TSディオ様もの。   作:荼枳尼天

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※改稿 2月26日



騎馬戦 前編

 

 

 

『サアサア上げてけ鬨の声!! 総勢12組の騎馬による、血で血を洗う雄英体育祭騎馬戦の狼煙が上がるぞおお?!』

 

「麗日さん!」

 

「ッうん!」

 

「発目さん!」

 

「ふふっ」

 

「彼方さん!」

 

「うっ……うん」

 

「獲りにいこう!!」

 

(え、まだポイント取るつもりなのか)

 

 諦めた様子のセカイが内心つぶやく。

 緑谷に誘われた直後、セカイのもつ事情を伝える間も無く作戦を説明され半ば流されるように一緒に騎馬を組むことになった。

 

 やり取りの途中、世界の頭の中ではDIOの笑いを抑えるようなくぐもった声と何かを飲み食いする音が確認されているため、そのエンジョイ具合が見てとれた。

 

『ヨォーシ! 全員組み終わったか?! 準備はいいかなんて聞かねえぜ?! それじゃあ残虐バトルロイヤルカウントダウン!』

 

 セカイは刹那の時を使って、発目に貸してもらったサポートアイテムについて考える。

 

 騎馬を組む前に「身体能力を活かせて騎馬にも活かせるサポートアイテムを貸してほしい」と頼み込んだら二つ返事で、今世界が履いているソルレットが帰ってきた。

 発目が勝手に始めたベイビー説明の必要な部分を抜き出すと、「走れば使える」となるのだが不安が拭えない。

 

 

「緑谷クン」

 

『3!!!』

 

「うん。なに?」

 

『2!!』

 

「(サポートアイテムに任せて)走るけど、(どうなるかわからないからサポートアイテムと私を)うまく(指揮して)使ってね」

 

『1……!』

 

「……!! (まさか、ただ走っただけでも速すぎて瞬間移動に見える個性なのか……?! なら彼方さんの判断に任せた方が良さそうだな……!)わかった! 僕たちは気にしないで存分に走って!」

 

『START!!!』

 

 

(なんでそんなに自信満々なのお?!)

 

(友人が少ない弊害なのか知らんが言葉が足りんな……愉快なことになっているからいいが)

 

 

 セカイが緑谷の根拠のない自信(に見える勘違いが原因の信頼)に瞠目しているとプレゼントマイクの声が響き、周囲の騎馬がこちらに殺到してくる。

 

 

「実質それの奪い合いだ!!」

 

「緑谷くん! 悪いけど獲りに行くよ!!」

 

「くっ!! 彼方さん!」

 

(なんでこっちに指示飛ばすの?! その背中のジェットパックは飾り?!)

 

「っ!!使うよ!!」

 

「麗日さん。そのサポートアイテム起動しておいて下さい」

 

 世界が緑谷の突然の指示に動揺しながらも駆け出すと、足元から『カチリ』という嫌な音が聞こえ、とてつもない速度で景色が流れた。

 

「「「うおああああ?!?!」」」

 

 ドゴォッ!! 

 

 腹の底から揺らされるような音が響き渡る。

 

 麗日の個性により無重力状態になっていたとはいえ、とても速い。

 半ばホバー移動であった。

 実際、麗日は発目に噴射機構を持ち、ホバー移動を可能にするアイテムの使用をすすめられ実行し本当の高速ホバー移動を行った。

 ちなみに発目はただセカイに捕まっていただけである。

 一歩間違えれば肩が外れていたが流石のサポート科、日々重い機械類を扱っているからか肩が外れることは無かった。

 

 飛び出した時のセカイの状態を形容するならば、『ジェットコースター』になるだろう。

 

 

「「「なッ! 速!!」」」

 

 

 目の前にいた、緑谷の騎馬を追い込むように迫ってきていた二組の騎馬は、いなくなっていた。

 かなりの勢いに呆然としていた緑谷は、慌てたように後方を確認する。

 

 見れば、二組のうち一組は驚愕したかのようにこちらを見ている。

 もう一組はA組の透明人間、葉隠透という少女が騎手をしているため判然としないが文句は聞こえるためこちらを見ているのだろう。 

 

 緑谷に違いセカイは貸与されているサポートアイテムの把握に必死だ。

 先ほど、セカイは移りゆく景色の中ちゃんと足元の確認をしていた。

 このサポートアイテムは脚の裏にある噴出機構から尋常じゃないほどの風を噴き出して高速軌道を可能にしているようだ。

 

 

「すごい!すごいですよ彼方さん!暴れ馬なベイビーを乗りこなすなんてさすがです!!」

 

 

 暴れ馬なことは理解しているようだ。

 

 緑谷はセカイの個性(ではなく素の身体能力とサポートアイテムの恩恵)に驚愕しながらも、両手に違和感を感じ固く握っていた拳を開くとそこには

 

 

「んなっ?! ハチマキがねえ!!」

 

「あれ?! 私たちも?!」

 

 

 そこには迫っていた二組のハチマキである、685pと310pのハチマキが握られていた。

 

 

「す、すごいよ! 彼方さん! 半分ラッキーパンチだけどいい滑り出しだ! このまま逃げ切ろう!!」

 

「え?! え、その手のは……」

 

(ええ?! あの速度の中でとったの?! A組ってこんなのばっかなの? 怖すぎるんだけど)

 

『随分と感情の吐露が多いじゃあないか。まるで道化だな』

 

「いちいち心なんて制御できるわけないでしょ?!」

 

『さあ──、まだ2分も経ってねえが混戦も混戦! 各所でポイントの争奪戦が巻き起こっているぅ!! 順位の変動も激しくてついていけねえゼェ!!』

『それはどうなんだお前』

 

 

 混戦を極める騎馬戦。

 早くも緑谷騎馬はポイントを重ねた。

 現在のポイント合計は10001325pである。

 

 

「彼方さん! 右!」

 

「ングぅ!!」

 

 指示に従い体にまま負担のかかるサポートアイテムを乱用する。

 向かい来る騎馬を避けながらも、このままでは限界が来ると全員が感じていた。

 

「フハハハ! 奪い合い?! 違うね!! これは略奪ダァ!!」

 

「うわぁ?! 障子くん?! それにこの長い舌……蛙吹さん?!」

 

 

 そう叫びながら現れたのは、障子目蔵という名のタコのような異形型個性の生徒だけ、ではなかった。

 

 

「悪いな緑谷、その特異点貰うぞ。ダークシャドウ!!」

 

 

 障子というシェルターを、常闇踏影の個性であるダークシャドウでカバーするという悪魔の組み合わせが完成していた。

 

 

「う、うわぁ!!」

 

 

 ダークシャドウの伸びてきた手を麗日は咄嗟にサポートアイテムを履いた足でガードする。

 麗日はその手に違和感を抱く。

 はて、この吸い付くような感覚はなんだろうか、と。

 

 

「捕まえたぞ……!!」

 

「常闇……やれ」

 

 

 その指揮官ぶった峰田実の一言に反応し、常闇はダークシャドウを引き戻す。

 咄嗟に麗日は足を戻そうとするが、まるでダークシャドウの手に貼り付いてしまったかのように足が戻らない。

 

 

「はっはぁ!! ダークシャドウの手についてるのは俺の個性のモギモギだぜー!! これで一本釣りだああ!!」

 

「くっそ! 雑に強い! 発目さん! 麗日さんも顔避けて!」

 

 

 緑谷はそう言うとボタンを押下する。

 その瞬間、ジェットパックから火が噴き出し、麗日の個性によって重量もほとんど消えているためとてつもない勢いで空中に飛び出す。

 だがそれでもダークシャドウは追随しようとする。

 それを確認したセカイは、

 

 

「緑谷クン! 落ちないようにして!」

 

 

 一旦騎馬の右翼を崩し、浮遊時間が長いのを利用してダークシャドウを蹴り飛ばす。

 

 

『ギャッ!』パキャッ

 

「ああ! 私のベイビー!」

 

「ごめん発目さん!!」

 

 

 ダークシャドウから無事逃げられたものの代償としてサポートアイテムを破損させてしまうが、それを理由に気を抜く間はなかった。

 

 すぐに騎馬を戻そうとするが、空中にいるセカイたちに迫るものがいる。

 

 

「調子乗ってんじゃねえぞ金髪ぅ!!!」

 

「ええ?! だれ?!」

 

 

 迫っていたのは個性によって飛行してきた爆豪勝己であった。

 

 爆豪と対面していたのはDIOだったため当然出てくる誰何、だがそれは爆豪の精神を今以上に逆撫でした。

 

 

「緑谷クン! 吹かして!」

 

「!!」

 

 

 迫る時限爆弾に戦慄しながらも世界は咄嗟に指示を飛ばす。

 その指示は即座に受理されジェットパックが使用された。

 緑谷が前のめりになりながら使用されかなりの勢いで地面に飛んでしまうがそこは麗日がカバーする。

 

 

「気がッ抜けない!」

 

「ちょ緑谷クン! 背中から変な音してるんだけど?!」

 

「ああ、無理な使い方しちゃいましたね。ボタン連打しました?」

 

「……ごめん心当たりある」

 

「余裕ないんになに雑談しとるん?!」

 

 

『当然狙われまくる一位と猛追を仕掛けるA組の面々に実力者たち!! 現在のポイントを見てみよう!!』

 

 一位、彼方チーム 10001325p

 

 二位、物間チーム 1350p

 

 三位、鉄哲チーム 1120p

 

 四位、峰田チーム 685p

 

 五位、轟チーム 600p

 

 六位、鱗チーム 195p

 

 以下0p

 

『あら?!!! A組があんまパッとしね……ああ?! 爆豪チーム?!』

 

 

 

 実況を聞く限り何か起こったようだ。

 世界は対岸で行われるB組とA組の因縁を遠巻きにしながら警戒する。

 先ほどから考え込んでいる緑谷がやっと顔をあげ、何か言おうとした瞬間、鋭い敵意を持ったチームが立ちはだかった。

 

 

『サァ残り時間半分を切ったぞ!』

 

「彼方、お前の個性、まだわかってねえが……そろそろ、獲るぞ」

 

『普通科D組が握っている10000000pはB組隆盛の中果たして、一体誰に微笑むのか!!』

 

 

 

 

 

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