インフィニット・ストラトス〜十の秋、黒の弾丸〜(凍結) 作:とりマヨつくね
今回から十秋が原作通り……と言うか一夏の話に干渉していきます。
横浜での大戦闘から数日が経過した。
<タイラント>を撃破した後、十秋は速攻で更識家のお抱えの主治医に治療を受けることとなった。
あれほどの大怪我をしたのに、ナノマシン治療などを受けて寝れば、この通り元の学園生活が行えるのだからびっくりである。
まあ、外泊届けを出していなかったせいで、千冬姉ちゃんの出席簿インパクトと大量の宿題のダブルパンチを食らうことになったのだが……解せぬ。
ちなみに<タイラント>関連の情報は、楯無や虚を中心に徹底的な情報統制で表沙汰になっていない。
その詳しいやり方に関しては楯無に、「それ以上、踏み込まないほうがいいわよ」と目が笑っていない笑顔を向けてきたので、言われた通り聞かないことにした。
……うん、いつも一緒に学園生活を送っていたので感じなかったが、やっぱり楯無も裏の人間だわ。
そんなことを考えながら通学路を歩いていると、不意にキュるるるると腹が鳴った。
「そういえば宿題を終わらせるのに必死だったから、昨日の昼飯から何も食ってないんだよな」
そう、十秋はぼやきながら周囲を見渡してみる。
約右斜め六十度ぐらい首を動かしたところで、まるで示しを合わせたかのようにコンビニがあった。
「あそこで朝食でも買うか」
十秋は店内に入り、おにぎりやサンドウィッチなどを物色する。
悩み悩んだ末、十秋はようやく決めた。
「やっぱりコイツかな」
彼がその手に持っていたのは、酢豚パン。
一言で言うなら、焼きそばパンの酢豚バージョンである。
少し食べずらいが、味と食感は素晴らしいので十秋は好んで食していた。
十秋はレジで酢豚パンを購入して店内を出ると、早速包装を解いた。
「ああ……十二時間ぶりのまともな食事だ。いただきます」
そして酢豚パンを口に頬張ろうとした時、
「一夏〜〜〜〜!」
と弟の名を呼ぶ少女の声が聞こえ、酢豚パンを口元まで運んでいた手を止めた。
声がした方へと視線を向けようしたところで、腹部に鉄球の飛んできたかのような強烈な衝撃と共に
「ゴフッ!?」
十秋は飛んできたナニカと一緒にゴロゴロと転がり、最終的には仰向けの状態で空を仰いだ。
「一体……ナニガ……?」
十秋は体を起こそうとするが、痛みと重みで動かせない。
代わりに、十秋は視線を下ろして状況を確認する。
そして視界に映ったものに十秋は思わず、「は?」と声を漏らしてしまった。
そこにいたのは少女だった。
状況が理解できないって? 安心しろ、人生が長くてもこんな経験は奇跡中の奇跡なのだから。
「アイタタ……ちょっと! ちゃんと受け身ぐらいは取りなさいわよ」
少女は体をムクリと起こすと、開口一番にそう言った。
それも十秋に馬乗りになる状態で。
まるで意味がわからない、ぶつかってきたのはそっちだろ、など様々な感情が渦巻くがそれよりも言わなければいけないことがあった。
「あの……お主は誰だ?」
こう言っては何だが、十秋は生まれてこのかたあまり人との付き合いは多くない。
最近になって一夏や箒、そして楯無と交流を増えたぐらいで、それ以前の付き合いはセシリアと束ぐらいだ。
なのでまず見知った仲なら絶対に忘れない……それが美少女なら尚更だ。
だが本当に会ったことがないはずなのだが。
十秋の何気ない質問に少女は一瞬きょとんとしていた。
「何ですって! まさか、私のこと忘れたって言うの!?」
少女は彼の胸ぐらを掴み、怒涛の勢いで言霊をぶつけてくる。
十秋は混乱する思考を巡らせ、出来るだけ少女を刺激しないように言葉を紡ぐ。
「でも俺、本当に覚えてなくて……ていうか会ったことがないと思うんだ」
数秒後、言葉の意味を理解した少女は目の端に涙を溜め、
「ひ、ひどい……」
と、少女は顔を覆いながら言った。
それに対して、十秋は慌てて対応する。
「わ、わわ! ご、ごめん。でも本当に……」
もう言葉が出てこなかった。
これ以上、何かを言ったら彼女のことをより傷つけてしまう。
「じゃあ、あの約束も?」
「約束?」
十秋は妙な違和感を感じた。
「やっぱり……それも」
一方の少女は泣き止み、どこか寂しげな表情を浮かべる。
十秋は、そこで自分と少女の間に
この過程に至るまでのことを思い返し、そして辿り着く。
「ちょっと待て。お前、一夏の知り合いか?」
「え?」
すいません、設定は明日出します