだよ……ハハッ。」
トシ
「なら何でこのまま放っておいたんだって話だ「アッー♂!?」……それじゃあ、第7章第4話」
ハジメ・トシ
「「それでは、どうぞ……。」」
ヘルシャー帝国の帝都。
その一角にある宿屋一階の食事処にて、俺とトシは項垂れていた。
恵理は顔を紅く染め、ユエはどこかすっきりしたといった表情であった。
その状況から、他の皆も事のあらましを察したようだ。
そんな微妙な空気の中、俺達は食事をとりながら、情報共有を開始した。
ハジメ「……取り敢えず、欲しい情報は得られたよ。
今晩、カム達がいる可能性の高い場所に潜入する。
警備は厳重そうだけど、カム達を見つけさえすれば、あとは空間転移で逃げればいいから、特に難しくもないね。
潜入するのは俺、ユエ、シアの3人で行くよ。
香織達は帝都の外にいるパル達のところにいて。直接転移するから。」
雫「……それはわかったけど……そもそも、その情報は正しいの?
ネディルって人が嘘を言っている可能性は……。」
そんな雫の問いに死んだ目でトシが答えた。
トシ「……自分の股間が目の前ですり潰された挙句、痛みで気を失う前に再生させられて、また潰されて……というのを何度も繰り返した男の言葉を疑えと?
あんなの……男に耐えられるもんじゃない!
洗いざらい吐かされた後、股間を押さえながらホロホロと涙を流すネディル君を見て、俺がどれだけ戦慄したことか!」
ハジメ「ホントゴメン、ユエがまさかここまで容赦ないとは思っていなくて……。」
ユエ「……ん、ナイススマッシュだった。」
ユエ、そこで誇らないで。ミュウが真似しちゃうでしょ!
俺とトシの証言を聞いて、雫は内心、香織に行かせなくてよかったとホッと胸を撫で下ろしオカンぶりを発揮している。
そして同時に、男の股間を何度もすり潰しておいて特に何とも思っていなさそうなユエを見て、王都に聞こえていた『股間スマッシャー『の二つ名は伊達ではないと、男性陣は戦慄しながらユエにだけは逆らわないでおこうと固く誓うのだった。
若干、テーブルの下で内股になりながら。
光輝「なぁ、ハジメ……今更だが、シアさんの家族が帝城に捕まっているんなら、普通に返してくれって頼めばいいんじゃないか?
今ならリリィもいるはずだし、俺は勇者だし……話せば何とかなると思うんだが……。」
ハジメ「お馬鹿。あれが対価もなしに要求に応じると思うか?
カム達は不法入国者な上に、帝国兵を殺したんだぞ?しかも、兎人族でありながら包囲されて尚、帝国側にダメージを与えられるという異質な存在だ。
そんな存在を無償で開放する程、奴は誠実じゃない。それに帝国にだって面子はある。
唯で済ますことは出来ないだろう。思いっきり足元を見た、ドでかい対価を要求するに決まっている。
何より……リリィの交渉にも影響が出る危険性もあるからな。」
光輝「それは、そうだけど……。」
その可能性は確かにあると、口をつぐむ光輝。
おそらく、折角来たのだから自分も何かしたいのだろう。
先程の亜人奴隷の事もあり、じっとしていられないようで何かを考え込み始めている。
まぁ、そんなことだろうと思っていたよ。なので、俺も一つ提案をすることにした。
ハジメ「だから光輝、お前にはそれとは別にやってほしいことがある。」
光輝「!それは一体どんなことだ!?」
ハジメ「陽動だよ。帝城に侵入するといっても警備は厳重すぎるくらい厳重だ。
だから、少しでも成功率を上げるために陽動役をやって欲しい。
さっきの犬耳少年のような亜人を助けるという建前で一暴れして帝国兵を引き付ける、みたいな感じで。」
もちろん、警備は厳重だろうが俺達に侵入できない訳が無い。
陽動も、あれば全く役に立たないわけではないだろうが、特に必要というわけでもない。
現にこちらには、タイムジャッカーすら存在を忘れているであろう、秘密兵器「浩介・E・アビスゲート」がいるのだから。
浩介「その呼び方止めろォ!」
でも折角なので、侵入以外にもこれくらいのアクションも起こした方がいいだろうと思って言ってみた。
光輝「陽動……あの子達……やる。やるぞ!ハジメ!陽動は任せてくれ!」
ハジメ「あ、あぁ、そうか……流石、勇者だね、うん。でも流石にこのままじゃ色々不味いから……
変装していこっか。」
そう言って俺は『宝物庫『から複数の仮面を取り出した。
ハジメ「光輝、お前には俺のお気に入りの仮面を進呈しよう。
デカマスターか、ホウオウソルジャーか、どっちがいい?」
雫「ハジメ君……何故仮面を被る必要があるのかしら?」
ハジメ「決まっているでしょ、正体を隠すためだよ。
それにこれ、ちゃんと留め金が付いていて、ちょっとやそっとでは外れない上に、衝撃緩和もしてくれるし。
更に、重さを感じさせないほど軽く、並の剣撃じゃあ傷一つ付かない耐久力も併せ持っているんだよ?
正体を隠すうえでこんなに優れたものはないと思うけど……?」
雫「……問題はそこじゃないと思うのだけど。」
そんな雫のジト目ツッコミを無視し、俺は続けた。
ハジメ「因みに、殆どが追加戦士だ。でだ、どっちにする?」
光輝「えっと……じゃあ、デカマスターで。小さい頃、よく真似していたから。」
ハジメ「そうか、じゃあ次に龍太郎。お前のは武闘派ということで、ゲキチョッパーにした。
本当はキングレンジャーでも良かったんだけど……イメージ的にもこっちの方がいいと思ったよ。」
龍太郎「お、おう?なんかよくわからんが、くれるってんなら貰っとくぜ」
ハジメ「そして鈴は……」
鈴「ピ、ピンクかな?かな?ちょっと恥ずかし……」
ハジメ「ズバーンだよ。なんか、鈴にはイロモノ系が何となく似合いそうだと思って。」
鈴「……ねぇ、南雲君って、もしかして鈴のこと嫌いなの?そうなの?」
ハジメ「いや、ただ単に直感だよ。因みに、トシはツーカイザーにしてある。」
トシ「いや俺もかい!?まぁ、いいけどさ。ツーカイザー好きだし。」
ハジメ「それと恵理、お前にはマジマザーをプレゼントしよう。」
恵理「兄さん、私とトシ君にストッパーをさせたいの?そうなの?」
ハジメ「そして最後に雫だが……。」
雫「待ちなさい、ハジメ君。私にまであるのかしら?……まさかよね?」
ハジメ「追加戦士でピンクが無かったから、リュウソウジャーかシンケンジャーのどっちかから選ばせてあげるよ。
あ、モモニンジャーでもいいよ?」
雫「嫌よっ!っていうか、仮面以外にも正体を隠す方法なんていくらでもあるでしょう?」
ハジメ「さっきの機能のどこに不満があるのさ。
それに、もう可愛い物好きなのは皆にバレバレなんだし、今更でしょ。」
雫「!?そ、それは……。」
浩介「あの~…俺の分は?」
ハジメ「お前の出番はまだ先だ、浩介。お前は云わばジョーカー、ワイルドカード的存在だ。
仮面被らなくても、正体隠せるだろ。」
浩介「……泣いていいよね?俺泣くよ?ねぇ?」
ハジメ「そういう訳で、だ。
雫、このまま渋るなら、香織達から聞いたお前の可愛い所を一個ずつバラシていくぞ~。」
そう言って俺は仮面を差し出した。話を聞いていたミュウ達も、優しい眼差しを雫に向ける。
雫「……なんなのよ、この空気。
……言っておくけど、私、ホントにピンクが好きなわけじゃないんだからね?
仕方なく受け取っておくけど、喜んでなんかいないから勘違いしないでよ?
あと、小動物が嫌いな人なんてそうはいないでしょ?
だから、私が特別、そういうのが好きなわけじゃないから……
だから、その優しげな眼差しを向けるのは止めてちょうだい!」
耳まで赤くなりながらも、雫は律儀に仮面を受け取った。因みに、選んだのはシンケンピンクだった。
家計の都合上、モモニンジャーでも良さそうと思ったが、口には出さずにおいた。
そして、恥ずかしいからなのか必死に否定するものの、シアがこっそり「雫さんなら少しくらいウサミミ触ってもいいですよ?」というとデレっと相好を崩したので虚しい努力だった。
ハジメ「あ、後光輝。聖鎧や聖剣もバレるから、着替え序でに『宝物庫』にしまっておけ。
代わりの奴をそっちに送っておくから。」
光輝「あぁ、任せてくれ!待っていてくれよ、皆!」
……ダメだこりゃ。完全に向こう側しか見えていねぇ。そんな光輝に呆れの視線を送る俺であった。
そして、ミュウとレミアをティオ達に預け、秘密の作戦を開始したのであった。
深夜。
光一つ存在しない闇の中に格子のはめ込まれた無数の小部屋があった。
特殊な金属で作られた特別製の格子は、地面に刻まれた魔法陣と相まって堅牢な障壁となり、小部屋にいる者を絶対に逃がさないと無言の意思表示をしている。
汚物や血などから発生する異臭で、何も見えなくとも極めて不潔な空間であることがわかる。
そんな最低な場所とは、もちろん囚人を拘束し精神的に追い詰めることを目的とした牢獄、それもヘルシャー帝国帝城にある地下牢であった。
流石、帝城の牢というべきか、地下牢を構成する金属鉱石の質もさる事ながら、至る所に刻まれた囚人を逃がさないための魔法陣が実に秀逸である。
脱獄を企てた者、または地下牢に忍び込んだ者それぞれに致死に至らない程度の、しかし極めて悪質な苦痛を与えるトラップが見えるところだけでなく壁の中にまで仕込まれており、トラップを解除する詠唱を正確に唱えない限り、まず勝手な行動は封じられていると見るべきだろう。
脱獄できる可能性など微塵もなく、光一つない世界で凶悪な異臭に苛まれつつ、小さな部屋に一人押し込まれていれば、常人なら一日と保たず発狂してもおかしくない。
看守とて唯一の入口である扉の直ぐ外にある詰所で待機しており、決められた時間に巡回するだけで地下牢の暗闇の中に長時間いたりはしないのだ。
だが、そんな最低の空間であるにもかかわらず、現在は、何故か余裕有りげな声音の話し声が聞こえていた。
ハウリアA「おい、今日は何本逝った?」
ハウリアB「指全部と、アバラが2本だな……お前は?」
ハウリアC「へへっ、俺の勝ちだな。指全部とアバラ3本だぜ?」
ハウリアD「はっ、その程度か?俺はアバラ7本と頬骨……それにウサミミを片方だ。」
ハウリアE「マジかよっ?お前一体何言ったんだ?
あいつ等俺達が使えるかもってんでウサミミには手を出さなかったのに……。」
ハウリアF「な~に、いつものように、背後にいる者は誰だ?
なんて、見当違いの質問を延々と繰り返しやがるからさ。……言ってやったんだよ。
『お前の母親だ。俺は息子の様子を見に来ただけの新しい親父だぞ?『ってな。」
ハウリアG「うわぁ~、そりゃあキレるわ……。」
ハウリアH「でも、あいつら、ウサミミ落とすなって、多分命令受けてるだろ?
それに背いたってことは……。」
ハウリアI「ああ、確実に処分が下るな。ケケケ、ざまぁ~ねぇぜ!」
聞こえてくるのは、誰が一番ひどい怪我を負ったかという自慢話。最低限の回復魔法を掛けられているので死にはしないが、こんな余裕そうな会話をしていても、声の主達はまさに満身創痍という有様だ。
それでもやせ我慢しつつ、軽口を叩く彼等の正体は、帝国に捕まったハウリア達である。
彼等が、重傷度で競い合っているのは、別に狂ったわけではない。既に覚悟を決めているのだ。
帝城の地下牢に囚われている以上、自分達はもう助からない。処刑されるか奴隷に落とされるか……
後者の場合は、それこそ全力全開で自害する所存なので、やはり命はない。
奴隷の首輪で強制的に同族と戦わされるなど悪夢なので、事前にそう決めていたのだ。
そして、助からない以上は、最後に一矢報いてやるつもりで生き長らえている。
帝国側は、ハウリアの実力が余りに常識からかけ離れていることから、彼等の背後に何か陰謀でもあるのではないかと疑っている。
また、そうでなくても、報告を受けた皇帝陛下がハウリア族を気に入り、帝国軍の手駒として使えないか画策しているようだった。
戦闘方法、持っていた武器、その精神性、温厚なハウリアを変えた育成方法、その他にも強者を好む皇帝陛下にとってハウリア族は宝箱のようなものだったのだ。
そんな帝国側の思惑を察しているハウリア達は、命尽きるその瞬間まで、帝国側を馬鹿にするように楯突いているのである。覚悟も決まっているから、重傷度で競い合うという阿呆な暇潰しも出来るのだ。
ちなみに、この地下牢に満身創痍で入れられて、それでも尋問という名の拷問のために牢から出された時、にこやかな笑みを浮かべるハウリア族は、既に関わる帝国兵のほとんどに恐怖を宿した目で見られている。
ハウリアA「今頃は、族長も盛大に煽ってんだろうな……」
ハウリアB「そうだな。……なぁ、せっかくだし族長の怪我の具合で勝負しねぇか?」
ハウリアC「お?いいねぇ。じゃあ、俺はウサミミ全損で」
ハウリアD「いや、お前、大穴すぎるだろ?」
ハウリアC「いや、最近の族長、ますます言動がキレた時の陛下に似てきたからなぁ。」
ハウリアE「ああ、まるで陛下が乗り移ったみたいだよな。あんな罵詈雑言を浴びせられたら……
有り得るな……。」
ハウリアF「まぁ、陛下ならそもそも捕まらねぇし、捕まっても即抜け出して帝国消滅させてきそうだしな!」
ハウリアG「きっと、地図から消えるぜ!」
ハウリアH「陛下は、容赦ないからな!」
ハウリアI「むしろ鬼だからな!」
ハウリアD「いや、悪魔だろ?」
ハウリアE「それを言うなら、魔王の方が似合う。」
ハウリアA「おいおい、それじゃあ魔人族の傀儡魔王と同列みたいじゃないか。
陛下に比べたら、あんなの魔王を騙るにすら値しねーよ。」
ハウリアG「なら……魔王級に神懸かってるってことで魔神王とか?」
ハウリア's「「「「「「「「「それだ!」」」」」」」」」
ハジメ「ほぅ……それで、随分と元気そうだな?この『ホシトナレー!』共……
久しぶりだというのに中々言うではないか?」
ハウリア's「「「「「「「「「……。」」」」」」」」」
暗闇の中で盛り上がっていた満身創痍のハウリア達に怒気を孕んだ声が響く。
随分と聞き覚えのある声に、ハウリア達が凍りついたように黙り込んだ。
暗闇の中、まるで肉食獣をやり過ごそうとしている小動物のように息を潜める。
ハジメ「おい、なにを黙り込んでいる?誰が鬼で悪魔で魔王以上の魔神王だと?」
ハウリアH「ハハハ、わりぃ、みんな。俺、どうやらここまでのようだ。
……遂に幻聴が聞こえ始めやがった……。」
ハウリアI「安心しろよ、逝くのはお前一人じゃない。……俺もダメみたいだ。」
ハウリアF「そうか……お前らもか……でも最後に聞く声が陛下の怒り声とか……。」
ハウリアB「せめて最後くらい可愛い女の子の声が良かったよな……。」
いるはずのない相手の声が聞こえて、いろんな意味で幻聴扱いするハウリア達。現実逃避とも言う。
そんな彼等に、声の主であるハジメは、現実を突きつける。
傍らのユエがパッと光球を出し、地下牢の闇を払拭した。
そして、帝城の地下牢にハジメの姿がはっきりと浮かび上がった。
ハウリア's「「「「「「「「「げぇ、陛下ァーーーー!!?」」」」」」」」」
ハジメ「静かにしろ、バレるだろうが。」
ユエ「……意外に元気?」
シア「見た目、かなり酷いんですが……心配する気が失せてきました。」
ハウリア族の面々は、見るも無残な酷い怪我を負いながら、薄汚い牢屋の奥で横たわり、起き上がる様子もないにもかかわらず、どこぞの武神にでも会ってしまったかのような素っ頓狂な声を上げた。
ハジメ、ユエ、シアは、そんなハウリア達に呆れ顔だ。
ハウリアA「な、なぜ、こんなところに陛下が……?」
ハジメ「詳しい話は後だ。取り敢えず、助けに来たよ。……全く、ボロボロなのにはしゃいじゃって。
タフになり過ぎだろ。」
ハウリアB「は、はは、そりゃ、陛下に鍛えられましたから。」
ハウリアC「陛下の訓練に比べれば、帝国兵の拷問なんてただのくすぐりですよ。」
ハウリアD「殺気がまるで足りないよな?温すぎて、介護でもされてるのかと思ったぜ。」
ハウリアE「まぁ、陛下の殺気は、それこそ大軍を一瞬で消し去るレベルだから仕方ないけどな。」
ゲフッゲフゥと血を吐きながら、なお軽口を叩くハウリア達とその言葉に、両隣のユエとシアから何とも言えない眼差しがハジメに向けられる。
ハジメはその視線を誤魔化すようにゴホンッと咳払いを一つすると、地下牢内のトラップを確認し、さっさとトラップの解除を始めた。
魔法陣によるトラップは、通常、正しい詠唱カギによってしか解除できない。
それは魔法陣に込められた魔力を詠唱によって操作し散らすというプロセスを経て無力化するからだ。
陣を壊すという方法もあるが、大抵、壊れた瞬間に発動するか、少なくとも壊れたことを他者に知らせる機能が付いていることから、実際には詠唱による解除が唯一なのである。
しかし、それは詠唱による魔力の操作しか出来ない場合の話だ。
逆に言えば、魔力の直接操作が出来る者なら、カギがなくても魔法陣に作用させることなく解除することが出来る。
あっさりと帝国が誇る絶対監獄である帝城地下牢を無力化したハジメは、錬成で次々と格子を開けていき、ユエの再生魔法でハウリア達全員を即座に完全回復させた。
ハウリアF「はぁ、相変わらずとんでもないですね。取り敢えず、陛下……」
ハウリア's「「「「「「「「「「助けて頂き有難うございましたぁ!」」」」」」」」」
ハジメ「あぁ、シアの為でもあるしな。気にしなくていい。それより……カムはどこにいる?」
ハウリアG「それなら……」
ハウリアの一人が言うには、どうやら今の時間はカムが尋問されているようで、詳しい尋問部屋の位置も教えてくれた。
彼等は、是非、自分達も族長救出に!と訴えてきたが、手伝ってもらう程のことでもなく、ここまで普通に侵入して来たハジメ達に任せるのが一番だと彼等も分かっていたのでハジメの言葉で大人しく引き下がった。
尤も、ハジメの『命令『に何故かゾクゾクと身を震わせているのが不思議であったが……。
ハジメは、何時ものようにオーロラカーテンを展開し、パル達のいる岩石地帯へと繋げた。
ハジメ「ここからなら、帝都から少し離れた場所にある岩石地帯に繋がっている。
パル達が待機してるから、先に待っていてくれ。」
ハウリアA「Yes,Your Majesty!陛下、族長を頼みます!」
目の前で起きた非常識に唖然とするハウリア達だったが、ハジメの言葉にハッ!と正気を取り戻すと、まぁ陛下だからな!と直ぐに納得し、惚れ惚れするような敬礼をした。
そして、躊躇いなくオーロラカーテンを通っていった。よく訓練されたウサミミ達だ。
一応、超長距離空間転移用の試作品もあったのだが、今回は安全性を考慮し、何時ものオーロラカーテンでいくことにしたのであった。
ハウリア達が転移したのを確認し、ハジメ達はカムの居場所に向かった。
厳しい警備を持ち前のスキルと魔法で突破して易々と目的の場所に辿り着く。
外の見張りをさくっと音もなく倒して扉の前に着くと、中から何やら怒声が聞こえてきた。
シアの表情が強張る。
中にいるであろうカムが酷い目に遭わされているのではないかと、軽口を叩きながらもボロボロだった先程の家族を思い出して心配する気持ちが湧き上がったのだ。
が、この先の未来が碌でもないことを予知で察したのか、微妙そうな表情でドアノブに手をかけたハジメの動きが、扉の向こうから微かに漏れてくる聞き覚えのある怒声により止まる。
カム「何だ、その腑抜けた拳は!それでも貴様、帝国兵かっ!
もっと腰を入れろ、この『インフェルノディバイダー!』するしか能のない『ヘルズファング!』野郎め!まるで『ガントレットハーデス!』している『ナイトメアエッジ!』のようだぞ!
生まれたての子猫の方がまだマシな拳を放てる!どうしたっ!悔しければ、せめて骨の一本でも砕いて見せろ!
出来なければ、所詮貴様は『デッドスパイク!』ということだ!」
帝国兵1「う、うるせぇ!何でてめぇにそんな事言われなきゃいけねぇんだ!」
カム「口を動かす暇があったら手を動かせ!貴様のその手は『カーネージシザー!』しか出来ない恋人か何かか?
ああ、実際の恋人も所詮『ブラッドサイズ!』なのだろう?『ディストラクション!』なお前にはお似合いの『ヤミニクワレロ!』だ!」
帝国兵2「て、てめぇ!ナターシャはそんな女じゃねぇ!」
帝国兵1「よ、よせヨハン!それはダメだ!こいつ死んじまうぞ!」
カム「ふん、そっちのお前もやはり『ジャヨクホウテンジン!』か。帝国兵はどいつこいつも『インフェルノクルセイダー!』ばっかりだな!
いっそのこと『ディバインスマッシャー!』と改名でもしたらどうだ!この『スレイプニール!』共め!
御託並べてないで、殺意の一つでも見せてみろ!」
帝国兵1「なんだよぉ!こいつ、ホントに何なんだよぉ!こんなの兎人族じゃねぇだろぉ!
誰か尋問代われよぉ!」
帝国兵2「もう嫌だぁ!こいつ等と話してると頭がおかしくなっちまうよぉ!」
そんな叫びが部屋から漏れ聞こえてくる。
ハジメ達は全員無言だった。
ドアノブに手を掛けたまま、捕まって尋問されているはずのカムより尋問している帝国兵の方が追い詰められているという非常識に思わず顔を見合わせる。
ハジメ「……もう帰ってもいいかな?いいよね?」
シア「……いえ、すみませんが一応、助けてあげて下さい。自力では出てこられないと思うので……。」
シアが在りし日の優しい父親を思い、遠い目をしながらハジメに頼む。
実際、威勢はよくてもカムが自力で脱出できる可能性はないので助ける必要はあるのだろうが……
カム「ふん、口ほどにもないっ。
この
扉の向こうから、何か悪い意味で凄いのが飛んできた。
ハジメ「いや、長ぇよ。寿限無じゃないんだからさぁ……。」
ユエ「……考え過ぎて収拾がつかなくなった感じ。」
シア「うぅ……父様は私に何か恨みでもあるんでしょうか?娘を羞恥心で殺そうとしてますぅ。」
シアが顔を両手で覆ったまましゃがみ込んでしまった。ダメージは深刻らしい。
そして、ダメージの深刻具合は、尋問官達も同じだったようだ。
帝国兵2「だから、わけわかんねぇよ!くそっ、もう嫌だ!こんな狂人がいる場所にこれ以上いられるかっ!俺は家に帰るぞ!」
帝国兵1「待て、ヨハン!仕事だぞ!っていうか、何かそのセリフ、不吉だから止めろよ!」
ドタドタと扉に近づいてくる音が聞こえる。
ハジメは「やっぱ、色々やりすぎたかなぁ~。」と思いながら、扉の前で拳を振りかぶった。
そして、バンッと音を立てて扉が開いた瞬間、拳を突き出す。
ヨハンと呼ばれていた尋問官の一人が、一瞬「え?」という驚愕と困惑に満ちた表情をしたが、次の瞬間には顔面に鋼鉄の拳を埋め込まれて部屋の奥へと吹き飛ばされた。
ハジメは、そのまま部屋に踏み込み、一瞬でもう一人の尋問官に接近すると硬直しているのを幸いと同じく殴りつけて気絶させた。
そして、気絶した男二人をちょっとマズイ体勢で重ねて放置する。発見した人が色々誤解しそうな格好だ。
カム「まさか……陛下…ですか?」
ハジメ「あ~何というか、よくそんなボロボロであれだけの罵詈雑言を放てたな。
……色んな意味で逞しくなっちゃってさぁ……。」
取り敢えず、先程の色んな意味でぶっ飛んだ二つ名とか名前についてはスルーだ。
カム「は、ははは。どうやら夢ではないみたいですね……おぉ、ユエ殿にシアまで。」
一瞬、夢でも見ているのかと自分を疑った様子のカムだったが、先程のハウリア達以上にボロボロでありながら力のある声音でハジメ達に返答する。
思考力も鈍っていないようで、どうやらハジメ達が自分を助けに来てくれたのだと直ぐに察したようだ。
カム「いや、せっかくの再会に無様を晒しました。
しかも帝国のクソ野郎共を罵るのに忙しくて、気配にも気づかないとは……いや、お恥ずかしい。」
シア「……父様、既にそういう問題じゃないと思います。直ぐにでも治療院に行くべきです。
もちろん、頭の治療の為に……ていうか、その怪我で何でピンピンしているんですか。」
カム「気合だが?」
ユエ「……ハジメの魔改造……おそろしい。」
ハジメ「失礼な。ここまで進化するほど教えてはいないよ。」
拘束を解かれたカムは本当に恥ずかしそうに、折れてあらぬ方向を向いている指で頭をカリカリと掻く。
シアの辛辣なツッコミにも平然と非常識な返答をした。
再生魔法を掛けるユエが、むしろカムではなくハジメに恐ろしげな眼差しを向けている。
それに不本意だとハジメは反論するが、実際乗り気だったのは確かであった。
完全に回復して自分の体の調子を確かめるようにピョンピョン跳ねているカムを尻目に、ハジメはオーロラカーテンを再び開いた。
ハジメ「他の奴等は一足先に逃がした。さっさと行くぞ。」
カム「Yes,Your Majesty!あ、陛下、装備を取られたままなのですが……。」
ハジメ「どうせ向こうは魔力の直接操作も使えないんだ。機能なんて碌に使えんよ。
精々鈍器として使用できるのが関の山だ。
それに、高周波ナイフとか、レールガンとか、もっと性能のいいもんが大量にあるから、気にしなくていいさ。」
カム「おぉ!新装備を頂けるので?そいつぁ、テンションが上がりますな、ククク。」
怪しげな笑い声を上げるカムと、どこか達観した様子のシアを引き連れ、ハジメとユエもオーロラカーテンをくぐったのであった。
この後、帝城内から忽然と消えたハウリア族や帝都で暴れていた正体不明の仮面集団により、ヘルシャー帝国の夜は朝方まで大騒ぎになった事は言うまでもない。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
やっぱり、今回もダメだったよ……ネディル君に、合掌。
そして仮面レンジャー、まさかのマジモン戦隊で構成。
因みに、最初のチョイスは私の好みです。
前者は上司になってほしい戦隊戦士で、鬼強クール剣士という、戦隊レジェンドの一角に位置しているからです。
後者はようつべ配信で見て、ストーリーと挿入歌、合わせて気に入りました。
キャラもボケとツッコミが中々テイストがあって大好きです。
他の候補としては、シンケンレッド、ゴセイナイト、ゴーカイレッド、キョウリュウゴールド、ガイゾーグ、ツーカイザー、ドンモモタロウ位ですかね?
因みに、鈴がズバーンなのは、某宇宙海賊の緑の人に似ていたからですかね?
勿論、雫はピンク確定です。
さて、ハウリア達に至っては、既に手遅れのようです。
行けるとこまで行ってしまったハジメさんにも原因がありますが、その後自分達で突き進んだ結果がこれなので、何とも言えません……。
後、今回"ピー"音を某2D格闘型対戦ゲームテイストにしてみました!
折角なので、以前の物や今後の物もそれに合わせるつもりですので、お楽しみに!
そして次回、光輝達はどうやって陽動をするのか、お楽しみに!
次回予告
カム達囚われていたハウリア族を脱獄させたハジメ達。
その一方、帝都では変装した光輝達が、陽動作戦を開始していた。
同刻、先に帝都に来ていたリリアーナは、皇帝ガハルドとの会談に臨んでいた。
しかし、既にハジメ達が動き出していたことを、彼女は知らなかったのであった。
次回「奇怪な仮面、話は難カイ!?」
目撃せよ、歴史の始まり!
ハジメ「ビリッと来たぜ!」
もしも、ハジメさんが召喚するとしたら、どのサーヴァント?
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勿論我妻、モルガン陛下
-
本家後輩、マシュ
-
正義の味方同士、エミヤ
-
魔王と賢王、ギルガメッシュ
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勝ち確の死神、山の翁
-
影の国の槍姫、スカサハ
-
最強の母、ティアマト
-
建築と錬成師、トラロック
-
武器庫の獣、コヤンスカヤ
-
どう見ても嫌な予感、LA
-
ヒーロータイム、シャルル
-
かつての推し、魔人さん
-
時空と戦国の魔王ズ、ノッブ
-
出来る良妻賢母、キャス狐
-
恋する剣豪、武蔵ちゃん
-
騎士道か覇道か、アーサー
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中国産AI皇帝、即ち朕
-
恋愛クソザコ、カーマちゃん
-
え⁉未実装⁉オルガマリー
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