「本日の提督の予定は、午前10時より市民団体との会合となっていますので、15時迄は不在となります」
大淀が朝のミーティングを秘書官達と行っていた。
「それじゃ行ってくる、青葉、衣笠、吹雪、白雪を同行とする」
僕はミーティングを終えた大淀に伝えると、市役所へと向かった。
「田神提督お待ちしておりました」
市役所の入口に海自の担当官と市役所の担当者が待っていた。
「お待たせしました、今日は宜しくお願いします」
僕達は会議室へ案内された。
「お待たせしました、中津港泊地提督の田神です」
僕は挨拶をすると席についた。
「それでは皆さんお揃いになりましたので、始めたいと思います」
市役所の担当者がそう言うと、僕は各市民団体から受け取っていた質問状について回答していくことにした。
「まず、艦娘排斥運動の質問から…これは海上自衛隊の方からお願いします」
司会が海上自衛隊の担当官に振った。
「何故自衛隊が戦わないのかについてですが…これは深海棲艦との戦闘初期に我々の有する通常戦力が全く通用せず壊滅させられたからです…そして愚かにもロシアとアメリカが核を使用し…より強力な姫級や鬼級と云われる個体を生み出してしまいました、勿論両国の海上、航空戦力は壊滅してしまいました………」
若者を中心とした市民団体のメンバーはただ呆然と聞いていた。
「続いて提督より艦娘についてのお話をお願いします」
僕はマイクを持つと、
「市民の皆さんの中には、艦娘イコール化け物や深海棲艦と何が違うという意見、また女子供に闘わせてといった意見がありますが、深海棲艦には我々では傷一つ付けることができません、唯一の対抗手段が彼女艦娘適性があり適合憑依を受けた艦娘なのです…」
僕は一呼吸おくと、
「化け物という人達に問いたい、彼女達の悲しみを理解できますか、この中にご結婚されている方や恋人がいる方も大勢居ると思います、愛する人と同じように老いていく事の出来ない彼女たちの悲しみを理解できますか?」
僕は周りを見回し、
「此処のにいる4名の艦娘は艦娘適性があったので艦娘となり、僕が産まれてからずっと一緒にいた者たちです、彼女たちの悲しみが少しでも理解できますか、愛した男性は老いていくのに自分は死ぬ迄この姿のままでいる事を…親兄弟から置いていかれる事を!」
僕が此処まで話すと、各市民団体の参加者は顔を上げることが出来なくなっていた。
「此処にいる、青葉は僕が赤ん坊の時からの付き合いです、そして婚約者でもあります…僕が成長しても彼女はずっとこのままの姿です、一部の人は若い姿のまま羨ましいと思うでしょう、ですが考えてみてください、夫婦から父娘そして祖父と孫のようにかけ離れていく姿を!その時の彼女の悲しみを、お願いします彼女達を理解してあげてください」
僕は最後に頭を下げた。
「提督さん…その済まなかった」
今迄艦娘を毛嫌いしていた市民団体の代表者が僕に謝罪した。
「そうだな、君達は君達で…本当に済まなかった」
代表は青葉達にも直接謝罪した。
そうしてこの日の会合は無事に終了した。