リミットの名の通り、メモリの引き出せる限界ギリギリまで理論的には出力させることが出来る。
しかし、無名はこのメモリを生産せず開発段階で留めていた。
それはこのギジメモリに改善不可能な欠陥があった為であった。
「ハァァァァ!」
「ENGINE MAXIMUMDRIVE」
アクセルがマキシマムを発動したエンジンブレードで集団を横一文字で切り裂いた。
切り裂かれたマスカレイドは吹き飛ばされながら大爆発を起こす。
「やはり、自爆装置がついたままなのか!」
ここに集められた人達はエンゼルビゼラの中毒者で大河原組が囲い混んでいた兵隊なのだろう。
しかし、だからと言って捨て駒としてここで殺されていい人間では無いと照井は思っていたのだ。
だからこそメモリブレイクしか解決法方を見出だせない自分に怒りが湧く。
(俺にフィリップの様な"相棒"がいれば.....)
そんな事を考えていると突如、周りにいたマスカレイドが勝手に爆発を始めた。
「どう言うことだ?」
照井は知るよりもなかったが無名がリミットギジメモリを量産化しなかったのはメモリの力を限界まで引き出した結果、メモリ本体が耐えられなくなりメモリブレイクを勝手に起こしてしまう欠点があるためだった。
そして、ギジメモリにもガイアメモリと同じく適合率の関係で高い程、ギジメモリの能力が色濃く反映される。
つまり、このギジメモリを使って変身したマスカレイドはいつ爆発してもおかしくない爆弾と変わりがないのだ。
状況は分からないがこれが挿しているメモリのせいだと照井も分かり彼等に声をかける。
「おい!早くメモリを抜け!
でないと爆発して死ぬことになるぞ!」
「爆発ぅ....あははバーンってなったバーンってwww」
「あぁ、気持ちいいなぁ!」「もっと.....もっと薬が欲しいよぉぉぉ!」
しかし、そんな照井の忠告もエンゼルビゼラの中毒者である彼等には聞こえなかった。
そして、爆発することが分かったマスカレイドドーパントはあろうことかアクセルにしがみつき始めた。
「自分もろとも自爆するつもりか!」
しがみついてくるマスカレイドを引き剥がすと飛ばされた個体が爆発しそれにアクセルやマスカレイドドーパントの集団が巻き込まれて地面に転がされる。
そして、転がった先でも爆発が起こりマスカレイドの連鎖爆発がアクセルを襲った。
そして、廃工場が爆発に巻き込まれて跡形もなく消滅するのだった。
娘を助けるためにトレインドーパントがホールドーパントの前に現れたがホールドーパントの能力により現実世界に戻されたトレインドーパントは身体のダメージから全く動けなくなっていた。
そんなトレインドーパントをホールドーパントが踏みつける。
「手間取らせてくれたな。
だが、お前を捕らえられた以上俺の勝ちは決まった....さぁ言え!アタッシュケースはどこに隠した?」
「アタッシュ....ケース?」
「惚けるな!お前の力でバンが別次元に移動したのは分かっている!
それをここに呼び出して貰う。
断るって言うのなら....」
「お前の娘が挽き肉になる姿を見ることになるぞ?」
すると、歌恋の下の穴から何かの機械が稼働する音が聞こえた。
歌恋の表情からも下に何があるのか理解できた。
「わ....かっ...た。」
正幸はトレインドーパントの力を使いあの時。娘を守るために飛ばしたバンを探す。
能力を使う度にメモリの毒素が彼の身体を蝕むが何とか意識を保ち黒のバンをその場に出現させた。
その疲労で正幸は地面に突っ伏す。
ホールドーパントはそれを無視するようにバンを開けるとアタッシュケースを取り出して中を確認する。
ちゃんと物が入っていることに安堵するホールドーパントに正幸が話しかける。
「や...くそ..くだ...む...すめ...を」
すると、ホールドーパントは正幸の頭上に穴を開けるとそこから鉄骨が落下してきた。
避けられない正幸は身体が挟まれて身動きが取れなくなってしまう。
「俺達の世界は舐められたら終わりなんだ。
特に素人に一杯喰わされた何てバレでもしたら困るんだ。
安心しろ....娘を片付けたら次はお前だ。」
そう言うと娘を繋いでいたロープが切られる。
娘が穴の中へと落下していく。
「歌恋っ!」
しかし、歌恋が落下する前に確保される。
そして、ホールドーパントの身体にプリズムソードが刺さっていた。
「何とか間に合ったぜ。」
そう言うのはWCJXに変身した左翔太郎とフィリップだった。
身体に刺さっている剣を掴みながらホールドーパントはWに言う。
「クソっ!また邪魔をしやがって!
風都の守護神気取りの野郎が!」
歌恋をバイクの遠隔操作機能でリボルギャリーに格納して安全を確保するとWはホールドーパントに怒りを向ける。
「テメェらみてぇに街を泣かせる奴らがいる限り、何度だって邪魔してやるよ!
大事な娘を人質に取る外道に手加減なんてしねぇ!」
『「さぁ!お前の罪を数えろ!」』
「喧しい!ここで殺してやるよ仮面ライダー!」
そうしてホールドーパントとWの戦闘が開始されようとした瞬間、鉄骨の下敷きになっていた。
正幸に変化が起きた。
「ぐおぁぁぁぁ!娘に手は出させなぁぁぁい!」
身体が巨大になり大きな列車の化物へと姿を変えた。
そして、Wとホールドーパントのいる空間がねじ曲がると景色が白黒の世界に変わった。
「一体、どういうことだ?」
『恐らくメモリの毒素によってトレインメモリの力が強化されたんだ。
僕達は今、トレインメモリが作り出した別次元の中にいるんだろう。』
フィリップがそう推察するとトレインドーパントがWに、向かって襲いかかってきた。
「なっ!違う!俺達は正幸さんアンタと争うつもりはない!」
『無駄だ翔太郎!毒素によって正気を失ってる!
もう正常な判断が出来ていない!』
Wが暴走するトレインドーパントへ対応しているとホールドーパントは身体に刺さったプリズムソードを無理矢理引き抜く。
「ぐぁ!....やはりこの剣がホールメモリの力を阻害していたのか。」
ホールドーパントはアタッシュケースに手を掛けるとメモリの力を使い現実世界に繋がる穴を作った。
「テメェ!逃げんじゃねぇ!」
Wはトレインドーパントの攻撃に耐えながら言う。
「俺はこれを無事に届けるのが仕事なんだ。
目的を達した以上、ここにいる意味は無い。
精々、その死に損ないと遊んでおくんだな。」
そう言うと穴の中へと消えていった。
追おうとするがWの前にトレインドーパントが立ち塞がる。
『翔太郎、今は彼のメモリブレイクを優先するんだ!』
「そうだな仕方ねぇ!」
翔太郎は落ちているプリズムソードを掴むとトレインドーパントを斬り付けた。
だが、刃が触れる瞬間、刀身が消えてWはトレインドーパントのタックルを食らってしまう。
シールドで受けたことでダメージを減らせたが巨大化したドーパントのタックルはWの身体にダメージを与えた。
「剣がすり抜けたぞ!」
『恐らく、身体の周りの空間が歪んでいるんだ。
そして、攻撃に反応して刀身だけを現実世界に転送した。』
「クソッ!ならどうするフィリップ?」
『長期戦はこちらが不利だ。
一撃でメモリを破壊するしかない。
ルナメモリをメインに据えたマキシマムなら攻撃も届く筈だ。』
そうしてメモリを挿そうとするフィリップを翔太郎が止める。
「なぁ、その方法だと正幸さんは助かるのか?」
『翔太郎、これは相当に厳しい"賭け"だ。
彼の命を優先させたら僕達の危険性が増すんだよ?』
「だからってあの人の命を奪って良い理由にはならねぇ!
助けられる可能性があるのか?ならそれを教えてくれフィリップ!」
『......バードメモリの時に霧彦がやったことを応用するんだ。トリガーメモリを搭載したバットショットのマキシマムでメモリの位置を特定してルナメモリのマキシマムをメモリの中心部に的確に当てれば毒素ごとメモリを破壊出来るが、それをするにはトレインドーパントの動きを止めないといけない...無茶だよ翔太郎。』
「命を救える方法があるのなら俺はそれを選ぶ。
例え、どんなダメージを受けてもな。」
『ふふっ....相変わらずのハーフボイルドだな。
なら、始めよう。』
フィリップが笑いながらそう言うとバットショットにトリガーメモリを装填する。
「TRIGGER MAXIMUMDRIVE」
バットショットの身体からレーザーが放出されトレインドーパントのスキャンを開始し始める。
『この組み合わせで彼の動きを止めよう。』
フィリップがプリズムソードをビッカーシールドに戻すとメモリを装填し始める。
「CYCLONE,METAL,LUNA,PRISM MAXIMUMDRIVE」
『BICKER FINALUSION』
Wの盾からエネルギーで作られた鎖が出現しトレインドーパントを抑え付けた。
『サイクロンと速度、メタルの硬度、ルナの創造性、プリズムによるメモリの能力無効化を込めたマキシマムで作り上げた鎖だ。
これで暫くは動けないだろう。』
しかし、トレインドーパントはその巨体を生かして暴れまわり鎖の付いた盾をWから引き剥がそうとした。
「グッ!....クソッ!離してたまるかよ!
今度こそ、救って見せるんだ俺達で!」
翔太郎とフィリップが盾を動かないように二人でガッチリと掴み固定する。
その間に、バットショットがトレインドーパントをスキャンすると丁度身体の胸の位置で発光しメモリの位置を特定した。
「そこだな!」
位置が分かると盾の鎖を解除してトレインドーパントの攻撃を避けるとメモリを差し替える。
「LUNA,JOKER,METAL,TRIGGER MAXIMUMDRIVE」
幻想の能力を宿したルナメモリの力を最大限発揮する組み合わせ。
メモリを挿し終わるとソードを引き抜きトレインドーパントを迎え打った。
「BICKER CHARGEBREAK」
金色の斬撃がトレインドーパントへ向かうがそれを回避するとそのままWに激突した。
余りの衝撃に吹き飛ばされながら剣と盾を落としてしまう。
斬撃は天井に当たると空間を切り裂いた。
エクストリーム状態のWは翔太郎とフィリップの身体が融合している。
つまり、ダメージも共有した状態となるのだ。
『グッ!....うっ大丈夫かい?翔太郎。』
「何とか....な。
悪いなフィリップ...俺の我が儘に付き合わせて」
『はは....今更だね。
それに君が謝る必要は無い。僕は感謝しているんだよ。
仮面ライダーは兵器であってはならない。
君の行動が僕を....仮面ライダーを風都を守るヒーローとしてくれているんだ。』
「....へっ!お前がそんなハーフボイルドな事を言うなんてな。」
『相棒の癖が伝染ったのかもね?』
「言ってろい.....もう一度行くぞフィリップ!」
『あぁ!翔太郎!』
Wは走りながら地面に落ちている剣を拾い上げると落ちている盾に向かっていく。
その行動に気づいたトレインドーパントは真っ向からWに突撃してくる。
お互いに向かっていくが盾に辿り着くのはWが早かった。
そして、剣を納刀するとマキシマムの体勢に移行する。
しかし、全てが終わる前にトレインドーパントがこちらに攻撃を仕掛けられる間合いにまで到達してしまった。
(クソッ!間に合わねぇ。)
翔太郎がそう考えているとトレインドーパントの眼前で爆発が起きた。
爆発により発生した煙を吸ったトレインドーパントの動きが止まる。
『「今だ!」』
二人の意思が重なり剣が引き抜かれるとトレインドーパントに振るわれた。
『「BICKER CHARGEBREAK」』
二人の魂を賭けた一撃がトレインドーパントを貫いた。
Another side
現実世界へとアタッシュケースを持って帰還したホールドーパントは突如目の前で起こった爆発に顔を歪める。
「なっ!何だ?」
「失礼、敵だと思って攻撃してしまったよ。」
そう言って目の前に現れたドーパントに警戒する。
「お前は何者だ?」
「そうだな....誤解の無いように言っておくと私はミュージアムの幹部直属の部下だ。
セブンスの一角を任されている君ならそれだけ言えば分かるだろう。」
ミュージアム...セブンスのトップが灯夜の坊主が忠誠を誓った獅子神のいる組織でガイアメモリ販売を一手に行っている。
そんな組織の幹部が何故、ここに来たのか分からなかった。
「そんな人がこんなところで何を?」
「そのアタッシュケースの中身を回収するためだよ。
そこに入っている物を幹部の一人が求めていてね。
こっちに渡してくれないか?」
「そんな事は聞いていない....一体誰からの指示だ?」
「言ったところで分かるのか?
まぁ、良い幹部である無名の指示だよ。」
「......そうか!」
そう言うとホールドーパントは新たに現れたドーパントの頭上に黒い穴を作ると大量のコンクリートブロックを落とした。
「無名の事は獅子神様から聞いている。
お前に手を貸す義理など無い。
コンクリートに埋まって死ぬといい!」
そう言うとホールドーパントは地面にあったアタッシュケースを抱え直し穴を作るとその場を後にするのだった。
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