転生したけど、転生特典は一部遅れて与えられるらしい 作:五段活用
俺が記憶を取り戻してからきっちり5年、つまり俺は今日15歳になったわけだ。そんなメモリアルな日の今日、やっと2回目の転生特典が来た。それが分かった理由は布団の横に刀と銃、そして手紙があったから。
驚きで目がぱっちりと覚めた俺はとりあえず刀と銃を《
「《ステータスオープン》」
ステータス
名前:サトイ 男 15歳
天職:魔法師
称号:なし
魔力:100000
技能:全属性適正・魔力感知・第六感・空間識覚・体術・言語理解・鑑定・環境適応・火炎耐性・慧眼・回復パワーアップ・体得
スキル:『天上天下唯我独尊』『
加護:『神の加護』
何か色々と増えてますね。まず魔力。これは10倍になっているぐらいだ。技能については全属性適正になった。つまり全属性の魔法がきちんと使えるよ兎になったということだ。他にも回復パワーアップと慧眼と体得いうものが増えている。
回復パワーアップ、これはいわば某戦闘民族の持つ能力だ。慧眼、これは本当は見えない魔力や魔法を捉えることのできる特殊な目のことである。手から魔力を出してみたら本当に見えたよ。体得、これは自分が受けた魔法を使えるようにする技能だ。
次にスキルだが、『天上天下唯我独尊』というものが追加されている。名前が凄いねぇ。
『天上天下唯我独尊』
『命の危機に陥った時、1秒に5%の確率で身体の損傷、欠損部位の修復、魔力回復などの効果を得られる』
まあ保険みたいな物だよね。死にかけてもなんとか息してたら生き返る可能性があるよって言う。きっとこれは使う機会はないだろうね(フラグ)。
次は手紙の確認だ。
拝啓 岩槻 慧様
神です。お元気ですか、あなたもそろそろ異世界の生活に慣れてきたはずです。私は以前と変わらない平凡な日々を過ごしております。
さて、この手紙が届いたということは2回目の特典があなたの手に渡ったということです。ちゃんと能力は増えているので安心してください。
刀と銃ですが、名前はありません。あなたが付けてあげてください。名前を付けると好きな時に自分の手に呼び寄せることができる能力が付きますので。それらの能力は《鑑定》で見てください。きっとあなたの生活の役に立ちます。
この手紙はあなたが読み終わり次第溶けてなくなります。
神より
刀と銃、そんな便利な機能あるんだね。名前は後でじっくり考えて付けることにした。起きてすぐは頭が働かないからね。とりあえず居間に行く。
「サトイ様、誕生日おめでとうございます。これ、サトイ様宛のお手紙です」
「ん、ありがと」
包みの紙を開くと手紙がある。中身は1枚だけだった。
サトイ・フォン・ミナリアス様へ
15歳の誕生日おめでとうございます。私も会って祝いたかったのですが、会えないのでこうして手紙を送りました。
さて、突然ですが私はサーレル・フォン・ミナリアスと申します。あなたの父です。言い訳がましくなるのですが、今まであなたに会えなかったのもカーレ村という辺境で暮らしてもらっているのにも理由があります。それも含めて会って話せたらと思います。
本題に入りますが、あなたがしたいことがあれば、何も気にせずしてください。あなたの世話係を任せているユナさんにですが、一生働かずに暮らせるほどの資金と家を用意しております。お迎えも送りました。手紙が着いた日の夜には着くので伝言よろしくお願い致します。
最後に、あなたの16歳の誕生日までに帝都『ミヤコ』のミナリアス公爵家屋敷にお越しください。あなたに会える時を楽しみにしております。
サーレル・フォン・ミナリアスより
「……ユナ。これ見てみて」
「はい。えーと……なるほど」
「あれ、驚かないの?」
手紙の一部を指さす。
「サトイ様の世話係に任命された時にこの条件は言われてましたから」
「ふーん。なら驚かないのも無理はないね」
「ところで、サトイ様は何かしたいことはございますか?」
「うーん、やっぱり旅したいかな?」
異世界と言ったら旅だよなぁ。せっかくの異世界だし定住するよりも旅をした方が楽しい気がする。
「いつからされるかのご予定は……?」
「ないけどできるだけ早くやりたいとは思ってる」
「では明日から行かれてはどうですか?」
「へ、明日?どうして」
「サトイ様の願望ができるだけ早く叶ってほしいからですよ。あ、今日はサトイ様の誕生日ですからここにいてくださいね」
旅の準備は服を《
「……ん?」
外がなにかの鳴き声やら人の声やらで騒がしい。
コンコンコン。
「ちょっと行ってくるよ」
玄関の戸を開ける。するとサラ、後ろに馬と護衛の兵士がいた。
「サトイ君!誕生日おめでとうございます!」
「ああうん、ありがと。さ、上がって」
「お世話になります!」
「なるほど……サトイ君は旅がしたいのね」
「ついてくる?」
「え、いいの?」
「俺はいいよ。ちゃんとルベルトさんが許可してくれたらな」
「分かった。お父様になんとかして許可をとってきます!」
「ユナは……ミヤコに戻らないといけないんでしょ?」
「はい。ですので私は旅についていくことはできません」
「そっかぁ……でも今日の晩に迎えが来るならサラも泊まるんだし2人で見送れる」
そう、サラは俺の誕生日はウチに泊まっていくのが恒例だったのだ。まあそれも今回で終わりっぽいな。
「ふふ、それは嬉しいです」
「……今日が最後なんだね」
めっちゃ急だけどユナとここの家で暮らすの今日で最後なんだよね。前世と今世の合計で歳(精神年齢)30超えてるからか涙脆いんだよね。
「サトイ様、まだあと1日一緒に過ごせます」
「……そうだね」
この日はいつも通り過ごした。夕食はサラが用意してくれたチキンとケーキを食べた。楽しい時間は過ぎるのが早く感じると言うが、まさにその通りだった。
「……行かれるのですね」
「はい。兵士の方々を待たせてるのは悪いですし」
「おれっ、絶対会いに行くから」
やっぱり別れって悲しいよね。今、涙が溢れてるもん。前世合わせたらもうおじさんの歳だからかね。というかこれめっちゃ主人公とヒロインが生き別れになる瞬間に似てね?ヒロインは存在しないけどな。
「っ、ふふ、その時を楽しみにしておきますね」
「ユナ様、そろそろ出発致します」
「はいっ。サトイ様、サラ様。どうかお元気で」
「っ、ああ」
ユナの乗った馬車は兵士に守られたまま出発した。うん、ちゃんと予定通りに帝都に着いてくれたらいいなぁ。今までお世話になったから是非とも平穏な日々を過ごしてほしいものだ。
「さて、戻りますかね……サラ?」
「……サトイ君も泣くことあるんですね」
「そりゃあね、俺も人間だから」
「ふふ、なんですかそれ」
とまあこんな風に、ユナを見送った。その後は旅に持って行く荷物を《
「ということで、行きますか」
翌日の朝、きっちり睡眠をとってから出発する。
「え、そっちは森だよ?それに背中に翼が生えて……」
《
「飛ぶよ」
サラを抱き抱える。いわばお姫様抱っこというものだ。
「え……キャアアァァ!と、飛んでる!こ、怖いぃぃ!」
そういえば君、飛ぶの初めてだったね。なら高速で飛行してるのを怖がるのも無理はないか。
「あ、安心して。絶対落とさないから」
「安心出来ないよおぉぉ!」