ジョジョの奇妙な教室   作:空条Q太郎

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改変多々ありご注意ください!


第一章 入学編〜中間試験
空条承太郎 その①


 ようこそジョジョのいる教室へ

 

「中々設備の整った教室じゃないか。噂に違わぬ作りにはなっているようだねえ」

 

 枝毛など一本も存在しないだろう艶のある金髪をかき上げながら、教室の入り口で立ったままの男子生徒が誰に話しかけるでもなく声にする。

 

 その男子生徒は教室をぐるりと見回す。

 

「おや? これも何かの巡り合わせなのだろうねえ」

 

 フハハと高らかに笑うと金髪の男子生徒は目を止めた窓際後方二番目に座る生徒の元へ向かう。

 

 金髪の男子生徒——高円寺六助が向かう先には座っているにもかかわらず体格の異常なまでの大きさが窺える世紀末でも通用しそうな男子生徒。

 

 掌マークのエンブレムや鎖などを付け、他にも制服を一部改造している。

 

 顔立ちも端正で彫りの深い、日本人離れした容姿の持ち主だ。ただ座っているだけのはずだのに、ただならぬ雰囲気を纏っている。

 

 そんな男子生徒に高円寺は声をかけた。

 

「君もこの学校に進学していたのだねえ、ジョジョ。お祖父様はご息災かな? フハハ、ジョースター不動産の愛孫たる君とのコネクションを持てるとは、わざわざここを選んだ甲斐があったというものだ」

 

 両手をポケットに突っ込んだまま、目を閉じていた男子生徒は呼び掛けに応じて静かに目を開ける。

 

「……高円寺六助……か。何かにつけて現れる奴……腐れ縁地味ていて気味が悪いぜ。それに、何度も言わせるな、おじいちゃんや会社の事はおれとは関係のねぇ話だ」

 

 ジョジョと呼ばれた大男は面倒臭そうに高円寺を見る。幼少期から嫌々参加させられていた大人の付き合いの場で幾度も顔を合わせてきた顔だ。

 

 側から見れば睨みつけられているような視線だが高円寺は慣れている為、臆したりはしない。

 

「生憎だが、君がどう言うまいと血筋は断てないからねえ。今後も将来を見据えた付き合いをよろしく頼むよ」

 

「……やれやれだぜ」

 

 高らかに笑い笑みを浮かべる高円寺に反して、承太郎は心底面倒といった様子だ。

 

「ところで承太郎。君は学生服にただならぬ拘りがあると話していた記憶があるのだが、ブレザーでもよかったのかな?」

 

「そこのところは学ランに学帽の学校を探してはいたんだがな」

 

「最近では少ないだろう」

 

「そう言うことだ」

 

 性の多様性について世間的な認知が広がるにつれ男女共用にし辛い制服は数を減らしている。

 

 承太郎——空条承太郎——としては憧れの形があったものの、己を溺愛している母の子離れの為にも、高度育成高等学校に進学したのだった。

 

「しかし、強情な君があっさり諦めるとは思えない。何かあったのかな?」

 

 面倒な会話を好まない承太郎だが、高円寺に対して答えないという応えがどれほどの確率で通用するか数々経験しているため、諦めて返答する。

 

「珍しくじいさんが進学に口を挟んできた。その都合もある」

 

「ほう、彼のジョースター氏が此処を推したと? それは興味深いねぇ。ハハハ、受験期にやさぐれた愛孫を憂いてのことかもしれない」

 

「変わったつもりはない」

 

「フハハ、確かに君の魂は自由のままだ。とはいえ、法を侵しては不良のレッテルを貼られても致し方あるまいよ」

 

「…………」

 

 他でもない、この空条承太郎はいわゆる不良のレッテルを貼られている。

 

 喧嘩相手を必要以上にぶちのめしたり、威張るだけの能無し教師に気合を入れてやったり、料金以下の不味い飯を食わせるレストランには代金を払わない、なんてことは日常茶飯事だ。

 

 警察に厄介になることもしょっちゅうだ。

 

 終いには喧嘩で母が警察に呼ばれることも多く、慣れた母は相手の怪我の具合を心配する始末。

 

「ふむ。なんにせよ、よろしく頼むよ承太郎」

 

 嵐もとい高円寺が去ると承太郎はふぅと重々しく唸る。

 

 高円寺は席に着くと、おもむろにカバンから爪やすりを取り出し、机上に脚を投げて爪を整え始めた。

 

「まったく……面倒な奴と同じクラスになってしまったようだぜ」

 

 しばらくすると、タイミングでチャイムが鳴り、担任教師らしき人物が入室してきた。

 

「えー、新入生諸君。私はDクラスを担当することになった茶柱佐枝だ。普段は日本史を担当している。この学校には学年ごとのクラス替えは存在しない。卒業までの3年間、私が担任としてお前たち全員と学ぶことになると思う。よろしく」

 

 高円寺と三年間同じクラスという事実に少し憂鬱になる承太郎を他所に茶柱の説明は続く。

 

「今から一時間後に入学式が体育館で行われるが、その前にこの学校の特殊なルールについて書かれた資料を配らせてもらう。以前入学案内と一緒に配布はしてあるがな」

 

 高度育成高等学校。

 

 日本政府が樹立した未来を担う若者の育成を目指した特殊な高校だ。希望する進路を100%叶えるという信じがたい実績を誇る超名門校だ。

 

「今から配る学生カード。それを使い、敷地内にあるすべての施設を利用したり、売店などで商品を購入できるようになっている。クレジットカードのようなものだな。ただしポイントを消費するので注意が必要だ。学校内においてこのポイントで買えないものはない。学校の敷地内にあるものならなんでも購入可能だ」

 

 承太郎は祖父がわざわざ推薦してきたこと、学校中にあった監視カメラのこともあり説明を注意深く聞いている。

 

 いくつか細かいことが気になるが、まずは最後まで聞くことにした。

 

「それからポイントは毎月1日に自動的に振り込まれることになっている。お前たち全員、平等に10万ポイントが既に支給されているはずだ。なお、1ポイントにつき1円の価値がある。それ以上の説明は不要だろう」

 

 生活費の支給額を聞いて、承太郎も思わず耳を疑う。

 

 沸き立つ生徒たちを他所に、学校に対する警戒心が跳ね上がった。

 

「ポイントの支給額が多いことに驚いたか? この学校は実力で生徒を測る。入学を果たしたお前たちには、それだけの価値と可能性がある。そのことに対する評価みたいなものだ」

 

 茶柱はその後も現金化はできないなどポイントに関する情報を伝達し、質問はないかと生徒たちを見渡す。

 

 承太郎の腕が静かに挙がる。

 

 太い圧倒的な存在感を持った腕にクラス中の視線が集まり、茶柱が発言を促した。

 

「先生、あんたはさっき入学を果たした俺たちに10万円に値するポイントを支給すると話していたな。そして、毎月1日にポイントを支給するとも話していた」

 

 高校生離れした低く渋い声に聴き入るもの、纏う雰囲気に恐怖するもの反応は様々だが、茶柱は正面から承太郎を見据える。

 

「ということは、だ。何の成果もなく過ごした来月の支給ポイントの額ってのはどうなるんだ?」

 

 少々回りくどく、一部の生徒は理解していないようだが、要は入学のボーナスのない場合のポイント支給額を確かめているのだと聡い者は行き着く。

 

「先ほど説明した通りだ。来月も1日に滞りなく支給される」

 

「おいおい、俺はそんな事を聞いているんじゃあないぜ。来月の支給額を聞いているんだ。さっさと答えてもらおうか」

 

 元々ドスの効いた低音ボイスに気迫が籠り、周囲の生徒の多くは身を震わせた。

 

「それについては答えることができない。これが答えだ。これ以上はない」

 

「そいつはおかしな話じゃあねえか? 俺が聞いていることは、例えるなら新入社員が会社に対して月々の給料を確認しているのと同じ事……ようは当たり前の権利、会社側には説明責任ってものがある。違うか? あんたら教師はこの場合で言う会社側の立場のはずなんだがな。なあ答えてくれ、子供の頃『刑事コロンボ』が好きだったせいか、こまかいことが気になると夜もねむれねえ」

 

 確かに……などと10万という支給額を聞いて浮かれていた生徒たちも口々に呟き始め、教室が響めきだした。

 

「面白い例えだが、第一に此処は企業ではなく学校だ。一緒くたに論じられては困る。二つ、私は必要な説明責任は果たしている。学校や教育委員会、文部科学省、何処へ訴えようともこれ以上の説明は為されないと覚えておくと良い」

 

 脅迫じみた承太郎の問いにどうじることなく茶柱は堂々と回答だけを行う。

 

「最後に、空条、目上の人間に対する言葉遣いが成っていないな。言葉に気をつけたまえ」

 

 空条承太郎がどう切り返すのか、一挙手一投足に注目が集まる。

 

 気性が荒そうであることは既に全員が理解したところだ。逆上して殴りかかるのではないかと気が気ではない。——が。

 

「……なるほどな。あとはやりながら覚えろと……次の質問だ」

 

 思いの外冷静に返す空条を見て各々安堵する。

 

「ポイントで買えない物は無いとは、出席日数も買えるってことでいいんだな?」

 

「その通りだ」

 

「額……は聞くだけ無駄か」

 

「ああ、そうだ」

 

「そうか。どやした様で悪かったな。以上だ」

 

 他に質問があるものはいるかと茶柱が呼びかけると、物凄く気まずそうに挙手する男子生徒が1人。

 

 承太郎の後ろに座していた男子生徒は当てられると立ち上がった。

 

「あの……すみません。黒板が……その……見づらくて……はい。席替えを……」

 

 表情筋が死に絶えた少年は自信なさげに言葉を紡ぐ。隣に座る美少女がほくそ笑んでいたのはここだけの話だ。

 

 とにもかくにも、前に座るのが身長195センチメートルかつ肩幅も常人の倍では効かない巨漢が座っているのだ。

 

 当然視界は遮られていることだろう。

 

「……そうか。今すぐにとはいかんが座席を検討する。明日には決定して連絡する」

 

 クスクスと笑う声が少年の心を抉るが、致し方無かった。

 

 その後茶柱は他に質問等が無い事を確認すると退出した。直ぐにタイミングを見計らって1人の青年——平田洋介が自主参加の自己紹介場を設けた。

 

 平田の容姿に釣られた他に、カーストなど様々な思惑を渦巻かせながら初動を決めにかかる女子たちにより可決され自己紹介が始まる。

 

 回り回って承太郎のターン。

 

 ガタリと音を鳴らしながら椅子から立ち上がると周囲の生徒は息を呑んだ。

 

 身長195センチの日本人離れした身体。両手はポケットに突っ込んだまま立つ姿はさながら絵画のようだ。

 

 両耳に付けた丸ピアス、ひと房だけ垂れ下がった前髪。改造された制服に、三角形が連なった二本のベルト。

 

 初日から圧倒的な存在感を態度だけでなく見た目でも放つ承太郎。

 

 彫刻のような端正な顔立ちに頬を染める女子生徒も散見される。

 

「俺は空条承太郎。血液型はB型。趣味は飛行機や船の本を見ること。相撲も、特に千代の富士の試合をよく観る。以上だ」

 

 

 

 

 

 

                         ←To Be Continued




駄文お読みいただきありがとうございます。
何処まで続くかわかりませんが承太郎っぽさのかけらでも出せていれば幸いです

1番脚がグンバツの女子生徒は?※承太郎と何かあるわけではない

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