「クソっ!遅かったか。」
「ん?翔太郎....お前も来てたのか。
遅れて正解だと思うぞ...出なきゃお前多分、角谷を殴ってたろ?」
「んなこと.....ねぇよ。」
刃野刑事とは翔太郎が学生の頃からの仲だ。
口に出さなくても分かることがあるのだろう。
刃野刑事の言葉で少し落ち着きを取り戻した翔太郎は二人に聞こえないように照井に話しかけた。
「照井、何か捜査に繋がる証拠ってないのか?」
「新田の自宅から手帳が見つかった。
恐らくはここに取材の内容や詳細が書いてあるのだろうが....」
そう言うと照井は携帯の画面を見せた。
そこには撮影された手帳の写真が書いてあった。
「何だこれ"い111う1000あ11"?意味が分からねぇ。」「新田は中身の解読を恐れて手帳を暗号化していたようだ。
そして新田の持つパソコンには膨大なデータが入っていたのだが何十にもプロテクトやトラップが仕掛けてあるらしく無闇に触ったらデータがなくなる危険性があるので調べられていない。」
「分かった。
それはフィリップに解読させる。
本人も喜ぶだろうしな。」
「あぁ、頼む。
俺には専門外過ぎるのでな....」
そう言うと翔太郎は照井から手帳の画像データを貰い一度、事務所へ帰宅するのだった。
そうして、数日が過ぎる間に色々なことが変わっていった。
角谷親子が突然死しその瞬間にガイアメモリの使用や汚職の証拠が沢山出てきた。
これにより警察は本格的な捜査に乗り出すのだが角谷誠司の口座の預金が無くなりその足取りだけは謎のままだった。
そして、風都の市長選が行われ圧倒的票数で雨ヶ崎 天十郎が当選した。
そのお祝いとして風都博物館を開放した祝勝会が開かれ照井と共に鳴海探偵事務所も参加できる運びとなった。
「私はこの風都と言う街が好きです。
常に風が流れ止まることのないこの街が更に発展していくように努力していく所存です。
皆様、どうぞ応援よろしくお願いします。」
そう演説を締めくくった天十郎に割れんばかりの拍手が送られた。
「何だか真面目な人が市長になったね翔太郎君。」
亜樹子が祝勝会で出された食べ物を隠してタッパーに詰め込む姿を呆れて見ながら翔太郎が答える。
「そうだな...ここの飯をネコババするお前よりかはまともそうだよ。」
「何よ....最近依頼が少なくて大変なの知ってるでしょ?
文句言うなら仕事取ってきなさい仕事を!」
そう言ってスリッパで顔をグリグリされていると照井が二人を見て軽く笑いながら現れた。
「相変わらず、退屈しないな二人とも」
「ほっとけ....それより俺達を呼んだのはパーティを楽しむ為じゃないんだろ?」
「あぁ、実は....」
そう照井が話し始めようとすると司会がマイクに近付きお客に話し始めた。
「それではお待たせ致しました。
この祝勝会に出演してくださるゲストを紹介致します。
"風都の歌姫"....
皆様、どうぞ拍手でお出迎えください。」
そう言われると黄色のドレスを纏った少女が舞台に現れた。
「あっ、歌恋だぁ!スッゴいよ翔太郎君!
私、生で見たの始めてだよ!」
その姿に亜樹子は興奮している。
それもその筈....歌恋と言えば風都の歌姫として活躍しているトップ歌手であり音楽番組で彼女の出ない日は無いと言われる程大人気の人物だった。
まだ、高校生らしいのだが歌の才能は本物で"百年に一度の天才"と噂されていた。
壇上で歌恋はマイクを手に取ると喋り始める。
「この曲は遠くに行ってしまった"大切な人"を思って作りました。
聞いてください....」
そうして、歌い始めた歌恋の歌は優しくも悲しさを帯びており聞いている者の涙を誘った。
そして、歌を歌えば歌うほど歌恋の目から涙が溢れてくる。
その涙に翔太郎は違和感を覚えた。
(あの涙は何だ?....まるで"後悔をかかえている"様な涙は)
そんな事を考えていると会場の地面に突如"黒い穴"が出現した。
そこから数体のドーパントが現れる。
その光景に館内はパニックになった。
「きゃぁぁぁぁ!」「助けてぇぇぇ!」「ばっ化け物がぁぁ!」
辺りの混乱の中で照井と翔太郎は話す。
「何でこんなところにドーパントが出るんだよ!」
「俺に質問するな!.....兎に角行くぞ左。」
「あぁ、行こうぜフィリップ!」
二人は周りにバレない場所に移動しドライバーを着けるとメモリを装填したのだった。
黒い穴から現れたドーパントは辺りを見渡し歌恋を見つけると言った。
「見つけたぞ....あの女だ。」
そうして複数のドーパントが全員、歌恋の元へ向かう。
「....嫌っ来ないで!」
歌恋は怯えながらそう叫ぶ。
「安心しな歌姫さん、アンタに指一本触れさせないぜ!」
そう言ってWはドーパントの前に立ちふさがりドーパントの背後からアクセルが現れた。
「チッ!仮面ライダーだと!?
何でテメェらがこんな所にいやがるんだ!」
「そりゃ、こっちの台詞だドーパントども!
歌姫に何の用があるんだ?」
「.....仕方ねぇおめぇら殺っちまえ!」
そう一人のドーパントが言うと周りのドーパントが呼応してWとアクセルに襲いかかってきた。
『"コックローチ"に"アノマロカリス""アームズ"それに指示を出している奴のメモリは"ドッグ"かな....翔太郎、先ずはこの場からコイツらを外に出そう今のままここで戦うのは危険だ! 』
「分かったぜ....ならこれだ!」
「LUNA,METAL」
Wルナメタルに変身するとメタルシャフトを鞭のように伸ばし三体のドーパントを纏めるとそのまま、そとへと放り投げた。
「何っ....クソっ!」
そう言って指示を出したドーパントが歌恋を狙おうとするが
「TRIAL」
トライアルメモリで変身したアクセルの高速移動により目の前に現れるとエンジンブレードで切り伏せられた。
「グアッ!クソクソっ!何で邪魔をする仮面ライダー!」
「俺に質問をするな....さぁ振り切るぜ!」
アクセルがそう言うとドッグドーパントに向かっていくのだった。
外に出たWと三体のドーパントは地面に頬り投げられた。
「さてと....色々と話を聞きたいが先ずはメモリブレイクさせて貰おうか!」
「METAL MAXIMUMDRIVE」
『「
Wがメタルシャフトを回転させると金色の輪が4つ生成され三体のドーパントへ放たれた。
コックローチ、アノマロカリス、アームズ...全て過去にWを苦しめたドーパントではあるが、これまで数々のドーパントと戦ってきたWは三体のドーパントを相手にする程度なら問題ないレベルへと成長していた。
生成された輪は遠距離武器をもつアノマロカリスとアームズを交互に攻撃しコックローチは自慢の足を使われないように鞭と化したメタルシャフトで打ち据えていた。
「こっからはアドリブだぁ!」
翔太郎がそう言うと4つの輪が集まり金色の球体を作ると伸びたメタルシャフトの尖端にくっ付けた。
まるで巨大なモーニングスターのようになったその武器を三体のドーパントに振り下ろすと大爆発を起こしてメモリブレイクされた。
その姿にフィリップが驚き翔太郎に尋ねる。
『翔太郎....もしかしてメモリとの適合率が上がったのかい?』
「わかんねぇけど、角谷との一件以降、力が強くなった感じはするな。」
『そうか。』
恐らく、角谷の事件の怒りでジョーカーメモリとの適合率が上がり、それに追従するように他のメモリとも適合率が上がったのだろう。
「んなことは後だ、今は照井の援護に行くぞ!」
『あぁ、そうだな。』
二人は会話を終わらせると風都博物館へと戻るのだった。
一方その頃会場ではドッグドーパントとアクセルが戦闘を続けていた。
「答えろ。
何故彼女を狙う?」
「貴様に話すことなどない。」
「そうか、だが無理矢理にでも話して貰う。」
そう言うとトライアルメモリを抜きマキシマムを発動する。
突然の高速移動にドッグドーパントも応戦しようとするが速度が足りず顎を蹴られて浮き上がると空中にいる状態で蹴られ続ける。
空中に"T"の文字が刻まれると最後の一撃で思いっきり空中へと蹴りあげた。
「TRIAL MAXIMUMDRIVE」
「8.4秒それがお前の絶望までのタイムだ。」
「ぐぁぁぁぁぁ!」
空中で爆発を起こすと黒服に身を包んだ男が落下してきた。
「さて、お前が何者か詳しく....」
そう言って近付こうとすると黒服が突如地面に空いた穴に落ちて姿を消した。
「なっ!待て!」
照井も追おうとするが穴が直ぐに消えてしまった。
そこにWも合流する。
「そっちは片付いたのか?」
「まぁな、歌姫さんの方はどうだ?」
「問題ない無事だ。」
「良かったぜ....大丈夫だったか?」
そう言ってWが歌恋に触れると突如、警笛の音が空間に響く。
「何だ一体?」
すると、Wが謎の攻撃を受けて吹き飛ばされてしまった。
「グアッ!」
「左!....グッ!」
近くにいたアクセルも同様に攻撃を受けて吹き飛ばはれる。
『攻撃の位置や種類が全く掴めない。気を付けろ翔太郎、照井竜....敵はまだ近くにいる。』
二人のライダーが警戒していると突如声が聞こえる。
『カ....レ....ン....に....げろ....』
その声に歌恋が反応する。
「.....お父さん?」
off shot
獅子神邸の警護をしている紫米島と白爪は二人でじっと周りを警戒していた。
そんな中、紫米島が話しかける。
「......おい白爪。」
「.............」
「返事ぐらいしろ白爪。」
「ハァ....何ですか紫米島?」
「.....暇だな。」
「そうですね......」
「「...........」」
そうして二人の会話が途切れる。
そう、紫米島は暇な時間が好きではない。
だからこそ、白爪を巻き込んで何か暇潰しをしたのだが白爪はある意味、仕事人間なので紫米島の意図を読めても乗ろうとしてこなかった。
「おい、白爪....暇だ何かないのか?」
「そんな定食屋で聞くみたいに話を振らないでください。」
「仕方がないだろ?
メモリを使って遊ぼうにも獅子神に止められている。
侵入者でも来ないと変身できないんだよ。」
「当然でしょう?
獅子神邸に煙になる化け物何て現れたら都市伝説扱いされてしまいますよ。」
「.......だが、暇だ。」
「子供ですか貴方は....」
「「...............」」
「白爪、喉が乾かないか?」
「いきなりですね....まぁ、少しは乾いてますがこの屋敷には飲み物は完備されていますよ。
使用人に頼んで持ってきて貰えば良いじゃないですか?」
「あの人の高級思考にはついていけないんだよ。
知ってるかあそこに置いてあるコーラなんか金箔やら高級そうなハーブが入っているんだ。
味が俺の知っているコーラですらなくなってる。」
「まぁ、そこは同意しますがね。
此処の飲み物を飲むと普通のドリンクが無性に欲しくなる時がありますよ。」
そこまで話すと紫米島が思い付いた様に話し始めた。
「そうだ、少しゲームをしよう白爪。
この付近にコンビニか自動販売機はあるか?」
その問いに白爪は溜め息をつきながらも携帯で調べる。
「ここから一時間弱の所にありますね。」
「いくらなんでも遠すぎないか?
田舎のコンビニじゃないんだぞ。」
「ここら辺、一体を獅子神様が買い取っているんですよ。
その関連でコンビニが無いんでしょうね。
あの方はコンビニを使って買い物をする何て考えは無いでしょうからね。」
「..........なら自販機はどうだ。
それぐらいなら近くにあるだろう?」
「....あっ、ありましたね。
ここから30分の所に一つだけ」
「それは良かった。
なら問題な.....」
「ただ、裏手の坂道を昇る必要がありますね。
彼処は車でもかなりの傾斜ですから歩きとなると大変でしょうね。」
「「.............」」
二人とも喉が乾いており余り動きたくない。
この状況で二人の考えることは一つだった。
そして、それを決めるためにお互い顔を見合うと一斉に動く。
「「じゃんけんぽん!」」
紫米島「チョキ」白爪「グー」
「............」
「では僕はコーラをお願いしますね。」
紫米島はその結果に明らかに不服そうだった。
「俺ならばハサミで岩を斬ること位...」
「貴方は子供ですか....いいから早く行って下さい。」
「チッ!.....コーラで良いんだな?」
「えぇ、お願いします。」
そうして紫米島は自販機へと向かっていった。
(それにしても本当に斬れる物なら何でも好きなんですね。
前、見て思いましたがじゃんけんまでチョキを最初に出すとは....これは暫くは飲み物には困りそうにありませんね。)
白爪はそう思い微笑むと警護の仕事に戻るのだった。
余談だが、その後暫くの間裏手の自販機には汗だくの着物姿の男が良く現れたそうだった。
外伝 続編の投稿に関して
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