とある少年の泊地生活   作:屋根裏散歩

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悲劇②

「明石、受け入れ準備できいますか」

 

扶桑が救急車の車内から鎮守府の明石に状況を確認していた。

 

「修復ドッグ二基とバケツ用意完了してるわよ、それと横須賀から元帥と秘書艦の鳳翔さん到着しているって提督に伝えて」

 

扶桑はスピーカーモードになっていた会話を終えると私をみた。

 

「だそうです」

「ありがと………」

 

私はストレッチャーに固定されている圭司をみた、

 

「………何で、この子達が………」

 

私は理不尽な行為に怒りを覚えた。

 

「陸奥………警察の話だと、その…啓太君達と陽炎達をみた犯人が勝手にカップルだと思いこんで、自分は彼女いないのにとその怒りの矛先を向けたそうです」

 

私は扶桑から話を聞いて、その犯人の身勝手な思い込みによる凶行に怒りを覚えた、それは同時に何時もは物静かな扶桑も思っていたようだった。

 

「はい、扶桑」

 

扶桑のスマホが鳴った。

 

「そうですか、こちらはあと数分で鎮守府に到着します………」

 

扶桑は電話を切ると、

 

「救急隊員さん、鎮守府に到着したら艦娘が誘導に立っています、その誘導に従って進んでください」

 

救急車を運転していた隊員が頷いた。

 

「あれが鎮守府です」

 

救急車は速度を落とすことなく鎮守府内へと入っていった。

 

扶桑が再度スマホを取り出すと、

 

「明石、工廠前に到着しました、お願いしますね」

 

救急車が工廠前に止まった。

 

「隊員さん、そのままこちらです」

 

工廠前で待機していた明石が隊員を誘導した。

 

「夕張、北上さん!」

「はい」

「ほーい」

 

夕張と北上、大井が救急隊員からストレッチャーを引き継ぐと、工廠備え付けのストレッチャーへと移し替えた。

 

「大井っち、足持って」

「北上さん、はい」

「1、2、3、はい」

 

移し替えが終わると、救急車は戻っていった。

 

「お願い………」

 

私達は祈る気持ちでドッグのカウンター表示が点灯するのを願った。

 

「!」

 

それから直ぐにカウンターが表示された、啓太君は784時間、圭司君は472時間だった。

 

「啓太がおおよそ一ヶ月、圭司が約二十日………」

 

私は安堵からかその場に座り込んでしまった。

 

「バケツはそのままでは危険なので希釈してから段階的に濃度をあげて使用します」

 

明石がバケツについて説明した。

 

「先ずは高速修復剤500ccに対してドッグ水溶液10リットルの割合からいきます」

 

明石がドッグにビーカーで計量した修復剤を投入した。

 

「カウンターが!」

 

夕張がカウンターを指さした。

 

「僅かではあったが進み方が速まった」

 

その進み方をみた明石が、

 

「この様子なら…あと、1500ccはいけそうですね」

 

そう言うと、予め計量用意していた修復剤を投入した。

 

「啓太君が7日、圭司君は4日………これ以上はやめておいたほうがいいでしょう」

 

明石は希釈した修復剤投入を二回で止めた。

 

「陽炎も、不知火も気に病む必要はない、君達が悪いわけではないから」

 

提督が陽炎達を慰めていた。

 

「だけど…」

「不知火に落ち度…」

 

私は陽炎達をそっと抱きしめると、

 

「二人は大丈夫よ、私の子供たちだからね」

 

二人は少し落ち着いたのか、提督に言われるまま部屋へと戻っていった。

 

「しかし彼女いないからって、目の前にいた子供に手をかけるとは…許せないねぇ」

 

北上が呟いた。

 

「本当です、北上さんを怒らせたのだから私も許せません」

 

大井が方向は変だったが彼女なりに怒っていた。

 

「まぁ犯人は既に逮捕されているのが救いね………」

 

私は気持ちの落とし所を見つけると気分を落ち着けた。

 




バケツ=高速修復剤としています。
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