久し振りの投稿ということで、拙作を大幅に改稿致しました。
つきましては第一話から読むことを強くオススメ致します。
それでは、猫を吸いながら初投稿です♡
周りの景色が動きを止める。
鼓動も音も、色すらも失った世界で。
少女は下賜された能力を自覚しながら自らの足に力を籠める。
四秒。この数字はあまりにも小さい。
四秒間でできることなどたかが知れている。
だからこそ世界は思考することはせず、ただやるべきことをする。
「無駄ァ!!」
世界に譲渡された影響かいくらかデザインを変えたスタンド【
地面に変わりはなく、ただ衝撃のみがストックされていく。
四秒間たっぷりと地面を痛めつけたのち、スタンドを自分の中に戻して言った。
「DIO、私に大切な人を守れる力をくれてありがとう。でも、
『ふん、行動で示してもらおうか?』
「見てればわかる」
【
一瞬後、散々ストックした衝撃が地面へと放出された。
ドッッッガアアアアアアアンッッ
スタンドの怪力は遺憾なく発揮され地表を這っていた氷を吹き飛ばし、土煙を伴いもはや爆風といっても差し支えないほどの代物になった暴風が吹き荒れ、空を飛んでいた爆豪はもちろん周りの騎馬の足を止めさせる。
その渦中にいた世界を除く仲間たちは突然の暴風に困惑と驚きを隠せずにいた。
「な、なに?!」
「なんやこれ!?」
そんな仲間たちに対して世界は間髪入れずに言い放つ。
「みんな!
その一言に全員がこの後来るであろう現象を想像し体をこわばらせた。
カチリ
この音を聞いたのはいったい何人であったか、定かではないが轟、爆豪両名は確実に聞いた。
「不味い!!逃げられ」
足にエンジンをつけたメガネの少年が叫ぶが。
「もう遅い!!」
爆煙と称しても遜色ない土煙が一瞬で姿を変え、それを形容するのなら空気の抜けた風船が合うのだろう。
それ即ち中にいる緑谷の騎馬が高速移動を行使したことを意味していた。
それを直ぐに察知したA組連中は視線をめぐらせるが姿が見当たらない。
どこだ、どこにいる。
そして、見つけたらしき誰かが、「あ、」と声を上げた。
空高く、絶対的な安全圏に、緑谷チームはいた。
その光景に一瞬空気が固まり、そして
『終了ぉおおおお!!!』
騎馬戦は緑谷チームの一人勝ちという形で幕を閉じた。
◇ ◇ ◇
「一位だ…」
『なにを呆けている。セカイよ。お前は勝ち取ってみせた。結果を。そしてヒーローになるための手段を』
「…ふぅ…うん。まだ体育祭は終わってないから気を抜かないようにしないと。あんたとの付き合い方も考えなきゃ」
『フフフ…私は既にお前との付き合い方は決めたぞ?これから愉快なことになりそうだ』
イマイチ意味を掴めないセカイはそんなDIOの様子に首を傾げながら、水を嚥下する。
個性の感覚を初めて知ったセカイではあるが、DIOの、いやセカイに宿ったスタンド、【
時を止める、というのは最強と言っても差し支えない。
四秒限定の能力であり、セカイが使う場合かなりのインターバルを置かなければならないため、切り札としての運用が丁度いいように思う。
使ってから10分以上経った今でも使える感覚が戻らない。
少なくとも乱用するほど軽々しく使えるものでは無いということだ。
なぜかチア衣装になっているA組に今日初めての笑みを漏らしつつ、最終種目であるトーナメント形式の1on1バトルのくじ引きを行うため席を立った。
「それじゃ、組み合わせ決めのくじ引きを始めます。組が決まったらレクリエーションを挟んで開始よ!!」
レクに関し、進出者16人は参加の是非を決められることも付け加えくじ引きが始まろうとした時、個性因子の尻尾が発達した男子が手を挙げた。
「俺、辞退します」
「なんで尾白くん!せっかくプロに見てもらえるのに!」
苦しげな表情で騎馬戦の記憶がハッキリしないことを告げる尾白は続ける。
「チャンスを捨てるのは愚かだってのは分かってる。でも!皆が全力でやって争ってきた座に、訳わかんないままただいるだけなんて、俺には出来ない」
(そっか…心操クンの個性受けたんだ)
『心操?』
(たしか洗脳だった気がする)
『なるほど…それにしても怖気が立つ光景じゃあないか。なあセカイよ』
(あたしは好きだけど、こういうの)
『そのうち嫌いになるさ。クククッ』
DIOが核心に迫る意味深なことを言いセカイを混乱させる中、心操チームの殆どは辞退し繰り上げで鉄哲、塩崎がトーナメントに参加することになった。
◇ ◇ ◇
楽しく遊ぶレクリエーション。
当然セカイは参加しなかった。
理由は幾つかあるが、DIOの真意を聞くため。
まともに答えるとも思っていなかったが、聞いておきたかったのだ。
(なんで切り札とも言えるスタンドをあたしに与えたのか、なんで所々で手助けするのか。このままじゃただの厄介ないい人だよ?あんた)
『その不愉快な勘違いはやめてもらいたいなァセカイよ』
(じゃあなんでよ)
『お前は物語の結末を他人から聞いて満足するのか?』
(ネタバレされて気持ちいいかってこと?そんなわけないじゃん)
『そういうことだ』
(自分で考えろってことかい)
スタンドを与えられたことで心理的な余裕が出来たセカイはDIOに対して話すのに抵抗が消えつつあった。
時止めは強い。
そしてスタンドのパワー速度、負ける要素が余り見つからない。
時止めのインターバルは感覚ではあるが20分ほどでありトーナメントの全試合で時止めを行うことは不可能に近いことをセカイは分かっている。
だからこその切り札。
こんなモノを与え、ゲームをヌルゲーにしていいのか、言外にセカイはそう言った訳だが、DIOは愉快そうな雰囲気を変える様子がない。
これはまだ何かがある。
そう言わせる素材としては十分だった。
ベンチで水を飲み、白熱するレクリエーションを見る。
少し平和な時間がセカイの疲労を回復させていた。
「世界さん」
そんなセカイに客人が現れる。
角張った容姿をした客人は包帯を巻いた片手を上げセカイに挨拶した。
「セメントス先生!」
「レクリエーションには参加しなかったんですね」
「少し休憩したかったので」
「そうですか。精神統一も必要ですからね…それにしても凄い。まさか世界さんが最終種目まで進むとは」
柔らかい雰囲気を崩さないセメントスに対し、セカイは同じように軽く反応を返した。
「あはは、運が良いんですよ!」
「……はあ…世界さん。個性使いこなしてましたね」
「え?あ、はい!(瞬間移動のことかな?)」
「じゃあなんで個性届に無個性なんて書いたんですか?」
ピシリ、と身体が硬直する。
(おうまい…がぁ)
『…ッ…ッ』
(わっらっうっな!!!あんたのせいじゃん!!個性届書いて出したのあんたでしょ!!!)
セカイがなにも答えられない中、セメントスがセカイの反応に対しDIOが表出していないことを察すると続けてこう言った。
「世界さん。観察して察した事ですが、個性の特性に関して気づいてるでしょ?」
「へっあっ」
「でも君は君のままで個性を使い、一位を取って見せた」
「私が見ている。だから君は安心して個性を使用して、雄英で学んでください」
「せん…せ」
「もし君が個性に振り回されても私が止めます。DIOの好きにはさせない」
そう言って、セメントスは席を立つ。
そのまま立ち去ろうとしたセメントスにセカイも立ち上がりこう言った。
「セメントス先生!ありがとうございます!!頑張ります!!」
「ええ、頑張って」
セメントスが立ち去った後、DIOが言う。
『流石雄英と言うべきか…面白い。私の覇道に立ち塞がるのならその尽くを滅ぼそう』
(絶対に…そんなことさせない)
そういったセカイの目は鋭く、覚悟の籠ったものであった。
だがそれを見てもなお、DIOは思う。
(違う。私の覇道の障害物を討ち滅ぼすのは)
(お前だ。セカイ)
読んでいただきありがとうございます。
評価感想お待ちしております。
繰り返しますが第一話から読むことを強くオススメします。