ジョジョの奇妙な教室 作:空条Q太郎
文言変えてるところもちょいとあります。
感想欄から
個人的に高円寺は近距離パワー型、清隆は…誰でも似合うwかな?
無人島へ行こう その②
『生徒の皆様にお知らせします。お時間がありましたら、是非デッキにお集まりください。間も無く島が見えて参ります。しばらくの間、非常に意義ある景色をご覧いただけるでしょう』
奇妙な放送が流れているのを承太郎たちが展望デッキで聞いているのと時同じくして船内のレストランでフレンチを味わっていたAクラスの二大巨頭が一人、葛城康平も耳を傾けていた。
承太郎ほどではないが高校生にしては大きな躯体、そして何よりもスキンヘッドという容姿ゆえに人目を引く。お洒落としてではなく病気のための髪型のため本人はいじられても相手にしたりしないがわざわざ口にするものは一学期共に過ごしてきた生徒たちの中にはいない。
椅子に腰掛けている姿勢やテーブルマナーに至るまで実に美しく彼の人となりを物語っていた。
「葛城さんの読み通りでしたね」
葛城に反して背伸びをしている雰囲気が否めない様子の男子生徒戸塚弥彦が嬉しそうに話す。
彼は葛城派筆頭の生徒であり、周りからは腰巾着と揶揄されていたりする。というのも戸塚は虎の威もとい葛城の威を借りる言動を取ることがままあるのだ。
しかし、Aクラスに配属されているだけのことはあり文武ともにそれなりにはできる。
「行儀が悪いぞ弥彦。しかし、我々も早々に向かう必要があるな」
手早く残りの食事を済ませると二人はアナウンスに従いデッキに向かうことにした。
「それにしても流石です葛城さん。まさかこのバカンスが試験になるだなんて思っていませんでしたよ」
「そんなことでいちいち浮かれるな、まだ何も確定したわけではない。ただ、妙な放送が流れただけだ」
「そ、そうですね。まずはしっかり意義ある景色とやらを見ないといけませんよね」
デッキに出るとしばらくして島が全貌を現し、船はその外周を高速旋回する。
多くの生徒が他の景色やなんとなく島を眺める中葛城の目は上陸する無人島の構造を的確に捉えていた。
人の手が入っている事を感じさせる開けた道に、それが続いていく先には洞窟が見える。
漫画の考察班が論点を探すために不自然に感じるところを探す様に、葛城は大自然の中での人為を感じさせる違和感を探し、それらを見つけた。
「葛城さん何か分かりましたか?」
頼ってくれるのは嬉しくもあるが、完全に全権を委ねてくる戸塚にもうすこし頼もしくなってくれればと思った葛城はフンと鼻を鳴らした。
犬の様に爛々とした目を向けられている葛城は「ここで話すことではない」と区切ると船内に戻った。
葛城が試験の展開と洞窟への道のりを何通りもイメージしながら自室へと歩いていると唐突に呼び止められる。
「葛城くん、意義ある景色は見ることができましたか?」
我々はこのロリ銀髪を知っている!
いや!
この黒いベレー帽と絶対領域を飾るガーターベルトを知っている!
杖をつきお付きの者を従えた坂柳有栖だ。
「……坂柳か。勿論だ」
坂柳の登場に葛城の表情が曇った。
派閥として双璧を成すふたりはその性質が大きく異なる。
坂柳が矛、葛城が盾といった具合だ。
そもそも葛城は他の誰かが立候補するのであれば、自らがリーダーとして率いていこうとは考えていなかった。
小学校、中学校と学級委員や生徒会、それも長として務めてきた自負はある。
しかし、葛城はそれを威張る様な男ではなく基本は温和で協調性のある男だ。
この学校の競争にも真摯に取り組むものの、他クラスを見下したり貶めたりするつもりは毛頭ない。
それに真っ向から反するのが坂柳だった。
好戦的で狡猾。クラス内でも過激な言動を取り、手段を選ばず勢力を広げている。
坂柳の言動には内心穏やかではない生徒も多い。
それを守るために立ち上がったのが葛城というわけだ。
「私はとても残念ですが今回、無人島へは上陸することができません」
「そうか、それは残念だ」
「フフフ、心にもない事を言わなくても構いませんよ? 同じクラスの仲間ではないですか」
どの口が、と喉元まできた言葉を葛城はぐっと飲み込む。
「無人島で何かあれば全て葛城くんの判断に任せます。ここにいる2人に話を通してもらえれば他の方々も動くでしょう。よろしくお願いしますね、葛城くん」
「もとよりクラスでの協力は必要なもの、言われるまでもない」
「フフ、そうでしたね。果報をお待ちしています」
終始にこやかだった坂柳はそれではと葛城たちを横切り歩いて行く。
「葛城さん、これはチャンスですよ! この試験で結果を残せば坂柳派も黙りますよ!」
完全に声が聞こえないだろう距離を取ると戸塚は興奮気味に言った。
「弥彦、前にも話したが派閥などというものをクラスに作りたいわけではないのだ。そういう発言は控えてくれ」
「……あ、はい」
「しかし、一方でお前の言いたいこともわかる。Aクラスの生徒たちが平和に笑っていられる様に全力で当たるつもりだ」
「俺もどんなことでもしますよ!」
葛城が戸塚からの厚すぎる信頼を感じている一方、坂柳たちもお付きの者が尋ねていた。
「本当にいいのあいつに任せて。結果残されたらあんたの立場も悪くなるんじゃないの?」
心配する様な言葉をかけたのは側近の神室真澄だ。サイドテールが特徴的なかなりの美女だ。
坂柳に能力を買われたという訳ではなく、万引きを目撃され、通報しない事を条件に脅され働かされている。
「ま、そうなったら俺は葛城につかせてもらいますよ?」
金髪を短く束ねた男子生徒、橋本正義だ。総合的にバランス良くなんでもこなす男で世渡りがうまいと豪語している。
坂柳についたのも価値を見込んでのことだ。
「葛城くんでは勝てないとは思いますが、私が勝たせてあげるとでも?」
坂柳は2人にいくつか指示を出し一週間ひとりで過ごすことになる自室に戻った。
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船上にいた生徒たちは無人島に到着すると体操服への着替えと持ち物の持ち込み制限を受け灼熱の砂浜に並んでいた。全体的にだらけた様子ではあるが、特にAクラスとBクラスの生徒は引き締まった表情で急に設置された壇上に登る真嶋先生の言葉を待った。
プロレスラーのような体格からは意外という声がよくきこえてくるほど頭も良く優秀な教員らしく複数の免許を持っているらしい。
その真嶋先生はメガホンを手にして話し始める。
Dクラスの王、龍園翔もまた試験を予期し真剣に耳を傾けていた。
「今日、この場所に無事つけたことを嬉しく思う。しかしその一方で1名ではあるが、参加できず船上待機である者がいることは残念でならない」
「いるんすよねぇ、イベントに参加できない残念なやつって」
龍園にそっと語りかけるように石崎がつぶやくが相手にしない。
真嶋先生は直接的な発言は避けていたが、今回欠席しているのは坂柳だ。身体的な理由であり、プライバシーに配慮してのことだ。
裏では作業服に身を包んだ大人たちがテントの設営に取りかかり、無人島にはふさわしくないpcの類を搬入している。
「ではこれより———本年度最初の特別試験を行う」
聞き馴染みのないワードの登場に生徒たちはざわめくが覚悟してきた者たちの面構えは違う。冷静に続く説明を待っていた。
「期間は今から一週間。8月7日の正午に終了となる。君たちはこれから1週間、この無人島で集団生活を行い過ごすことが試験となる。なお、この特別試験は実在する企業研修を参考に作られた実践的かつ効果的な者であることを先に言っておく」
「無人島で生活って……船じゃなくて、この島で寝泊まりするってことですか?」
CかDクラスのあたりから疑問の声が飛び真嶋先生は毅然とした態度で答える。
「そうだ。試験中の乗船は正当な理由なくして認められることはない。この島での生活は寝床から食料まで全て自分達で調達確保する。それら全てを考える必要がある」
はっきりと言い切られヤジを飛ばしていた輩も押し黙ると詳細説明に入った。
「スタートの時点でクラスごとにテント、懐中電灯をそれぞれ2つ、マッチを1箱支給する。また、日焼け止めや生理用品は無制限、歯ブラシも一人1つずつ支給する」
淡々と説明を続ける先生にくってかかる生徒もいたが正論を返され黙り込んだ。
そもそもどれだけ泣こうと喚こうと学校行事というものは行われるのだ。
与えられたテーマは『自由』
友人と遊ぶのも、バーベキューするのも泳ぐのも何をするも自由らしい。
「この無人島における特別試験では大前提として、まず各クラスに試験専用のポイントを300支給することが決まっている。このポイントを上手く使うことで1週間の特別試験を旅行のように楽しむことが可能だ。そのためのマニュアルも用意している。このマニュアルには、本試験のルール詳細やポイントで入手できるモノのリストが全て載っている。生活で必需品な食料や水などもある」
若干緊張していた雰囲気が弛緩して行く。
「この特別試験終了時には、各クラスに残っているポイントがそのままクラスポイントに加算されることになる」
弛緩したはずの雰囲気は何処へやら、浜辺を吹く風が音を巻き込んでいったのか一瞬の静寂が訪れ、どよめく。
最大でクラスポイントが300増える。それは月の配布額が3万円増えることだ。
生徒たちがやる気のギアを上げる。
「マニュアルは1冊ずつクラスに配布する。紛失などの際には再発行も可能だが、ポイントを消費するので大切に保管するように。また、今回の旅行を欠席した者はAクラスの生徒だ。特別試験のルールでは、体調不良などでリタイアした者がいるクラスにはマイナス30ポイントのペナルティを与える決まりになっている。そのためAクラスは270ポイントからのスタートとする」
真嶋先生はルール詳細を各クラス担任から聞く様に言うと一度解散の宣言をした。
「ククク、おもしろくなってきたじゃあねえか。おい坂上、マニュアルをよこしな」
奪い取る様に図書室にあるどのハードカバーよりも分厚いマニュアルを手にした龍園は早速目を通し始める。
「りゅ、龍園さん、俺たちは何をしておけばいいですか?」
「全員集めて坂上から説明を受けとけ」
「了解っす」
坂上先生がDクラスに説明をする最中、龍園は聞き流しながらマニュアルのページを捲り続ける。
マニュアルには真嶋先生の言うとおりルールの全てが記されていた。
ペナルティとして
『著しく体調を崩したり、大怪我をし続行が難しいと判断された者はマイナス30ポイント。及びその者はリタイアとなる』
『環境を汚染する行為を発見した場合。マイナス20ポイント』
『毎日午前8時、午後8時に行う点呼に不在の場合。一人につきマイナス5ポイント』
一番重い罰に『他クラスへの暴力行為、略奪行為、器物破損などを行った場合、生徒の所属するクラスは即失格とし、対象者のプライベートポイントの全没収』
と記されている。
追加ルールとして
『島の各所にあるスポットを占有する事で1ポイント獲得。更新は8時間ごととする。このポイントは決算時に加算されるものであり、試験中に使用する事はできない』
付随して
・スポットを占有するには専用のキーカードが必要である
・1度の占有につき1ポイントを得る。占有したスポットは自由に使用できる
・他クラスが占有しているスポットを許可無く使用した場合50のペナルティを受ける
・キーカードを使用することが出来るのはリーダーとなった人物に限定される
・正当な理由無くリーダーを変更することは出来ない
・7日目の最終日、点呼のタイミングで他クラスのリーダーを的中させたクラス1つにつき50
・リーダーは必ず1人決める
ルールの詳細を理解した龍園は不敵に笑うとDクラスの中心人物だけを集め、他には待機の命令を出す。
呼び出されたのは頭脳派の金田、武闘派のアルベルト、石崎、伊吹の4人だ。
龍園が自らの考えをある程度詳細まで共有しようとしているのは前回の承太郎の敗北から学んだからに相違ない。
現場の人間の判断が不味かったのは、指示が抽象的かつ当事者に思惑が伝わりきっていなかったからと判断した龍園は実働部隊には直接指示を出すことにしたのだ。
「今回の試験、まず俺と石崎、金田、伊吹以外は全員リタイアする」
「はぁ⁉︎何言ってんのあんたふざけんのも大概にしなさいよ!」
龍園のぶっ飛んだ発言に伊吹がキレた。それをアルベルトが抑え付ける。
「まずは龍園氏の考えを聞きましょう」
頭脳派の金田が冷静に話を進めようと切り出す。
龍園はマニュアルにある白紙のページを千切り何やら契約書じみた物を書き上げた。
「これは?」
「200のポイント分の物資と引き換えに、毎月クラスの人数×2万の
「なるほど、そう言う事ですか」
メガネを人差し指でくいとあげる金田。クエッションマークを浮かべる石崎、吠える伊吹、抑えるアルベルト。
「とても面白いアイデアだと思います。しかしながら、このままではあまりに詳細に欠く内容ではないでしょうか」
「ああ、その通りだ。あえて抜け穴は多い文言で書いたからな。この契約が成立すれば実質的な勝利を獲得した上で、ゲームでもポイントを獲得する」
「そううまく行くでしょうか?」
「いかせるのさ。そのためにお前たちがいる」
「全くわかんないけど、そんな契約どこが受けるのよ。まさかB?」
龍園が承太郎を意識している事は知っているので伊吹の中では真っ先に候補に上がる。
「アイツがこんなマヌケな契約結ぶ訳ねぇだろバカが」
「今なん——「bad girl」」
アルベルトが喚く伊吹の口を手で抑える。
「でも、だったらどのクラスにやるんですか?」
「Aだ」
「Aクラスですか? 1番ポイントには困ってなさそうですけど……」
「クラスポイントは多いが、アイツらは内部抗争中だ。そしてその片割れ坂柳は今回欠席、当然葛城は全権を持ち結果を残して統一を図ろうとするだろう。そして、なによりもBクラスの急激な追い上げに焦っているはずだ。そこを狙う」
「な! なるほど!」
「まずは交渉次第だが、上手くいった場合の話をするからよく聞きやがれ」
ここまで丁寧に解説してくれる龍園に驚いている4人をよそに龍園は話し始める。
「残りの100で必要物資と俺たちが豪遊してリタイアしたと思わせる工作を行うためポイントを使い切る。その後、金田をC、伊吹をBに送り込んでクラスリーダーを探る。俺と石崎は島に潜伏だ」
「0ポイント作戦ですか、面白いですね」
「いや、他クラスのやつなんて受け入れてもらえないでしょ? あんたバカなの?」
「お前の煽り方がワンパターン過ぎて心配だぜ伊吹。俺は今からお前らを殴る。運営方針の違いでモメて追い出されたと話しておけば馴れ合いのCクラスは確実に入れるだろう。その後は上手くやれとしか言えねぇな」
「Bは?」
「空条が指揮をとるなら十中八九追い出されるだろうな」
「ど、どうするんすか?」
「追い出されれば潜伏して、妨害に徹しろ。物の場所を変えたり、可能なら盗んだりしてな。疑心暗鬼で内部崩壊してくれれば最高だ。空条以外はカスだからな」
「入れたらどうすんのよ」
「警戒するのはむしろその場合だ。スパイと見越して泳がされる可能性が高い。その場合、俺たちの潜伏がバレかねない。人間関係の観察を中心に証拠を残さない様に妨害しろ。無理なら居るだけでいい。居るだけで食料やらでポイントを浪費させられる」
理解度に差こそあれど皆頷いて話を聞いていた。
「連絡はマニュアルにあったトランシーバーで行う。お前らはどこかに埋めてリーダーを探し当てたら連絡しろ。それから伊吹てめえはリーダーを探さなくていい」
「は? なんで?」
「空条なら俺と同じ事は思いついているはずだからだ。今は気にしなくていい」
「あっそ」
「ところで龍園氏、肝心の葛城氏がどこに居るのか心当たりはあるので?」
「ああ、やつなら洞窟に向かってるだろうよ」
なんでと尋ねる伊吹を無視して龍園はひとり森の中へと姿を消していったのだった。
そしてしばらくして洞窟から降りてきたであろう道で葛城を発見した龍園は接触する。
「おいおい、Aクラスのリーダー様がこんなところで何してんだよ」
「お前は龍園! 葛城さん、こいつは色々と黒い噂の絶えない危ないやつです」
外野が煩いが葛城の顔色が優れないのを龍園は見逃さない。
「お前こそどうした龍園」
「ククク、その様子じゃ洞窟はBに取られたか?」
「ど、どうしてそれを……」
「弥彦! 黙っていろ」
「図星かよ。ま、そんなお前らを救済してやるべくきてやった訳だが」
「……何を言っている」
龍園の思惑通り葛城は焦っていた。
しかもここにきてBクラスが先回りしていた事で拍車をかけている。
平常時の彼であれば聞く耳すら持たなかっただろう。
巡り合わせが悪いのか、はたまたこれが運命というものなのか。
葛城は悪魔の提案に耳を貸してしまったのであった。
一之瀬クラス?船上試験で出てくるよ!
1番脚がグンバツの女子生徒は?※承太郎と何かあるわけではない
-
堀北
-
櫛田
-
軽井沢
-
佐倉
-
一之瀬
-
坂柳
-
神室
-
伊吹
-
茶柱
-
真鍋
-
西野