IS<インフィニット・ストラトス> pain killer 作:歩くコジマ兵器
石に、ココロというものがなければ
そうだ、俺が、「私」が『僕が』
インフィニットストラトスの男性パイロット、神無月結希だ
「降参してくれるかな?レディを切るのは趣味じゃないからね」
「は、はい・・・」
セシリアのISからサレンダー信号
ブザーが鳴り響き、僕の勝利が確定する、騒音にもにた歓喜の声がアリーナから響く
都合のいい奴らだ、負ければ根性なしと言い、勝てば持ち上げる
「所詮、そんなものか」
「どうなさいました?」
「何でもない、戻ろうか、機体の調子は大丈夫みたいだし、織斑先生に休憩をもらってから一夏と戦おうか」
「えぇ…そう言いたいところなのですが…」
セシリアが言い淀む
「どうしたんだい?」
「あなたにすべてのビットを破壊されました」
ああ、そうだったか、興奮していて分からなかったがビットとライフルを破壊した覚えがある
「ああ、すまない、興奮してしまっていて忘れていた、ビットだけでなくライフルまで…」
そう言うとセシリアはニッコリと笑い
「いいえ、お気にならさず、私の傲慢が招いた結果ですわ、最初から全力で戦えばもっといい戦いができたはずなのですが…」
セシリアはどうやら男性を貶したことは反省しているようだ
「ここで動かないのも問題だ、もどるとしよう」
「えぇ、エスコートをお願いしますね?ジェントルマン?」
そっと手を差し出される
「参ったな、レディの相手は慣れていないんだ」
そう言いながら僕はその手をそっと取る
「あら、そんなことは承知してますわ、それでも、ですわよ?」
セシリアの清楚な笑みを向けられるとこちらの気が抜けていく
「試合には勝ったが、勝負には負けてしまったな」
そう言いながら僕はセシリアの手を引く
突如、世界は消えた
「世界の歪み、キエロ」
「お前なんていなければいいんだ」
「なんて気持ち悪いの…消えてしまえばいいのに」
「死ね、クズが」
「お前が死んだところで誰も悲しまないだろ」
「…程々にしとけよ」
「シネッお前のせいで!」
「気持ちわるいわ…なんであんな子が…」
やめろ、もうその世界はないんだ、僕はそんな世界知らない
「こんな奴がいるから…」
「なんでうちの子が死んで、あなたが生きてるの!あんたが死ねばよかったのに!あんたが!」
やめろ、違う、僕じゃない
僕は悪くない、僕は悪くない!僕は何もしてないじゃないか!僕が何をしたって言うんだ!
「生きてるだけで、世界が歪むくらいだよ」
「世界が唯一汚点を作ったとしたら、それはお前だ」
「死んだほうが社会に貢献できるだろ」
違う、私は何もしていない、私はずっと苦しんで、それでも人を助けて…!
紅蓮に包まれる風景を見た
「助けて…誰か!」
私は必死に走る
「手を!」
私は、必死に崩れる足場にしがみつく人を救おうと手を伸ばした
「ヒッ来ないで、悪魔!」
恐怖に歪んだ顔が、僕を見る
僕が、誰かを救おうと伸ばした腕、それは、世界を救おうとも思った腕、右手は彼女のために、左手は世界のために
あの歪んだ記憶と、今の歪んだ生涯
あの人は、僕の手を握り、右手は私のために、左手は君の想いのために、そう言ってくれた
だから、僕は左手を差し出した
だけどその左腕は、もうとっくに血に染まっていて
僕も、目を開く
僕の体の半分は、真っ赤に染まって
誰かを救おうと差し伸べた手は、すでに血で染まって
「あ、ああ、うあ、、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!うああああああああああああああああああ!ああああああああああああああ!うああああああああああああああああああ!」
声にならない絶叫が世界を揺らす
俺は、誰も救えない、僕は、誰も救えない、私は、何も拾えない
僕の願いはかなわない、左手は、とっくに血で真っ黒に染まっている、まるで、それがそこだけ空白のように漆黒で染まっている
「なんで、なんでなんだよ、なんでなんだよぉ…!救おうとしたら!なんで!」
駄々を捏ねる子供のように、その場に座り込む
「どうして、どうして!どうして僕は!俺はァ!、私は…!」
世界が崩れる、目の前の人が押しつぶされていく
「やめろ、やめろォ!やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「あああああああああああああああああああああああ…ぁぁぁ…」
宙を切った手が、それが夢だったと感じさせる
「夢…?それにしては…」
ベッド横のカーテンが無造作に開かれる
「あら、起きたみたいね」
青い髪が目に入る
燃えるような猫の瞳に、人を試すような感情
「…あなたは?」
青髪の女性は驚くように返す
「あら!ここにいながら私のことを知らないなんて」
なんなんだァ?この女は
「誰です?生憎、無理やり連れてこられたようなものなので、僕はあまりこの学園についてしらないんです」
青髪の女性はそれもそうか、という様に僕の横たわるベッドに腰掛ける
「そう、なら教えてあげるわ」
どうでもいいことを、大切なことをしゃべるように、ひとを惹きつける演説、それがどうしようもなく腹立たしかった
「覚えておきなさい、私の名前は、更識楯無、この学園…IS学園の、生徒会長よ!」
重い空気が流れる、言った本人も汗を流している
「…それで?その生徒会長さんが何の御用です?」
「あー、もうなんか威厳のある喋り方は苦手よね、わかった、普通に喋るわ、だからあなたも普通に喋って!わかった?」
「あ、はい」
まくし立てるような口調に、つい同意する
「改めて、私が更識楯無よ、この学園の生徒の長、気軽にたっちゃんって呼んで欲しいわ」
「わかりました、更識先輩」
生徒会長はムッとし、僕の頬を引っ張る
「たっちゃん」
「しゃらしきしぇんぱい」
「たっちゃん」
「しゃらしきしぇいとかいちょ」
「たっちゃん!」
頬を思い切りつねられる、その瞬間に手を掴み、その腕を払う
「生徒会長」
「だからぁ!」
「楯無先輩」
諦めたようにため息をつき、じゃあそれでいいわ、と落胆する
「それで、その先輩が僕になんのようですか?」
先輩はニッコリと笑った、オルコットとは別の、ひまわりのような微笑み方だ
「そりゃあ、ISの『
何を言っているんだこの人は
「何を?僕は二番目ですけど」
「いーのいいの隠さなくても、既に調べはついています」
この先輩らしさというべきか、人を和ませる力がある、しかし言葉で言っていることは危険だ、バレたらまずいことをこの人は知っている
「神無月結希は孤児であり、幼稚園の頃から中学まで典型的ないじめられっ子、主な意見は世界が彼がいるだけで死にたくなる、など普通の人間では考えのつかないほどの嫌われ具合、しかし彼の悪い点はどう探しても出てこない、小学校三年生の時に篠ノ之束に出会う、その直後に篠ノ之箒や織斑兄弟とも顔を合わせ、特に織斑一夏とは親友に・・・どう考えても作られてるようなストーリーね」
「僕もそう思います、でも、あの人が僕にあったのは本当に偶然ですよ、あの人は人を石ころくらいにしか思ってませんから」
すると先輩はさらに笑った、この笑顔はいやだな
「なら、あなたは磨けばダイヤモンドになる可能性もあると彼女は見たのね、しかも何十カラットにもなる」
そうなのだろうか?ただの気まぐれじゃあないのだろうか、子供が突然石を拾い集めるような、そんな気まぐれ
「違うと思います、気まぐれですよ」
「ならば!」
突然の大声に僕は驚愕する
「その気まぐれでIS…インフィニット・ストラトスは作られ、世界のバランスを歪めた、そういうこと?」
そうだろう、あの人はそういう人だ
「言ったでしょ?あの人は他人を石ころにくらいしか思ってないんだ、大切な宝石を持っておければ、少しの石が世界から消えようともどうとも思わないんですよ」
そう、僕はたまたま底に落ちていた石、形が良かったから、コレクションされただけだ
先輩は悲しそうな目をする
「あなたはそれでいいの?ずっとずっと孤独で、拾われて、その人を愛して、そしてその人はあなたを道具ですらない、あなたは、形がいいだけで集められただけ、それで、あなたはいいの…?」
面白いことを言うな、この人は
「構いませんよ、それに、あなたも言えないでしょう?、更識家の当主、そしてその妹は…貴方が拾い、あなたが捨てた石ころに過ぎないのですから」
先輩の目が、僕を睨んだ