親に暴力を奮われた日はいつも隠れるようにゴミ捨て場に隠れていた。
ここなら、汚いからか両親が追ってこなかったからである。
いつしか、この悪臭が彼の精神を落ち着かせてくれる臭いとなっていた。
久しぶりに感じた痛みにより忘れかけていたトラウマを思い出してしまった。
両親が笑いながら自分を殴り蹴る姿が頭から離れない。
「あぁ....あぁぁーーっ!違う違う!もういないんだぁぁ!だから怖くないんだぁぁぁ!」
一人頭を抱えながらキメラメモリを手に取る。
「大丈夫....これがある....もう痛い事は無いんだ....僕を痛くする奴なんてこれで失くせるんだ!」
自分をそう励ましながら荒い息を整えていく。
「ふーっ....ふーっ.....あの
そもそも、アイツが来なければ
痛みによる恐怖が食べられなかった怒りに変わっていく。
(二人とも見つけ出して殺してやる!)
真島はそう考えると立ち上がりアクセルを探すため動き始めるのだった。
照井はシュラウドからの試練を行うためバイクに乗り込んだ。
すると、シュラウドがバイクにトライアルメモリを挿す。
「これでこのバイクはトライアルのマキシマム発動時と同じ状態になる。
さぁ、行きなさい。」
照井がバイクでコースを走り出すがコントロールするだけで精一杯で速度が全く乗らなかった。
(これは....確かにマキシマムの時と同じ状態だっ!)
何とかコースを走りきりゴールに着くとストップウォッチをシュラウドが止める。
「13秒22.....失格よ。」
シュラウドの言葉に反応するように照井の乗るマシンから電流が走る。
「憎しみが足りない。
もっと憎しみの炎を燃やすのよ!」
「グッ....もう一度だシュラウド。」
照井はそこから何度もコースを回り10秒を切るために走り続ける。
「12秒42....14秒13.....12秒18...」
失敗する度に照井の身体に電流が走り痛みで呻き声を上げる。
「憎め....憎め...もっと憎むのよ!」
そんな中、亜樹子が照井の居場所を見つけて現れた。
「あっ!いた!竜くん!」
「所長?....しまっ!」
亜樹子に気を取られた照井はバイクから吹き飛ばされ気を失ってしまった。
「あっ!りゅ.....竜くん!」
亜樹子が照井に寄り介抱する。
「チッ!余計な真似を.....」
その光景をシュラウドは舌打ちしながら見るのであった。
「うん....そう.....だから翔太郎君、後はよろしくね。」
亜樹子が翔太郎に照井の安全を報告して電話を切ると、シュラウドに食って掛かった。
「アンタね!竜くんに何させてんのよ!」
「黙りなさい小娘!これは照井竜が望んだことよ。
貴女にとやかく言われる筋合いは無いわ。」
「こむ.....小娘ですってぇ!」
亜樹子は自前のスリッパでシュラウドをひっぱたこうとするがそこで照井が目を覚ました。
「ウグッ!.....眠っていたのか。」
「竜くん!気が付いたんだ....良かったぁ。」
「所長.....九条綾はどうなった?」
「綾さんは.......」
「そうか.....」
口をつぐんだ亜樹子の仕草でどうなったのか察した照井は立ち上がった。
「でも.....綾さん笑ってたんだ。
満足した顔で.....」
「満足だと?」
「きっと竜くんを助けられたからだと思う。」
「そんな.....甘いことが...あるわけ。」
「少なくとも私はそう思ってる。
綾さんは竜くんを助けたことを、きっと後悔しなかったと思うよ。」
「....ふん!甘い考えね。
荘吉の娘とはとても思えないわ。」
「....そりゃあお父さんと比べると私は甘いと思う。
けど、それが今の鳴海探偵事務所なのよ!
ハーフボイルドの探偵と知識オタクの相棒....そして私。
三人がいるから探偵が出来てるし、竜くんとも会えたのよ。
アンタは竜くんを憎しみだけの存在にしたいみたいだけど、そんな風にはならない....と言うかさせない。」
「だって.....竜くんは私達の"仲間"なんだから!」
照井はそれを聞いて立ち上がるとバイクに跨がった。
「シュラウド.......もう一度だ。」
「竜くん.....」
「俺は井坂に復讐するために仮面ライダーになった。
そして、翔太郎に風都を守る仮面ライダーの流儀に従うと約束した。
だが、俺は所長の言うように憎しみを捨てることは出来ない。」
「だが、シュラウドの言うように憎しみだけで生きるつもりもない。」
「俺はこのトライアルメモリを使いこなして見せる。
そして、真島を逮捕する!」
「......良いわ。
それが貴方の選択なら、けどラストチャンスよ。
これでダメなら分かっているわね?」
照井はバイクを走らせた。
これまでで一番の速さでゴールに到着した。
「......9.9秒、合格よ。」
「やったぁぁぁ!竜くん!」
10秒の壁を越えたことに亜樹子は喜んでいる。
そんな中、亜樹子の携帯に連絡が入る。
「翔太郎君...どうしたの?
えっ!分かった!竜くんに伝える。」
そう言うと電話を切った。
「竜くん!真島が警察の遺体安置所に現れたんだって!今、翔太郎君が向かってるって....」
「そうか.....俺も向かう。」
そう言うとトライアルメモリを抜き取りバイクをそのまま動かした。
その姿を見るとシュラウドはストップウォッチを捨ててその場を後にしようとする。
「あっ!ちょっとこれ」
亜樹子がストップウォッチを拾い上げるとそこには"10秒78"と表記されていた。
「10秒切ってないじゃん!どうして?」
「彼は私の求める憎しみを捨ててしまった....もう興味もない。」
「興味ないって.....ちょっと!」
文句を言おうと顔を上げるとそこにシュラウドはもういなかった。
照井が風都署に着くとそこではキメラドーパントとWサイクロンメタルが戦闘を開始していた。
職員は退避したのだろう。二人以外の気配を感じなかった。
Wが照井に気付く。
「照井っ!無事だったか。」
「世話をかけた....後は俺がやる。」
そう言うと照井はドライバーを装着するとアクセルメモリを起動する。
「ACCEL」
「変.....身!」
メモリをドライバーに装填してスロットルを回すと仮面ライダーアクセルへと変身が完了する。
すると、エンジンブレードでキメラドーパントへ斬りかかる。
すると、その場所に乱入者が現れる。
甲殻類の様な姿をしたドーパントが現れたのだ。
そして、Wを見ると話し出す。
「見つけたぞ....."私の女神"に手を出したのは貴様だな。」
「あん?女神って一体....」
「問答無用だ!」
すると、甲殻類のドーパントが爪の付いた腕を思いっきりWの方に伸ばすと螺旋状に伸びて分かれた腕がWに直撃した。
そして、その勢いのままWを遠くへ押し出した。
そこにそのドーパントも向かった。
「どうやら、一対一の戦いになりそうだな。」
照井の言葉に真島が答える。
「関係ないよ....どうせ食べちゃうんだから....」
「一つ聞かせろ。お前はどうしてここに来たんだ?
警察署に来るメリットなど無い筈だ。」
「ここにお前を守ったドーパントの遺体があるんだろ?
僕の食事を邪魔したからね。
グチャグチャに踏み潰してストレス発散しようと思ってたんだよ。
そして僕に傷を付けたお前には最も苦しい死に方を与えようと決めたんだ。」
「成る程、理由は分かった。
これで心おきなく振り切れる。」
そう言うと照井はトライアルメモリを取り出して変形させるとメモリを起動する。
「TRIAL」
メモリを装填しスロットルを回すと青色の仮面ライダーアクセルトライアルへと変身した。
「色が.....変わった?」
「さぁ!......振り切るぜ。」
そう言うと照井はキメラドーパントへと向かっていくのだった。
「何だと?真島とアクセルが交戦を開始しただと?」
獅子神が紫米島と白爪から携帯でその報告を受ける。
「えぇ、我々が接触する前に勝手に行動を始めたようで....」
「奴には身体の中に発信器を埋め込んでいた筈だろう?」
「どうやら、自力で取り出したようです。」
実験の要となる真島には常に居場所の把握を行えるように首の後ろに発信器を埋め込んでいた。
そして、戦いの終わった真島を回収しようと向かうとそこには血で汚れた発信器が無惨に捨てられていたのだった。
「ちっ!面倒なことをしやがって....」
ここで電話が変わり紫米島が応対する。
「面倒事はそれだけじゃねぇぜ獅子神。
"緑塚"がサラがやられたことを知って勝手に飛び出したらしい。
しかも、Wを狙っているみたいだ。」
「あの蟹野郎がか?......大方、サラを傷つけられてキレちまったんだろう。
そこは良い.....問題は真島の方だ。
研究の成果は出た....奴は被験体としてミュージアムで捕獲する。
奴は今、何処にいる?」
「風都署の遺体安置所の近くだ。」
風都署はガイアメモリの事件を多く扱いその特異性から死体の保管にも気を使い、風都署と言いながらも警察署より数ブロック離れた場所に遺体安置所が設置されていた。
「俺も向かう.....お前らは万が一の時の相手を頼む。」
「万が一とは?」
「決まっているだろう.....真島がメモリブレイクされた時だ。」
そう言うと獅子神は電話を切って遺体安置所へと向かうのだった。
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