もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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緑塚により吹き飛ばされたWは体勢を立て直すと、エクストリームメモリを装填した。
過去の反省から今回は全力で相手をすると決めていたのだ。
「XTREAM」

そして、クリスタルサーバーが目の前のドーパントの検索を終わらせる。
『検索が完了した....こいつのメモリは"クラブ"()だ。
そして、未知のシステムによる強化を受けているようだ。用心した方が良い。』
「あぁ、分かったぜフィリップ。」

『「プリズムビッカー」』
Wは武器を呼び出すとプリズムメモリを装填し剣を引き抜いた。
そして、クラブドーパントとの戦いを始めるのだった。


第九十九話 笑うW/全てを振り切る速さ

アクセルとキメラの戦いの火蓋を切ったのはアクセルだった。

高速で近付きキメラを殴り付ける。

しかし、前よりもパワーが減っているためダメージを与えられない。

 

キメラは殴られた身体を触れて不思議がりながらもマグマ、アイスエイジ、ライトニングの力をアクセルに放つが、アクセルの高速移動と回避により全ての攻撃をかわした。

「力弱くなったけど....速くなってる?

なら、これで捕まえる。」

 

キメラはスイーツとポルーションの能力を掛け合わせた硬化する煙を吐きかける。

それをアクセルはその場で回転し巻き起こした風で煙を吹き飛ばしてしまった。

「見せてやる....トライアルの力を!」

 

照井はメモリを引き抜きトライアルメモリを変形させる。

そして、スイッチを押すと空中へ投げた。

マキシマムを発動したアクセルはキメラは真っ直ぐと走っていく。

キメラは迎撃のためオクトパスを発動し触手を複数出現させるとそこに各メモリの力を付与させた。

 

キメラの触手がアクセルを襲うがトライアルメモリをマキシマムで発動するとその速度は音速すら越えるスピードを出していた。

攻撃を全て回避しキメラの背後に回り込むと蹴りを浴びせ始めた。

止まることの無い蹴りによりキメラの身体に"T"の文字が刻まれ始める。

そして、落下するトライアルメモリをアクセルがキャッチするとスイッチを押してタイムを止めた。

 

「TRIAL MAXIMUMDRIVE」

 

「9.8秒....それがお前の絶望までのタイムだ。」

蓄積されたマキシマムの攻撃が体内のメモリに届くとキメラドーパントは爆発してメモリが排出された。

そして、地面に真島が倒れ伏す。

「ぐっ....痛い..何で僕が倒れてるの?

お前は僕の餌の筈だろう....何で僕を傷付けるのぉ?」

「俺に質問をするな....その答えは刑務所で考えろ。」

キメラメモリがブレイクされると真島は意識を失った。

 

 

 

 

「素晴らしい...."見事な勝利"ですね照井 竜。」

拍手しながら井坂が照井の前に現れた。

「井坂っ!俺の前に出てくるとは何の用だ!」

「私の知らないメモリであるキメラメモリの能力を見てみたかったんですよ。

私とかなり能力が被っていましたからね。

しかし、このメモリは私に必要ありませんねぇ。

食べなければ能力を使えないとは不便極まりない。」

 

「彼のコネクターは新型のフィルターが使用されている筈なのに毒素によるダメージを受けたとなると新しく開発されたメモリは通常のメモリよりも毒素が強くなる傾向があるのかもしれませんねぇ.....」

「いやはや実に面白い.....これだからガイアメモリは止められない。

興味の尽きることの無い素晴らしい道具ですよ。」

 

「そんな事を俺に話に来たのか?」

「いえいえ、目的はそこで倒れている男でした。

ある意味私の様な力を持ったドーパントです。

力試しをしたいと思うのは当然でしょう?

それに....私自身試したい道具もありましたのでね。」

そう言うと黒いアダプターを照井に見せる。

「それは何だ?」

「私専用に開発されたガイアメモリの強化アダプターです。

これの試運転の為に今日は来ました。」

 

 

「最初は弱かった貴方も立派な"復讐者"(リベンジャー)となったようですね。

今の貴方との戦いなら....楽しめそうだ。」

井坂はそう言うとウェザーメモリにアダプターを装着する。

 

Weather Overload(ウェザー オーバーロード)

 

そして、メモリを耳に挿し込んだ。

そして通常のウェザードーパントに変身するがそこから変化が起き始める。

色が白から黒へと変わり逆に黒かった腕は白くなる。

中心のバックルの色は赤くなりベルトの意匠である竜も四体に増えた。

 

そして背中から竜の身体が現れて円になるとその各部に円形の太鼓のような道具が増えた。

まるで、雷神の様な姿に変貌した井坂は気合いをはく。

するとそれだけで周囲に突風が起こりアクセルが吹き飛ばされかけた。

 

「....ふっふっふっふっ、あっはっはっはっはっは!

素晴らしい....本当に素晴らしい!

これが私の姿!何て素晴らしいんだ!」

進化した自分の姿を確認し井坂は嬉しそうに笑う。

 

「さて!....何処まで出来るのか試させてもらいますよ照井 竜!」

強化されたウェザードーパントがアクセルトライアルに攻撃を仕掛ける。

井坂がいつも使う雷撃を落とした瞬間、その威力と大きさに彼自身も驚いてしまった。

アクセルはトライアルによる加速で何とか回避するが、アクセルの立っていた地面は陥没しあまりの熱により付近のコンクリートが融解していた。

 

「これは随分と強くなったものですね.....しかしこれでは逆に楽しめなくなってしまいそうだ。」

「なめるなよ井坂!」

アクセルはエンジンブレードを手に取ると加速を乗せて斬り付けた。

しかし、その斬撃が直撃しても井坂に何のダメージもなく火花すら出なかった。

「何っ!」

「私自身、強くなったとは思いましたがここまでとは....これでは拍子抜けですね。」

井坂は照井を拳で殴り吹き飛ばした。

能力を使ってないただの打撃なのに照井は遠くまで吹き飛ばされる。

 

「雷は分かりました....次は風はどうでしょう?」

井坂が指を上に向けると巨大な竜巻が生成される。

そして、竜巻が倒れた照井を呑み込んだ。

内部に入った照井だから分かったがその竜巻の中に複数の竜巻が内包されており其々が別の回転軸で動いていた。

解りやすく言うなら複数の刃が異なる回転をする巨大なミキサーの中に放り込まれた様なものだ。

 

辺りの岩やコンクリート、鉄筋等を巻き込んだ竜巻は四方八方から中にいる照井に攻撃を与えた。

回避しようにもその隙間もなくまたアクセルトライアルは通常よりも防御力が劣っているため照井の肉体にドンドンとダメージが蓄積していく。

「このままでは....マズイ!」

照井はマキシマムを発動して加速させた身体を使って無理矢理、竜巻の中を突っ切った。

 

身体から火花と煙を上げながら何とか竜巻から逃げ延びる。

「おや?......随分とお疲れのご様子ですね。

大丈夫ですかな?」

「俺.....に....質...問を..するなっ!」

照井はここまでの間でキメラドーパントとのダメージも完治しないままここに来ていた。

 

正直、もう限界が近付いていた。

意識も薄れており視界も安定していない。

だが、それでも逃げるわけには行かなかった。

照井はもう一度、トライアルメモリのスイッチを押そうとするがここで井坂に異変が起きる。

 

「グォッ!.....何だこの痛みはっ!......ガハッ!」

片膝をついた井坂を照井は呆然と見つめる。

「どうやら....ここまでのようですね。

では、照井竜また会いましょう。」

 

そう言うと井坂は蜃気楼を出してその姿を消した。

敵がいなくなり照井はトライアルメモリを抜くと変身解除した。

そして、そのまま地面に倒れると意識を失ったのであった。




Another side

変身を解除した井坂は吐血した自分の姿に驚いた。
「これは一体どう言うことなのだ?」

「強化アダプターの副作用ですよ。」
突如、現れた無名が井坂に告げる。
「通常のアダプターでも増大する毒素をフィルターを使って減らすところを貴方のアダプターにはその機能が無い。
いくら、貴方が毒素に対して耐性があったとしても限界があります。
吐血したのがその証拠です。
恐らく、先程の変身で寿命が削られた可能性があります。」

それを井坂に告げると彼は愕然としていた。
「ショックなのは分かります....今からでも通常の仕様に....」
「最高だ.....」
「え?」
井坂の思いもよらぬ言葉に無名は聞き返す。

「私の身体ですら"耐えられない毒素"を生み出す
このアダプターは最高だと言ったのです!
これ程の毒素が私の身体に流れればドーパントとしての強さは最大限まで強化される....."あの男"にすら勝てる程に!」
「それで死ぬことになってもですか?」
「何を言っているのですか?
今はその毒素に耐えられないだけです。
しかし、私ならばこれを使いこなせる自信がある!
私はやり遂げて見せますよ。」

「何処にいくのです?」
「一先ずは冴子さんの所に帰ります。
では、失礼しますよ無名君。」

そう言うと井坂は笑顔でその場を去っていった。

("ガイアメモリが生んだ化物"まさにその通りの人物ですね。)
そう無名は井坂に対して思うと戦いを見届けたので彼もその場を後にするのだった。

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