ありふれない錬成師は最高最善の魔王の力で世界最強を超越する 作:天元突破クローズエボルハザード
「神を騙る悪が蔓延る異世界"トータス"にて、最高最善の魔王、南雲ハジメは、アナザーウォッチを盾に、リリアーナの婚約を迫るガハルドの野望を破るべく、宣戦布告を決意する。
一方、生還したハウリア達も、帝国の今後の方針に対抗すべく、帝城で暗殺計画の決行を決意していた。
それを聞いて心配するシアの為に、ハジメはガハルドへの嫌がらせという名目の下、彼等に協力するのであった、
そして現在、クソ長い橋の上で、俺達は待たされているのであった。」
ラウス
「今ここでやることか?あぁ、そう言えば申し遅れていたな。解放者が一人、ラウス・バーンだ。」
ハジメ
「何気に今回が初出演だよね?何だろう、もっとこう……。」
ラウス
「言っておくが、私にはミレディ達の様な変なこだわりはない。」
ハジメ
「……ソウダネ。」
ラウス
「おい、何故私の頭を一瞬見てから言った?」
ハジメ
「あ~、そろそろ番が回ってくるから締めよっか!」
ラウス
「誤魔化したか……まぁいい、第7章第7話」
ハジメ・ラウス
「「それでは、どうぞ!」」
ヘルシャー帝国を象徴する帝城は、帝都の中にありながら周囲を幅20m近くある深い水路と、魔法的な防衛措置が施された堅固な城壁で囲まれている。
水路の中には水生の魔物すら放たれていて城壁の上にも常に見張りが巡回しており、入口は巨大な跳ね橋で通じている正門ただ一つだ。
帝城に入れる者も限られており、原則として魔法を併用した入城許可証を提示しなけばならないらしい。
跳ね橋の前にはフランスの凱旋門に酷似した巨大な詰所があり、ここで入城検査をクリアしないと、そもそも跳ね橋を渡ることすら出来ないようだ。
不埒な事を考えて侵入を試みようものなら、魔物がはびこる水路にその場で投げ入れられるとか……
詰所での検査も全く容赦がない。
たとえ、正規の手続きを経て入場許可証を持っている出入りの業者などであっても、商品一つ一つに至るまできっちり検査される。
なので、荷物に紛れ込んでの侵入なども、もちろん不可能だ……俺達を除いて。
つまり、何が言いたいのかというと、普通は帝城に不法侵入することは至難中の至難であるということだ。
そんな今更な事実を、凱旋門の前で入城検査の順番待ちをしながらかる~く考えていた俺達は、堂々と正面突破するために、再び帝都に来て帝城へとやって来たのだ。
ちなみに、光輝達の陽動は外の部隊が担当し、わざわざ帝城内の部隊が出張ることなど有り得ないようで、ほとんど役に立っていなかった。
まぁ、多少、「何があったんだ?」と、動揺くらいはさせたかも、という程度のようだが……。
活躍はまだこの先の大迷宮でもある筈だ、きっと。
門番「次ぃ~……見慣れないな。……許可証を出してくれ。」
門番の兵士が私達を見て訝しげな表情になる。
帝城内に入ることの出来る者が限られている以上、門番からすれば大抵は知っている顔だ。
そして、たとえ初めての相手であっても帝城に招かれるような人物は大抵身なりが極めて整っているのが普通である。
本来であれば、私もそう言った正装をするつもりだが、今回は面倒になったので敢えていつもの装い(オーマジオウ)でやってきた。
なので、胡乱な目を向けてしまうくらいには目立つ。
が、それも想定内なので、ステータスプレートを提示した。
ハジメ「これ。」
門番「は?ステータスプレート?一体……って、王国の魔王陛下ぁ!?」
当然、こちらは誰一人として帝城に入るための許可証など持ってはいない。
許可証を持っていない時点で剣呑な目付きになった門番だったが、渡されたステータスプレートに表示された"ハイリヒ王国国王・最高最善の魔王"の文字に目を瞬かせ、何度もこちらの顔とステータスプレートを交互に見る。
その門番の様子に、周囲の同僚達が何事かと注目し始めた。
ハジメ「急ですまんな。こちらにいるリリアーナ姫と一緒に来たのだが、道中で野暮用があってな。
別行動をとらせてもらっていた。故に早く通すがよい。」
門番「は、はぁ……。」
門番の呟きに、同僚達が我々の正体を知ってにわかにざわつき始めた。
その表情は、当然のことながら、「なぜ、リリアーナ姫と別に来たのか?」「なぜ、事前連絡がないのか?」など疑問に溢れていた。
しかし、相手は同盟予定国の現国王であり、詮索は不要だと勝手に納得して、取り敢えず、上に取り次いでくれるようだ。
流石に、相手国の国王と言えど、入城者の予定表にない者を下っ端門番の一存で通すような勇気はないのか、待たせる失礼に戦々恐々としながら数人の門番が猛ダッシュで帝城の方へ消えていった。
私達は詰所にある待合室のような場所に通される。その時間、実に15分……遅いわ!
他国の官僚をもてなす迎賓館位立てておけ!
そんな苛つきを抱えていると、跳ね橋からドタドタと足音が聞こえ始めた。
???「こちらに魔王陛下御一行が来ていると聞いたが……貴方達が?」
ハジメ「そうだが?それにしては随分と待たせたものだな?
帝国では、国賓をもてなすために、わざわざせまっ苦しい場所に閉じ込めるのが、主流なのか?」
そう言って姿を見せたのは、一際大柄な帝国兵で、周囲の兵士の態度からそれなりの地位にいることが窺える。
が、遠慮なく私は挑発じみたジョークを返した。すると、その帝国兵の顔が一瞬強く歪んだ。
どうにか取り繕ってはいるようだが……苛立っているのがバレバレだぞ?
すると奴は、不敬にもこちらを無遠慮にジロジロと見ては、他のメンバーにも探るような視線を向け始めた。
その過程で、死角の位置にいたシアに気がつくと驚いたように大きく目を見開く。
そして、何が面白いのかニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべ始めた。
いきなり向けられた嫌な視線に、シアが僅かに身じろぐ。
全く、無礼極まりないな……ガハルド、貴様は部下の教育も出来んのか?
帝国兵「確認しました。自分は、第三連隊隊長のグリッド・ハーフ。
既に、魔王陛下御一行が来られたことはリリアーナ姫の耳にも入っており、お部屋でお待ちです。
部下に案内させましょう。……ところで、魔王陛下、その兎人族は?それは奴隷の首輪ではないでしょう?」
ハジメ「私の連れだが?何か文句でもあるのか?
さっきからじろじろ舐めまわすように見たかと思えば……何だ?その態度は?」
そう言って"威圧"を放つと、向こうもこの前の事件が身に染みているのか、たじろいだようだ。
ハジメ「それとも何か?シアが気になっているのは……貴様の部下とやらが返ってこない事か?」
グリッド「なっ!?」
その言葉に、グリッドは驚いていた。当然だろうな、何故それを知っているとでも言いたそうな顔だ。
実を言うと、結構どうでもよかったことだったので、頭の片隅(の端っこ、いわば角っこの埃レベル)にしか記憶していなかったが……ここでつながったとはな。
その言葉に、シアも直ぐに察したようで驚愕に目を見開いていた。
シアにとって直接関わりのあった帝国兵など限られている。
それは、当然、樹海から出たばかりの頃の自分達ハウリア族を散々追い詰めた連中だ。
大勢の家族を殺し、拉致し、奴隷に落とし、そして、シア達を【ライセン大峡谷】へと追いやった敵。
そして不敬にも、私に歯向かってきた愚か者共だ。もう既に、イナバの腹の中だがな。
一応帝国に関する情報も欲しかったので、記憶を読み取っておいたが、どうやら此奴は、かつて樹海から出てきたばかりのシア達を襲った部隊の隊長だったようだ。
シアの脳裏に、嬲るように襲い掛かってくる帝国兵達の表情と、家族が一人また一人と欠けていくというあの時の絶望感がフラッシュバックしたのか、無意識に呻き声を上げ表情を強ばらせながら、一歩、後退りしようとしていたので、その頬をちょいちょいと摘んであげた。
温かな感触を感じたのか、シアもハッとなり、苦笑いする。
そしてユエとミュウが両方の手を握る。そのおかげか、気がだいぶ楽になったようだ。
シアは、苦笑いしながら視線で「もう大丈夫」だと伝える。
いくらトラウマとも言うべき出来事だろうと、今のシアにとっては、既に過去の遺物。
大迷宮の化け物共すら打ち砕く力と気概を持った強者となった彼女に、たかだが帝国の雑魚程度敵う訳ねーだろバーカ。
それを確認した私は、ギュリット?とやらに言い放った。
ハジメ「あぁ、すまないな。どうでもよいことだったのですっかり忘れていたが……そうか。
あの無礼者共は君の部隊だったか、いやはや、道理で礼儀作法がなっていないと思ったよ。
本当にすまないなぁ、遺体さえあればなんとかなったのだが、既に魔物に食われているかもしれないな。」
グリッド「……こ、この糞餓鬼が……!随分と調子に乗ったこと言うじゃねぇか。」
ハジメ「ほぅ!ではそのクソガキとやらが国王になる前に、無礼を働いた君の部下は、さしずめ無能か。
それなら帰ってこないのも無理はないかもしれんな。大方、何人か逸れて迷ったのかもしれないしな。」
三下が剣呑に目を細めながら何かをほざいているが、それを挑発で倍返しにする。
その態度に青筋を浮かべて怒りに表情を歪めつつも、目の前にいるのは相手国の王族。
迂闊に反撃も出来ないだろう。が、そんな事情はどうでもいいのでさっさと終わらせることにした。
ハジメ「さて、そろそろ貴様のくだらない茶番にも飽きたな。黙って通してもらおうか。
散々待たされた故、娘が既に舟を漕ぎ始めているではないか。
こうして時間を作ってやっただけでも、感謝してもらいたいものだなぁ?なぁ、哀れな門番君?」
その言葉に三下の顔が真っ赤に染まる。怒りの余り、眼も血走り始めた。
それでも、連隊長として自制を利かせることは出来るようで、まさか他国の王族御一行に切り掛るわけにはいかないと、黙って背後の控えさせていた部下に視線で案内を促す。
が、血走った目で私を睨んでくるのが鬱陶しいので、強めの"威圧"で黙らせた。
そして、何事もなかったように詰所を後にし、青ざめた表情の案内役に従って巨大な吊り橋を渡っていった。
リリアーナ「それで?陛下達は何故こちらに?」
ハジメ「何、ちょっとした悪戯でもしようかと思ってな。」
帝城の一室に案内された俺達を待ち構えていたリリィからの第一声がそれだった。
まぁ、この前の一件で腹を立ててしまっている筈の俺が、仲間達を引き連れて態々帝城入りしたと聞いたら、そりゃあ驚くよな。
そして、矛先を向けられた俺はと言うと、シアを膝に座らせてウサミミを優しくモフモフしていた。
シアとは反対側の膝に座るユエは正面から両手でシアのほっぺをムニっている。
ミュウもレミアに抱っこされながら、シアのウサミミを優しくモフモフしている。
ふぅ、少しはこれで大丈夫そうかな?
ハジメ「何故シアをモフっているのかはまぁ、道中で不遜な輩にあってね。
今のシアは、ちょっと不安定なんだ。」
リリアーナ「不安定……ですか。それは……。」
リリィも察しがいいのか、その理由について心当たりがあったようだ。なのでその辺を搔い摘んで話した。
正直、あの三下の話なんぞしたくもなかったし、時間の無駄でもあったが、リリィへの説明の為にも話すことにした。
話を聞いて、リリィから心配するような視線を受けたシアは、先程からされていたモフモフとムニムニに表情を緩め始め、俯かせていた顔を上げると「大丈夫」というように笑顔を見せた。
シアの情緒が少し不安定なのは、溢れ出す殺意を抑えているからだ。
無理もないだろう。あの三下はシアの家族を大勢奪った憎き相手だ。
今のシアにとっては過去のトラウマなぞそよ風にも等しい。
そんなシアに残っているのは、強烈な殺意だけだ。
が、ここに来た目的を考えると、早々に殺してしまうわけにはいかなかった。
だから、必死に我慢していたのだ。
そして、それを察した俺達は、シアを甘やかすことで宥めていたのである。
因みに、光輝達にも道中で話しておいたが、皆一様に悲痛そうな表情になり、特に光輝は当然の如く憤り、今話を聞いたリリィは暗い表情で俯いてしまった。
まぁ、リリィとしては、亜人族の奴隷化はこの世界の常識であり容認して来たことなので、自分が憤るのは余りに筋違いだと思ったのだろう。
教会と神、そしてこの世界の真実を知った今、王国では彼等に対する偏見は急速に薄れている。
"亜人とは神に見放された種族"――
その神を名乗る三流詐欺師こそが、真の人類の敵であるのに、同じ人族を差別してしまっていたことに、一種の罪悪感を抱いてしまった者も少なくはなかった。
とはいえ、差別してきた過去が清算されるわけではない。だがそれでも、未来に針を進めることはできる。
現に、自分に何かを言う資格はないと判断したリリィにも、「大丈夫ですよぉ~」とシアはいつもの笑顔を振りまいているのだから。
そんなシアを眩しげに見つめながら、リリィは俺に話の続きを促した。
リリアーナ「それで、なぜこちらに来たのですか?
もうそろそろ、ガハルド陛下から謁見の呼び出しがかかるはずです。
口裏を合わせる為にも無理を言って先に会う時間を作ってもらったのですから、最低限のことは教えてもらいたいのですが……。」
ハジメ「まぁ、そう慌てないでよ。夜になれば全部わかる。
俺達のことは……リリィの婚約祝いとでも言ってくれればいいさ。
それならガハルドだって何も口出しはできんだろう。」
リリアーナ「そ、そんな適当な……夜になればわかるって、まさか、また仮面でも着けて暴れる気ですか?
わかっているのですよ!雫達に恥ずかしい格好をさせたのはハジメさんだって!」
ハジメ「あれはゲリラ戦法だから上手くいっただけで、二回目は流石にないよ。
それに、これ以上雫に黒歴史量産させるわけにもいかないし。」
そう言って、「恥ずかしい格好……」と呟きながら自らの黒歴史にどんよりする雫を見る。
うぅむ……流石に無理をさせ過ぎたか。まぁ、取り敢えず雫のケアもミュウにお願いしておいて……
問題はこの後、ガハルドとの対面だな。リリィも必要なら口裏合わせも協力もしてくれるそうだが……
14で国の舵取りをしている以上、重圧は相当だろう。これ以上、リリィには苦労はかけられない。
思えば、リリィは最初から俺達を"神の使徒"ではなく、この世界の事情に巻き込んでしまったと、出来る最大限で心を砕いてくれていた。
それだけでも、戸惑いの中にいた居残り組の皆も息が詰まらなくなっただろう。
そういうわけで、こちらの用事は自分達で何とかするから、とリリィを説得した。
それに現在、オーマジオウ状態で分身達を使い、帝城のトラップ全てを片っ端から半分解除の状態にして言っているので、もう既に一つは片付きかけてはいるのだ。
後はアナザーウォッチの強奪、既に秘密兵器は出動済みだ。
そして、リリィから、ある程度、帝国側との協議内容について聞いたところで部屋の扉がノックされた。
どうやら時間切れらしい。案内役に従って、俺達はガハルドが待つ応接室に向かうことになった。
そして道中にて、念のための保険をかけておくことにした。
第一皇子とやらが、強硬手段に及ばんとも限らん。そのための隠密機能も備え付けてある。
それに、万が一には奥の手も残してあるのでな。さて、化かし合いに赴くとするか。
通された部屋は、30人くらいは座れる縦長のテーブルが置かれた、ほとんど装飾のない簡素な部屋だった。
そのテーブルの上座の位置に、頬杖をついて不敵な笑みを浮かべるガハルドがいた。
その背後には二人、見るからに"できる"とわかる研ぎ澄まされた空気を纏った男達が控えている。
そして、部屋の中に姿は見えないが、壁の裏に更に2人、天井裏に4人、そして閉まった扉の外に音もなく2人か……ガハルドの背後に控える男二人程ではないが相当の手練のようだが……気配遮断がなってないな。
ウチの部下でさえ、この程度2秒で見抜けるぞ?
たとえ包囲された状態だろうと、この程度なら容易に反撃は可能だ。
ガハルド「この度は態々ご足労頂き、誠にありがたい。南雲殿?」
ハジメ「気色の悪い言い方は止めろ。この前も言ったであろう、普通にしろ、と。」
ガハルド「くくっ、それもそうだな。」
そう言いながら、互いに対峙する。互いに眼は笑ってはいない。俺は仮面被っているので見えないが。
そしてガハルドは当然のように、雫に目を向けニヤリと楽しげな笑みを浮かべた。
ガハルド「雫、そろそろ俺の妻になる決心は付いたか?」
ハジメ「体面上とはいえ人の部下をナンパするな、戯け。」
そんなガハルドに嘆息しながら、雫は澄まし顔をして答える。
雫「再三申し上げておりますが、陛下の申し出はお断りさせて頂きます。
私にも、帰るべき場所があるので。」
ガハルド「相変わらずつれないな。だが、そうでなくてはな。」
雫「抑々……皇后様はよろしいのですか?」
ガハルド「それがどうした?側室では不満か?ふむ、正妻にするとなると色々面倒が……。」
雫「そういう意味ではありません!皇后様がいるのに他の女に手を出すとか……。」
ガハルド「何を言っている?俺は皇帝だぞ?側室の10や20、いて当たり前だろう。」
ハジメ「……それ以前の問題だと何故気付かん。」
ガハルド「あ?」
ハジメ「うん?」
正直、長ったらしい口説きトークになりそうだったのが面倒だったので、勢い良くぶった切ったら、何故かガハルドに睨まれた。
俺、何かしちゃったっけ?大体、嫌がっている相手を何度口説いても無駄無駄無駄ァってわからないのかな?
そんなことを考えていると、何故か雫が俺を盾にするように後ろに隠れた。何でさ。
光輝には、雫がどっちを選ぶかは雫に決めてもらうって言っておいたが……これ、揉めないよね?
一応、聖剣の女神様が具現化できるよう、シモンおじいちゃんを通じて建てた新興協会で奉って、クズ野郎から奪った信仰心を使ってはいるけど……全くその素振りが見えない。
ただ、光輝曰く「時々黒髪の女性が夢に出てきて、抱きしめられたことがある」らしい……。
おめでとう、光輝。お前、女神様に好かれてんだよ。天職勇者で良かったな、一緒に墓場に潜ろうぜ!
ガハルド「……まぁ、神による帰還が叶わない以上、まだまだこの世界にいるのだろうし、時間をかけて口説かせてもらうとしようか。
クク、覚悟しろよ、雫。」
と、俺が考え事をしていると、ガハルドがまた何かほざきだした。
なので、この際気になったことを聞くことにした。
ハジメ「なぁ、ガハルド。この部屋の周りにいる者達にも出てきてもらえないか?
先程から視線が鬱陶しいので、不審者として焼き払ってしまおうかと思っているのだが……良いか?」
ガハルド「言い分けねぇだろ!?クソッ、何となく気づかれてはいると思ったが、無茶苦茶すぎるだろうが!
おい、お前ら!このままだとコイツに焼き殺されかねんぞ!早く出て来い!」
ガハルドの号令で、部屋の周りに潜んでいた奴の部下が、ガハルドの周りに整列した。
正直、3数える間に出てこなかったら、
ガハルド「そういえば、南雲ハジメ。お前には聞きたいことが山ほどあるが……。」
ハジメ「雫は抱いてないが?貴様の聞きたいことはこれくらいで十分だろう?」
ガハルド「いや、そっちも重要だが……なら、雫のことはどう思っている?」
ハジメ「貴様にこたえる義理もないな。他にはないのか?」
ガハルド「チッ、相変わらず愛想のねぇガキだ。」
ハジメ「そのガキにボコボコにされた貴様が言うか。」
ガハルド「あ?」
ハジメ「お?」
雫「はいはい、二人とも抑えてください!ハジメ君、貴方も無暗に挑発しないで!」
……チッ、雫が抑えていなかったら、漢女送りにしてやったのに……まぁ、いいか。
ガハルド「ハァ……まぁ、いい。雫、うっかり惚れたりするなよ?お前は俺のものなのだからな。」
雫「だから、陛下のものではありませんし、ハジメ君に惚れるとかありませんから!
いい加減、この話題から離れて下さい!」
ガハルド「わかった、わかった。そうムキになるな。過剰な否定は肯定と取られるぞ?」
雫「ぬっぐぅ……。」
ハジメ『なぁ、光輝。こいつ、王都に来た時もこんな感じだったのか?
自意識過剰系俺様キャラは、あんまり好かれないのに……これでよく20人も落とせたなって思わない?』
光輝『いや、俺に聞かれても……じゃあハジメは何人落とすつもりなんだ?』
ハジメ『人数以前に、これ以上増やすつもりはねぇよ。
お前こそ、無自覚の内に何人か落としているんじゃないのか?』
光輝『ハジメにだけは言われたくない。』
雫『どっちもどっちでしょうが、このお馬鹿。』
念話でコントじみた会話をしていると、今度はガハルドがこっちに意識を向けた。
ガハルド「南雲ハジメ。お前も、雫に手を出すなよ?」
ハジメ「私は相手の気持ちを尊重するだけだ。そこに貴様の事情など知らん。無駄話はもうよいか?」
ガハルド「無駄話とは心外だな。新たな側室……あるいは皇后が誕生するかもしれない話だぞ?
帝国の未来に関わるというのに……まぁ、話したかったのは確かに雫のことではない。
わかっているだろう?お前の異常性についてだ。」
?何を言っているんだこ奴は?
ハジメ「今更過ぎるとは思わんかね?私は代理とはいえ、既に王位についている。
その恩恵を受けられる以上、そこに詮索は不要だろう?」
ガハルド「お前が大迷宮攻略者で、その大迷宮創造者と共に、そこで得た力を使って旅をしていた、ということについても、か?」
成程……狙いはミレディ達の知識について、か。
ハジメ「それで貴様に何か不利なことでも?
私はこの通り、仲間達と共に試練を乗り越え、こうして攻略を認められて、力を授かった。」
ミレディ「ミレディさんは迷宮ごと壊されちゃったけどね!」
ハジメ「ミレディ、そのことについては本当に申し訳なかったと思っている。
だから……そろそろ許してくれないか?」
というか、カッコよく決めていたところに、過去のネタ弄りはやめてほしい。
ガハルド「なら、そのアーティファクトを帝国に供与する意思はない、というのは真か?」
ハジメ「さぁな?その時の状況にもよる。まぁ、関係強化の際には何かしら記念に贈ってはやるさ。」
ガハルド「ほぅ!それは楽しみだ!」
どの口が言ってやがる。そんなに楽しみなら、ロマンたっぷりにしてやるよ!
こいつに贈るアーティファクトには絶対自爆機能をつけてやる、そう思った俺であった。
ガハルド「それにしても、お前が侍らしている女達もとんでもないな。おい、どこで見つけてきた?
こんな女共がいるとわかってりゃあ、俺が直接口説きに行ったってぇのに……
一人ぐらい寄越せよ、南雲ハジメ。」
ハジメ「殺すぞ?」
ガハルド「オイ!?冗談だっての!だからマジの殺気放つの止めろ!」
だったら言うな、この阿保。
ガハルド「ハァ…ったく、面倒この上ねぇ。
ところで、ハウリアの使っていたアーティファクトに、一体何をした?」
と、先程まで覇気を纏いつつもどこかふざけた雰囲気を含ませていたガハルドが、抜き身の刃のような鋭さを放ち、最大の疑問に切り込んできた。
が、それに動じることもなく、あっさり答えてやった。
ハジメ「血液認証だが?貴様等がいくら弄ろうとも使えんようになっているのでな。残念だったな?」
ガハルド「……そうかい。まぁ、そっちはいずれものにしてみせるさ。」
ガハルドがガリガリと頭を掻きながら悪態をつく。
しかし、その表情にはやはり何処か楽しげな表情が浮かんでいる。
自分に抗う相手というのが実に好みらしい。……少し変態っぽいと思ってしまったのは秘密だ。
そこで時間が来たのか、背後に控えていた男の一人が、そっとガハルドに耳打ちすると、ガハルドは一頷きし、おもむろに席を立った。
ガハルド「まぁ、最低限、聞きたいことは聞けた……というより分かったからよしとしよう。
ああ、そうだ。今夜、リリアーナ姫の歓迎パーティーを開く。是非、出席してくれ。
姫と息子の婚約パーティーも兼ねているからな。」
ハジメ「元よりそのつもりだ。遠慮なく楽しませてもらおうか、なぁ、ガハルド殿?」
互いに不敵な笑みを浮かべる。それは正に「勝つのは自分だ」という王者の絶対的自信であった。
と、その時、ドゴンッと轟音が響き、応接室の扉が吹き飛んだ。そして、
???「おーーほっほっほっほっほ!わたくし参上ですわ!
あの身を討ち震わせるような覇気を持つ御方はこちらにいらっしゃるのですね!?」
金髪縦ロールのゴージャス系美女が飛び込んできた。
どうやら、ただの会談では終わらなさそうだ。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
ガリット君には漢女ルートも考えてはいたんですが……
ここはシアがフィニッシュ決めた方がいいと思ったので譲りました。
そして知らない間に話が進んで困惑するリリィ……おいたわしや、姫様。
とはいえ、原作よりは優しい対応なので、胃痛はマシになっている……筈。
ガハルドとの対談は通常運転です。だって今更なんだもの。
途中、松平のとっつぁんが出てきたのはご愛敬。だって魔王ですから。
さて、今回最後に出てきたのは、一体どこの戦闘狂皇女なんでしょうかねぇ?将来の夢はメイドさんかな?
それでは、次回もお楽しみに!
次回予告
ハウリア達の手助けと私的な嫌がらせの為、帝城に乗り込んだハジメ達。
その途中、ガハルドとの対談を終えた直後、突如乱入してきた人物によって、更なる波乱が巻き起こる!
そして、婚約準備を進めるリリアーナに、帝国の毒牙が襲い掛かろうとしていた。
果たして、彼女の運命は!?そして、ハジメの策とは!?
次回、「Rの思い/皇女の乱入」
目撃せよ、歴史の始まり!
ハジメ「フルスロットルで、行くぜ!」
もしも、ハジメさんが召喚するとしたら、どのサーヴァント?
-
勿論我妻、モルガン陛下
-
本家後輩、マシュ
-
正義の味方同士、エミヤ
-
魔王と賢王、ギルガメッシュ
-
勝ち確の死神、山の翁
-
影の国の槍姫、スカサハ
-
最強の母、ティアマト
-
建築と錬成師、トラロック
-
武器庫の獣、コヤンスカヤ
-
どう見ても嫌な予感、LA
-
ヒーロータイム、シャルル
-
かつての推し、魔人さん
-
時空と戦国の魔王ズ、ノッブ
-
出来る良妻賢母、キャス狐
-
恋する剣豪、武蔵ちゃん
-
騎士道か覇道か、アーサー
-
中国産AI皇帝、即ち朕
-
恋愛クソザコ、カーマちゃん
-
え⁉未実装⁉オルガマリー
-
その他(活動報告4にコメントを)