インフィニット・ストラトス〜十の秋、黒の弾丸〜(凍結) 作:とりマヨつくね
楽しみにしていた人は本当に申し訳ないと思っています。
ですが、今回もそして次回も面白くする予定です。
それでは本編へ。
あっという間に一週間が過ぎ、決闘当日。
十秋は格納庫でひっそりと自らの愛機、『黒影』の最終点検をしていた。
「ふう、こんなものかな」
この黒影は、IS開発者である篠ノ之束のオーダーメイド機なのだが、それはあまり表向きに出せることではない。
そのための解決法というのは、まあ、正に『天災』と言える方法だった。
なんと会社を立てたのだ。
エボルラビット社……通称・ER社。そこで開発された試作第三世代機というカバーストーリーを打ち立てられたのだ。
偽装にそこまでするか、と十秋は思ったがもう彼女にツッコミを入れても無意味だと勝手に完結させた。
「さて……次は」
十秋は近くに置いていたタブレットを拾うと、そこに映っていたデータに目を通す。
見ているのはもちろん、対戦相手の更識のものだ。
どんな時代でも、情報を制するものは戦いを制するのである。
「機体名、ミステリアス・レイディ。主武装はランス型の複合兵装の蒼流旋と、ナノマシンで制御可能な水か。ランスはともかく、こっちの水の方は汎用性がありそうでめんどくさいな……となると武器構成はこれとあれとそれとーー」
ブツブツと呟きながら、武器の方を調整し始めようとしたところで、首筋に冷たいものが当たる感覚がやってきた。
「おーい、十秋!」
「おお、一夏! 応援しに来てくれたのか」
「おう、まあ、そんなところだ」
「それでーーーー」
十秋は視線を一夏の隣に移す。
「君が篠ノ之箒さんでいいんだよな? 初めまして、一夏のルームメイトの黒神十秋だ。よろしく」
「はい、初めまして。
うん。よく知っている。
君のお姉さんには、大変お世話になっていますし、大変迷惑も被っております。
それしても束さんに聞いていたより、全体的な雰囲気は落ち着いているように見える。
「それと敬語で話さなくても良いですよ。あなたが先輩なんですから」
「じゃあ、俺にも敬語はいらないよ。一夏と接しているみたいにしてくれるとこっちとしても接しやすい」
「そ、そうか。では改めてこれからよろしく頼む」
そう言って箒は十秋は握手を求める。
十秋も「こちらこそよろしく」と言いながら、差し伸べられた手を握る。
「これがお前の専用機ってやつか?」
十秋と箒の自己紹介を終えたところで、一夏が黒影に指差しながら聞いた。
「俺の専用機、黒影だ。かっこいいだろ?」
「ああ! こういうの見ると、やっぱり俺も専用機が欲しいな〜」
「何を言っているんだお前は。専用機に乗る前に基礎を身につけてからだろう」
「ええ〜それじゃなんで十秋は貰えるんだよ」
「俺がIS適性が判明してからすぐに、コイツを作った会社からオファーが出たんだよ。この二ヶ月はコイツのテストと操作をしてた。んで、コイツのデータを送る代わりに俺の専用機してもらえたってわけ」
ま、これ八割は嘘なんだけどね。
束から聞いた話だが、今作っている機体に必要なデータはだいたい集まったみたいだし。
ああ、そのデータを集めるために何度死にかけたことか……束のことだから問題ないと思うが大した機体じゃなかったらマジで殴りかねない。
「へえ〜そうなのか。俺にも来るかな」
十秋の言葉を素直に信じた一夏がそんなことを言っている。
「そのためには箒が言った通り基礎を固めないとな。なんなら俺が教えてやろうか?」
「本当か! それはありがてぇ!」
十秋の提案に、一夏は目をキラキラと光らせながら首を縦に振る。
そこで箒が、妙にモジモジとしているのが視界に入った。
その表情は、まるで恋する乙女のようなーーーーーーーー。
そこで十秋はあることに気づき、妙にニヤニヤしながら顎に手を置きながら、
「と言っても、俺にも都合があるからいつでもは無理だけどな〜〜〜〜。困ったな〜〜〜〜。こういうのは持続的な訓練が必要だからな。どこかに一夏と親しくて教えてくれる女の子はいねえかな〜〜」
とチラチラと箒の方を見やりながら、わざとらしく言う。
流石に箒も気づいたようで、
「そ、それなら私も手伝うぞ」
箒も便乗して、一夏の講師役に立候補する。
「おお、お前も手伝ってくれるのか」
一夏は興奮したように、箒の手を取る。
「ふ、ふん、これはあくまで私のためだ。誰かに教えることは復習にいいと聞くからな」
(何故だ! もっと踏み込めよ。どうせなら「お前だからやってやるのだ」ぐらい言ってしまえ。ここでツンは要らねえんだよ! ここはデレだろうが! って俺は何を考えているんだよ!)
十秋は、心の中で暴れかけている恋のキューピットを抑える。
そんなことつゆ知らず、一夏は首を横に振ると、
「それでも、礼を言わせてくれ。ありがとうな」
改めて面と向かって箒に礼を言う。
「そ、そうか……」
一夏に笑顔を向けられ、箒は顔を真っ赤にして俯いた。
(クソッ、焦れったいな。少しちょっかいをーーーー)
良からぬことを考えかけたところで、ピンポンパンポーンとお馴染みのアナウンス音が聞こえる。
『ただいまより、更識楯無と黒神十秋の模擬戦を開始します。両者、準備が整い次第アリーナに出てください』
十秋のことを呼ぶアナウンサーの声が聞こえる。
「俺たち、そろそろ行くぜ。試合、絶対勝てよ」
「私も影ながら応援させてもらう」
「ああ、二人ともありがとう。勝てるかどうかは知らないけど、全力は尽くすよ。それと箒さん」
十秋は箒に近づくと、
(君の恋が叶うことを応援しているよ)
と、耳元で囁いた。
「なっ!? ちょっ、おい!! 待てーー」
「箒、これ以上いたら迷惑だろ。早く行こうぜ」
「え? ああ、そうだな。十秋、あとで話したいことがあるから試合が終わったら私のところに来い!」
そう捨て台詞を残して、箒は一夏のあとを追う。
「そうだな〜覚えていたら行くよ」
十秋は箒の言葉を適当にあしらうかのように、手を振る。
二人が整備室を出て行くのを確認した十秋は、制服を脱いでその下に着ていた男用のISスーツがあらわになる。
黒影の元まで歩み寄ると、それと連動するように機体の装甲が展開し搭乗可能状態になる。
そのまま黒影に乗り込むと、展開した装甲が戻るようにして彼の身に纏っていく。
「さて、弟にも義妹候補にも応援されたからには、負けることは許されないな」
最後に彼は微笑んだところで、頭部の装甲が彼の顔を覆った。
「織斑十秋、黒影でるぜ!」
十秋はカスタム・ウィングのスラスターを吹かして、勢いよくアリーナーに出たのであった。
はい、次回は必ず戦わせますのでしばらくお待ちください。
あともう眠いので、ここで終わらせます。
それではまた次回。