剣士列伝 仮面ライダー剣斬 〜亡き友、此に有り〜 作:キャメル16世
「はぁッ!」
『はぁッ!』
剛はゼンリンシューターを、チェイスはブレイクガンナーを駆使しながら激しい激闘を繰り広げていた
空からは大粒の雨が降り注ぎ、二人の身体に弾いていた
「『はぁッ!』」
「グハッ!」
『…グッ…!』
互いのパンチが互いの胸に直撃する
力の差はほぼ互角だった
「……チェイス…お前はあいつの言いなりになって何が面白い…?」
『……』
「……俺は蛮野の操り人形になって世界を危機に晒した…進兄さんが助けてくれなかったら、結果的に人類は滅んでたと思う」
『……』
「…でも…お前がいたから、俺はあそこで蛮野を倒す事が出来た。お前との友情に初めて気付いた俺が、お前と一緒に蛮野を倒したんだ」
『……俺とお前は…ダチでは……ない…!』
「…あぁ…お前はそうかもな……でも、今の俺は違う。今更かもしんねぇけど…チェイス、俺とダチになってくれ」
『……ッ』
チェイスがブレイクガンナーを手に向かってくる
『はァァァ!』
「……っ」
チェイスのパンチを受け止める俺
その拳は微かに震えていた
『……俺は…!』
「……っ」
『…もう…お前とは…!』
「……チェイス…」
『……ぬァァァァァ!』
「……グッ…!」
チェイスは俺を突き放すようにその拳を押し切った
『お前に俺のとっておきを見せてやろう…!』
「……っ!」
チェイスはブレイクガンナーからライノスーパーバイラルコアを抜き出し、チェイサースパイダーバイラルコア、チェイサーコブラバイラルコア、チェイサーバットバイラルコアを続けて装填した
Tune...
Chaser Spider...!!
Tune...
Chaser Cobra...!!
Tune...
Chaser Bat...!!
『……トリプルチューン…!』
超魔進チェイサー トリプルチューンへと腕の装備を強化したチェイス
普段魔進チェイサーの武装武器は銀色に輝いているが、現在は超魔進チェイサーに変身しているからか、その輝きは金色になっている
3タイプの武装を同時に展開した破壊兵器「デッドリベレーション」は
打撃に特化した「ファングスパイディー」
鞭打ちや締め付けに特化した「テイルウィッパー」
遠距離に特化した「ウィングスナイパー」が合体したものとなっており、その威力はかつて俺や進兄さんを苦しめた
それを超魔進チェイサーの状態で展開したならば、その破壊力は更にアップしているに違いない
『……ハァァァッ!』
「…グッ…ぐわぁぁぁあ!」
一撃食らっただけでこんなにダメージになるのか…!
なんてパワーだ…!
『はぁッ!ハァァッ!』
「グッ…!」
ブレイクガンナーから放たれる光弾
そして「スーパーデッドリベレーション」による攻撃により、俺は劣勢に追い込まれる
『…諦めろ剛!お前に勝ち目は無い…!』
「……嫌だね!俺は諦めない…お前の目を覚ますまで、戦い続ける!」
俺はゼンリンシューターを手にチェイスに突っ込んでいく
「はぁっ!」
『…グッ…!』
「はぁぁぁぁ!」
『…グハッ!』
ゼンリンシューターによる猛攻撃に、チェイスは苦しんでいた
「……俺はなチェイス…家族ってのがどんな物か、初めは分からなかったんだ…」
『……ッ』
「…でも、進兄さんと出会って…特状課の皆と出会って……そして、お前と出会って…」
『……』
「…家族には色んな形がある事を知った。俺にとっての家族は、ホントに自分の事を思ってくれる奴だ。姉ちゃん、進兄さん、特状課の皆、玲子、英志、ハーレー博士、クリム、そしてチェイス…皆が俺にとっての家族だ」
『……』
「……その家族を悲しませない為に、お前の魂は…俺が紡ぐ!」
『……俺は負けない…俺の願いの為に…!』
「……願い…?」
『…ハァァァッ!』
「はぁぁ!」
『ゼェェラァ!』
『ガァァバァァ!』
メダガブリュー アックスモードとメダジャリバーの二刀流で向かってくるセピロとガウバを一閃するオーズ プトティラコンボ
完全に自我を保ったままその驚異的な破壊力と耐久力でグリード達を翻弄していった
「はぁぁ!せいやァァ!」
『ゼラァァァァ!』
映司の攻撃により爆散するセピロ
爆発の中からコアメダルが3枚、映司の手に降って来た
「…やった!未来のコアメダルゲット!」
セイウチ、シロクマ、ペンギンのコアメダルを手に入れた映司はすぐさまメダジャリバーにセルメダルを装填する
トリプル!スキャニングチャージ!
「…はぁぁぁ…せいやァ!」
『ガバァァ!』
『ジィジィィィ!』
メダジャリバーによるオーズバッシュ。そしてメダガブリューによるグランド・オブ・レイジによる2連攻撃でガウバとシジカミが爆散する
映司の手元にシカ、ガゼル、ウシ、サメ、クジラ、オオカミウオのコアメダルが降って来る
「……映司!」
蓮が立ち上がり、映司のそばに寄る
「…蓮くん、後は俺に任せて。アンクを頼む!」
「……分かった!」
大きく返事をした蓮はアンクとゴウマが去って行った方に走って行った
『ビィロォォ…』
『グゥゥ…』
「……後はお前らだ!」
メダガブリューにセルメダルを装填し、バズーカモードへとメダガブリューを変形させる
ゴックン!
プ・ト・ティラーノ!ヒッサーツ!
「せいやァァァァ!」
『ビィィィロォォォォォ!!』
メダガブリュー バズーカモードの銃口に凝縮されたセルメダルのエネルギーが強力な破壊光線となりビニオを貫く
「これで最後だ!」
スキャニングチャージ!
プテラ、トリケラ、ティラノのコアメダルをスキャンした映司は、トリケラアームのワインドスティンガーでムチリを貫き、プテラヘッドのエクスターナルフィンを展開し冷気を放つ。氷漬けにされたムチリを、ティラノレッグのテイルディバイダーで粉砕した。
『グワァァァァ!』
ムチリ、ビニオ共に爆散し、コアメダルを排出して消え去った
5体のグリードに勝利した映司は変身を解除し…
「……ハァ…ハァ……疲れた…」
その場で気絶するように眠りに落ちた
『ゴウマは約束した!お前たち仮面ライダーを倒せば、願いを一つ叶えてやると!ゴウマにはそれを実現する力があると!』
「……クッ…」
『俺は奴の下僕になり下がろうとも、願いを叶える!その覚悟だ!』
「ぐわぁ!」
チェイスの攻撃により転げ倒れる剛
チェイスの心の叫びを目の当たりにした剛の中には葛藤が生まれていた
「…なんだよそれ…お前の願いって何だ!?」
『……俺は…人間になる!』
「……っ!」
かつて、人間の感情が欲しいと言っていたチェイス
こいつの欲望は、ここまで大きくなっていたのか…
『だが今の俺はロイミュードだ!ロイミュードで、死神……魔進チェイサーだ!!』
「……違う…お前は…!」
だが俺は知っている
こいつは誰よりも人間になろうとし、誰よりも人間らしい一面を持っている事を……
だから、あの時またする事が出来たんだ…
《……変身ッ!》
《人間を守るのが、仮面ライダーの使命ではないのか!?》
「……“仮面ライダー”だ!!」
剛はマッハドライバー炎を加速させ、仮面ライダー2号を彷彿とさせるポーズをとってから右手拳に力を込めた
バースト!キュウニ!
超!デッドヒート!
マッハの全身のエネルギーが右腕に収縮される
身体の神々しさは更に増し、真っ赤な炎が両腕を包んだ
「……ライダーパンチ…!」
『……ッ!』
Super Execution...!
Full Break Rhino!
スーパーデッドリベレーションとブレイクガンナーの刃が輝きだし、チェイスも力を込める
「……はぁぁぁっ!」
『……ハァァァッ!』
「…グハッ!」
『…グヌッ!』
互いの攻撃がクロスカウンターし、よろめくチェイス
しかし、剛はすぐさま体勢を立て直し、マッハドライバー炎に手を伸ばした
ヒッサツ!バースト!フルスロットル!
超!デッドヒート!
「……はっ!」
『……っ!』
続いて仮面ライダー1号を彷彿とさせるポーズをとった剛は高く飛び上がり、黄金の炎に包まれながら右脚を突き出した
「…ライダーキック!」
『……っ』
「はぁぁぁぁあ!」
『…ぬおぉぉぉぉぉお!』
最後の力を振り絞り、反撃しようとするチェイス
と、思われたが…
「……っ!?」
なんとチェイスはブレイクガンナーを投げ捨て、両手を広げた
『…グッ!』
剛が気付いた時には遅く、もう既に攻撃はチェイスに当たっていた
「……追跡…!」
チェイスの覚悟を受け入れた剛は、チェイスとの出会いを思い出した
出会いは最悪だった
事ある毎に姉ちゃんに近付き、終いには姉ちゃんの命を奪おうとまでした
「……撲滅…!」
最初はそれが許せなくて、仮面ライダーとなっても尚俺はアイツを憎んでいた
「……いずれも…マッハ…!」
だが、あの時お前が助けてくれた命があるから…
俺は仲間を…家族を守る事が出来た
今では、感謝している
「……仮面ライダー……マッハァァァ!はぁぁぁぁぁ!」
ありがとう、チェイス
「はぁぁぁぁぁぁあああああ!」
『ぐわぁぁ!』
攻撃を押し切った俺は地面に着地する
『……ウッ……カハッ…』
変身が解けボロボロになったチェイスは、後ろによろめき倒れそうになる
「……っ」
それを俺が受止めた
『……剛』
「……ハッ…またこの構図かよ…」
『……剛、霧子は…元気か…?』
「…あぁ、元気だよ。進兄さんと上手くやってる」
『……そうか…それは良かった』
チェイスは空気が抜けるような声を出し、俺は必死に涙を堪えていた
『…ゴウマには、自身が想像したものを、具現化する力がある。俺のこの力も、奴の創造によって創られた物だ』
「……そんな事が…」
『奴の力なら可能だ……剛、頼む。奴を…止めてくれ』
「……あぁ…約束だ」
『…俺は人間と笑い合いたかった』
「……」
チェイスは自身の夢を語り出した
『人間と、笑顔を…悲しみを…怒りを…判り会いたかった。だが、怪人である俺たちに、そんな資格は無かった……だから、俺は人間になって…心からの笑顔を、お前たちに見せたかった』
「……チェイス…」
『…だが……これで良かったのかもしれない』
「…え?」
チェイスは涙一つも流すこと無く語る
それもその筈、彼はロイミュードなのだから
『…お前が死ねば…俺はお前に笑顔を見せることは出来なくなる。それに、霧子や進ノ介が悲しむ……それだけは嫌だ…』
「……お前…」
『……剛…お前は今、幸せか…?』
「…あぁ……あぁ!幸せだ!」
俺は涙を堪えながら答えた
だが、耐えるのももう限界だ
『……そうか…それは良かった…』
「…っ」
その時、俺は気が付いた
「……チェイス…お前…!」
チェイスは笑っていた
今まで見せていた、ぎこちない笑顔でもなく
人間みたくなった時にみせたあの気持ち悪い笑顔とも違う
正真正銘、これはチェイスの心からの笑顔だ
『……剛……ありがとう…』
チェイスの身体は錆びたように朽ち果てていった
コアは無い
ゴウマが生み出した身体なら、当たり前のことだ
その場に残ったアルターライドブック「死神のチェイス」を拾い上げた俺は、晴れ間の見えた空に、深い深い深呼吸をした
「……チェイス……おつかれ」
『……クッ…』
「私から逃げられると思ったのか?アンク」
『……チッ…ここまでか…』
逃げ場を失ったアンクはゴウマに追い詰められていた
「仕方あるまい…ここで貴様に天誅を…」
「待て待てぇ!」
「……っ」
翔んできた蓮がゴウマを牽制する
「……仮面ライダー剣斬…!もう貴様に用はない!」
「俺は大有りだ!なんでデザストを生き返らせたのか、きっちり教えてもらおうか!?」
蓮は生身のゴウマに斬りかかった
だが、ゴウマは軽い身のこなしでその攻撃を避けた
「……フッ!」
「…グッ…!」
ゴウマが手をかざすと、辺りは重加速により空間が淀めき、蓮の身体は重くなる
「…小賢しい連中だ……ん?」
すると、ゴウマの手にライノスーパーバイラルコアが走って来て、その手に収まった
「……チェイスも敗れたか……まぁいい…」
何かを悟ったのか、戦意を喪失したゴウマは蓮やアンクから離れて行く
「……全ては私の描いたあらすじ通りだ…」
重加速が解けると、ゴウマは姿を消していた
「……くっそぉ!逃げられたァ!」
嘆く蓮だったが、諦めてアンクの方に振り返った
「……なぁ…大丈…」
しかし、そこにはアンクの姿も無かった
その場に取り残された蓮は叫ぶように嘆いた
「…なんだよもぉ!マジ無いわぁ〜!」
『……クッ…』
剣斬の助太刀のおかげでなんとか難を逃れたアンク
木にもたれ掛かり、身体を休める
そんな彼に、一つの人影が近寄って来ていた
「……あの〜…大丈夫ですか?」
『……俺に近付くな!殺すぞ…!』
「…い、いやいやいや!こんなのほっとけないでしょー!とりあえず着いて来て!」
『おい!離せ!…おい!』
どこか懐かしげのある強引さに引かれながらも、アンクはとある小さな本屋「ファンタジック本屋かみやま」に連れてこられた
『…なんだここは』
「飛羽真〜!お客さん連れてきたよ〜!」
奥で若い男性の声で「はいはーい!」と返事が返って来た
「……お、芽依ちゃんのお友達?初めまして、俺は神山飛羽真。よろしくね」
『……あ?』
「…え、いや…ほら!握手だよ!握手!」
アンクの手を強引に引っ張る飛羽真
だが、触れた右手の人の感触では無いものを感じた飛羽真は、アンクの右腕を見て仰天した
「…えぇ〜!?き、君!その右腕どぉしたのぉ!?」
「うえ〜!うちも気が付かなかったぁ!何それー!?」
『……』
なんだこいつら……だが、神山飛羽真…聞いた事がある
『……っ』
まさか…こいつがゴウマが言ってた神山飛羽真か…?
だったら……
飛羽真を睨むアンク
じっと見られた飛羽真は不思議そうにアンクを見つめる
これが炎の剣士と、アンクとの出会いであった
次回
仮面ライダーオーズ編
第12章「アンクと炎とワンダーストーリー」