剣士列伝 仮面ライダー剣斬 〜亡き友、此に有り〜   作:キャメル16世

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本年もよろしくお願いします



第10章「その欲望に勝てるのは誰か」

「グォォォォォォオ!」

グリードと成り果てた映司は蓮に襲い掛かる

 

「グオッ!」

「うおっ!」

「グォォォ!」

「ぐはッ!」

 

なんとか攻撃を防ぎながら距離を保つ蓮だが、いつの間にか足が凍って動かなくなっている事に気が付いた

 

「グォォォォォォオ!」

「……マジか」

辺り一面の地面を凍らす映司グリード

当の本人はそんな事も気にせず、地面の氷を蹴散らしながら蓮に突進してきた

 

「ぐわぁぁぁ!」

「……ウゥゥゥゥ…」

攻撃の影響で変身が解ける蓮

映司グリードはそんな蓮をじっと見詰めていた

 

「…ふふふ……所詮は人間…欲望の力になど勝てはしない。もっとも、それが紫のコアメダルの欲望なら尚更ね……」

「……お前!映司に何をした!?」

「…何も?私はただ、キッカケを作ったに過ぎない。コアメダルの欲望を加速させたのは他でもない、彼自身だ」

「なにっ!?」

「グォォォォォォオ!」

映司グリードは全身から冷気を放つ

 

「……クッ…!」

「…ふはは…そうだ…もっと暴走しろ!その欲望の力で、全てを滅ぼせ!はははははは!」

「グォォォォォォオ!」

映司グリードは蓮に向かって走って行く

生身である蓮に、もう成す術は無い

 

「……クッ…」

「グォォォォォォオ!」

「ふはははははは!」

映司グリードが腕を上げながら向かってくる

そして、その腕を振り下ろす

 

その瞬間だった

 

「…っ!」

「……ウゥゥゥゥ…」

「……ん?」

蓮を何者かが庇ったのだ

衝撃によって起こった煙が晴れた先には

映司グリードの手を止めるグリード態のアンクが立っていた

 

『おぃ映司!それ以上はやめろ!』

「…っ!?」

アンクは蓮から映司グリードを遠ざける

 

「ウゥゥゥゥ!」

『…完全に暴走してやがる……おいゴウマ!なんで映司にコアメダル入れた!?』

「…私はただ、過去の記録を元に実験をしてみたかっただけだ。メダルの器に相応しい彼の欲望がどんな物なのかをね…」

『…チッ…とんでもねぇ事しやがって!』

火炎弾を放って映司グリードを牽制するアンク

 

『オラッ!』

「グォォォォォォオ!」

アンクの攻撃をものともしない映司グリードはアンクの胸ぐらを掴む

 

「ウゥゥゥゥ…!」

『……映司…!』

「…グォォォォォォオ!」

映司グリードは先程よりも強力な冷気を放つ

 

『…グッ!』

アンクの全身が凍っていく

 

「……っ…変身ッ!」

それを黙って見ることなど出来ない蓮は、すぐさま変身し映司グリードを止めた

 

『…っ!』

「…おい!大丈夫か!?」

『……なんでお前が俺を…?』

「今はそんな事言ってる場合じゃないだろ!映司を止めなきゃ、本当に大変な事になる!」

『……チッ…!』

 

横に並ぶ蓮とアンク

蓮は猿飛忍者伝とストームイーグルライドブックを取り出し、風双剣翠風に読み込ませる

 

猿飛忍者伝!ニンニン!

ストームイーグル!ニンニニン!

 

『……』

「疾風剣舞!二連!」

『…はぁぁぁあ!』

「はぁぁぁあ!」

 

巨大な竜巻と化す蓮の斬撃にアンクの炎が加えられる

巨大な火柱となった蓮の攻撃は映司グリードを怯ませた

 

「ウゥゥゥゥ……!」

「…よしっ!」

『……ッ!』

すると、アンクが急に頭を押えながら苦しみ出した

 

「…忘れたのかアンク。貴様が私の手中に収まっているという事を……」

『…クッ…!』

「貴様の運命は私に委ねられているという事を忘れるな」

「…おい!大丈夫か!?」

『……うるせぇ…少し静かにしろ…』

よろけながらも、アンクは前線に立つ

 

『……ハァ…ハァ』

「…どうやら、本当に消えたいらしいな」

 

「死ぬ」というより、「消える」という方がこいつらには似合っている

 

「…まぁいい…貴様はどちらにしろ、奴に消される。跡形もなくな」

「……ウゥゥゥゥ…!」

怯んでいた映司グリードが体勢を立て直した

 

『……ウッ』

「…ウゥゥゥゥ…!」

『……映…司…』

「…グォォォォォォオ!」

映司グリードは雄叫びを上げた後、アンクに猪突猛進した

破壊の限り死力を尽くす

それが恐竜コアメダルの恐ろしい特徴というのを、アンクは痛いほど理解している

 

『……』

「グォォォォォォオ!」

だからこそ、その止め方をこの場で1番知っているのも

 

『……俺が…コイツを止める…!』

アンクだけだった…

 

「グォォォォォォオ!」

『……はァァァァ!』

互いに掴み合い、殴り合うアンクと映司グリード

 

だが、消耗しているアンクが劣勢だった

 

『…ぐはッ!』

「グォォォォォォオ!」

ジリジリとアンクに迫る映司グリード

 

「……ウゥゥゥ…」

『……映司…』

「……」

『……映司ィィィィ!』

 

 

「……アンク…!」

目が覚めると、そこは馴染みのある部屋だった

白石知世子が営む多国籍料理店、「クスクシエ」の別室

映司はパンツ一丁でベットに横たわっていた

 

「……夢、か…?」

現在の状況を把握出来ない映司はしばらくの間頭を抱えた

 

「……そうだ…ゴウマを止めないと…!」

本来の目的を思い出した映司はベットから勢い良く起き上がり、服を着てオーズドライバーとオーメダルホルダーを持って部屋を出た

 

「……っ」

クスクシエのロビーに飛び出た映司は少し驚いた

 

「…あら?映司君どうかしたの?」

久しぶりに顔を見た知世子さん

今日はザ・アメリカンみたいな格好をしており、手には大きなお盆に乗ったフライドチキンを持っていた

 

「……」

俺がそれよりも驚いたのは…

 

「…あ?なんだ?」

「……あ…いや…」

店のカウンター席でいつものようにアイスを頬張るアンクがいた

 

「……アンク…ゴウマは…?」

「…は?ゴウマ?…映司、寝ぼけてねぇでさっさと新しいアイス持って来い」

「…あ、うん……」

夢なのは分かっている

でも、この夢には何か抗えないものがある

 

「……はい、今日はこれで何本目だ?」

「いちいち数えるかバーカ」

「馬鹿って言うな馬鹿って!」

これも、いつものような会話だ

そんなくだらない会話に、俺は少しだけ幸福を感じていた

 

「……このままじゃダメだ…」

「……っ…映司!ヤミーだ!」

「…えっ?あ、あぁ!」

 

アンクがヤミーの気配を察知し、現場に急行する

 

「……あれは…」

「…チッ…ハズレのヤミーだな」

街に現れたのは紫のプテラノドンヤミー

羽を広げてこちらに足を進めていた

 

「…さっさと片付けろ」

「……あぁ…変身ッ!」

オーズへと変身する俺はメダジャリバーを手にプテラノドンヤミーに向かって行く

 

「はっ!」

『……』

「なにっ!?」

今の攻撃…手応えはあったのに避けられた…!

 

「…っ」

『……欲シイ…チカラガ…』

「…はぁッ!」

『……欲シイ…!』

またもや攻撃を避けるプテラノドンヤミーは俺の肩に手を置いた

 

「…っ!?」

『……オ前モ…欲シイカ…?』

「…えっ?」

『……欲シイ…欲シイ…!』

「…なんだ…?」

プテラノドンヤミーの異様な雰囲気に、俺は少しだけ引き下がった

 

「……っ」

後退りする俺の背中に誰かが当たった

主観で見ているはずなのに、何故か誰かに当たったと分かる

 

「……ハッ…!」

振り向くと、そこには俺が変貌した姿のグリードが立っていた

 

いつの間にか変身も解けていて、辺りも何も見えない暗闇だった

 

「……ハァ…ハァ」

『……』

暗闇の中、見つめ合う俺と俺のグリード

 

これは夢だ

これは夢だ

これは夢だ…

 

「……ハッ!」

次の瞬間俺の目に映り込んで来たのは、俺のグリードが伊達さんや後藤さん、アンクを蹴散らすように攻撃している姿だった

 

「……やめろ…もうやめろォォォ!」

俺は俺に向かって走った

だがその距離が短くなる事はなく、どちらかというとどんどん離れていった

 

「……なんで…なんで…!」

俺はみんなが傷付けられる所を見ている事しか出来ない

崩れ落ちる俺の前に、誰かが姿を表した

 

「……」

『……ヘッ』

それはもう一人の俺だった

目を紫色に染めた…だが正真正銘俺だった

 

『それはお前が望んだからだ』

「……え?」

『あの姿は、お前が望んでなったんだよ…力が欲しい、その欲望がお前のグリード化を早め、身も心も怪物となった…』

「…違う…!あの時は真木博士がコアメダルを…!」

『遅かれ早かれお前はグリードになっていた!……だがそれでいいじゃないか…』

「……へ?」

『…力が欲しい…お前のその欲望は満たされ、新たなる力を手に入れた……その結果お前はどこまでも届く腕を手に入れたんだ…!』

「……どこまでも届く…腕…」

 

俺は望んだ

かつて救えなかった…届かなかった腕があったから、俺はどこまでも届く腕…すなわち力が欲しかった

 

でもそれは…

 

《メダルを3枚、ここにはめろ…力が手に入る》

 

《歌は気にするな。それはオーズ…どれ程のものかは、戦ってみれば分かる》

 

「……もう分かってる…その力は、もうアンクから貰った…!俺はこれ以上、力は求めない…!」

『…甘いな!そう言いながら、お前は今もこうして!グリード化してるじゃないか!』

「……えっ…?」

 

 

「グォォォォォォオ!」

『…クッ…!』

「……どれだけ足掻いても無駄だ…もし仮に奴を止める事が出来たとしても、それも私のあらすじ通り…いずれは世界は私の力によって変えられる…!」

「グォォォォォォオ!」

『……映司…』

 

 

 

「…嘘だ!だってもう紫のコアは…!」

『…だったら見せてやる!今のお前をな!』

「……っ!」

次の瞬間俺の目に映ったのは、俺の醜い腕がアンクを苦しめているところだった

 

「……アンク…!やめろ…もうやめてくれ!」

どれだけ叫んでも、俺が攻撃をやめることはなかった

 

「…なんで…なんでやめないんだよ!」

『それはお前が望んだからだ!』

「違う!俺の望みは…!」

『お前がお前自身の欲望で、アンクを苦しめ!仲間を傷付ける!…お前はそういう人間だったんだよ…』

「…違う…!俺は…!」

『自分の欲望に素直になれ…ありのままの自分でいいじゃないか…』

「……違う…!」

『……あ?』

「…俺が…伸ばしたい腕は…!」

 

《……お前が掴む腕は、もう俺じゃ無いって事だ…》

 

「……こんな腕じゃない!!」

『…っ!』

俺は立ち上がり、もう一人の俺を殴り飛ばした

 

「はぁっ!」

『グハッ!』

「俺はアイツを元に戻して!今まで言えなかった事全部話す!行けなかった場所全部行く!食えなかった分全部食べさせる!」

『……』

「……今の俺の欲望は…アイツと一緒に、明日を迎える事だ!」

 

 

 

「……グゥゥゥ…!」

『……映司…?』

「……アン…ク…!」

『……映司…!ぉ映司ィ!』

「…グァァァァァァア!」

空に向かって叫んだ映司は、人間の姿に戻った

力尽き崩れ落ちる映司を、アンクが支えた

 

「……アンク…」

『……馬鹿が…』

「……ヘヘッ…お前なら…絶対…止められると思った…」

『……』

「……馬鹿な…まさかそんな事が…!」

映司が人間に戻る瞬間を目撃し、ゴウマは焦りを感じていた

 

『…ゴウマ…!お前は映司を見くびってたみたいだな…』

「……」

『…だがこれだけは言っておく…こいつは、正真正銘…世界一の馬鹿だ!』

「……クッ…舐めた真似を…!」

アンクに手をかざすゴウマ

 

『……グッ…!』

頭を抑えて苦しみ出すアンク

 

「…はぁッ!」

「…っ」

すると、映司がすかさずゴウマに攻撃を仕掛ける

距離を置くと共にアンクの苦しみが消えた

 

「…仮面ライダーオーズ…やはり貴様は生かしてはおけない……やれ!お前たち!」

ゴウマの指示により一斉に向かってくるグリード達

 

「アンクは逃げろ!なんだかよく分からないけど、あいつのそばに居るとまずいんだろ!」

『……余計な心配すんな…!』

「そりゃ心配もするよ!仲間だろ!」

『……っ』

映司の気迫に、言葉が出なくなるアンク

 

「…いいから逃げろ!逃げ切ったらまたアイス買ってやるから!」

『……チッ…言ったからな…!』

映司のその言葉を聞き、アンクはその場から立ち去った

 

「……逃がすものか」

「……っ」

ゴウマも後を追う事に気が付いた映司だが、グリード達に阻まれる

 

「……どうやら、一気に決めた方がいいみたいだね」

俺は胸に手を置き、身体に入っている3枚のコアメダルを感知した

本当にまたメダルが俺の身体の中に……

でも、これを使いこなせるとしたら…

 

「……いける…今の俺なら……フッ!」

俺は身体から紫のコアメダルを排出し、それを掴む

 

「……この力には、今まで何度も苦しめられて来た…」

オーズドライバーの左にティラノメダルをはめる

 

「…でも、アイツに貰ったこの力と命があれば……」

更にオーズドライバーの真ん中にトリケラメダルをはめる

 

「……ようやく掴める気がするんだ…」

最後にプテラメダルをオーズドライバーの右にはめる

 

「……誰かの腕を…アイツの腕を…!」

オーズドライバーを傾け、オースキャナーで3枚のメダルをスキャンする

 

「……変身ッ!」

 

プテラ!トリケラ!ティラノ!

プ・ト・ティラーノ!ザウルース!

 

仮面ライダーオーズ プトティラコンボに変身した映司

その目は、確実にグリード達を捉えていた

 

 

「……」

『……』

「……はぁぁぁあ!」

『……はァァァァ!』

「『はぁぁぁあ!』」

 

激しい戦いを繰り広げる超魔進チェイサーと超デッドヒートマッハ

互いが互いの身体に打撃や斬撃を喰らわせ、消耗していく二人

 

彼らの頭上の雲は、どんどんとどす黒くなっていった…




次回

第11章「その雨はいつ止むのか」
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