ウマ娘達の優雅な日々   作:灯火011

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変わり種です。

業務superで売っているトムヤムペースト。
あれに、エビ、ナス、マッシュルーム、水煮タケノコ、ピーマンを入れて煮込むと、美味しいトムヤムスープが出来上がります。ピーマンが案外良い味を出すので、結構おすすめでございますよ!


鍛錬の日々ー春の陽気

 季節は流れるもので、冬の寒空は彼方に消えた。それはトレセン学園も例外ではなく、花々が満開に咲き誇る春を迎えていた。私の身の回りで言えば、まず、脚の怪我は全快と言ってもいいほどの回復を見せて、今では毎日の練習を熟している。エアグルーヴとの練習にも、同室のエアダブリンと共に身が入り、我ながら実力はメキメキと上がっていると言えよう。

 

「トレセン!ファイオー!」

「ファイオー!ファイオー!」

 

 集団を形成して行うのは2000メートルのランニングである。今日は既に3本目。エアグルーヴを筆頭にシンボリルドルフ、ナリタブライアン、ヒシアマゾン、トウカイテイオーら光る者達が続き、あとは私達のような普通、といってはなんであるが、実力が少し届いていない連中が続く。

 

「キッツぅ…!」

「ほんとに…ね!」

 

 私なんかは既に息が上がっているのだが、前方のウマ娘はまだまだ余裕綽々といった雰囲気である。ちらりと、隣を走るエアダブリンを見てみれば、私と同じように息が上がっていた。うん、やはり、こういう練習一つとっても、実力の差というのはなかなか歴然としていると言えよう。

 

「後ろ!まだ1000メートル残っているぞ!声出せ!前向け!」

「はい!」

「はぁい!!」

 

 エアグルーヴの激に、エアダブリンと共に思い切り声を出して答える。だが、こういうものは限界と言うものもあるわけで、私の後ろの数人は、無理ぃー!と悔し気な声を出しながら脱落していった。ちらりとコース脇を見てみれば、もう10人近くの脱落者が居る。走っているのは、先の5人と、私、エアダブリン、あとは数名のウマ娘のみだ。半数近くは振り落とされた、と言ってもいいだろう。

 

「残り600メートル!スパートを掛けるぞ!」

「オッケー!負けないよー!カイッチョー!勝負ー!」

「ふふ、かかってこいテイオー!」

 

 エアグルーヴの掛け声と共に、先頭集団が一気に加速をかけた。シンボリルドルフの加速は流石だが、それについていくエアグルーヴらの脚もとんでも無いと実感できている。私は、なんとかその背中に引っ付いて行くのが精いっぱいといったところだ。うーん、怪我をした期間を考えても、やはり、彼らの実力は並じゃあないね。

 

「うらぁ!」

「タイマンだよブライアン!」

 

 えげつない加速を見せる2人もいるし、うーん、練習とはいえ…あの背中を諦めたくは無いよね。

 

「まだまだ!負けてたまるかぁ!」

 

 そう叫んで、脚の力をいっきに解放させる。残りは500メートル。きっと走り終えた時には立てないだろうが、かといってここで負けるのも悔しいのだ。せめて、あと1センチでもこの差を縮めてやらねば気が済まない。

 

「そうだ!まだ負けてなーい!」

「うわおああああああ!!!!」

 

 言葉にならない声や、負けない!と声を出しながらラスパートになんとかついていく後方集団。ここまで来た連中は流石に無理!とは言わないようだ。

 

「くっそ!縮まらないか!だけど、まだ、まだもういっちょー!」

 

 悪態を付きながらなんとかブライアンの背中を追う。とはいえ、そろそろ私にも余裕が無くなってきた。視界の端をすぎていったのは200メートルのハロン棒。あと10秒程度で走り抜けられるのだが、この10秒が、この体力がない全力走行と言う極限では、永遠にも感じられるのだ。

 

 歯を食いしばり、脚に力を叩き込み、腕や背中の筋肉すらも強張らせて、きっと目は血走っているだろう。だがそれはここに居る誰もが同じ!あとは根性と練習の成果が出るのだ!

 

 残り100メートル!なんとかナリタブライアンの横に並ぶ。エアグルーヴはまだ先だ!ヒシアマゾンはまだ遠い!テイオーも、会長もまだ遠い!だが諦めない!

 

「うらあああああああああ!」

「こなくそがああああああ!」

 

 ブライアンの叫びと、私の悪態が重なる。練習という事を忘れて、本気で追い込む。最後の最後まで全力で、視界の端にはエアダブリンも迫ってきている。だが、追い抜かせない。追い抜かせてたまるものか!私が一番なんだから!

 

「ゴール!練習終了!このまま、クールダウンでターフを一周して今日は解散!」

 

 ゴールと共に、エアグルーヴの声がトレセン学園の練習コースに木霊した。

 

「っーはー!はー!はー!はー!」

 

 息も絶え絶え。なんとか倒れないように脚を前に進めながら、息を整える。競い合ったナリタブライアンを横目で見てみれば、なんと涼しい顔だろうか。多少息はあがっているが、私のように完全に絶え絶えにはなっていない。会長や、トウカイテイオーらも例にもれず、談笑なんかも始めてしまっている。

 

「流石だな、テイオー。成長が楽しみだ」

「へっへーん!すぐに追いついて見せるからね!カイチョー!」

「またそうやってお前は調子に乗る。会長にすぐに追いつけるわけがないだろう」

「えー!?なんでそんなこというのさー!エアグルーヴ!」

「ブライアン、あんた、また強くなったんじゃないのかい?」

「まだだ。あんたの背中を見てるようじゃ、まだまだ納得はいかん」

 

 いや、素直にすごいなと思う。この高い心肺機能と、練習をどんどんとものにしていく様は、なんというか、スター!といった雰囲気を感じ取れてしまう。ふと、隣でぜーはーぜーはー言う音が聞こえた気がしたので、ちらっと視線を向けてみた。

 

「ぜー、はー、ぜー、はー…はんぱ、ない!」

 

 私と同じ、息も絶え絶えのエアダブリンその人だった。うん、本当に半端ないと思うわ。

 

「本当に半端ないよね。はー、ふー」

「ほんとうにそう思う。ぜー、はー。あー、でも、今日はファレに完敗だったなぁ」

「え?そう?」

「だって、ナリタブライアンの背中を捉えてたじゃん。あたしは今日は無理だった!」

 

 ちくしょー!と叫ぶエアダブリン。それを観ながら微笑みを浮かべる。ああ、そうか、なんとか、ナリタブライアンの背中は捉えていたのか。…よし、我ながら、練習に手ごたえありだ。

 

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