剣士列伝 仮面ライダー剣斬 〜亡き友、此に有り〜   作:キャメル16世

1 / 12
戦いは終わった
ストリウスとの戦いは、完全なる勝利とはいかないものの
飛羽真が新たなワンダーワールドの守り人となり、消えた人達もユーリも世界も元通りになった

俺は考えた
平和になった世界で何ができるのか

答えは簡単だ
強くなる
俺はどこまでも強くなって、アイツを見返してやる

これは俺、仮面ライダー剣斬の新たな物語である



第1章「風の剣士、旅の中で。」

「……ズズッ」

暑い日は嫌いじゃない

熱いものを食べて身体を温めその後思いっきり水を浴びる

それが少し楽しみでもある

 

「……ズルズルッ」

油っこいものは嫌いじゃないが……少しコッテリし過ぎではないだろうか…

 

「………ズルズルズルッ…ぷへぇ〜……大将、替え玉」

「…お!兄ちゃんいい食いっぷりだね!」

「……あぁ、アイツの分も食べておきたいからな…」

「あいよッ」

丼の中に追加される替え玉

修行が終わった後は、無性にラーメンが食べたくなる

しかも豚骨に限る

 

「…兄ちゃん!紅生姜入れないのかい?」

「……まぁ…あってもいいけど…」

「……」

「…やっぱり、無い方が美味いよ…ごっさま」

俺はスープも飲み干して代金をカウンターに置く

 

「釣りはいらねーから」

「おぅ!また来いよ!でもやっぱ紅生姜は入れた方が美味いぞ!?」

「……マジ無いわ…」

「……んー…」

俺は大将の言葉をあしらったうえでサヨナラも言わずにその場から去った

 

「……」

 

《紅生姜…ちゃんと食えよ…》

 

「……」

俺にはまだ早えーよ…

 

さて、一風呂浴びてくるか…

 

 

 

カシャ

 

 

「……ふぅ…」

久しぶりの銭湯…

気持ちいいな……ん?

 

「隣失礼するぜ〜」

と、別の客が俺の隣に浸かってきた

何処かで見覚えがあるような…

 

「あんた、ここら辺の人間か?」

「…え?…あぁ、いや…俺は今旅をしてて…」

「奇遇だな!俺も旅してるんだぜ?バイクでな」

「……なんなんだよお前、マジ無いわ」

「あ!それさっきも言ってたよな!?」

「……やっぱりあんた…さっきのラーメン屋にいた奴だよな?」

「…はは!よく分かったな!」

男はヘラヘラと笑いながら肩にお湯を掛ける

 

そして、いきなり湯船から上がりサウナ室へ入った

 

「……」

 

「……お、あんたもサウナーかい?」

「…いや、初めてだ」

「んじゃ俺と我慢勝負だな、先に水風呂に入った方が負けな!」

「……あぁ」

 

約20分

俺は灼熱の中じっとしていたが、いよいよ我慢出来なくてサウナ室から出て行った

 

「はは!俺の勝ちだな〜…それじゃ、俺もそろそろ…」

と、男もサウナ室を後にし

ゆっくりと水風呂に浸かっていた

 

「……ふぅー!気持ちィィ!なぁ、そうだろ…?」

「掛かったな、俺の勝ちだ」

「なっ!?」

「お前はさっき、「先に水風呂に入った方が負け」と言った。だが俺は1度も水風呂には浸かっていない!お前の負けだ!」

「…や、やられたぁ…」

そんな不毛な争いの末、俺は男にコーヒー牛乳を奢ってもらった

 

「……ゴクッゴクッ……ぷはぁ〜!」

「…ぷはぁ〜!」

「やっぱり風呂の後の1杯は格別だな!」

「…まぁ、悪くない」

「つれねぇーな〜」

 

しっかりと服を着て、俺たちは銭湯を後にした

 

「……いつの間にこんな写真…」

「悪く思うなよ?旅の思い出に、いい画だったでしょ?」

「マジ無いわ」

「あ!またそれ!」

 

暫く2人で歩いた後、俺は切り出した

 

「…ところで、あんた名前は?」

「ん?俺の名は詩島剛、剛って呼んでくれ」

「…俺は、緋道蓮」

「蓮か、いい名前だな!」

「……別に」

 

《お前じゃない!俺は……緋道蓮だっ!》

《……俺は…!!》

 

「…ところでさ」

「…ん?」

剛はいきなり立ち止まり、真剣な目で俺を見た

 

「…あんた、仮面ライダーなんだろ?」

「…なんでそれを…?」

「……そりゃ、そんな変な剣持ってたら分かるだろ」

そういうもんだろうか…?

 

「……」

風双剣翠風…世界に存在する11本の聖剣のうちの1本

「風」の力を使う事が出来て、俺はこの剣で仮面ライダー剣斬へと変身する事が出来る

 

「…安心しな、俺も…仮面ライダーだからな」

「…っ!」

 

すると、剛は懐からバイクのマフラーを模したようなドライブーを取り出し、腰に装着した

腰にベルトが巻き付かれ、スロットを開く

 

「……へへっ」

更に小型のバイクのミニカーのようなものをベルトに装填する

 

SIGNAL BIKE! RIDER!

 

「…Let's…変身ッ!」

剛は変身ポーズを構えてから言う

 

MACH!

 

剛はバイクのレーサーのような見た目へと変化し、スカーフが良くなびく

 

「追跡!撲滅!いずれも…マッハ!!仮面ライダー〜〜〜マッハァ!!」パラリラ

ベルトから変な音がする

 

「……お前…!」

「驚いたか?俺は仮面ライダーマッハ、まぁ今名乗ったから分かるよな〜」

「…お前も仮面ライダーだったのか」

「そう!俺はかつてロイミュードっていう怪人から市民を守ってきたんだ。だが、ある事がきっかけで旅に出ることになってな、俺は知りたいんだ…あんたの強さを」

「……っ」

俺は「強さ」というワードに反応した

 

「……」

 

猿飛忍者伝!

とある影に忍は疾風!あらゆる術で、いざ候…

 

俺はワンダーライドブック「猿飛忍者伝」を取り出し風双剣翠風に装填する

 

「……はっ!」

 

猿飛忍者伝!双刀分断!

 

「…変身ッ!」

 

壱の手、手裏剣!弐の手、二刀流!

風双剣翠風!

翠風の巻!甲賀風遁の双剣が、神速の忍術で敵を討つ!

 

俺は風の剣士、仮面ライダー剣斬へと変身する

 

「…その気になってくれたって事かい?」

「…俺は俺の強さを証明するだけだ、お前にな!」

「…フッ…嫌いじゃないぜ、それ」

「……はぁっ!」

俺は風双剣を振りかぶり振り下ろす

 

「…はっ!」

「…くっ…へへっ」

「…なにっ!?」

しかし、それを受け止める剛

それにその表情は余裕そうだった

 

ゼンリン!

 

「はぁっ!」

「ぐわっ!」

剛はタイヤが付いた銃、ゼンリンシューターで俺を狙撃する

 

「はっ!やっ!」

「ふっ!てやっ!」

狙撃が終わったと思ったら、今度はゼンリンシューターをグローブ代わりにパンチを繰り出す

 

「なっ!」

「へへっ!どうよ!」

「…舐めんな!」

 

猿飛忍者伝!ニンニン!

翠風速読撃!ニンニン!

 

「疾風剣舞、一連!」

俺は風双剣に風のエネルギーを纏わせ、剛に飛びかかった

 

「はっ!」

「ぐわっ!」

斬撃を加え、俺は着地する

 

「…やるね〜…だったらこれはどうだ?」

 

SIGNAL BIKE! シグナルコウカン!

マガール!

 

マッハの右肩のタイヤの模様が変わった

まるで道路標識のようだ

 

「それがどうした!」

「はっ!」

「…っ!」

剛はゼンリンシューターでエネルギー弾を発射したが、俺とがいる方向とは全く別の場所に打った

何を考えてるんだ…!?

 

「…よっ!」

 

キュウニ!マガール!

 

「…っ!?ぐわっ!」

剛がマッハドライバー炎の上部のボタンを押し込むと、効果音と共にエネルギー弾が俺目掛けて急に曲がって来た

 

「へへ〜!どうよ!これがネクストシステムの力!」

「…なんだよそれ!」

「ふっ!」

俺の攻撃を受け止める剛

 

「あんたの強さ、もっと見せてくれよ!」

「……言われなくても!」

「うおっ…へへっ!そう来なくっちゃなぁ!」

 

ヒッサツ!フルスロットル!

マッハ!

 

「…はぁぁぁ……はっ!」

「…っ!」

剛は飛び上がり、空中で回転する

 

「…てやァァァ!」

「…くっ!」

 

猿飛忍者伝!ニンニニン!

翠風速読撃!ニンニニン!

 

「疾風剣舞、回転!」

俺は風双剣翠風を手裏剣モードに変形させ、剛に向かって飛ばす

 

剛のキックと風双剣が激しくぶつかり合う

 

「はァァァ…!てやァァァ!」

「はぁぁぁ!」

 

剛が俺にキックを決め切る寸前

何者かが、俺たちの間に割って攻撃して来た

 

「…っ!?」

「なんだぁ!?」

「……っ」

勢いを失った剛は地面に尻もちを付いた

しかし、俺は気が気じゃなかった

 

今の斬撃……どこかで…

 

俺は、俺たちを攻撃した張本人の方へと視線を向けた

 

「……っ!?」

『……』

そこに居たのは……

 

『……』

「…………デザスト……?」

『……』

全身黒い身体に肩には狼のような装甲

紅色のマフラーを靡かせるその怪人は、俺の方にそっと振り向いた

 

『…よぉ…久しぶりだなぁ……風の剣士…!』

「…っ!」

アイツの声だ…

何度も…

何度も…

ウザイほど聞いた…

ウザイほど耳に残った…アイツの声が…

 

「……どうして…?」

『…まぁ…そうなるよなぁ…』

「お前のアルターライドブックは確かに……」

ストリウスとの最後の戦いの際、俺は「デザストアルターライドブック」の最後の力を振り絞り、ロード・オブ・ワイズを一体撃退した

しかし、その代わりに「デザストアルターライドブック」はアイツが遺したマフラーと一緒に消滅してしまった

 

「アルターライドブック」が無ければ、いくら不死身のアイツでも、もう元に戻る事は出来ない筈だ……

 

だが、アイツは今こうしてここに居る…

生きてる……

 

「蓮、なんなんだコイツ?」

疑問に思ったのか、剛が話しかけて来た

 

『お前が詩島剛か…?』

デザストは愛刀の「グラッジデント」を剛に突き立てた

 

「え?なんで俺の名前を…?」

『…フッ…おもしれぇ』

デザストは身体の向きを変える

 

『今日はこの辺で帰ってやるよ……またな、風の剣士』

そう言うと、デザストは何処かに飛んで行ってしまった

 

「あ!お、おい待てよ!」

急いで追いかけようとするも、アイツの影はすぐに消えた

 

「……」

我に返った俺は、状況を理解しようと頭を回転させる

でも、思考が纏まらない

 

なんで生き返ってるんだよ…アイツ…!

 

《ったく…お前になんか声掛けるんじゃなかったぜ!》

 

《……もう会わねぇよ…!》

 

「……なんなんだよ…マジで…」

「……」

 

 

「……なるほど、な」

「あぁ、アイツは俺に「強さの果て」って奴を教えようとした…でも、俺はそんなものないと思ってる」

「…どうして?」

「…強さに果てなんて物があったら、それ以上強くなれねぇからな」

そう言って俺は冷たいミルクティーをストローで吸った

 

俺は剛に何もかもを話した

俺が仮面ライダーへとなったきっかけ

飛羽真との出会い

メギドとの戦い

そして、デザストとのあの日々の事を…

 

「つまり、お前とそのデザストって奴はダチってわけだな?」

「ダチなんかじゃねぇよ…俺はアイツの…」

「まぁ分かるぜ、怪物と友達なんか思われたくねぇよな」

「……」

「……俺にもな、ダチがいたんだ…チェイスって言ってな…いつも無表情で、何考えてっかわかんねぇ…そのくせ馬鹿で、妙に情が暑くてよ……ホント、変な奴だったぜ…」

「……そいつは今?」

「…死んだ…戦いの中でな」

「……そうか」

「……」

剛は思い出していた

あの日の記憶を…

 

「…あともう一つ、言うとすれば…」

「……」

「…チェイスは、ロイミュードだったんだ」

「…え?」

「……」

 

チェイス…

かつては仮面ライダーチェイサーとして俺たちと一緒に市民を守って来たれっきとした仮面ライダー

 

だが、そいつの招待はロイミュード000

そして、魔進チェイサーとして俺たちに時折牙を向けていた

 

当時、ロイミュードを酷く憎んでいた俺は

過去を乗り越え仮面ライダーとなったチェイスすら、毛嫌いしていた

所詮はロイミュード

所詮は怪物ってな……

 

「……だから、気が付かなかったんだ…」

「……何に?」

「…あいつにも、心があるって事を」

「……っ」

 

《人間が俺にくれた…宝物だ》

 

《俺とお前は“ダチ”ではないが…持っていてくれ。燃えてしまうと、勿体ない…》

 

《…チェイスゥゥゥ!!》

 

「……そんな事が…お前にも…」

「……俺はあいつから託されたんだ…人類の希望を…未来を…」

「……」

「…だからこそ、俺は色んな奴と出会って知りたかったんだ…強さとはなんなのか…」

「……強さ…」

「あいつの強さは本物だ!俺もあいつみてぇになりてぇ!……ダチ…だからな…」

「……剛」

剛は目から涙を流していた

 

剛は失って初めて気付いたのか

そいつの存在の大きさに…

 

「……」

俺は黙って席から立ち上がった

そして決心した

 

もう、アイツが帰ってくる事なんて無いと思っていた

でも、アイツが俺の前に現れて

そして気が付いた

 

俺は、心のどこかで喜んでいた

 

「……」

違う

アイツは蘇るべきじゃなかった

それはアイツが1番理解してる筈だ

 

つまり、アイツは……

 

「……化けの皮剥いでやるよ……デザスト…!」

 

 

『……へっへ〜…』

「……収穫はあったか?…デザストよ」

『…あぁ、まぁな〜』

蓮の元から遠く離れた場所

そこに帰ってきたデザストに、男は話し掛けた

 

『風の剣士は相変わらずだった…それに、詩島剛と一緒にいたぞ』

「……ほぉう…ならば、次はお前の出番だな…」

『……』

「……チェイス…いや、魔進チェイサー…」

『……わかった』

武装した魔進チェイサー

ブレイクガンナーを握り、その脚を進めた

 

「……ふふふ…もうすぐで完成する…私の計画が」

男の目の前には、3冊のアルターライドブック

そして、一際大きな本が置かれていた

 

「……仮面ライダーよ…今こそ聖戦の時だ…フフッ」

男の怪しげな微笑みは、その暗い空間を包んだ




次回

第2章「亡き彼等はなぜ生き返ったのか」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。