インフィニット・ストラトス〜十の秋、黒の弾丸〜(凍結)   作:とりマヨつくね

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裏の世界を暗躍していると、こんなことはあるよね。
今回のお話は、世間は狭いねを実現させたようなお話です。
どうぞお楽しみください。


予期せぬ再会

「トム! トムですのね!?」

 

 今さっき上空から降りてきた金髪の少女、セシリアから発せられた名前に、十秋は固まった。

 一応確認するが、彼の名前は織斑十秋、そして彼は正真正銘の日本人である。

 だからトムなんていう、どこにでもいそうな外国人ではない。

 では何故、十秋は固まっているかというと、その名前にすごく身に覚えがあったからだ。

 十秋は、精一杯の笑顔をセシリアに向ける。

 

「だ、誰ことを言っているんだ? 俺はおり……黒神十秋だ。君の言う東洋系の顔立ちした専属執事のことは知らないよ。そ、それじゃ、僕は生徒会の仕事があるのでここで。何かあるのなら、楯無会長もしくは虚会計を通して私に連絡を〜〜〜〜!!」

 

 もう一人称がめちゃくちゃになり、もうほぼ答えを言っているようものを口にしながらも、彼は一目散にその場を離れたのであった。

 それから十数分ほど経ったところで、十秋は足を止めた。

 

「なんてこった! よりにもよってあの子に会うなんて……」

 

 トム……トム・ブラウソン。

 今から三年前、イギリスのテロ組織を潰すために数ヶ月に渡って使っていた偽名だ。

 その間、彼は表向きには名家のお嬢様の専属執事をしていた。

 で、そのお嬢様こそが、今目の前にいるセシリア・オルコットなのだ。

 組織壊滅後、束に頼んで十秋関連の記憶を消去してもらう予定だったが、彼女の中の彼の印象が強すぎて消去できないことが判明してしまったのである。

 当時は失踪という形で、なんとか幕を閉じた。

 まさかこんなところで、再開するとは予想外だった。

 だが、もう起こってしまったのだから、そこを文句を言ったて仕方がない。

 今重要なのは、出来るだけ一夏に事情を知られないことだ。 

 

「さて……どうしたものか」

 

 嘘を貫き通すためには、無論嘘をつき続けるしかない。

 だからっと言って、全部を嘘にすると今度は信じてもらえない。

 ここがポイントだ。どこで嘘を言って、どこで本当のことを混ぜるのか。

 その調合をミスると、整合性が取れなくなり、全ては瓦解する。

 十秋は目を閉じて、辻褄があうようなストーリーを考える。

 

 ぽくぽくチーン

 

「あ、そうだ」

 

 十秋は、早速閃いたものを胸ポケットにしまっていたメモに書いた。

 

                ◇

 

 その日の夜、セシリアに呼び出しを受け、指定された場所に向かっていた。

 まさかこんなにもすぐに呼び出されるとは思わなかった。

 正直、足取りが重い。

 そうこうしているうちに、待ち合わせの場所に到着する。

 そこには街灯の光によって、特徴的なホワイトブロンドの長髪を美しく輝かせるセシリアが立っていた。

 その姿は三年前よりも、更に美しさを増していた。

 

「来ましたわね」

 

 どうやら十秋の存在に気づいていたようで、体を十秋の方へと向ける。

 そして十秋の側まで来ると告げた。 

 

「単刀直入に聞きます。あなたは本当にトムではありませんの」

 

 そう聞いてくるセシリアの瞳は、すごく真っ直ぐだった。

 十秋は軽く息を吐くと、

 

「お、お久しぶりでございます……セシリアお嬢様。確かにトムで御座います」

 

 と返答した。

 十秋の言葉を聞いたセシリアは、ぱあと明るい表情を浮かべる。

 

「やっぱり! やっと逢えました……トム! ずっと探しておりましたのよ。一体どこで何をしてらしたの」

 

 グイグイと迫ってくるセシリアに、どうしたものかと十秋は頰をかく。

 

「これには深いわけがありまして……今からそれをお話しさせて頂きます」

 

 そう前置きを置くと、昼間に考えていたカバーストーリーを話し始める。

 まあ、わかりやすく言葉を並べるのなら。

 

 ⓵当時、一身上の問題で偽名を使っていたこと

 

 ⓶自分の正体が気取られないように、知り合いの伝手があったため、セシリアの専属執事になったこと 

 

 ⓷問題が急遽解決してすぐに日本に戻ったため、まるで失踪のような形になってしまったこと

 

 主にこういった旨のことを話した。

 それを聞いたセシリアは、軽く顔を曇らせる。

 

「そう、そのようなことが……大変でしたのね」

 

「あの時は、別れを言えず申し訳ございません」

 

「いいのですのよ。またこうして出会えたのですから」

 

 セシリアは再会の余韻に浸るように言った。

 

「それと、これからはタメ口で構いませんわ。これからは先輩後輩の関係なのですから」

 

「……そうか。それじゃ改めて自己紹介を。黒神十秋、IS学園二年生で一応生徒会副会長もやらせてもらってる。よろしくな」

 

「ええ、こちらこそ」

 

 セシリアは、十秋の差し伸べられた手を取る。

 数秒ほど経ったところで、そっと手を離して言った。

 

「それでは参りましょうか」

 

「ん? どこに?」

 

「実は今夜、クラス代表の決定祝いのパーティーをする予定でして、良かったらご一緒しませんか」

 

「へえ〜、お言葉に甘えて参加させてもらうよ。連れて行ってくれよ」

 

「はい! お任せを」

 

 セシリアが元気一杯に返事をすると、二人はパーティー会場(仮)に向かうのだった。

 その後、一夏を含めた一年一組の生徒達に質問責めを食らうことになるのだが……まあ、どうでもいいことにしようそうしよう。

 

 

 




なんてこった。
セシリアが楯無よりヒロインポイントを稼いでる気がする。
楯無、早くしないと手遅れになるぞ!
そんなわけで次回もお楽しみに。
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