BLUE FIRE    作:魂無

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 初めまして魂無(タマナシ)です。
 漸く最初の一歩を踏み出す事の出来たアタクシの作品BLUEFAIR(ブルーファイヤ)を楽しんで頂けると幸いです。


魔浮事件~生存者の懐述~

 周りから漂う海の香りの不快さから自分の日常が海の上である事を改めて確認する。

 

 同僚達が辺りを詰まらなさそうに眺めているのを見ると、どんな絶景であろうと腐り切ってしまうのだろうなと謎の確信を得て、それを吐き捨てるように目を逸らした。

 

 上司の盛り上がった上腕二頭筋が見えた、到着だ。指令を待つ。

「絶景の殺害に従事している暇が有ったら、そろそろ始まるから着替えたら如何ですか?」

 

 酷く皮肉じみているが何時も通りだ。自分と同僚達(低学歴のブルーカラー共(偏見))は重めの足取りで船内の更衣室に向かう。

 

 作業着を着て更に深いコンテナへと向かう。そこには大の大人二人分程度の体を屈めている人型ロボットが鎮座していた。

 

 これの原型は、あるスポーツで使われているロボットを簡略にしたもの。簡略化の果てに本家に比べると人が自由に動き回れる空間は無く、座席に座る様に乗り込むモノになった。

 

 何時ものように乗り込む。システムが次々自分にアナウンスを投げかけて行く。どうせ見る事なんて無いのに律儀でバカな物だ。

 

 操縦桿を握って動作を確認する。何時も通りのおんぼろだ。歩みを進めると関節部からギシギシと不快な金属音が鳴る。本日は頗る調子が良いらしい。いっそ圧し折れれば良い物を。

 

 入り口に辿り着くと、同僚たちが続々と海中に飛び込んでいた。自分も続く。自分は中ほどらしい。

 

 動力を利用して海中の目的地に向かう。目指すは海底、資源の園。メタンハイドレートの採掘に向かっている。

 

 化石燃料の需要は全盛に比べて遥かに劣り見る影も無いが、我々には発電所と言う太客がいるらしい。発電をする種火として化石燃料はとても有効であるらしく、石油会社の殆どが倒産したのもあり、わが社の寡占状態である。今日も今日とてアタクシ達は工具で海底を削り、化石燃料の露天掘りを行うのだ。

不快な音を立てながら工具が海底を削る。燃料を取り入れ、岩石を吐き出す。仕事熱心で宜しいと嗤いがこみ上げて来やがる。

 

 

   誤珍ッッ!

 

 

 一際不快な音と共に侵攻が滞る。

 

 ムキになった。一心不乱に工具をぶつけて障害を破壊しようと試みた。何も考え等無かったのだ。

 

 障害を取り除きほっとした自分が次に聞いたのは、この世の終わりを海の中で聞いたような地鳴りと轟音、それに遅れてそこら一体から噴き出してくる泡。眼前が塞がれて錯乱のような混乱が心中を襲う。やり過ごせる事を祈って一心不乱に愛機のカメラの部分を覆い続ける。

 

 長い長い轟音は数分の間続いて漸く収まる。

 

 静まったと思い、安堵をしようとした瞬間、自分の上方、つまり海上——船の方向から轟音がした。爆発のような炸裂音がする。

 

 慌てて海上に浮上する。そこに広がっていたのは——地獄だった。

 

 自分達を乗せていた船は炎上し、船上には火だるまになった船務員が船から転げ落ちていた。

 

 怒号と悲鳴が次々と飛び交い、未だ沈まぬ船からは先程皮肉を訴えた上司が苦悶の顔を浮かべ、意識を断って横たわっていた。

 

 そこから先は覚えていない。残った人生すら自分は抜け殻の様に過ごして行った気がするのだ。

 

 

    ☨       ☨        ☨

 

 

 2058年5月24日日本の太平洋側排他的経済水域内にて発生した事件。これを魔浮事件と呼ぶ。

 

 この日を境に世界は一変した。

 

 ある場所では、人が火を放った。

 

 ある場所では、超常的な力を発揮した男が窮地の婦女を救った。

 

 ある場所では、超常の力を用いて地域一帯を支配する荒くれ者が現れた。

 

 様々な場所、人、団体がその超常の力を利用するようになった。

 

 そして人はその力を——魔法——と呼ぶようになった。

 




 多分期間が空きます。もしまた見て頂けるのであれば見て頂きたいです。宜しくお願いします。
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