インフィニット・ストラトス〜十の秋、黒の弾丸〜(凍結) 作:とりマヨつくね
いつも応援ありがとうございます。
これからも精進していこうと思います。
作戦開始まで残り三十分。
「ところでさ、俺らこんなのんびりしてていいのか?」
作戦本部として機能する天幕内で、十秋は対面に座っている楯無に問いかける。
すると楯無は、目をキョトンとさせる。
「なんで?」
「いや、だってさ。あと三十分で作戦が始まるんだろ? そろそろ機体の調整とかしなくていいのかなって……」
「ああ、そのことなら大丈夫。元々、ISの出番はない予定だったから。あ、でも一応ISの準備をしておいてね」
「はあ、まあなんでもいいけど、うぇっぷ……また吐き気が」
十秋は再び上昇してきた物体が漏れ出さないように、急いで口元を抑える。
「キラキラは先に出しときなさいよ。もちろん外でね」
青ざめた表情を浮かべた十秋に対して、楯無が扇子を広げながら言った。
「お、おう。体調を整えがてら、機体の調整をしてくる〜」
十秋はノロノロと天幕を出た。
◇
作戦開始まで残り十分、更識の特殊部隊の隊員達は現場に赴いているだろう。
そんな中、十秋は宣言通り機体の最終調整を行なっていた。
すると突如、首筋にヒンヤリとした物が当たった。
「あびゃ!」
十秋は不意に襲ってきた感覚に、調整を間違ってしまいそうになる。
脳が落ち着いた所で、恐る恐る後ろを振り向く。
そこにいたのは、片手にスポーツドリンクを持った虚が立っていた。
「飲み物を持ってきたつもりなんだけど、驚かせてすいませんね」
そう言って、虚はスポーツドリンクを差し出す。
「え、え〜と、ありがとうございます?」
十秋は困惑しながら、差し出されたドリンクを受け取る。
「はい、如何いたしまして。機体の調整はどうですか」
「もう少ししたら、機体本体の調整は終わりますよ」
「そうですか。その様子なら、私も安心してお嬢様を任せられます」
虚はふふふとお淑やかに笑う。
「その言い方だと……俺と楯無が結婚するみたいだな」
「それもありかもしれませんね。今度、お嬢様にご相談させていただきますね」
「あれ、おかしいな。冗談で言ったはずなのに……真面目に受け取られているですけど」
「あら? 冗談だったのですか。もし本当に十秋さんが婿に来てくれれば、更識も安定なのですが。お嬢様も顔も見たこともない御曹司より、あなたと結婚したいと思うんですよね〜〜」
「すいません。あまりそういう生々しい話はやめてくれません?
「あ、はい、ごめんなさい。あなたには関係は……あるのかな? でも、今言うべきではありませんでしたね」
虚は深々と頭を下げて、十秋は思わず困惑してしまう。
「頭を上げてください。俺は別に気にしてないし、男性のISパイロットも十分に理解している。それに名家の出の役割みたいなのは、散々見てきたつもりだからな……」
十秋はキャップを開けて、スポーツドリンクをゴクゴクと飲む。
空になったペットボトルを、簡易ゴミ箱に放り投げた。
「それにしても、なんで虚さんが楯無のことをそこまで心配するんだよ」
「私の家は昔から更識家に仕えている家なんです。小さい頃からそう呼んでいるため、無意識のうちに口にしてしまうんです。当の本人は不満のようでしたけど……」
「それが建前ですか?」
十秋は悪戯っぽく言うと、虚は一瞬目を丸くしたあとに苦笑を浮かべる。
「まったく……あなたも悪い人ですね」
「さあ、何のことやら。少なくとも親友のために、お節介をかく人に言われたくないですね〜〜。さて、あとは実働部隊の方々が、無事に制圧してくれるまで待つとしますか」
十秋は白を切りながら、ホロウィンドウを消したあと軽く寝そべった。
「お嬢様も気まぐれな方ですが、貴方も大概ですよ」
「何とでも言いなさいな。俺には関係のーー」
ないことだ、そう言おうとした瞬間。
地震が割れるような衝撃が辺りに響いた。
今回は少しだれてしまったかもしれません。
次回は久々の戦闘なので楽しみにしてください。