インフィニット・ストラトス〜十の秋、黒の弾丸〜(凍結) 作:とりマヨつくね
もう少しでお気に入り50人超えそうで、皆さんいつもありがとうございます。
それでは本編へ。
唐突だが、織斑十秋の朝は早い。
朝六時頃に起床し、一時間のランニングを行う。
そして今日も、スポーツウェアに着替えて寮の外に出たところで。
「え?」
外で待ち構えていた人間に対して、思わず声が出てしまった。
「来たか。早朝にランニングしているとは聞いていたが、殊勝なことだ」
そこにいたのは一夏の担任にして姉……そして十秋の姉でもある織斑千冬がいた。
「ちー、じゃなくて織斑先生……世界最強がどうしてここに」
「いやなに、少し聞きたいことがあってな。単刀直入で言わせてもらう。お前のバックに束がいるな?」
「……なんで俺が束さんと関わっていることがわかったんだ?」
「理由は主に二つだ」
千冬は指を二本立てながら言葉を続ける。
「まず一つ目は、お前が更識楯無と戦った時だ。あの時のお前の動きが明らかに熟練者のそれだ。それも実戦クラスの戦闘を行ったことがあるレベルものだ」
「けど、それだと亡国機業とか、どこかの国の秘匿された国家代表かもしれないだろ?」
「そこで二つ目だ。まあ、これがいちばんの理由だが、あれだけの機体を作り上げることができるのは私の知る限り一人しかいない。束だ」
そう、理路整然と話す千冬。
もう隠せないことが確定した十秋は、ふっと小さく息を吐いた。
そして言葉を紡ぐ。
「ええ、そうです。俺は束さんに機体の提供など色々よくしてもらってるよ」
「では、お前は何者だ? アイツがお前のことを気に入っているということは、裏に何かを隠しているのだろう」
「……今は言えない。けど一つ言えるだけことがある。俺はあんたとそして一夏の仲間だ。それだけは絶対不変の事実だ」
十秋がそう言い切ると、千冬はジッとその瞳を見る。
見定められている……自分が信用に足る人間なのかを。
しばらく静寂がその場を支配した後、千冬はゆっくりと瞼を閉じて言った。
「事情はどうあれ、お前が敵ではないことは分かった。邪魔して悪かったな」
「いえいえ、重要な話だったんで問題ないっすよ。それでは」
そう言って、千冬の横を通り過ぎようとした時。
「……一夏のことを頼んだぞ」
と至近距離でないと聞こえないぐらいの声量で、十秋の耳元に届いた。
それに一瞬驚いてしまうが、十秋はすぐに口の端を上げて、
「もちろん」
と答えて、ほんの少しだけ走る速度を上げたのであった。
◇
放課後、十秋はアリーナで一夏のIS操縦特訓を行なっていた。
昨日で走るところまでいけてしまったため、今日は飛行訓練である。
と言っても、浮遊と着地を繰り返すだけなのだが。
「なあ、そろそろちゃんと『飛ぶ』が出来ねえのかよ」
と、上空からゆっくりと下降してくる一夏が問いかけてくる。
「う〜ん。お前が安定して真っ直ぐ上昇したり、下降ができるようになったらな」
「一体いつになったら、それが出来るんだよ」
「俺の見立てだと、今日の終わりぐらいにちょろっと出来るはずだ。ほら、もうワンセット行くぞ」
「まじかよ……」
一夏ははあっとため息をつきながら、再び上昇を開始する。
ぶつぶつと文句を言っているもの、一夏はよくやっている方だとは思う。
けれどここで基礎をおろそかにすると、変な癖とかがついてしまう可能性がある。
だからこそ一足飛びせず、こうやって地道に練習させている。
そこで人の気配を感じて後ろを振り向くと、箒がこちらに向かって歩いてきた。
「おう、箒。一夏は順当にやっているぞ。ってそれは……」
そこで竹編みのカゴを持っていることに気づいた。
「ああ、軽食でサンドウィッチを作ってきたのだ」
箒はカゴの蓋を開けると、様々な具が入ったサンドウィッチが綺麗に並べられた。
「おお、それはありがたい。そろそろ休ませようと思っていたんだ。おーい一夏、一旦休憩だ! 箒ちゃんがサンドウィッチが作ってくれたぞー!」
「わ、分かったぁー! ちょっと待てってくれ」
そして少しずつ降下し始めて数十秒後、地面に着陸して機体を降りた。
「じゃあ、早く食べようぜ」
そう言って、サンドウィッチに手を差しのばしたところで、
「おい一夏ちょっと待て。食べる前にやることがある」
ガシッと一夏の手首を掴む。
「な、なんだよ。こっちは役に立っているかわからないことの繰り返しで、ヘトヘトなんだよ。素直に食わせてくれよ」
「いや、ダメだ。これだけはダメだ。先にこれをやらないとぜっっったいにダメだ」
「そんなに大事なことなのか」
一夏は、珍しく真剣な表情で語る十秋の様子にゴクリと固唾を呑み込む。
そして何を言われるのかと身構えると、ずいと彼の目の前に何かを突きつける。
「その前におしぼりでしっかり手を拭きなさい」
ほーほけきょとウグイスが鳴く声(幻聴)が聞こえた気がした。
「お、おう、そうだな」
一夏は戸惑いながらも、差し出されたサンドウィッチを手に取るのだった。
今回はあまり話が動かなかったですね。
次回は回していきたいと思うので、期待していてください。
それではまた次回〜