剣士列伝 仮面ライダー剣斬 〜亡き友、此に有り〜   作:キャメル16世

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第9章「本当のダチとは何か」

「ムチリ…ガウバ…ビニオ…セピロ…シジカミ……未来のコアメダルから生まれたグリードか…!」

「グリードってあれだろ?ヤミーとは違ってセルメダルの塊にコアメダルを核としてるって言う…」

「その通り…よく知っているな、仮面ライダー剣斬」

機嫌の良いゴウマは淡々と語り始めた

 

「本来コアメダルとは、800年前に王に命ぜられた錬金術師が作り上げた欲望のメダル。本来10枚あったコアメダルを1枚を欠けさせる事により、欠けたメダルを取り戻したいという欲望が生まれ、そのメダルに意思が宿りグリードが誕生する……」

「…でもそれ!3枚しかなかったじゃん!」

「それは私が作り出した意思のないコアメダルだからだよ…意思のないコアメダルから生み出されたグリードにも勿論意思は無い。彼等は私の操り人形として大いに活躍してもらう予定だ……」

「…意思のない、コア……操り人形…だと…?」

すると、英司が物凄い形相でゴウマを睨んだ

蓮は彼のこんな表情は見た事がなかった

 

「アンクの事を蘇らせといて…よくそんな事が言えたな!」

「アンクは私の忠実なる下僕だ。彼に意思を宿させたのは、君を完膚なきまでに叩きのめす為だよ…仮面ライダーオーズ…」

「なにっ!?」

「君は一度、真木が起こした世界の週末を阻止し、世界に安泰を齎した……だが、それがいけないのだよ」

「……何を…言ってるんだぁぁ!」

「…あっ…お、おい!」

すると、生身の英司がゴウマに向かって突っ込んで行った

 

「……やれ、ムチリ」

『……グウゥゥワァア!』

「ぐはっ!」

腹部にパンチを喰らわされる英司

 

「おい馬鹿!変身ッ!」

すぐさま仮面ライダー剣斬へと変身する蓮

 

「はぁっ!」

『…グワァッ!』

剣斬のカウンターを避けるムチリ

 

「おい英司!落ち着けって!」

「…っ…ご、ごめん蓮くん……少し頭に血が上った…」

「……あまり俺が言えた事じゃないけどさ…ひとつの事に集中し過ぎると、周りの事も見えなくなるぞ…!」

「…うん、分かってる……でもこのままじゃいけない!」

 

英司はオーズドライバーを装着し、コアメダルを装填し

オースキャナーでスキャンした

 

「変身ッ!」

 

タカ!トラ!バッタ!

タ・ト・バ!タトバ!タ・ト・バ!

 

仮面ライダーオーズと仮面ライダー剣斬が横に並ぶ

 

「私の作り出した完璧なグリードに勝てるかな…?行け!ムチリ!ビニオ!」

『グワァッ!』

『ビィロォッ!』

「はぁっ!」

「はぁ!」

メダジャリバーでムチリの攻撃を受ける英司

蓮は風双剣翠風でビニオの攻撃を受けていた

 

 

「…ぐわぁ!」

『はぁっ!』

「ぐはっ…!」

超魔進チェイサーへと変身したチェイスは俺たちに襲いかかった

 

「…クッ…つ、強い!」

「……まさか…またあの姿になるなんて…!」

『…そうだ、俺は再び強くなった。剛…お前を倒す為に…!』

「……クッ…!」

 

超魔進チェイサー

あれは一度、チェイスが人間みたいになった時に変身していた姿だ

クリムから聞いた話だと、エンジェルロイミュードっていうのがチェイスに小細工を施し、チェイスは人間のような感情を手に入れた。だが、その結果チェイスは仮面ライダーになる事が出来なくなってしまった。その時エンジェルロイミュードから渡されたのが、今ブレイクガンナーに装填されているライノスーパーバイラルコアだ

 

チェイスは悩みながらも、人間の心を捨てロイミュードとして人間を守る事を誓った

その時の衝撃でエンジェルロイミュードとの戦いに関する記憶を失っていた筈なのに……

 

『はぁっ!』

「グッ!」

「あぁっ…君っ!」

チェイスは左手で俺の首を掴み、そのまま上にあげる

俺は地面に足がつかないまま、抵抗した…

 

『……』

「…クッ…チェイス…!」

『……はぁっ!』

「ぐわぁぁ!」

チェイスは俺を殴り飛ばし、俺は変身が解除された

 

「……クッ…くっそ…」

この強さはやっぱり、超進化態となったロイミュードの力に匹敵する…

チェイスはロイミュードとして、超進化態の力を手に入れたって事なのか…!?

 

『……終わりだ』

チェイスが俺にトドメを刺そうとした時だった

 

ライオン!

ふむふむ…習得一閃!

 

「はぁぁあ!」

『…っ!』

ブレイズの攻撃が、俺を守った

 

『……無駄な抵抗を…』

「…無駄なんかじゃありませんよ…諦めなければ、流れは必ず僕らにやって来ます」

「……っ」

「僕はかつて、何度も人生を諦めてしまった人間です。ですが、その度に僕の仲間が…家族が支えてくれた。その想いに応える為にも、僕は僕を諦めない…!」

 

キングライオン!

自然を超越した蒼き鬣が装甲を纏い、王座に轟く…!

 

ブレイズは紺色の大型のワンダーライドブックを取り出し、聖剣ソードライバーに装填した

 

「……剣士の誇りに掛けて、彼は…僕が守る!」

 

流水抜刀!

Rhyming! Riding! Rider!

獣王来迎!Rising! Lifull!

キングライオン大戦記!

 

それすなわち、砲撃の戦士!

 

仮面ライダーブレイズ キングライオン大戦記へと変身するブレイズ

先程とは違い機械的な見た目に変化している

肩には大砲のような物が装備されていた

左腕には専用武器のキングライオンブースターも装備されている

 

『……それがどうした…!』

「……っ」

『…なにっ!?』

ブレイズに斬りかかったチェイスだが、その屈強な装甲に弾かれる

 

「…見れば分かります…貴方もかつては人を守る戦士だった筈…!どうしてこんな事をするんですか!?」

『グッ…!』

ブレイズはキングライオンブースターにキングライオン大戦記ワンダーライドブックを噛ませる

 

スプラッシュリーディング!キングライオン!

 

「…はぁぁぁ……」

ブレイズの両肩にあるキングライオンカノンにエネルギーがチャージされる

 

ライオニック!フルバースト!

 

「…ライオニックフルバースト!はぁぁぁあ!」

『グオッ!』

キングライオンカノンから水のエネルギーが放たれ、チェイスに直撃する

 

『…き…貴様に何が解る!』

 

Super Execution...!

Full Break Rhino!

 

ブレイクガンナーに装填されたライノスーパーバイラルコアの刃が巨大化する

 

『…俺たちの…怪人の苦しみが…!』

「……っ!」

俺はその言葉を聞き逃さなかった

 

『…はぁぁぁあ!』

「ぐわぁっ!」

チェイスの強烈な一撃がブレイズを襲う

 

「…クッ…こうなったら…!」

 

流水咆哮!キングライオン大チェンジ!

それすなわち、砲撃の戦士!

さらには!ライオン変形!

 

「うぉぉぉぉぉお!」

ブレイズの身体が変形し、まるでライオンのように変化する。水勢剣流水を咥えてチェイスに飛びかかる

 

「ガルルガロォォォ!」

『…ぬっ…はぁっ!』

「ガォォォォ!」

 

激戦を繰り広げるチェイスとブレイズ

だが、俺はチェイスの言葉を反芻した

 

《……俺たちの…怪人の苦しみが…!》

 

「…チェイスの…苦しみ……」

思えば、そんな事考えた事も無かった

 

ロイミュードであるチェイスには心がなかった

だが、チェイスは苦しんでいた。人間の心が無いから…自分は人間ではないから、人間とは仲良くなれない

そうやって自分を押し殺していたんだ

だから人間の心を求め、人間と仲良くなろうとした

 

だが、それを拒んだのは俺だ

 

《こいつは仮面ライダーじゃない!ロイミュードだ!俺が…俺が倒さなきゃならないんだァァ!》

 

父親が残した負の遺産を、俺は全て滅ぼしたかった

だがそれ以上に、ロイミュードに対する憎悪が俺を加速させた

その結果俺は…

 

《…チェイスゥゥゥ!》

 

大切なダチを失った

悪いのは全部俺のせいなんだ

 

チェイスの苦しみは、俺が生み出したものなんだ……

だったら俺は…!

 

「……」

 

 

 

Super Execution...!

Full Break Rhino!

 

『……トドメだ…はぁっ!』

「ぐわぁぁぁ!」

チェイスの一撃を喰らうブレイズ

変身が解け、地面にうつ伏せになる

 

「……クッ…強い…!」

まさかこの人…感情によって強さが変わるのか…!?

 

『……俺の邪魔をした罰だ…貴様を処刑する…!』

「……クッ…!」

『……っ!』

チェイスの手が光弾によって弾かれる

 

『……剛』

「……」

ゼンリンシューターでチェイスの攻撃を止めた俺は、銃口をチェイスに向けたまま叫んだ

 

「…チェイス!俺はお前の心が分からねぇ!」

『……』

「…正直何考えてっか分かんねぇし!姉ちゃんを愛してるって言ったあの日も、正直ぶっ壊れたのかと思ったぜ!」

『……』

「……でも…お前はいつだって、人間を理解しようとしてたよな……人間と同じ食い物を食って、人間と同じ服を着て、人間と同じ道を歩いて、人間と同じように免許も取って…ほんと、めんどくせぇ奴だよ!お前は!」

『……剛…』

「……お前の事、馬鹿なんじゃねぇかと思ってたけどよ…それは俺の間違いだ…!チェイス!お前は疑いの余地のない、正真正銘の馬鹿だ!」

 

今の俺は、笑えているだろうか…

あいつには出来ない、心からの笑顔を……

 

「……だから俺も、お前と同じ馬鹿になってやるぜ!お前が何をしたいのか、何を望むのか!……それが解ればきっと…」

 

俺は伝えたい…

ずっと伝えられなかった、俺の想い…!

 

お前は変わろうとする必要なんて無い

お前は…チェイスは…!

チェイスのままでいいのだと!

 

「…俺たちは…本当の“ダチ”になれる気がするんだ!」

『……ダチ…』

「…だからこそ、お前は俺が倒す」

『……』

「……お前が遺した…この力で…!」

『……それは…』

俺が取り出したのは、金色のバイラルコアのようなシフトカー、シフトバイラルコアだ

 

これは以前、りんなさんにチェイスが遺したライノスーパーバイラルコアを改造し、ドライブシステムやネクストシステムに対応するようにしてもらったものだ

 

SIGNALBIKE!シフトカー!

 

「……チェイス!……俺は追い続ける…お前の生き様を……ライダー魂を…!」

『……っ』

「……Let’s……変身ッ!」

 

RIDER!超!デッドヒート!

 

次の瞬間、俺の身体は黄金の炎に包まれた

俺の身体は白い超魔進チェイサーと同造形なものとなっており、頭部のV-ヘルムからはチェイサーの複眼であるオープンドアイが覗いていた

仮面ライダー超デッドヒートマッハとなった俺からは大量の蒸気と気迫が溢れていた

 

『…剛…その姿は…!』

「……これでお揃いだな、チェイス」

『……』

「……」

『……はぁぁぁあ!』

「……はぁぁぁあ!」

そして、俺とチェイスは激しくぶつかり合った

 

 

「……クッ…!」

「…グッ!…こいつら…強い!」

『…グゥグルル……』

『…ビィロォ……』

ムチリとビニオは2人を圧倒していた

 

「……クッ…このままじゃ…!」

「……ふっふっふっ…」

「…っ…ゴウマ…!」

2人の背後に立つゴウマ

 

「やれやれ…やはり私の完璧なグリード達には手も足も出ないか……ふふふ…ふはははは!」

「…クッ……」

「……くっそ…!」

「…そうだ……それでは戦いが不利であろう…」

すると、ゴウマは懐から3枚のコアメダルを取り出した

 

「……私からのささやかなプレゼントだ…受け取れ」

「……っ!」

3枚のコアメダルを映司に投げ飛ばすゴウマ

すると、その3枚のコアメダルはなんと映司の身体の中に吸い込まれていった

 

「…ぐわぁぁあ!」

「……映司…?」

一瞬、蓮の目には

その3枚のコアメダルが紫色に見えていた

 

蓮は映司から聞いていた

紫のコアメダルの力は危険だと

そのコアメダルが人間の中に入り込むと……

 

「グォォォォォォオ!」

人間は、グリードになってしまうと……

 

「……ウゥゥゥゥ…」

「……映司…」

身体の造形から恐竜を彷彿とさせる見た目のグリードに変貌した映司

その視線は蓮に向けられていた

 

「……やはり、一度グリードになってしまった人間は簡単に欲望に呑まれてしまうのだな……これは面白い実験が出来た…ふはは…ふははははははは!」

「グォォォォォォオ!」

辺り一面に、映司の咆哮が轟いた




次回

第10章「その欲望に勝てるのは誰か」
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