もう一人の悪魔   作:多趣味の男

100 / 330
風都署に現れたキメラドーパントとアクセルの戦いを見ていた九条は照井のピンチに焦っていた。
(このままじゃ竜が死ぬ....それだけはダメ。)
九条はドーパントによりパニックになっている署内にある超常犯罪科の照井の机を物色する。

そして、1つだけ鍵がかかっている机があり近くにあったクリップを広げてピッキングをした。
机の鍵が開き中を見るとそこには九条が預けたメモリが入っていた。

九条はそれを握りしめると照井の元へ向かうのだった。


第九十六話 Tの選択/悲しみの結末

アクセルにキメラが近付くと大きく口を開けてかぶり付いた。

グシャ!と言う潰れた音と共に現れたのはトライセラトプスドーパントになり照井の身代わりとなってキメラに喰われた九条だった。

 

「九条!」

照井が彼女の心配をする。

「あ.....く....」

かなり深くまで噛まれており牙に至っては心臓を貫いていた。

「貴様ぁぁぁぁあ!」

溢れる怒りから照井は腕を拘束していたクリームを力任せに砕くとスロットルを回して身体を固めていたクリームを爆散させるとキメラに斬りかかる。

 

キメラは噛みつくのを止めて攻撃を回避すると倒れる九条を照井が助ける。

「何故だ!何故こんなことを!」

「よ....よかっ.....た。

あな.....た...が..ぶじ.....で...」

もう、声も出すのも苦しそうにしている。

その傷から照井も彼女がもう長くないと悟ってしまう。

 

「あ....り...が...と...う...りゅ...う。

あ.....なた...の...お...か...げ......で....」

九条が最後の力を振り絞って照井の頬に触れるとメモリが砕けて身体から排出され人間の姿に戻る。

血だらけの状態の九条を照井は優しく抱き締める。

「お礼を言うのは俺の方だ.....すまない。

.....ありがとう。」

そうして九条を優しく地面に下ろすとキメラドーパントを睨み付ける。

 

「貴様だけは許さん!」

そうして、アクセルはクラッチを握りマキシマムを発動する。

そうしてただ真っ直ぐキメラドーパントへ突っ込んでいった。

キメラドーパントはアクセルに向かって雷撃やマグマを放つがそれをものともしない。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

「ACCEL MAXIMUMDRIVE」

 

アクセルの蹴りがキメラドーパントへと直撃するがメモリブレイクは出来なかった。

そして、その蹴りによりキメラドーパントにも変化が起きる。

「.....痛い。」

 

「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いぃぃぃぃぃぃぃ!

突如、キメラドーパントの背中から触手が増えて一本一本が別々の角度でアクセルに攻撃を加える。

その触手には1つずつに能力が付与されておりマグマ、アイスエイジ、ライトニング、アームズ、そしてTレックスの特徴を有していた。

痛みにより我を忘れたキメラドーパントはアクセルを変身解除するまで触手で殴り付けると逃げるようにその場から姿を消した。

 

 

ボロボロの身体を引きずりながら照井は手を伸ばす。

「ま......て....」

血だらけの手でキメラドーパントを捕まえようと伸ばすがそのまま意識を失ってしまった。

そして、その姿をシュラウドが見つめる。

「やはり、照井竜は弱くなった.....左翔太郎と関わることで憎しみを忘れてしまったのね。」

こんな男では恐怖の帝王には勝てない。

そう結論付けて去ろうとするとそこに無名が現れる。

 

「おや、照井竜を助けないんですか?」

「今の彼に憎しみの心は無い....もう手を貸す理由はないわ。」

「そう決めつけるのは早いんじゃないでしょうか?」

「どう言うこと?」

 

「九条綾の存在です。

かつて照井が救った人物が今度は自らを犠牲にして照井の命を救った。

恐らく、彼のことですから彼女の事は助けようと本気で思っていた筈です。

大事な存在を失う....これは家族を失うのと同等の痛みを彼に与えるでしょうね。」

「もう一度、憎しみの炎が灯ると言うの?」

「なら、確かめてみたら良い。

どっち道、キメラに勝つには貴方の開発したメモリが必要だ....違いますか?」

無名の提案にシュラウドは少し考えると答えを出した。

 

「良いわ....もう一度確かめましょう。

照井竜に憎しみの炎が残っているかを....」

そう言うと照井を連れてシュラウドは何処かへ消えていった。

残ったのは血だらけの九条綾だけであった。

 

 

 

 

 

 

九条綾は薄れ行く意識の中で死んだ恋人である溝口に問いかけていた。

 

「ねぇ.....私は結局何が出来たんだろう?」

 

復讐も失敗して仮面ライダーに敗れそして今をこうして命を失おうとしている。

全く、最悪な人生だ.........

そう表現するのがピッタリだった。

 

 

すると、聞こえる筈なの無い声が聞こえてくる。

 

「そんなことはない.....お前は良くやったよ綾。」

 

それは正しく死んだ筈の溝口の声だった。

 

「あぁ....良かった。

また、貴方に....会えたのね。」

 

「あぁ、それにしてもお前はバカだよ。

俺なんかの為にこんなこと仕出かすなんて....」

 

「仕方...無いでしょ?....だって貴方を.....」

 

 

「"愛してしまったんだから".....」

 

「......そうか」

 

「.....ねぇ。」

 

「ん?」

 

「私は.....最後の最後に正しい事が出来たのよね....警察官として.....誇れる事が....出来たのよね?」

 

「どうだろうな.....俺には分からない......けど...お前が照井の命を救ったことできっとこれから先、照井はもっと沢山の命を救ってくれる筈さ......

だから、無駄じゃない......君の行動は....正しいと...俺は思うよ.....」

 

「そう....良かった.....私....貴方に....謝りたくて....」

 

「もういい.....分かってるよ.....

だからもう.....休んで良いんだ......」

 

「.....そうね.....何だか....疲れたわ.....ねぇ正輝...眠るまで一緒にいてくれる?.......」

 

「あぁ.....ずっと.....傍にいるよ.....」

 

「.....ありがとう....ま....さ...」

 

 

涙を浮かべながらも笑顔で彼女は逝った。

その姿を見た無名は"変声機"のスイッチを切る。

 

(確かに貴女は風都を破壊しようとした犯罪者だった.....けど、最後の最後で貴女は刑事でありヒーローでした。)

 

 

「おやすみ....九条綾....良い夢を....」

 

 

 

無名はそう言うとその場を後にした。

そして、彼女の遺体を翔太郎と亜樹子が発見するのだった。

翔太郎は黙って帽子を深くかぶり亜樹子は状況を刃野刑事に伝えると静かに泣いた。

外伝 続編の投稿に関して

  • このまま続きで見たい
  • 新規投稿で見やすくしたい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。