全体貫通即死攻撃勇者   作:null_gts

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単純明快な差

「残念ですがあなたにはここで死んでもらいます。」

 

 休日にネットでお気に入りのサイトを巡回しながらだらだらと過ごしていたら、突然部屋の中に現れた銀色ののっぺりとした人形スライムに100均ショップに売ってるような銃のらしきものを突きつけられ冒頭の台詞を言われた。

 突然そんなことを言われるような事をした覚えは無い……とは言い切れないが、それよりもこの生き物が私のチートで死んでいないことの方が驚きだ。

 私のチートの一つの全体攻撃の範囲は最低でも地球全体なわけだが、この生き物は私の攻撃範囲内にいるのに死んでいない。手を振ったり足を動かしてみても眼前の生き物は消えず、銃のようなものを突きつけたまま動かない。

 

「何故自身の力が効かないか疑問ですか?簡単なことです、我々はあなたの力を調べ対抗策を用意してきた。上位存在より与えられた力ならば、同等の存在の力を得れば防げる。」

 

 そういって銀色の人形スライムの頭部にあたる部分が凹凸を作り、まるでニヤリと笑っているかのような形になった。

 

「いくら圧倒的な力を有していたとて、それが使えなければあなたは只の人間でしかない。では宇宙の平和の為死んでいただきます。」

 

 銀色のスライムが引き金を引くと銃口から赤い光が飛び出す。それは近くに積んであった本が当たってもいないのに燃えだすほどの熱量を持ち、真っ直ぐ私に向かって飛んで来る。

 死の間際の走馬灯を見ているかのようにゆっくりと光線が向かってくる。私は向かってくる光線の前に手を出し受け止めると、両手で熱が逃げないようにぎゅっと包み込んだ。

 

「……は?」

 

 銀色のスライムからあり得ないものを見たような声が出てくる。

 私は捕えた熱を窓の外に向けて放り投げると、燃えている本も外に投げ捨てる。そして火事の危険をとりあえず脱したので、銀色のスライムと相対する。

 私が目線を向けると銀色のスライムは全身をぶるりと震わせる。そして炸裂音と共に無数の水滴となって消えてしまった。

 どうやら私のチートが効いたように見せかけての逃走のようだ。私は窓から身をのりだし空を見る。何らかのカモフラージュをしているようだが私の目ははっきりとそれを目視していた。

 

 窓から外に飛び出し奴らの宇宙船に向けて飛び上がる、レベルが上がって得た身体能力なら容易くできる。只着ていた服は耐えきれずに散り散りになってしまったのは誤算だったが。

 宇宙船に向けて飛び上がる途中でさっき逃げたスライムがいたので、ついでに逃げるときに見えた核らしきものを跡形もなく吹き飛ばしておいた。

 宇宙空間にでると僅かにダメージを受けている感覚がするが、レベルが上がった私からすれば微々たるもの。宇宙船の外壁を叩き壊して侵入すると手当たり次第に見えたスライムの核を破壊する。

 命乞いの言葉を言う者もいたが構わず潰す、敵に情けや容赦は必要ないのだから。そして全てのスライムを破壊し尽くすと今度は奴らの本拠地へ向かうことにした。

 普段は全力を出す必要性がないから一般人のように生活していたが、本気で事に当たれば私はレベルの高さによるステータスのごり押しで大体何とかなる。奴らはそんな私の姿を見てチート能力だけだと思い違いをしていたようだ。

 先に手を出してきて自分達の安全の為に対話も無く攻撃してきたなら、私の安全の為にやり返してもいいだろう。

 宇宙船の操作方法をマニュアルを読んで把握し、ワープ技術を使って本拠地まで移動。いきなり砲撃が雨霰と降り注ぎ宇宙船が大破し粉々になったが私は無傷のままだ。

 まずは宇宙船の動力を破壊する、ワープで逃げられると面倒だからだ。周りにある残骸を投げつけると散弾のようになって次々と宇宙船を穴ぼこにしていった。

 動力が止まった宇宙船を尻目に奴らの本拠地へ着陸する。猛スピードで地上に降り立ち巨大なクレーターをつくると、私は全力を込めて地面を殴る。着陸時の衝撃を上回る一撃は星に罅をいれ、幾つもの欠片に分離させた。

 後は消化試合だ。動けなくなった宇宙船の乗組員を一隻ずつ全滅させ、残りの分かれた地表にいるものも倒しきって終了。全滅させるまでの間にファンファーレが鳴ることはなかった。

 

 銀色のスライムたちを全滅させた私は、砕けた地表から物資を集めて損傷の少ない宇宙船を修理して帰ると、宇宙船を自壊させて証拠隠滅。そして服を着直してから窓から投げて燃え尽きている本を片付けた。

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