ウマ娘達の優雅な日々   作:灯火011

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幕間―図書室での一幕

 その日、メジロマックイーンは珍しく練習を休み、図書室へと詰めていた。俗にいう戦略の勉強、歴史の勉強という奴である。

 

「やはり第三コーナーの位置取りまでの戦略の組み立て方が重要ですわね。スタミナがある場合は…先頭集団でペースを作るべし…と」

 

 本をめくりながら、独り言をつぶやく彼女。周囲を見てみれば、同じようなウマ娘達が多く存在している。逃げウマ娘であるとか、追い込みのウマ娘であるとか。見知った顔もいるようだ。

 

「よー、マックイーン」

「あら、ゴールドシップさん。ごきげんよう」

「ごきげんよう。勉強してんのか?」

「ええ。メジロ家でも教育を受けておりますが、やはり知見は広げて損は無いと思いまして。貴女は?」

「アタシもだぜ。追い込みの極意、って奴を探してるのさー」

「あら、真面目ですわね。珍しい」

「あ?ゴルシちゃんだってやるときゃやるのよ?あ、そうだマックイーン。ついでなんだけどよ」

 

 ゴールドシップはそう言うと、自らウマホを取り出して、画面をマックイーンに見せていた。

 

「この画像のCD、なんか知らね?」

「ちょっと見せてくださいまし」

 

 ウマホをゴールドシップから受け取ったマックイーンは、まじまじとその画像を見る。燃えるギターの表面、どこかSFのようなギターの裏面。ネッキバサラ、とアルファベットで書かれた名前らしき部分。なかのCDは変哲もない普通のCD。一応成人男性らしい写真が挟まっている。

 

「…初めて見るCDですわね。これが、どうかされたのですか?」

「それがな、フジキセキの寮長からシラネー?ってメッセージが回ってきたのよ。ま、自慢じゃねーがこのゴルピッピ、こういう方面にはめっぽう強いわけさ」

「そうなんですの?でも、貴女なら知っているんでしょう?」

 

 マックイーンがそう言うと、判りやすくゴールドシップは顔を顰めていた。

 

「それがな、知らないんだよ。驚くことにこのゴルシちゃんでも知らねーモンが出て来ちゃったわけよ。んで、今いろんな奴に聞いてるわけさ」

「そうでしたの。でも、申し訳ございませんけれど、存じ上げません」

「そっか、ワリーワリー。勉強の邪魔をして」

「気になさらないでください。あ、もし、何か思い出しましたらお伝えします」

「助かるぜ。マックイーン。じゃ、あたしはまた聞き込みにいってくんぜー!」

「お気をつけて」

 

 手をひらひらとさせながら、ゴールドシップを送り出すマックイーン。そしてふう、とため息を1つついて、軽く息抜きをしていた。

 

「ゴールドシップさんが知らないCDですか…。あとで爺やに聞いてみようかしら」

 

 そう言いながら、新たな本に手を伸ばすマックイーン。そこには、歴代天皇賞覇者、の文字が刻まれている。それをぺらぺらとめくっていき、あるページでその指を止めた。

 

「メジロアサマ…メジロ家のルーツ、ですわね」

 

 そう言いながら、その項目に目を通していくメジロマックイーン。やはり特筆すべきは天皇賞秋での優勝であろう。当時は3200で行われたそのレースを勝利した彼女がいるからこそ、メジロ家は大きな発展を遂げたのだ。

 

「…そういえば、専用曲は無かったのかしら?」

 

 そうひとり呟きながら、メジロマックイーンは更に資料を読んで行く。するとやはり、天皇賞を制覇したときの曲が描かれていたが、どうも聞き覚えの無い曲だ。資料によると、当時の流行りを模した歌謡曲のようなものであったらしい。

 

「歌謡曲…やはり、時代によって曲は変わっていくのですね」

 

 しみじみをそう呟く彼女の目に、もう一曲、ある特に謳われたであろう曲の名前が目に入る。

 

「メジロアサマの引退ライブ…セットリストがあるのですね」

 

 引退ライブ。数万人が訪れて、大盛況だった、と描かれているそれには、当時のウイニングライブのタイトルが数曲描かれていた。ただ、そこに一言『当時としては革新的な曲で、彼女を代表する曲である。音源が残っていないのが大変に残念である』と書かれた曲があった。

 

「ANGEL VOICE…ですか」

 

 作曲者は不明。しかし、メジロアサマと作曲者らしき男性が2人で、最後の一曲として歌われたこの一曲は、大層盛り上がりを見せたそうだ、と資料には描いてあった。 

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