剣士列伝 仮面ライダー剣斬 〜亡き友、此に有り〜 作:キャメル16世
第12章「アンクと炎とワンダーストーリー」
「……助かったよ。あんたのおかげで目が覚めた」
「いえいえ…僕は何も……ですが、本当に良かったのですか?お友達を倒してしまって…」
「……お友達…うん、あいつは俺のダチだ。だからこそ、俺が倒すべきだったんだよ」
「そう、ですか……僕にはよく分かりませんが…とりあえず、君が無事で何よりです!」
「……あぁ、助かった」
「はい!困った時はお互い様ですからね!では、僕はこれからエクレール・ド・ショコラを買いに行くので!また!」
「…エク…エクレ…?あ、あぁ……」
そそくさと去ってしまった倫太郎
「……変なやつ…フッ」
剛は少し微笑んでから、チェイスのアルターブックを見つめた
「……お前の事じゃねぇーよ…ヘッ」
「……こうして王子様はお姫様と王国に帰り、幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし!」
飛羽真が子供達に読み聞かせ終わると、少年少女の歓声が飛び交った
そんな子供達を飛羽真は宥めた
「はいはい!今日はここまでね、お兄さんは仕事しなきゃだから……あ、そうだ!あそこのお兄さんに遊んでもらえばいいんだよ!」
『……あ?』
と、飛羽真は不機嫌そうに腰掛けるアンクを指さした
「わ〜!」
「金髪のにぃーちゃん!これ読んでー!」
「あたしもー!」
『う、うるせぇガキ共!俺に触るな!』
無邪気に寄ってくる子供達を乱暴に振り払うアンク
「あ!見て見てこのにぃーちゃんの腕!怪物みたーい!」
「ほんとだー!妖怪腕魔人だー!」
『だ、誰が怪物だ!?誰が妖怪だ!?』
「わー!逃げろぉー!」
『待てガキ共!』
本屋の中でかけっこをする数人の子供達とアンク
そんな彼らを、飛羽真はニヤニヤしながら見守り、原稿を書き進めていた
「じゃあね〜飛羽真にぃーちゃん!金髪の妖怪にぃーちゃん!」
「うん!じゃあねー!」
『……チッ』
帰って行く少年を見届けた飛羽真は、アンクと一緒に店内に戻る
「今日はありがとう!おかげで助かったよ〜」
『…ハッ、例はきっちりと貰うからな〜…アイス寄越せ』
「ははっ!君ホント面白いね!…はい、芽依ちゃんからの差し入れなら」
『……』
飛羽真からチョコアイスを黙って受け取るアンクはアイスを頬張った
「…ねぇ、君は何者なの?」
『……』
「…その腕、人間じゃないんでしょ?」
『…なぜそう思う?』
「……まぁ、なんとなくっていえば嘘になるね。君からはなにか特別なものを感じる。人間じゃない、けど…人間になりかけてる部分もある」
『……』
「…そろそろ本当の事、話してくれないかな?」
『……』
黙ってアイスを食べるアンクに微笑みながら話し掛ける飛羽真
『……俺はグリード…欲望から生まれた怪人だ』
「グリード…?へぇ〜…やっぱり人間じゃなかったんだね」
『…当たり前だ……だが俺は……』
「…ん?どうしたの?」
『……なんでもない』
アイスを食べ終わったアンクは残った木の棒をゴミ箱に捨てた
『お前こそ、仮面ライダーなんだろ?』
「あれ、俺の事知ってたの!?なんか恥ずかしいな〜」
『仮面ライダーセイバー…一度消滅したこの世界を、本の力で元に戻した…ワンダーワールドの守り人。なぜお前がここに居る?』
「……ん〜…上手く言えないんだけどさ」
『……』
「…みんなの物語を、ずっと見ていたいから」
『…は?』
「人にはそれぞれ物語があって、みんなそれぞれの物語を生きてる。上手くいく事もあれば、失敗することもある。でもそれを乗り越えて、強くなって…そんな人の強さを教えてくれるんだよ、物語は……」
『…だから本を書くのか…?』
「うん。俺は小説家だからね…俺の物語の結末は、俺が決めなきゃ」
『……物語の…結末…』
アンクは自身の胸を触る
ここにある何かに、違和感を感じたからだ
《アンク、また会おう…俺とお前が居る、いつかの明日で》
『……』
「……っ!」
すると、外から衝撃音が響いて来た
急いで店から出る飛羽真
『……ゴウマ…』
そんなアンクは少しの不安と大きな期待を胸に
飛羽真の後を追うのであった…
「……ふんっ…!」
紫色の歪な腕から放たれたエネルギー弾がビルに直撃する
逃げ惑う人々
その流れに抗うように、神山飛羽真とアンクは街を混沌の渦にした張本人の元に向かった
「やめろぉぉ!」
『……っ!お前は…!』
「……」
『……真木…なのか!?』
その張本人の姿は正しく恐竜グリード、真木が変貌した姿だった
だが、腰のベルトの色は黄金に輝き、またその雰囲気も異なっていた
「私をあんな偽物と一緒にするな…アンク」
『……その声は…まさか!?』
「……」
『……ギル…!』
そう、彼の正体は「ギル」
恐竜メダルの本来の持ち主にして、行方が一切不明であったグリードの一人だ
「知り合いなの?」
『……』
飛羽真の質問に答えないアンク
すると、ギルの背後からゴウマの姿が見えた
「……フフッ」
『…ゴウマ…ギルを蘇らせたのか!』
「あぁ、その通りだ。アンク…私に従わないのであれば、お前はもう用済みだ……ギルの無へと帰すその力で、誰の記憶にも残らず消えろ」
「そうはさせない!彼はうちの本屋でも結構人気が高いんだ…それに、そんな事は俺が許さない!」
ゴウマの言葉に反発する飛羽真
「…仮面ライダーセイバー……お前は私にとっては天敵だ、だが…ギルの敵では無い!やれ、ギル!」
「…ふんっ!」
ギルが飛羽真に向かってエネルギー弾を放つ
彼の目の前まで来たエネルギー弾は爆散
大きな爆発が起こった
「……はははっ!いいぞ…いいぞぉ!全ては私のあらすじ通りだ!はははは!……あ?」
高らかに笑うゴウマだったが、煙の中で何かが爆発の煙を吸い上げていた
「……っ」
飛羽真の目の前の地面に刺さった火炎剣烈火を手に取った飛羽真は、聖剣ソードライバーを腰に装着し納刀した
ブレイブドラゴン!
かつて、全てを滅ぼすほどの偉大な力を手にした神獣がいた…
ブレイブドラゴンワンダーライドブックを装填した飛羽真は火炎剣烈火を抜刀した
烈火抜刀!
「…変身ッ!」
ブレイブドラゴン〜!
烈火一冊!勇気の竜と火炎剣烈火が交わる時、真紅の剣が悪を貫く!
飛羽真は右肩に赤い竜の顔がある、仮面ライダーセイバーへと変身した
「…なんだと……」
「…悪いけど、お前の思い通りにはいかないみたいだな!俺の危機を察知して、火炎剣烈火が向かって来てくれたみたいだ……物語の結末は、俺が決める!」
「…クッ……殺れ、奴を殺せ!ギル!」
「…ふんっ!」
「はぁぁぁ!」
荒々しくもぶつかり合うギルとセイバー
氷の力を使うギルにとって、セイバーの炎とは相性が悪かった
「てや!たぁ!」
「グッ…!」
『……』
セイバーとギルが交戦する中、アンクはその戦いを見守り、その時を待った
だが、ゴウマがそれを許す筈もなく
アンクの前に立ちはだかった
「アンク…お前には失望した……まさかセイバーと手を組んでいたとはな…」
『…ハッ…あいつは使えるバカだ。利用しない手は無い』
「…ふふっ…やはり、お前と私はよく似ている。目的の為なら手段を選ばない…私がお前をここまで生き長らえさせたのは、お前を一番気に入っていたからだ」
『……』
「…だが、それもここまでだ」
『……グッ…!』
突然苦しむアンク
ゴウマが再び力を発揮させていた
「お前の欲望は叶えられない…叶うのは、私の欲望だ!消えろ!」
ゴウマは手から黄金色のエネルギー弾を出現させ、アンクに向かって放った
『……クッ』
ゴウマの攻撃はアンクの目の前で爆発
勝利を確信したゴウマはまたしても高らかに笑う
「…ふはは…ふははははは!……ん?」
だが、おかしい
アンクを消せば目的の物が手に入る筈…それがあれば私は遂にアレを完成させる事が出来る……
まさか……
ゴウマは爆発した煙の中を凝視する
コブラ!カメ!ワニ!
ブラカ〜ワニ!
そこには、亀の甲羅のようなシールドを展開したオーズ
仮面ライダーオーズ ブラカワニコンボが立っていた
「……オーズ…!」
「…やっと見つけたよ、アンク」
『…チッ…余計な真似を』
「はいはい、強がりはいいから…ここから離れてろ」
『…いいや、こいつには借りがあるからなぁ……俺も相手になろう』
「なんだよ…今日は意外と素直じゃん!……なんでもいいさ、またこうやってお前と肩を並べて戦えるのが…俺は嬉しいから」
『……映司…』
一瞬映司を見たアンクはゴウマの方に身体を向けグリード態へと変身する
「…ごちゃごちゃと……貴様ら二人とも、まとめて消し去ってやる!ぬぁぁぁぁあ!」
すると、ゴウマは全身に力を溜め、黄金のオーラに包まれながら姿を変えた
それはかつて仮面ライダーセイバーやその他の戦士たちが戦った「アスモデウス」に酷似しているが、身体の青い部分が黄金に輝く姿へと変貌した
「あれがゴウマの本当の姿か…!やっぱり人間じゃなかったのか!」
『あいつは人間じゃない、が…怪人でもない』
「…え?」
「アンクの言う通り…私は人間でも怪人でもない……」
「……っ」
『……』
ゴウマは全身から黄金のオーラを放った
「……私は…神だッ!!」
必殺読破!
烈火抜刀!ドラゴン一冊斬り!
ファイヤー!
「火炎十字斬!」
「グヌッ…!」
ギルに火炎十字斬を放つセイバー
そこでアンクの横に経つ仮面ライダーの存在に気が付いた
「彼も仮面ライダー…?だったらあっちの心配は要らないな!」
「……ふんっ!」
「…ん?ぐはぁ!」
ギルの攻撃に気が付かなかったセイバーはコミカルに倒れる
「…あまり私を甘く見るなよ……封印される以前は太古の生物の頂点に立ち、太古の王として君臨していたのだ!だがいずれは絶滅する運命…貴様もこの世界ごと、絶滅しろ!」
「…悪いけど、それはごめんだな」
エモーシャナルドラゴン!
勇気!愛!誇り!3つの力を持つ神獣が、今ここに…
セイバーは立ち上がりながらもエモーシャナルドラゴンワンダーライドブックをドライバーに装填した
「ここで物語は終わらせない……俺が必ず物語を…未来を紡ぐ!」
烈火抜刀!
愛情のドラゴン!勇気のドラゴン!誇り高きドラゴン!
エモーショナルドラゴン〜!
神獣合併!感情が溢れ出す…!
仮面ライダーセイバー エモーショナルドラゴンへと変身したセイバーは火炎剣烈火を構える
「…覚悟を超えた先に、希望はある!」
次回
第13章「神と神話と描く夢」