TSディオ様もの。   作:荼枳尼天

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DIOサマがアプローチを本格化していきます。
短めです。


邪悪なカリスマに晒された子ども

 

 本戦一回戦。

 組み合わせは緑谷と心操。

 セカイと同じく普通科から参戦となった心操だがセカイの認識ではその個性は対人に限って言えば強個性と言って差し支えないものだった。

 セカイはD組だが心操はC組。

 クラスは違えど強い個性の噂ぐらいは入ってくる。

 

 心操の会話に応じれば、洗脳にかかる。

 

 少しだけ話題にあがり、すぐに鎮火した噂を思い出す。

 

(緑谷クンは勝てるかな…?)

 

 身体が壊れるほどの増強型と洗脳を可能にする個性。

 

『心操とやら、この一回戦を勝ち抜いたところで決勝まではいけないだろうな』

 

(…初見殺し特化の宿命、みたいなもんだよね)

 

『…愚かだ。あの個性は私の傍で活かすべきものであると言うのに、メディア露出のあるヒーロー稼業を選ぶとは』

 

(………)

 

 テンションを冷めさせながらDIOのセリフには返答をせず、シンパシーを込めた視線を、舞台の上の心操に向けた。

 

『決勝トーナメント一回戦第一試合!ヒーロー科緑谷出久バァアーサス!普通科心操人使!!』

 

「……なあ、緑谷出久。わかるか?これは心を、覚悟を問われる戦いだ」

 

「……?」

 

「ヒーローになるために、取れる手段はなりふり構わずに取らなきゃダメだと思わないか?」

 

『レディィイイイイイ!!!』

 

「さっきのサル。なんか綺麗事ペラペラ言ってたけど、チャンスを投げて捨てるなんて、バカバカしいだろ?」

 

『スタァアアアアアアト!!!!』

 

「なんてことを…!!言うんだ!!っ」

 

 

「あ、終わった」

 

『心操の勝ちか…』

 

 うつろな表情で、場外へと歩みを進める緑谷。

 尾白から聞いていなかったのか、と若干顔を顰めるセカイ。

 

 一緒に戦った仲間に勝って欲しいという感情と、同じ普通科の人間としての共感。

 

 そして、予感があった。

 

 誰かのターニングポイントになる試合であると。

 

 

 

 ボッフゥウウンッ

 

 

 

 舞台で砂塵が巻き起こった。

 

 見れば洗脳が解けている。

 

 

「…うそ…」

 

『指が腫れている。自傷で気を持ったか』

 

「洗脳の影響下で個性を使ったなんて…」

 

 

 どうにか口を開かせようと喚く心操と場外に出そうと躍起になる緑谷。

 

 この戦いにかける想いの大きさ。それがこの勝負の勝敗を分ける。

 そんな直感をセカイは素直に信じる。

 

 泥臭い戦いは数巡の攻防を経て緑谷の勝利で一回戦第一試合は終わった。

 

 

「…」

 

『ああ…惜しい。本当に惜しい』

 

(うるさいな)

 

『彼の才能はヒーローが飽和するこの社会に放り、遊ばせておくソレではない。簡単な指示しか出せないようだが、それも克服できるはず…』

 

 

 ブツブツとDIOが自分の世界に入っていく。

 そんな様子にこんな一面もあるのだと意外に思う。

 こんなやつのことなぞどうでもいいと膝の上にある戦利品に目を向ける。

 

 つい先程出店から買ってきたたこ焼き。美人であるからと無料にされたコレを見ながら自身の対戦相手について考える。

 

 なんでも作れるらしい。

 

 こんなたこ焼きがいつでも食べられるのだろうか?

 

 と考えながらパクパクと食べていく。

 

 セカイが舌鼓をうっているなか、隣のC組が心操を励ましていた。

 

 

「かっこよかったぞ!心操!」「がんばったな!!」「騎馬戦一位といい勝負してんなよ!!!」

 

「聞こえるか?!プロの人たちの声!!」

 

 

 プロヒーローの声はどれも心操の個性の有用性を証明するようなものばかりで。

 

 心操は泣きそうな声で緑谷に何か言っているようだった。

 

 

 聞く気も起きず、ただ腹を満たしたセカイは席を立つ。

 

 金色になった瞳が、ただただ疼いた。

 

 

 半ば反則で勝ち取ったこの決勝トーナメントの座。

 

 チャンスどうこうとか言うつもりは無い。

 

 セカイは脅され無理やり決勝トーナメントに参加しているのだ。

 

 ヒーローになる覚悟はした。

 巨悪を封じ込めておくための覚悟もした。

 

 

 罪悪感は無い。

 

 

 

 ただ目の前の光景が気持ち悪

 

 

 

「はっ?!」

 

『ちっ…』

 

「何考えてんのあたし…人間ドラマじゃん…!あたしの大好物なのに…!」

 

 

 これも巨悪が心に棲みつく影響か。

 

 変わりつつある心をどうにか屁理屈のヴェールで包み誤魔化した。

 

 セカイはDIOに対する考えを改めつつ、これからの事を考える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 巨悪の影響は大きい。

 セカイにDIOが宿ったのは体育祭の一週間以上前だ。

 たかが一週間、されど一週間。

 

 DIOの溢れるカリスマは英雄の卵を無意識に恐るべき速度で蝕みつつあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 決勝トーナメントは恙無く進行していく。

 数々のドラマ、軌跡を経てヒーロー科の人間はどんどん成長していく。

 

 

 そんな舞台に。

 

 

「アタシが立つ」

 

『ある意味での注目株ゥウウ!!!』

 

 

『普通科!!彼方 世界!!!』

 

『バァアーサス!!』

 

『どんなものも作り出す才女ォオ!!』

 

 

『ヒーロー科!!八百万 百!!!!』

 

 

 憮然とした表情で舞台に立つ八百万。

 

 緊張からか『にヘラ』と表情が歪むセカイ。

 

「余裕、ですのね」

 

「余裕なんて、とてもとても」

 

 大仰に手をフラフラさせ、表情はそのままにスラスラとセリフが出る。

 

 イメージはDIO。

 

 盤外戦術ではないが、プレッシャーを与えることは重要だ。

 

 

「そういうキミは…八百万サン、だったよね?表情が、崩れているじゃァないか。余裕を持ちなよ。ねぇ?」

 

(う、上手くできてるでしょ)

 

『お前は私の何を見ているんだ?』

 

 

 顔を顰める八百万を前に、セカイは緊張を走らせる。

 八百万はセカイの個性について何も知らない。

 この時点でプレッシャーは十分。

 だけど最後のひと押し。

 相手の選択肢を固定させないための、最後のピースを落とす。

 

 

「ねぇ…アタシの個性。なんだと思う?」

 

 

 

 

 




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