時間あけて投稿してますけど気分的には2話目です。
雄英高校、体育館γー通称『
日も落ちかけた茜色の光が所々の窓から指すのを見ているとどんどんと意識が覚醒していく。
確か自分は古ぼけた薄汚い町医者にいたはずだ、と。
意識の不自然な途絶、場所の移動に着ている服の変化。
ここまでの材料があるのならば猿でもわかる。
『体の意識がこのDIOの他に存在している』
この事実にDIOは青筋を浮かべる。
自分の体にほかの精神が入り込んでいるなど唾棄するべき最低最悪の事態だ。
だが、DIOは我慢する。
現状、この事態をどうにかするスタンドを知らない…訳でもないが、この世界が承太郎と戦った世界と同じであるとも限らない。
なにか行動を起こし結果としてDIOが消滅することなど決してあってはならない。
だからDIOは血管がブチ切れそうなほど腹が立つが地に這いつくばって潜むことにしたのである。
覇道を阻む者が現れるのならばその限りではないが。
左手を見る。
『
スタンドパワーが当然のように弱っていることに喚き散らしてやりたかったが、背後の気配がそれを許さなかった。
DIOとて1人になりたいことがある。それが今であり、この瞬間であったのだ。
ならばやることはひとつ。
「半殺しにして蹴散らす」
そう言いながら振り返ると、肌が灰色の、まるで石材のような人間(?)がこちらを見ている。
「ンなッ!!貴様!にんげ…ん、なの…かッ?!」
「……君、世界さんじゃないね」
「しゃ、べるのか…くはは…吸血鬼の身であったが貴様のような人外初めて見たぞ!そうか…ふはは。そうだな。特別だ。特別に貴様の質問に答えよう。私は
(まずいな…この雰囲気。並大抵のものじゃない。本当に彼女の中にいるのは別人なのか…イレイザーヘッドは療養中だ…一人だと不安が残る…だが今いちばん重要なのは彼女の安全)
「ふん。このDIOを無視するとはいい度胸じゃあないか…だが今は気分がいい。とっとと此処から失せろ」
「……そういう訳には行かない。いま世界さんの個性は暴走している。それを先生が放っておく訳には行かないでしょ!」
そう、セメントスが宣言すると体育館γの地面に手を叩きつける。
その瞬間、DIOの周りの地面が隆起し、DIOを拘束しにかかる。
全方位からの石の波、この攻勢を防げるヴィランはひと握りだろう。
(チッ…面倒な。見逃してやろうとしたのにも関わらずこれとは…この脳無しがァ……いや待てよ…くくく…前と今の差異を確かめるのも必要な事だろう…?)
だがDIOはそんな生ぬるい攻撃でやられるほど糞雑魚な
「
その言葉を叫んだ瞬間、DIOの背後に筋骨隆々な偉丈夫が出現した。
その一瞬の間にDIOの背後に出現した
時間停止である。
いまDIOのスタンドパワーは低下している。
停止できる時間は精々2秒かそこら。
だが、この程度、2秒で十分なのだ。
「無駄無駄無駄無駄無駄ァ──ッ!!!」
とてつもないスピードで拳が振るわれる。
そのあまりの威力に拳の周辺の空気は破裂音を残し消え失せ、周辺のセメントが粉々になる。
制限の2秒はすぐに訪れ、停止時間の過程が世界に反映された。
ドッパァアンッッ!!!
「なに?!」
「…2秒か…ここまで私のスタンドパワーは落ちているのか…ッ!!」
セメントスの個性によって操られたセメントは一瞬で粉塵と化した。
その光景はとてもではないが信じ難いもので、セメントスの思考を停止させるには十分の威力があった。
そんなセメントスには目もくれず、青筋を立てるDIOだったが、すぐにセメントスに対して評価を下す。
「ふん。それが貴様の能力か…使えん。普段なら我が力を以ってぶち殺してやるところだが、我が野望のためだ。半殺しで許してやろう。
DIOがそう言った瞬間、セメントスの目の前に
だがセメントスもプロヒーロー。とっさの判断で
「無駄無駄無駄ァ─ッ!!」
だがスタンドを前にセメントなど薄氷も同然。
セメントスは両腕にヒビを入れながらぶっ飛ばされてしまった。
「ぐぁあっ!!」
「ちっ…存外頑丈だな」
「世界…さん」
「ふん。この体にいるもうひとつの存在の名前か。それは。全く冗談じゃあない。この体に薄汚くも住み着きその上我が
「くっ…!」
「前回の覚醒よりもパワーは少しだが増しているッ!このDIOが表に出られる時間もどんどん増えていくだろう!だがそれでは満足しない。『勝利して支配する』それだけだ!クククッ!まさかこのDIOが最初に支配するべきものが我が身体とはなァ…!」
「まさか…個性が宿主を淘汰しようとしているのか…?」
「宿主…というのは不愉快だ。興が削がれた。貴様は眠っていろ」
その圧は尋常のものではなく、セメントスは四肢の末端が痺れていくような錯覚を覚える。
だがその拳が振り下ろされることは無かった。
DIOはその第六感染みた感覚で、脅威の接近を察知した。
体育館γの入口を見ると、DIOの今の体躯の2倍はくだらないであろう巨躯をもつ男が立っている。
「…何者だ。貴様」
「セメントス大丈夫かい?………キミ…は今朝職員室で話題になっていた個性が発現した普通科の生徒かい…?」
「気をつけて…“オールマイト”。彼女は…いや、彼女の個性は強力だ」
「…貴様が誰であろうと関係ない。このDIOの醜態を見たのならば…そうだな。記憶が無くなるまで殴り続ける他あるまい」
「なるほど。外見に惑わされては…」
平和の象徴、オールマイトが足に力をため、解放する。
「いけないな!!」
次の瞬間、オールマイトはDIOの背後に出現した。
その有様は、身体能力を“彼方世界”のクオリティまで落としたDIOにとって、瞬間移動に等しい現象に見えた。
「
DIOはすぐさま時止めを実行しようとしたがその時には、手刀が首筋に落ちていた。
DIOの意識は、深く、沈んでいく。