ありふれない錬成師は最高最善の魔王の力で世界最強を超越する   作:天元突破クローズエボルハザード

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ハジメ
「神を騙る悪が蔓延る異世界"トータス"にて、最高最善の魔王、南雲ハジメとその仲間達は、帝都にて一大作戦を行っていた。
光輝達は仮面で顔を隠し、亜人族から注意を逸らすことに成功するも、雫のみ精神的にダメージを負ってしまう。
一方、ガハルドと会談するリリアーナの所に乗り込んだハジメは、ガハルドから自分のアナザーウォッチを差し出されたのであった。」
龍太郎
「なぁ、南雲!お前は軍曹のどの名言が好きなんだ!?」
ハジメ
「いや、俺全身鉄鋼ジャケットはあまり知らないんだが。ランボードーなら思いつく限りはあるぞ?」
龍太郎
「そっちもいいよな!筋肉モリモリ!人間武器庫!怒りの肉弾頭!」
ハジメ
「個人的には〇ネットの迷言が好きなんだよなぁ……一回言ってみたい。」
龍太郎
「そっち!?てっきり下っ端を崖から突き落とす時の奴だと思っていたんだが……。」
ハジメ
「とんでもねぇ……トリックだよ。」
龍太郎
「どういう意味だよ……それじゃあ、第7章第6話」
ハジメ・龍太郎
「「それでは、どうぞ!」」


87.樹海に木霊す、兎の咆哮

俺は驚愕に満ちていた。何故って?砕いたはずの俺のアナザーウォッチを、ガハルドが持っていたからだ。

入手経路は分かってはいるが……俺は敢えて殺気を放ち、奴を問いただした。

ハジメ「……これをどこで、誰から手にした?正直に言えよ?」

ガハルド「まぁ落ち着けって。そうだな……あれは協議前の昼時当たりだったか。」

そこからガハルドの話を要約するとこうだ。

 

ガハルドがどうやって関係強化の為の婚約の話を進めるかを考えていた時だった。

執務室にフードを被った謎の女がいたのだ。それも突然のことで、護衛の兵士たちも気づかなかった。

否、気づけなかった。何故なら、まるで自分とそのフードの女以外の時が止まったように見えたからだ。

十中八九タイムジャッカーだな。その女によって渡された、という訳か。

 

ガハルド「なんでも、このアーティファクトを使えば、お前の力を封じることも、奪い取ることも可能と聞く。

ま、そりゃあそんなこと聞かされちまったら、俺も喉から手が出るほどに欲しいさ。」

ハジメ「なら何故それを取り出して、態々俺に見せつける?脅迫でもするつもりか?

何時でも俺の力を奪えるぞ、だから俺の配下になれ、とでも言いたいのか?えぇ?」

そう言って更に殺気を強める。どうやらこの男を見誤っていたようだな。

帝国とはやはり、クズ共の集まりであったか。

 

ガハルド「ッ!だから落ち着けって!話はまだ終わっちゃいねぇ!

それに、そんなことしようとしたら、真っ先に俺がお前に殺されるっての!」

ハジメ「……。」

成程、どうやらこの男、私がタイムジャッカーを警戒していることは知らないようだな。

 

いや、そもそもその存在についてあまり知らないようだな。

リリィもそれを話さずにおいてくれたのか。そう思ってリリィを見れば、ウインクが返された。

やれやれ、流石は王女なだけはある。駆け引きはお手の物、か。

ならば、決めつけるのも早急か。そう思い殺気を解いた。

 

ハジメ「ではなんだ?これをやるから婚約について同意しろ、と?」

ガハルド「…あぁ。なんなら、姫から聞いたアーティファクトでもいいが。

話じゃ、王国~帝国間をたった半日で走破する空飛ぶ乗り物ってのがあるみてぇじゃねぇか。

ずりぃぞ、俺にも一機くれよ。」

……子供かアンタは。その言動に拍子抜けし、怒りが収まる。

 

ハジメ「悪いが、あれはまだ量産体制が整っていない。規模が規模なだけにな。

それこそ開発も半年位はかかる上に、魔力面、操作安定面、可用性、様々な面での問題もオールクリアしないといかん。

適当なもん作って即事故られちゃ、俺も錬成師としての面目が立たん。だから無理だ。」

それに、あれはこれからの旅で必須手段だ。氷雪洞窟に行くためにも、そう易々と手放すわけにはいかん。

 

ガハルド「そう言うなって。小さいのでもいいからよ。」

ハジメ「だ~か~ら~!サイズ変更しても、問題山積みなの!出せるとしても魔導バイクぐらいだ!

てか、そんなんで関係強化って言えるのか!?」

まさかとは思うがコイツ、そのためだけにアレを見せたのか!?だとしたら、考え物だぞ!?

 

ガハルド「何言ってんだ、婚約同意の序でに決まってんだろ。」

訂正、コイツも相当の山賊擬きであった。

ハジメ「なら交渉決裂か。今日が「待って下さい!」…リリィ、そこをどけ。」

ガハルドを殺そうと立つ俺の前に、急にリリィが立ち塞がった。

 

リリアーナ「……陛下は、これから大迷宮に行って、エヒトを倒すための手段を整えるのですよね?

であれば、私なんかの為に立ち止まらないでください!」

ハジメ「なんかなんて言うなよ……それくらいどっちも「時には!」…。」

リリアーナ「時には…どちらかを切り捨てなければいけません。だから、ハジメさん…。」

そう言うリリィの眼には、今にも零れ落ちそうな涙が溜まっていた。

それを必死にこらえるリリィを見て、俺は殺気を抑え、ガハルドを睨みつけた。

 

ガハルド「そう怖い顔すんなって。

婚約発表は近日に行うが、輿入れ自体はそのエヒト関連が終わってからにするからよ。」

そう言って不敵な笑みでこちらを見るガハルド。……そうか、それが貴様なりのやり方か。

いいだろう、ならばこちらも、こちらなりのやり方で潰させてもらおうか。

 

ハジメ「…許可しよう。リリィ、後は好きに進めるがいい。」

リリアーナ「!」

そう言って俺は、リリィに失望したと言わんばかり(に見える)の視線をちらつかせ、ガハルドの部屋を窓から勢いよく飛び出し、帝城を後にしたのであった。

さて、どうやって嫌がらせをしてやろうか?その婚約、台無しになる様子が実に楽しみだなぁ。

 

そうして不本意ではあったものの、ガハルドとの会談を終えた俺は、救出されたハウリアや先に戻っていたユエ達が待機している岩石地帯に転移すると、ハウリア達の熱狂的な歓迎に出迎えられた。

ハウリア達は、お互いに肩を叩き合い、鳩尾を殴り合い、クロスカウンターを決め合って、罵り合いながら無事を喜び合っている。

 

シア「ぐすっ、良かったですぅ。喜び合い方が可笑しいですけどぉ、みんな無事でよかったですぅ。

ハジメさん、ユエさん、ありがとうございますぅ。」

涙声で感謝するシア。そりゃあそうか……父さん、母さん、元気にしているよね?

俺、皆を連れて必ず帰るからさ、それまでどうか、折れずに、願っていて……。

 

そう思いながら、ユエにいい子いい子されているシアのウサミミを撫でる俺であった。

と、その時、耳に風切り音が響いたので、咄嗟に何かを受け止める。

そこには黒い鞘に収められた見覚えのある刀が片手白羽取りの要領で掴み取られていた。

 

ハジメ「……どうしたんだい、雫?何か不満でもあったのかい?」

鞘に収めた状態の黒刀で俺に殴りかかった襲撃者、雫は、片手で掴んでいるだけにもかかわらず、いくら力を込めてもビクともしない俺に舌打ちしながらも、尚、ギリギリと力を込めている。

が、昔からフィジカルモンスターの俺には、あまり効果がないんだよなぁ・・・・・・。

 

雫「……ストレス発散のためにハジメ君に甘えてみただけよ。大丈夫、私は、ハジメ君を信じているわ。

そのマリアナ海溝より深い度量で受け止めてくれるって……

だから大人しく!私に!タコ殴りに!されなさい!」

ハジメ「あのセリフが嫌だったのかい?

まぁ、俺も書いている途中で、謎の天啓が下りて来たから、つい書き上げちゃったけどさ……。」

雫「嘘おっしゃい!あなたの意図はわかっているのよ!絶対、悪ふざけでしょ!

何となく雰囲気に流されたけど!一発、殴らずにはいられない、この気持ち!男なら受け止めなさい!」

ハジメ「んな、理不尽な……。」

どうやら仮面ピンクのダメージが思ったより深かったらしい。

 

確かに、拒めばよかっただけなので、場の雰囲気や仮面自体の優秀な機能に流された雫の自業自得ではある。

しかし、そうとは分かっていても、明らかに悪ふざけが入っていた俺の言動のせいか、八つ当たりせずにはいられないのだろう。

尤も、実力差は天と地ほどなのであまり効力はない。すると、雫は黒刀の能力を一つ解放した。

 

雫「こんのぉ!"雷華"!」

ハジメ「ん?んん~。」

しかし、幾ら放電されようとも、俺にはただのマッサージにしか感じない。

それが気に食わないのか、雫は思わずツッコミを入れる。

 

雫「ちょっと、ハジメ君。電撃を流しているのに、なんで平気なのよ?」

ハジメ「鍛えてますから。それより、よくその機能を発動できたね。」

雫「くっ、仕方ないわね……今回は引くわ。でも、いつかその澄まし顔を殴ってやる。

それと、能力は王国錬成師達の努力の賜物よ。」

ほぅ、ウォルペン達が……少しだけ褒めてやるか。

 

すると、背後には目を丸くしている光輝達がいた。どうやら、ちょうど戻って来たところらしい。

思いがけない雫の行動に驚いているようだ。

香織とユエはどこかジト目で雫を見つめている。小声で「……雫ちゃんが八つ当たりするなんて……」「……甘えとも言う」と話し合っており、どうやら、俺達のやり取りはじゃれ合っているようにしか見えなかったようだ。

 

カム「陛下、宜しいですか?」

ようやく、ド突き合いを終えたらしいカム達が、こちらへ歩み寄ってきた。

真剣な表情であることから、唯の再会の挨拶というわけではなさそうだと察する。

宝物庫から玉座を取り出して腰掛け、他の皆にも長椅子を渡して座らせる。

 

カム「まず、何があったのかということですが、簡単に言えば、我々は少々やり過ぎたようです……。」

そう言って、始まったカムの話を要約すると、こういう事だ。

亜人奴隷補充の為に、疲弊した樹海にやって来た殿の帝国兵を、カム達ハウリア族は相当な数、撃破している。

それに加えて、本隊と合流できなかった兵士の数と生き残りの証言もあり、帝国兵をかなり警戒させたらしい。

 

その結果、"亜人族は樹海から出ない"という常識が疑われ、奪還に来る可能性を意識させてしまったようだ。

というのも、単なる戦闘の果ての撃破ではなく味方の姿が次々と消えていき、見つけた時には首を落とされているという暗殺に近い形だったからだ。

 

正体不明の暗殺特化集団という驚異を前に、帝国はその正体を確かめずにはいられなかった。

そこで一計を案じたらしい。それが帝都での包囲網だ。要は誘い込まれたということである。

カム達も、あっさり罠にはまるという失態を犯したわけだが、それは、帝国が直接樹海に踏み込んで来るというまさかの事態に対する少なくない動揺があった、としか言いようがない。

 

それだけでなく、攫われた大勢の亜人族が一か所にまとめられていたこともあり、厳重に厳重を重ねて構築された監視網に発見され、一時撤退を余儀なくされたらしい。

帝国の襲撃が、樹海を端から焼き払ったり、亜人奴隷に拷問まがいの強制をして霧を突破したりという、非道な方法だったというのも原因の一つかもしれない。

 

普段のフェアベルゲンなら、それでも組織的に動いて戦うことは出来ただろうが、おそらく、魔物の襲撃によって疲弊している情報も掴まれていたのだろう。

タイミングも絶妙だった。タイムジャッカーの裏工作の可能性も捨てきれんな。

まさに泣きっ面にハチ状態では、カム達も完全には冷静になりきれなかったのだ。

 

そして、帝国兵側も相当驚いたことだろう。

何せ、網にかかった正体不明の暗殺集団が温厚で争い事とは無縁の愛玩奴隷である兎人族だったのだから。

しかも、樹海の中でもないのに、包囲する帝国兵に対して連携を駆使して対等以上に渡り合ったのだ。

当然、その非常識は帝国上層の興味を引く。結果、

 

カム「我等は生け捕りにされ、連日、取り調べを受けていたわけです。

あちらさんの興味は主に、ハウリア族が豹変した原因と所持していた装備の出所、そして、フェアベルゲンの意図ってところです。

どうやら、我等をフェアベルゲンの隠し玉か何かと勘違いしているようで……

実は、危うく一族郎党処刑されかけた上、追放処分を受けた関係だとは思いもしないでしょうなぁ。」

 

尋問官に、自分達はフェアベルゲンと、むしろ敵対している関係だと何度も言ってやったそうだが、むしろ国のためにあっさり自分達を切り捨てた覚悟のある奴等だと警戒心を強めただけらしい。

特に、何度か尋問を見に来たガハルドに至っては不敵な笑みを浮かべながら、新しい玩具を見つけた子供のように瞳を輝かせていたという。

 

まぁ、アーティファクト自体使えていないようだしな。

あれには血液認証というシステムも組み込んでおいたんだ。

そう簡単に使用者変更が出来ないのもあり、帝国も実用化するのには時間がかかっているだろう。

 

ハジメ「それで?捕虜になった言い訳がしたいわけじゃないんでしょ?本題は何?」

カム「失礼しました、陛下。

では、本題ですが、我々ハウリア族と新たに家族として向かえ入れた者を合わせた新生ハウリア族は……

帝国に戦争を仕掛けます。」

ハジメ「……そう。」

カムの鋭い眼差しでなされた宣言に、その場の時が止まる。

 

そう錯覚するほど、ハジメと、カムを含めたハウリア族以外は、一切の動きを止めて硬直していた。

理解が追いついていないのか、あるいは驚愕の余り思考停止に陥ったのか。

周囲に静寂が満ちて、僅かに虫の奏でる鳴き声が夜の岩石地帯に響く。

その静寂を破ったのはシアだった。

 

シア「何を、何を言っているんですか、父様?私の聞き間違いでしょうか?

今、私の家族が帝国と戦争をすると言ったように聞こえたんですが……。」

カム「シア、聞き間違いではない。我等ハウリア族は、帝国に戦争を仕掛ける。確かにそう言った。」

僅かに震えながら、努めて冷静であろうとしたシアだったが、カムの揺ぎ無い言葉を聞いて血相を変えた。

 

シア「ばっ、ばっ、馬鹿な事を言わないで下さいっ!何を考えているのですかっ!

確かに、父様達は強くなりましたけど、たった百人とちょっとなんですよ?それで帝国と戦争?

血迷いましたか!同族を奪われた恨みで、まともな判断も出来なくなったんですね!?」

カム「シア、そうではない。我等は正気だ。話を……。」

シア「聞くウサミミを持ちません!復讐でないなら、調子に乗ってるんですね?

だったら、今すぐ武器を手に取って下さい!帝国の前に私が相手になります。

その伸びきった鼻っ柱を叩き折ってくれます!」

 

興奮状態で"宝物庫"から"ドリュッケンSH-2068"を取り出し、豪風と共に一回転させてビシッ!とカムの眼前に突きつけるシア。

その表情は、無謀を通り越して、唯の自殺としか思えない決断を下したカム達への純粋な怒りで満ちていた。

 

全身から淡青色の魔力を噴き出し物理的圧力をもって威圧するシアの迫力は、それこそ雫達を除く光輝達遠征達すら越えるものだ。

事実、いつも元気に笑っていて怒ると言っても何処かコミカルさがあるシアからは想像できない怒気と迫力に、光輝達は息を呑んでいる。

 

だが、そんな勇者達さえ怯む迫力で"ドリュッケンSH-2068"を突きつけられたカムは、凪いだ水面のように静かな眼差しで真っ直ぐに娘を見つめ返していた。

睨み合う、あるいは見つめ合う二人を誰もが固唾を呑んで見守る中、俺はシアのすぐ後ろに移動し、シアの毛玉のように丸くてふわっふわのウサシッポを鷲掴みにし、絶妙な手加減でモフモフした。

 

シア「ひゃぁん!?だめぇ、しょこはだめですぅ~!ハジメしゃん、やめれぇ~。」

実は、シアはウサミミを触られる気持ちよさとは別の意味で、ウサシッポを触られると"気持ちよく"なってしまうのだ。

シアは、早々に崩れ落ちると四つん這い状態になってハァハァと熱い吐息を漏らしつつ、恨めしげに俺を睨んだ。

触られるのは嬉しいが、時と場合を考えてほしい。そう視線で訴えているようにも見える。

が、その瞳も熱っぽく潤んでいて、艶姿を強調する以外の役割は果たしていない。

 

緊迫した状況が、次の瞬間にはピンクな空間に早変わりしたことに目を丸くする周囲の者達。

若干、前屈みになっている連中もいる。

そんな周囲を尻目に、俺は苦笑いを浮かべ、今度はシアのウサミミを撫でた。

先程のやたらとエロい手つきではなく、優しげで労わるような手つきで。

真剣なやり取りの最中にセクハラをカマしてきた俺を恨めしげに睨んでいたシアだったが、途端、気持ちよさそうに目を細めた。

 

ハジメ「どう、少しは落ち着いた?カムの話はまだ終わっていないんだし、ぶっ飛ばすのは全部聞いてからでも遅くはないでしょ?」

シア「うっ……そうですね……すいません。ちょっと頭に血が上りました。

もう大丈夫です。父様もごめんなさい。」

ウサミミをへにょんとさせて、シアは反省を示す。するとカムは、優し気に眼を細めて頭を振った。

 

カム「家族を心配することの何が悪い?謝る必要などない。

こっちこそ、もう少し言葉に配慮すべきだったな。

……最近どうも、そういう気遣いを忘れがちでなぁ。……それにしても、くっくっくっ。」

シア「な、なんですか、父様、その笑いは……。」

カム「いや、お前が幸せそうで何よりだと思っただけだ。……陛下には随分と可愛がられているようだな?

暫く見ない間に成長して……うん?孫の顔はいつ見られるんだ?」

シア「なっ、みゃ、みゃごって……何を言ってるんですか、父様!そ、そんなまだ、私は……///。」

 

カムにからかわれて、顔を真っ赤にしながらチラチラと上目遣いに俺を見るシア。

見ればハウリア達が皆、ニヤニヤとした笑みを浮かべている。

やれやれ、どいつもこいつも……ホント、いい性格になったものだ。

そんな事を思いながらシアに、「事後処理が終わったらすぐ、ね?」と小声で伝え、カムに尋ねた。

 

ハジメ「それで?俺にも参戦しろと?別にそれは構わん。俺にも、奴等を潰す動機が出来たのでな……。」

雫「!?どういうことかしら!?一体何があったのよ!?」

ハジメ「なに、ガハルドの阿呆がアナザーウォッチを盾に、リリィと第一皇子の婚約を認めろと。

言外に、今回の奪還は黙ってやるから、婚約を認めろとも言っているように見えたのでな。

今後のことも踏まえ許可は出したが……確定してない以上、機会はまだある。」

それを聞くと、皆とても驚いていた。まぁ、それもそうか。

 

光輝「そんな!お前はそれでいいのかよ!」

ハジメ「いいわきゃねーだろ。折角お前等が作戦の為に御膳立てしてくれたんだ。

だったら全員大団円で決まりだろ。それを邪魔する奴が国だろうが潰すだけだ。

つーわけで、だ。カム、今ならチート以上のアンタッチャブルが味方に付くぜ?どうする?」

そう言ってカムに視線を向ける。が、返ってきた答えは意外なものだった。

 

カム「ははっ、それこそまさかですよ。

ただ、こんな決断が出来たのも、全ては魔王陛下に鍛えられたおかげです。

なので、せめて決意表明だけでもと、そう思っただけですよ。」

カムが笑いながら俺の推測を否定する。どうやら本当に自分達だけでやるつもりのようだ。

 

しかしそうなると、本当に無謀としか言いようがない決断であり、その決断に至った理由が気になるところだ。

シアも、カム達が力をもって調子に乗っているわけでも、復讐心に燃えているわけでもなく本気で言っているのだと察し、表情を悲痛に歪めている。

 

ハジメ「理由は……同胞狩りか?」

カム「左様です。先程も言った通り、我等兎人族は皇帝の興味を引いてしまいました。

それも極めて強い興味を。帝国は実力至上主義を掲げる強欲な者達が集う国で、皇帝も例には漏れません。

そして、弱い者は強い者に従うのが当然であるという価値観が性根に染み付いている。

尋問を受けているとき、皇帝自らやって来て、"飼ってやる"と言われました。

もちろん、その場でツバを吐きかけてやりましたが……。」

ハジメ「ほぅ!よくやったな!流石は族長なだけはある。」

 

ガハルドの顔にツバを吐いたというカムの言葉に、ハウリア達は「流石、族長だぜ!」と盛り上がり、光輝達は「あの皇帝に!?」と驚愕をあらわにし、俺はその行動を称賛した。

無理もないだろう。

歴史上、ガハルドの顔にツバを吐いた者など亜人以外の種族も含めてカムが史上初かもしれんしな。

 

カム「しかし、逆に気に入られてしまいまして。

全ての兎人族を捕らえて調教してみるのも面白そうだなどと、それは強欲そうな顔で笑っていました。

断言しますが、あの顔は本気です。再び樹海に進撃して、今度はより多くの兎人族を襲うでしょう。」

う~ん、言っちゃあなんだが……新しい乙女ゲーのワンシーンみてぇだな。おっさん同士のBLものだけど。

 

カム「また、未だ立て直しきれていないフェアベルゲンでは、次の襲撃には耐え切れない。

そこで、もし帝国から見逃す代わりに兎人族の引渡しでも要求されれば……。」

ハジメ「なるほど。受身に回れば手が回らず、文字通り同族の全てを奪われる……

そのくらいなら、こっちから殺りに行くってことか。」

カム「肯定です。ハウリア族が生き残るだけなら、それほど難しくはない。

しかし、我等のせいで、他の兎人族の未来が奪われるのは……耐え難い。」

どうやら、思っていた以上に、カム達は状況的に追い詰められていたようだ。

 

カムの言う通り、ハウリア達だけが生き残ることは、樹海を利用しての逃亡とゲリラ戦に徹すればそれほど難しくはないだろうが、その代わりに他の兎人族が地獄を見ることになる。

彼等が "強い兎人族"という皇帝の望みに応えられなければ、女、子供は愛玩奴隷にそれ以外は殺処分になるのがオチだからだ。

 

ハジメ「それで?作戦はあるんだろ?」

カム「もちろんです。平原で相対して雄叫び上げながら正面衝突など有り得ません。

我等は兎人族、気配の扱いだけはどんな種族にも負けやしません。」

そう言って、ニヤリと笑うカム。

 

ハジメ「なら策は一つ、暗殺だな。」

カム「肯定です。我等に牙を剥けば、気を抜いた瞬間、闇から刃が翻り首が飛ぶ……

それを実践し奴らに恐怖と危機感を植え付けます。

いつ、どこから襲われるかわからない、兎人族はそれが出来る種族なのだと力を示します。

弱者でも格下でもなく、敵に回すには死を覚悟する必要がある脅威だと認識させさます。」

確かに有効っちゃあ有効か。だが……

 

ハジメ「奴等もただの阿呆でない。暗殺者に対する対策もあるぞ?」

カム「もちろんしているでしょうな。しかし、我等が狙うのは皇帝一族ではなく、彼等の周囲の人間です。

流石に、周囲の人間全てにまで厳重な守りなどないでしょう。

昨日、今日、親しくしていた人間が、一人、また一人と消えていく。

我等に出来るのは、今のところこれくらいですが、十分効果的かと思います。

最終的に、我等に対する不干渉の方針を取らせることが出来れば十全ですな。」

成程、何ともえげつない策だ。だが、皇帝一族を暗殺するなどと言うよりは、よほど現実味がある。

 

ただ、それだと、帝国側に脅威を感じさせるには必然的に時間が掛かってしまうので、大規模な報復行為に出られる可能性が高く、帝国側が兎人族の殲滅に出るか、それとも脅威を感じて交渉のテーブルに付くか、どちらが早いかという紛れもない賭けだ。

それも極めて分の悪い賭け。

それでもやらなければ、どちらにしろ兎人族の未来は暗いのだろう。既に全員、覚悟を決めた表情だ。

 

シア「……父様……みんな……。」

シアは、悄然と肩を落とす。

帝国兵を敵に回し、絶対監獄ともいうべき帝城の地下牢からも逃走を果たした兎人族を、ガハルドは私的興味と公的責務として見逃しはしないだろうと、彼女も察したのだ。

兎人族に残された道は、他の同族を見捨ててハウリア族だけ生き残るか、全員仲良く帝国の玩具になるか、身命を賭して戦うか、そのどれかしかないのだ。

 

カム「シア、そんな顔をするな。

以前のようにただ怯えて逃げて蔑まれて、結局蹂躙されて、それを仕方ないと甘受することの何と無様なことか……

今、こうして戦える、その意志を持てることが、我等はこの上なく嬉しいのだ。」

シア「でも!」

 

カム「シア、我等は生存の権利を勝ち取るために戦う。ただ、生きるためではない。

ハウリアとしての矜持をもって生きるためだ。

どんなに力を持とうとも、ここで引けば、結局、我等は以前と同じ敗者となる。それだけは断じて許容できない。」

シア「父様……。」

カム「前を見るのだ、シア。これ以上、我等を振り返るな。お前は決意したはずだ。

陛下と共に外へ出て前へ進むのだと。その決意のまま、真っ直ぐ進め。」

 

カムが、族長としてでも戦闘集団のリーダーとしてでもなく、一人の父親として娘の背中を押す。

自分達のことでこれ以上立ち止まるなと、共に居たいと望んだ相手と前へ進めと。

泣きそうな表情で顔を俯けてしまうシアに優しげな眼差しを向けたあと、カムは俺に視線を転じて目礼する。

娘を頼みますとでも言うように。

 

ハジメ「……ふざけているのか?カム。」

カム「!?」

が、その言葉を俺は一蹴し、"威圧"を放つ。

別にカム達のやろうとしていることを批判するつもりではない。

 

ハジメ「俺はお前達を無駄死にさせるつもりもなければ、見捨てるつもりもない。

ましてや相手が、あのクソッたれガハルドであれば尚更だ。

勝手に人の領地にずかずかと踏み込んで、好き放題荒らしまくった挙句、俺の大切なシアとリリィまで悲しませようとしている。

これを不遜と言わずして何というのだろうか?」

カム「し、しかし……!」

 

確かに、捕まったのは自分達のミスだ。

自分達のミスでまんまと敵の罠にはまり皇帝の目に止まってしまったことは自業自得と言える事態なのだ。

ここで、俺の力を当てにして解決を委ねるようでは、以前と何も変わらない。

カムが言ったように、この戦いは兎人族が掲げることが出来るようになった矜持を貫くための戦いなのである。

 

勿論、それは俺もシアも理解している。

シア自身、ただ逃げるだけしか出来なかったのは自分も同じであり、今は、俺達の仲間としての矜持がある。

だが、余りに分の悪い賭けを行おうとしている家族に心は否応なく痛んでいる筈だ。

なら、それを何とかするのが、俺の役目だろうが!

 

ハジメ「なぁ、カム。お前等は俺に参戦を申し出ない。そう言ったんだよな?」

カム「?左様ですが、それが?」

ハジメ「なら、俺がガハルドに個人的に嫌がらせをしても、それをお前等が勝手に利用しても、別に文句は言われないよな?」

カム「!?」

どうやら俺の意図に気づいたようだな。

先程まで俯いていたシアも、それを聞いて驚愕の表情でこちらを見る。

 

シア「ハジメさん……。」

ハジメ「俺が一緒に戦うのがダメなだけで、手伝いはそれに含まれないだろ。

今回の件は、ハウリア族が強さを示さなきゃならない。

容易ならざる相手はハウリア族なのだと思わせなきゃならない。

帝国が亜人差別を是とする以上、亜人族がやらねば、また同じことが繰り返されるだけだ。

何より、カム達の意志がある。だから、俺は一切、戦うつもりはない。」

そこで一旦言葉を区切り、シアの頬を撫でるとカムに視線を向ける。

 

ハジメ「だがな、うちの元気印が悲しそうな顔している上に、こっちの力やリリィまで人質にされてんだ。

黙って引き下がると思ったら大間違いだぞ?」

カム「し、しかし、陛下……なら、一体……。」

困惑を深めるカム達に、俺はニヤリと不敵な笑みを浮かべて宣言する。

 

ハジメ「カム、そしてハウリア族。シアを泣かすようなチンケな作戦なんぞ全て絶版だ。

お前達は直接、皇帝の首にその刃を突きつけるのだ。

髪を掴んで引きずり倒し、親族、友人、部下の全てを奴の前で組み伏せろ。

帝城を制圧し、助けなど来ないと、一夜で帝国は終わったのだと知らしめてやれ!

ハウリア族にはそれが出来るのだと骨の髄に刻み込んでやれ!

この世のどこにも、安全な場所などないのだと、ハウリア族を敵に回せば、首刈りの蹂躙劇が始まるのだと、帝国の歴史にその証を立ててやれ!」

辺りに静寂が満ちる。ゴクリッと生唾を飲み込む音がやけに明瞭に響いた。

俺は、周囲を睥睨しながら、スッーと息を吸うと雷でも落ちたのかと錯覚するような怒声を上げた。

 

ハジメ「返事はどうしたぁ!この"ケッボーン!"共!」

ハウリア's「「「「「「「「「ッ!?サッ、Sir,Yes,My load!!」」」」」」」」」

ハジメ「聞こえんぞ!貴様等それでよく戦争などとほざけたな!所詮は"ヨォー!"の集まりか!?」

ハウリア's「「「「「「「「「「Sir,No,Sir!!!」」」」」」」」」」

ハジメ「違うと言うなら、証明しろ!雑魚ではなく、キングをやれ!!」

ハウリア's「「「「「「「「「「ガンホー!ガンホー!ガンホー!」」」」」」」」」」

ハジメ「貴様等の研ぎ澄ました復讐と意地の刃で、邪魔する者の尽くを斬り伏せろ!」

ハウリア's「「「「「「「「「「ビヘッド!ビヘッド!ビヘッド!」」」」」」」」」」

ハジメ「膳立てはするが、主役は貴様等だ!半端は許さん!わかっているな!?」

ハウリア's「「「「「「「「「「Aye,aye,Sir!!!」」」」」」」」」」

ハジメ「宜しい!気合を入れろ!新生ハウリア族、122名で……」

ハウリア's「「「「「「「「「「……」」」」」」」」」」

ハジメ「帝城を落とすぞォ!」

ハウリア's「「「「「「「「「「YAHAAAAAAAAAAAAAA!!!!」」」」」」」」」」

ハジメ「WRYYYYYYYYYYYYYYY!!!!!」

 

今、ハウリア達の心は一つとなって、帝城落としへの闘志で燃え上がっていた。

当然だろう。自分達が陛下と慕う人物が、扉の鍵は開けてくれるというのだ。

ならば、その先で待っている障碍くらい斬り裂けなくては、新生ハウリア族の名折れである。

鍛えてくれた俺にも顔向け出来ない。

そして今、帝都から離れた岩石地帯に、闘志と殺意の雄叫びが響き渡った。

 

鈴「……うぅ~、シズシズ、エリエリ、あの人達こわいよぉ~。」

雫「大丈夫よ、鈴。私も怖いから……ていうかハジメ君の発想とノリも十分怖いけど。」

恵理「気持ちは分かるよ。兄さんって時々行動がぶっ飛んでいることあるから。」

トシ「ハジメ……お前、とうとう野蛮人(バーバリアン)になっちまったのかよ。」

浩介「……俺、ここから運命の人見つけるんだよな。なんか、段々不安になってきた……。」

龍太郎「南雲の奴……へへ、まさかハー○マン先生を取り入れていたとはな、やるじゃねぇか。」

光輝「龍太郎!?なんで、ちょっと親近感持ってるんだ!?どう見ても異常な雰囲気だろ!?」

雫達が、それぞれ唖然とした表情で異様な熱気に包まれるハウリア達の様子を眺めていた。

一名、俺が参考にした対象をリスペクトしていたようで、いい笑顔を浮かべていたが。

 

ティオ「う~む、すごいのぉ~。兎人族がここまで変わるとは。流石、ご主人様じゃ。

あっさり帝国潰しを目的にしよるし。」

ミレディ「ハジメンって、元から扇動者の素質合ったんじゃないかな?

もしミレディさん達の時代にいたら……。」

メイル「間違いなく軍隊一つはできるわね……それも高性能アーティファクトによる暴力の嵐付きの。」

 

香織「ねぇ、ユエ。シアの表情見てよ、蕩けてるよ。」

ユエ「……ん、可愛い。シアが泣かないためだから……嬉しくて当たり前。」

ミュウ「みゅ!シアお姉ちゃん、とっても可愛いの!」

レミア「あらあら、あの時の私もああいった表情をしていたのかしら?」

ユエ達の方は、蕩けた表情で俺を見つめるシアについて語り合っていた。

 

ユエは、最初からこうなると分かっていたのか、シアから暗さが払拭されたのを見て嬉しそうに目元を和らげ、香織の方は安心したような表情をしながらも、シアを羨ましげに眺めていた。

その後、帝城落としの詳細を詰めた俺達は、その時に備えて各々休むことになった。

序でに、アナザーウォッチとタイムジャッカー対策についても、切り札の詰めを行っていた。

 

シアは、しばらくの間、俺の傍を離れたがらなかった。

いつもの元気の良さは鳴りを潜め、しかし、決して暗く沈んでいるわけではなく、頬を薔薇色に染めてしずしずと俺の服の裾を掴んだまま寄り添うのだ。

ウサミミが時折、ちょこちょこと俺に触れては離れてを繰り返す。

その様は、ただただ、傍で俺を感じていたいという気持ちをあらわしているようだった。

 

一夜明けて、東の空が白み始める少し前、岩場のてっぺんに立ちながら、俺は腕を組み、帝都を睨みつけていた。

ハジメ「さぁ、私と貴様のゲームを始めようではないか、なぁ、ガハルド?」

この日、最高最善の魔王の秘策が、帝国の歴史を揺るがすことになろうとは、誰も知る由はなかったのであった。

東の空に上がる朝日と共に、新生ハウリア族の戦いの狼煙が、今、上がった。




ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

実を言うと、ハジメさんのアナザーウォッチは全部で3つあります。
一つは既に破壊され、一つは前回より登場、残る後一つは後々登場いたしますので、お楽しみに。
そして遂に、ハジメさん帝国への宣戦布告を決意。全ては、大切な仲間であり愛しき人達の為に
同時にハウリア達も帝国へ戦争を仕掛けることに。全ては、大事な一人娘と同胞たちのために。
雫ちゃんの恋模様は第8章辺りで触れますのでお楽しみに!
さて、とうとう敗北までのカウントダウンを開始してしまった帝国。次回から一体どうなる!?

次回予告

帝国に囚われた亜人族と、望まぬ婚約をさせられたリリアーナを救うため、ハジメ達は帝城へと出向する。
そこで対面したのは、意外な関連のある人物であった。
そして、心配をするリリアーナをよそに、国の長同士としての対談に臨むハジメ。
ガハルドとの化かし合いの結末は、果たして!?

次回「回り始めたDICE!」
目撃せよ、歴史の始まり!

ハジメ「ハイライトだぜ!」

もしも、ハジメさんが召喚するとしたら、どのサーヴァント?

  • 勿論我妻、モルガン陛下
  • 本家後輩、マシュ
  • 正義の味方同士、エミヤ
  • 魔王と賢王、ギルガメッシュ
  • 勝ち確の死神、山の翁
  • 影の国の槍姫、スカサハ
  • 最強の母、ティアマト
  • 建築と錬成師、トラロック
  • 武器庫の獣、コヤンスカヤ
  • どう見ても嫌な予感、LA
  • ヒーロータイム、シャルル
  • かつての推し、魔人さん
  • 時空と戦国の魔王ズ、ノッブ
  • 出来る良妻賢母、キャス狐
  • 恋する剣豪、武蔵ちゃん
  • 騎士道か覇道か、アーサー
  • 中国産AI皇帝、即ち朕
  • 恋愛クソザコ、カーマちゃん
  • え⁉未実装⁉オルガマリー
  • その他(活動報告4にコメントを)
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