シンオウはヒスイの未来?
私は時の狭間に迷い込んだ?
ディアルガが教えてくれたのは現実味の無い話だった。
もちろん夢の中の話なら現実味が無いのは当たり前。
・・・言われて釈然とするようなしないような。
そんな私の困惑を、ディアルガは優しく察してくれていた。
『あなたの魂は遠い未来へと時を超えた。そしてあなたの子孫にあたるその体に転移したのです』
え? 話が全部唐突すぎて。え? え? え?
そうだ。夢なら確かめればいいんだよ。こう頬っぺたをつねって。
・・・・痛い。すっごく痛い。
『ここは夢の中などではありません。全て現実です。ここはあなたのいたヒスイの未来の姿なのです』
未来・・・ヒスイの・・・
いや。いやいやいや。
ヒスイ自体かなり昔だなぁって思っていたし、シンオウだって少し未来だったり古さを感じたり、言ってピンとくる時代感がないけど。
・・・・・
そう、なんだ。ここはヒスイの未来なんだ。
コトブキムラも、もう過去なんだ。
テル先輩やヒナツちゃん、シマボシ隊長やラベン博士。
カイちゃんやセキさん、デンボク団長も。
ムベさんのイモヅル亭も。ベリーラさんの訓練場も。
ヨネさんもゴンべも。ススキさんやツバキさん、ワサビちゃん。
キクイさんやユウガオさん、ガラナさんやハマレンゲさん。ノボリさん。
みんなもう・・・いないんだ。
でも私は・・・未来に来ちゃったから、もうそこにはいない。私だけ・・・
『あなたが時の狭間に迷い込んだのは私のせいです。たった今、ギンガ団のアカギが私を操って時を暴走させた。あなたがこの時代に来たのは、その反動のせい』
え? ディアルガの暴走のせい? でも暴走したのって今の今でしょ? 私がここに来たのってずっと前だよ?
『時の狭間は時の流れと関係なく起こります。いずれにせよ、私にはあなたを見守る責任がある』
そう言うとディアルガは私に顔を寄せてきたわ。
『あなたが望むなら、わたしはあなたをヒスイの時代に戻すことができる』
え?
『ですがもし、あなたがこの世界で生きていくことを望むなら、わたしはあなたを守り続けましょう』
え? ヒスイに戻るか・・・シンオウで生きていくか?
私は悩んだ。
たしかに言われてみれば、シンオウの世界は全てが便利だ。私の元の世界みたいに、電気もある。ガスもある。水道もある。
暮らすのに不自由はほとんどない。
でも、私の心は?
さっきまで何を思い出していたのか、私は思い直した。
最初に思い浮かんだのはコトブキムラのみんなの顔。
もちろんこの世界にも家族はいる。お母さんやジュンくん。ナナカマド博士やコウキくん。
でもディアルガが言っていた。私は私の魂が私の子孫に転移した存在。
ってことは、本当はこの体は、この体の持ち主の子のもの。
私のじゃない。
ってことは、悩む必要もないってことだね。
ディアルガ、お願い。私を元の時代に戻して!
『相分かった。だが今はできない』
・・・・え? できない?
『時渡りは容易い話ではない。もちろんエネルギーが必要だという問題もあるが。もっと大事なものがある。それは私とキミとの強い信頼だ』
強い信頼・・・
『あなたはたしかに強い。ギンガ団をたった一人で倒してしまうほど。だが、私はあなたの強さをこの目で見たわけではない。その強さを信頼できていない』
私の強さ。ディアルガに信じてもらう強さ。
『あなたが最強のポケモントレーナーとなった時、わたしはあなたの強さを認めよう。あなたが最強のトレーナーになった時、時を渡りヒスイの時代へと送ろう』
分かったわディアルガ。というよりこうなるんじゃないかって少し予感もあったんだ。
流されるままにジムバッチだって7つ集めたんだし。
こうなったら8つめのバッチを手に入れて。
挑んでやろうじゃないのポケモンリーグ!
そして私は、シンオウのチャンピオンになる!