ジョジョの奇妙な教室   作:空条Q太郎

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本当に評価ご感想ありがとうございます。

ちょいと、承太郎さんを喋らせすぎとは思いますがご容赦を

後今回長めです


鉄拳制裁

 

 沈黙の2日目を乗り越えた、高校生活3日目。

 

「Good morning 承太郎。随分と現状把握に精を出している様だねえ」

 

 学生寮のエントランスで鉢合わせた高円寺は朝から絶好調である。

 

「……朝っぱらからやかましいやつだ」

 

「フハハ、私は常にコンディションを最高に整えてるのだよ」

 

「……やれやれだぜ」

 

「それで承太郎。君は上を目指すのかな?」

 

 どうやら、高円寺も情報収集をしていたらしいと承太郎は気づいた。

 

 昨日見かけたハーレムは情報収集の一環だった様だ。

 

「Aクラスを」

 

 確かな情報から話しているのであれば、高円寺は承太郎よりも多くの情報を得ていることになる発言が気にはなるが、返事は変わらないため承太郎が聞き返すことはない。

 

「降りられねえ勝負事でわざわざ負けてやる趣味はない」

 

「フハハ、実に君らしい」

 

「安心しな高円寺、お前の協力なんざ期待していない。もっとも、状況によるがな」

 

「何のことかな? まあ、君がそう言うならそう言うことにしておこう」

 

 高円寺がわざわざ話しかけて来たのだ。

 

 何かしらの意図がそこには必ずある。高円寺六助とはそう言う男だと承太郎は認識している。

 

 そして、クラス間競争を話題に挙げたこと、自由人高円寺六助という人物を加味して承太郎が出した結論。

 

 ——それは

 

『私を面倒ごとに巻き込むな』

 

 暗にそう伝えて来たのだろうと判断した。

 

 承太郎の性格をしる高円寺は負けず嫌いな承太郎が抗争に参加するだろうと予想しているはずだ。

 

 瞬間の思考力が化け物じみているふたりの会話は必要最低限を終えると『アデュー』と高円寺は道中のベンチで待つ女子生徒の方へ去って行った。

 

 

 

 

 一日六限を基本とする高度育成高等学校だが、水曜日だけは謎のロングホームルーム(LHR)が行われるため、七限まで授業がある。

 

 そして今日がその水曜日であった。

 

 朝のショートホームルームで茶柱から今日のLHRはクラスの親交を深めるために自由に使って良いと説明をされたが、自由なら帰らせてくれと思ってしまうのは仕方のない事だろう。

 

 午前中の授業中、勿論大っぴらに私語するタフネスはいなかった。

 

 しかし、女子を中心に口頭での会話から指先での会話に移っていったに過ぎない。

 

 他にも居眠りするものゲームを机の下で楽しむものと水面下での問題は深刻なものだった。

 

 承太郎はそんな生徒たちに辟易としながら、黒板の文字を写す。

 

 やがてチャイムが鳴り、昼休みになると勇敢にも立ち上がり承太郎に近づく生徒がいた。

 

 ちなみに初日の綾小路清隆の席替え要請を受け、承太郎は綾小路と席を交替し、窓際最後方に座している。

 

「「「ちょっといいか(な)?」」」

 

 それも三人。

 

 三人は驚いたように顔を見合わせた。

 

「あはは、重なっちゃったね。えっと、平田くん、幸村くん先にどうぞ」

 

 手を前に出し譲るとジェスチャーしたのはクラスのアイドル櫛田桔梗だ。

 

 初日から男女共に大勢の心を掴むコミュニケーション能力と容姿の持ち主である。

 

 ここでも、周りに気を使う様に立ち回っている。まだ、皆付き合いが浅いためこれが地であるか判断はつかないが人当たりが良いのは確かだ。

 

「こんな偶然あるんだね。僕はお昼を一緒に……と思ってきたんだけど幸村くんはまた別の用事かな?」

 

 柔和な笑みを浮かべながら用件と提案をしたのは平田洋介。

 

 入学式の日、自己紹介の流れを作るなどクラス内の友好関係を良くしていきたいと公言している好青年だ。

 

 当然女子からの人気は高く、ここのところ女子に囲まれて男子とコミュニケーションを取れずにいた。

 

「俺は空条に聞きたいことがある。昼休みを共にするつもりはないから悪いが先に済まさせてもらう」

 

 この幸村というtheインテリ系の男子生徒は、基本一人でいる生徒ではあるが承太郎同様、必要があればコミュニケーションをはかることができる人間だ。

 

 無論、態度や話し方には経験不足ゆえの棘はある。その上、周りの生徒たちを見下している節があり、高圧的な態度もその一つだ。

 

「俺は何も付き合うなんて言ってないんだがな」

 

 静観していた承太郎は冗談のつもりで返したのだが、幸村の顔は引き攣り、残る二人も少し歪んだ笑みを浮かべていた。

 

「……冗談だ。で、その用ってのは一体なんだ?」

 

「そ、そうか。空条が入学式の日に質問していたことだが、あれから自分なりに考えてみたんだ。確かにこの学校は色々とおかしな点がある。そして、君がそのあたりをどう思っているのか聞きたい」

 

 前のめりに話す幸村に呑まれてか、平田たちも真剣な面持ちだ。

 

「それは7限に全体に話そうと思っている。その時でも構わねえか?」

 

 承太郎が七限目を私物化しようとしていることに驚きつつ幸村は返答する。

 

「わ、わかった」

 

 幸村は納得している様には見えないが、承太郎にこう返されては聞き辛いというのが一般人というものだろう。

 

 本当にそれだけ確認すると幸村は席に戻っていった。

 

「それで、お前たちの用は何だ? 貴重な学生の昼休みだ、とっとと済ませな」

 

「確かにあんまり時間ないもんね。えっと、私も平田くんと一緒で、よかったらお昼一緒にどうかなって」

 

 意識的なのか無意識なのか、共感から入るコミュ力の高さが窺える。

 

 一般男子目線では、あざと可愛くゆらゆら動く櫛田だが、承太郎目線ではふらふらしている不愉快な女にレッテルが貼られかけている事を当の本人が知る由もなく、『勿論、空条君の都合が合えばだけどね』と言いながら更に距離を縮めて行った。

 

「そうだね。櫛田さん、空条君が良ければだけど、僕も一緒していいかな?」

 

「もちろんっ」

 

「どうかな空条くん。クラスメイトとして仲を深められたらと思うんだけど」

 

 ——嘘である。

 

 この男、クラスメイトの多くが恐怖しているこの空条承太郎という存在を確かめ平和なクラスづくりという目標を目指して近寄った、ある種打算的な関係の構築のため動いている。

 

「私もっ」

 

 ——嘘である。

 

 この女、皆が恐れ慄く空条承太郎とも仲のいい女子、空条承太郎に口利きできる女という肩書きを得ようと動いている。自分の人気を求心力を高めるために余念がないのだ。

 

 そんな心中穏やかでないふたりの結末をなんとクラス中が見守っていた。

 

「別に構わねえが、あんた達だけか?」

 

 どの道学食には行くため、多少人数が増えることは問題ではない。

 

 承太郎としてもクラス単位での争いを想定しているためある程度の交流は必要だと考えていた。

 

 承太郎の問いに、ふたりはそれぞれ仲の良い面子へ視線を送るが、苦笑いして首を横に振られた。

 

「はは……そうなるね」

 

 男子最高峰のコミュ力を誇る平田とそれを軽く凌駕する櫛田はこの2日足らずで承太郎が無駄話を好まないだろうと悟る事は当然、無言だと気まずく感じがちな学食に向かう中でも間を埋めようと、質問攻めにする様な地雷は踏まなかった。

 

 結果としてふたりは承太郎は気難しい雰囲気だが、決して話せない男ではないという事実と連絡先という成果を挙げ、教室へと帰還したのであった。

 

 生還した勇者の元に民が集ったことは言うまでもない。

 

 そして移動教室の音楽の授業を終えて迎えた七限目。

 

 茶柱が教壇を降り、前方の椅子に腰掛けたタイミングで承太郎が立ち上がる。

 

「親交を深める前に一つ話を聞いてもらうぜ」

 

 九割の生徒は何も言えずに大河に身を任せ、九分の幸村などの意志が高い生徒は承太郎の発言に注意を払う。

 

 そして、残る一分の生徒は——赤髪の不良は噛み付いた。

 

「はっ、なんでおめーの話を聞かなきゃならねんだよ。あれか? また『強制はしない』ってやつか? くだらねえ、俺はごめんだぜ」

 

 赤髪の男子生徒、須藤健は自己紹介の時にも噛み付いた男だと。何が彼を駆り立てるのかは不明だが沸点と知性が低い事はこの三日間で皆が知るところとなっている。

 

「強制はしない? 違うな、これは強制させてもらうぜ。なんせ、死活問題なんでな。退出するってんなら授業の補習のようにサシでゆっくりと俺の話を聞いてもらう事になる」

 

「お前にんな権利無いっつってんだよ! だいたいな、ちょっとガタイがいいってだけで威張ってんじゃねぇぞ⁉︎」

 

 須藤は座ったまま机を蹴飛ばした。

 

 平田と櫛田が落ち着いてと声をかけているがそんなものは届かない。茶柱に助けを求めても目を閉じて静観している始末だ。

 

「なにも個人的な趣味について語ろうってわけじゃあ無い。クラスに関わる事に対する一意見を述べるだけだ。ガキみたいに喚いてないで大人しく座ってな」

 

「んだとッ!」

 

 煽り耐性が皆無の須藤は最後の一言でブチギレて承太郎との距離を詰め腕を引き絞る。

 

「暴力はいけないよ! 須藤君!」

 

 最前列にいたはずの平田が決死の形相で止めに入ろうと駆け寄るが、承太郎はそれを手で制した。

 

「オレも男だ。絶対に譲れないもののため力を振るう事はある。だが、プライドの関係しない、気に食わないもの全てを力で解決するなんて事をするのは三下もいいところだぜ。お前がその程度のやつだというのなら、かかってきな」

 

「上等だてめぇ、後悔させてやるよ」

 

 学校の仕組みにある程度気づいた上でこの暴力沙汰に乗ったのには訳がある。

 

 情報収集の中で、『被害側』が問題ないと申告すれば学校が問題視しても、問題にはならないという超法規的な仕組みを採用されていることを確かめていたからである。

 

 抜け目なく保険もいくつか用意してある。

 

 それでもダメだった時は仕方ないと思い切った行動に出るあたり、やはりこの承太郎、ジョースターの血族である。

 

 怒声をあげながら喧嘩慣れした須藤は容赦なく承太郎の顔面目掛けて右のストレートを放つ。

 

 男女共に直視できず、顔を背けるものが多い。一部の女子は悲鳴をあげている。

 

 だが、喧嘩慣れしているのは承太郎とて同じこと。

 

 承太郎は伸びてくる腕に対して踏み込み、ヒットポイントをずらし先に被弾しながら的確に須藤の顔面を同じく右のストレートを振り抜いた。

 

 いわゆるカウンターだ。

 

 須藤の推進力が承太郎の拳に加算された結果、須藤は後方へふっ飛んだ。

 

「空条くん!」

 

 平田は暴力を止めたかったため、これは話が違うとでも言いたげに声を上げた。

 

 そしてそのまま須藤に駆け寄る。

 

 数秒意識を飛ばしていた須藤だが、平田の呼びかけで目を覚ますと邪魔だと平田を押し退けた。

 

「空条、流石にこれは問題だぞ」

 

 ここまで静観していた茶柱も口を挟む。

 

「問題? 一体これの何が問題になるっていうんだ茶柱センセーよ。須藤は俺に駆け寄り、そこに落ちているプリントに足を取られ後方に転んだ。勢いがあったもんで派手に見えたのかもしれないが、あいつはただ、転んだだけじゃあないか。これの一体何に問題があるっていうんだ?」

 

 承太郎は大きな体を曲げて落ちていた一枚のプリントを拾い上げた。

 

「しかし——」

 

「それとも何か? この学校はプリントに滑ってこけただけの小さな事故もいちいち問題として取り上げ、処罰を下すとでもいうのか?」

 

 かかってこいとまで言っておいて苦しすぎる言い訳だと多くの生徒は言わずとも考えている。

 

 何をどう考えても暴力沙汰の大問題ではないか、と。

 

 何故この空条承太郎という男はここまで強気に出れるのか、と。

 

 茶柱は監督責任など大人の事情との葛藤があるのか一瞬、戸惑った表情になり、視線を教室の角に向けた。

 

 視線の先にあるのは教室に四つ設置されている監視カメラだ。

 

 承太郎が言う様に監視カメラがなければ無茶な言い分でも——ポイント査定とは別で——通ってしまうのがこの学校だ。

 

 教室内の生徒達を監視する様に設置された監視カメラは単体で全体を取られるのではなく、対角に設置し死角を補い合っている。

 

 茶柱は承太郎がいる位置を監視しているカメラを見て思わず目を見開いた。

 

 そこには、スプレーの様なものでカバーを塗り潰された無惨な姿の監視カメラがあったのだ。

 

「……空条、お前一体どこまで掴んでいる」

 

「一体何のことだかな。わからないぜ茶柱センセー」

 

「……須藤、お前もいいんだな」

 

 承太郎が茶柱と問答している間にふらふらと立ち上がり席に戻っていた須藤は小さな声で了承の返事をした。

 

「空条、ひとつ忠告しておく。こんな手がいつまでも通用すると思わないことだ」

 

 茶柱が所定位置に戻ると、嫌な静寂が教室を支配する。そんな中、承太郎は教壇に上がった。

 

 須藤はというとふて寝している。

 

 承太郎はさて本題だがと切り出し、ここ2日集めた情報とそこから行った推論を——クラス序列を除いて——述べた。

 

 聴衆の反応は様々だが、あり得ないだろと反論する様な生徒は居ない。

 

 解説が進むにつれ真剣な表情で聞く姿勢を示していた。

 

「これはあくまで俺の考えに過ぎない。なんせそこで座っているセンセーは答えてくれないんでな。答え合わせができるのは5月1日になるだろう」

 

「茶柱先生今の話マジっすか⁉︎俺ら何も聞いてないんすけど」

 

 承太郎の話が一区切りついたタイミングで挙手もせず話し始めたのは池というお調子者な男子生徒だ。

 

 だが、今回に限ってはクラスの総意を担任にぶつけたとも取れる。

 

「入学式の日に説明は行っている。それ以上は無い」

 

「マジかよ」

 

 他にも口々に苦情やら文句を垂れる生徒が現れ出した。

 

「今出来る事は限られている」

 

 承太郎が口を開くと静寂が戻る。

 

「生活態度に気をつける事だ」

 

 どきりと心臓が跳ねた生徒が少なからずいる。そして、承太郎はそれを見逃してくれない。追い討ちをかける様に続ける。

 

「授業中の私語、ケータイ、ゲーム、居眠り。これ以降、明らかにマイナス査定だろう行為は極力避ける事だ」

 

 言葉を区切り、心当たりのありそうな生徒に視線を配り釘を刺す。

 

「大方想定通りだった場合、個人でできることなんざたかが知れている。他に気づいた事や意見があるなら遠慮なく話してくれ。これは強制できる事ではないが、協力頼むぜ」

 

 鉄拳制裁を見せられた上でこの協力を断れる生徒はこのクラスには居ない。

 

 そもそも承太郎が提案している協調を字面そのままに捉えられている生徒はほぼ皆無。

 

 皆暴力による独裁政治の開幕を感じ取っていた。

 

 それも相まって、心情は様々だが皆、首を縦に振った。

 

「最後になるが、この話は他言無用だ。よろしく頼むぜ」

 

 クラス競争と序列を省いているため、承太郎の発言の意図はわからない生徒達だが彼の怒りに触れることを恐れてこの緘口令が絶大な効果を発揮することを承太郎は知らない。

 

 当の本人は漏れれば仕方ないぐらいにしか捉えていないのだが、ぶっ飛び須藤を目撃した生徒達は内心穏やかではないのだ。

 

「ありがとう空条くん。確かにまだ仮説かも知れないけど、話を聞いていてその確率は高いんじゃないかと僕自身考えさせてもらえたよ」

 

 立ち上がったのは当然、平田である。

 

「もし、杞憂に終わればそれはそれで良しだし、僕も入学して浮かれていた部分があるから改めて高校生としての生活態度を見直してみるよ」

 

 承太郎は聴き終えると席に戻った。

 

「みんなはどうかな?」

 

 平田の問いかけは承太郎の要請と本質的には同じだが、あまりにも印象が違う。

 

 彼がこの数日で築いた人間関係も大きな要因ではあるが、受けては指示と提案ほどの印象差があった。

 

 人徳の成す所である。

 

 ようやく発言権を得たと言わんばかりに生徒たちが口を開き始めた。

 

「サンセー。ポイント減るとかホントごめんだし」

 

 女子グループを形成しつつある軽井沢に続き参加の女子が賛成の意を示す。

 

「私も賛成だよ。大変だけど、授業も頑張らないとね」

 

 続く櫛田の後も同じ意見が続いた。

 その後はレクリエーションが行われることもなく、実質的には自由時間となった。

 

「お、おい空条。意見は俺も賛成なんだが、須藤の件は流石に不味かったんじゃないか?」

 

「……幸村か。不味いだろうな」

 

「だったら——「アイツを放置するのは更に不味い。俺も人の事は言えるたちじゃあないが、奴は見境が無さすぎる。アレに懲りて一ヶ月持ち堪えてくれればいいんだがな。やれやれだぜ」

 

「それは……確かに須藤の行動は目に余っていたし、空条以外に止めれる奴はいなかったかも知れないが……」

 

「皆に話した手前、俺自身今までの振る舞いは見直すつもりだ」

 

 高円寺以外の生徒は彼が不良のレッテルを貼られるまでに至った数々の蛮行を知らない。

 

 幸村はそれ以上は何も言えず、わざわざ近くまで来た要件を伝えることにする。

 

「Sシステムの話なんだが、学校側は生活費の査定のためだけに実力を測ると思うか?」

 

「さあな」

 

「さあなって……例えばの話だが、生活費しか変わらないなら空条の言う様に生活態度に気をつけて定期テストを真面目に取り組むだけだろう? これってポイント以外普通の学校と変わらないんじゃないかと思うんだが」

 

 幸村は矢継ぎ早に続ける。

 

「口止めをしたって事は、何か知っていることがあるんじゃないのか?」

 

「やれやれ、よくまわる口だぜ。詰める様で悪いが俺もお前も立場は同じ、お前が知りようが無い情報は俺も持ち合わせちゃあいないんだぜ」

 

「…………」

 

「だから予想せざるを得ない。お前はさっき定期テストに真面目に取り組むと言っていたが、クラスと平均点がポイント支給額の軸になると考えているわけか」

 

「あ、ああ」

 

「高校入試を合格したもの達同士の中で、そこまで学力差があると思うのか?」

 

「……たしかに全員が一定水準には居るはず……か」

 

 元来入試とはそういうものである。

 

「もっとも、通常の学校であればの話だが」

 

「空条は何が言いたいんだ? ハッキリ言ってくれ」

 

 幸村であればと考え、承太郎はひとつ息を吐くと周囲を見渡した。ほとんどの生徒達が席から離れ小集団を作り時間を潰しているのを確認したのだ。

 

 人気を確認しての事だが、隣人が読書し動く気配もない。

 

 場所を変えるのも面倒なため、承太郎はトーンを一つ下げた。

 

「説明の中で伏せた情報がある。それは上級生はクラス単位で所持ポイントに明確な差があるということだ。悲しいことにAからDの順に減っているがな。つまり、この学校はその『差』が生まれる様な何かを用意してるってわけだな」

 

「ちょっとまて空条、『クラス替えが無い』この学校で先輩Dクラスが最下位って事は……」

 

「可能性は2つ。Dクラスには此処でいう実力の低い者が集められている。もしくは、評価順にクラスが入れ替わるか、だ」

 

「クラス替えは……いや、進級によるクラス替えが無いだけ、とも取れるのか。となると後者の可能性が高いな」

 

 幸村は己の実力不足は疑ってもいないらしい。無言の承太郎をよそに思考し始める。

 

 これこそが承太郎が情報を伏せて説明した要因だ。

 

 核心をつく情報は得ていないが、承太郎は可能性を二つ提示しながら両方が適応されていると考えている。

 

 ただでさえ、来月のポイントに対する不安を煽る事になるためクラス間競争の可能性を暗示したり、クラス配属について個々人の自尊心を傷つけたりと更なる負荷を与えるのは避けた方が良いと考えていた。

 

 無視しても後が面倒そうで幸村には話したが、とても受け入れる事は出来無さそうだ。

 

「ここからは完全な推測だが、差を作るために出される課題は何も学力を問うものだけとは限らねえ。テストは確実に査定に響くだろうが、例えば、学校行事が査定に含まれるのなら学力以外も求められるだろうぜ」

 

「……確かに。わかったことが増えた様でわからないこともそれ以上に増えるな……」

 

「そういうことだ」

 

←To Be Continued

 




いくら何でも承太郎さんに語っていただきすぎたとは思いつつ…

4部ではこういちくん相手に寡黙ムーブ決めてましたが、エジプトの旅の時はもう少し話していた——ぽるぽるくんぱわー——はずという事で許してください。

適度な会話量ってむずいすな

1番脚がグンバツの女子生徒は?※承太郎と何かあるわけではない

  • 堀北
  • 櫛田
  • 軽井沢
  • 佐倉
  • 一之瀬
  • 坂柳
  • 神室
  • 伊吹
  • 茶柱
  • 真鍋
  • 西野
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