Road(≠less)・Camelot   作:クソ蟲妖精

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狩り

 三十騎からなる粛清騎士の一団の任務は円卓に従わぬとある村の粛清だった。なんてことの無い容易い任務は、やはりなんてことも無く簡単に達成された。村民は皆殺しに処し、家畜すら粛々と殺し尽くした。

 

 後は報告にキャメロットへと帰還するだけ。なんてことのないいつもの業務を終えた帰り道、それはほんの一瞬で変わり果てることとなる。

 

 狩りの開始を告げたのは、先頭を行っていた粛清騎士の首が後方から疾風の如き速さで通り過ぎた謎の女騎士にもぎ取られたときだった。首を無くした騎士が地面に崩れ落ちるまでに戦闘態勢に入った騎士は二十九騎のうち十四騎ほど。 反応が遅れた残りの粛清騎士は一秒も経たないうちに、暴風のように振るわれる鎖によって例外なく肉片へと変貌した。

 

「───弱い」

 

 血肉に塗れた騎士、バーゲストは忌々しげに呟く。手に持った騎士の首を適当な場所に放り投げる。仲間であった騎士の遺体を無下に扱われた粛清騎士たちに怒りの色はない。あるのはただただ、目の前に立っている獣じみた騎士への警戒のみだ。

 

「仮にも汎人類史の円卓の騎士だと言うから多少は胸が躍っていたというのに、この様か。 これならば反乱軍の雑兵どものほうがまだマシだ」

 

 粛清騎士のひとりがバーゲストに向けて矢を鋭く放つ。が、バーゲストはそれに目を向けることも無く蝿を払うように左手で矢を払った。仮に常人が今の矢を喰らおうものなら腕など簡単に吹き飛ばしていただろう。粛清騎士たちの間に動揺が広がる。

 

「この程度であれば魔力を使う必要すらない。 いや、そも」

 

────剣すら要らん。

 

 獣がそう呟いた刹那、粛清騎士が数名、宙に舞った。フルプレートを見に纏った騎士が単純な臂力によって宙に殴り飛ばされるなど、いくら英霊相手でもそう有り得るようなことではない。

 

 拳を振り上げたバーゲストに、何人かの粛清騎士が斬り掛かる。が、今度は回し蹴りで全てを薙ぎ倒してしまう。バーゲスト自身もかなりの重量の鎧を見に纏っているというのに、それを一切感じさせず、粛清騎士たちを次々に単純な腕力で引き裂き、殺して回った。

 

 問答すら許さない獣の猛威に、本来であれば恐れなど抱かない粛清騎士たちの中でも、恐怖が段々と湧き出てくる。獅子王によって作り出された彼らには本来そのような機微は備わっていない。だから、それはある種の不具合だ。

 

「これでは何百騎屠ろうとも陛下への貢げ物としては不十分だ」

 

 そう言って粛清騎士の首を容易くへし折る彼女に、一人の騎士が恐れをなしてその場から逃げ去ろうとした。想定されていない挙動を行った仲間に周りの騎士たちは一瞬、動揺し、動きを止める。

 

「弱い上に逃げるのか、獅子王の騎士とやらは」

 

 バーゲストは無表情で逃亡者へと鎖を向かわせ、身体を捉えた。そして、己の方へと思いっきり引っ張り寄せる。逃亡者が足元までやってきた所で、その者の顔に剣を突き下ろした。剣が突き刺された頭は柘榴のように爆ぜた。刺す、というよりも潰すと形容したほうが良かったかもしれない。

 

「もういい。 私は貴様らを騎士としては扱わん。 ここからは単なる」

 

────狩りだ。

 

 黒犬公による狩りはその宣言から数十秒も経たずに、全滅という結果で終わりを迎えた。

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