もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第百九話 気付くH/互いの結末

「はぁはぁはぁ.....」

ホールドーパントが能力を使い逃亡を成功させたが度重なる能力の使用により肉体に疲労が蓄積していた。

(クソッ....予想よりもダメージが残っちまったか。

何処かで休んで身体を回復させないと.....)

 

セブンスに渡されているメモリは全て無名がメイカーによって作り出した新型ガイアメモリで構成されている。

故に毒素が強い分、強力な能力を持っているのだ。

しかし、その分身体にかかる負担も大きい。

 

そう考えながら休める場所を探していると傷だらけでこちらに歩いてくる男を見つけた。

「そんな...バカな!何故貴様が生きている!」

ホールドーパントの問いに男は答える。

 

「俺に質問をするな.....」

 

 

 

話はマスカレイドドーパントの連鎖爆発まで遡る。

照井は爆発を受けながらもトライアルメモリを起動する。

そして、変身が完了するとマキシマムを起動して一直線にその場を走り抜けた。

爆発するマスカレイドを紙一重で回避しながらの逃走はアクセルの装甲にダメージを残したが、照井は生きて工場から出る事が出来た。

 

そして、辺りを散策しているとホールドーパントを見つけたのであった。

「このっ!....死に損ないがぁ!」

ホールドーパントが照井の足下に穴を作るがそれを間一髪で回避するとエンジンブレードにメモリを装填する。

 

「ACCEL MAXIMUMDRIVE」

 

そして高速で近付きホールドーパントを壁に叩きつけてブレードをホールドーパントの腹に押し当てた。

「悪いが今の俺に貴様を安全にメモリブレイクする余裕はない。

貴様がジャンキーを爆弾にしたお陰でダメージを負ってしまったからな。」

 

「だから、死ぬなよ?

お前にはまだ話して貰わないといけないことが沢山あるのだから.....」

「まっ!」

ホールドーパントの制止も聞かずアクセルはブレードのマキシマムを発動する。

アクセルメモリから放たれる増幅された破壊のエネルギーが二人の間で爆発した。

 

そして、刃を当てられていたホールドーパントはメモリをブレイクされ、近くにいた照井はコンクリートの壁に吹き飛ばされ変身解除された。

メモリが排出されて目の下に隈が出来た大河原が最後まで守り抜いたアタッシュケースを眺める。

 

(メモリを砕かれたか....だがアタッシュケースは守り抜いたぞ。)

そうして意識を失いかけて気合いで目を開くと視界にあったアタッシュケースが無くなっていた。

「無い?.....何故...だ!....ケースは...どこ..に」

辺りを見渡しながらも大河原は意識を失ってしまうのだった。

 

大河原が意識を失うと吹き飛ばされた照井の意識が回復する。無理矢理立ち上がると大河原の腕に手錠をかけた。

「はぁはぁ....全く骨が折れる。」

そうして大河原が大事そうに抱えていた"コンクリートの塊"を見つめる。

「あれには何か秘密があるのか?

鑑識に連絡して調べて貰わなければ....」

携帯を出そうとするが身体が動かない。

 

「.....仕方がない。

当分、大河原も起きないだろう。」

そう言ってもう一方の手錠を自分にかけると照井も意識を失うのだった。

 

 

 

大河原とWが戦っていたビルの上でドーパントとなっていた赤矢はアタッシュケースの中身を確認した。

そこに入っていたのはアクセサリーシステムの1つである腕部用ガイアドライバーであった。

そして、他にも資料が数点入っている。

 

「成る程、確かにこれを調べられたら私達は困ることになるな。」

そう言ってアタッシュケースを仕舞ってその場を去ろうとすると、空間に亀裂が入り中から仮面ライダーWと抱えられている金本正幸が姿を現した。

「待て!....お前沢田の時(ライアーメモリの事件)にいたドーパント!

どうしてここにいる?」

 

「久し振りですね仮面ライダーW、君の活躍は拝見させて貰っているよ。」

『翔太郎...僕も彼に聞きたいことがある。

トレインドーパントとの戦いの時に起こった爆発は君が仕掛けた物だね?

爆発の煙を吸って動きが鈍ったお陰で彼を助けることが出来た。』

 

「それは良かったですね。

私はメモリの事は専門外なので一般人である彼を救えたのなら良かったですよ。」

『一般人?』

「ガイアメモリ犯罪に関わっていない。

もしくは関わる気の無かった人達の事です。

彼は謂わばキメラドーパントが起こした事件の被害者ですからね。」

 

「ふざけんなよ!その事件を主導してたのは他でもないお前達だろうが!」

「否定はしません。

しかし、これまでの事から比べれば良心的なものだと思いますよ。

死んだのは囚人....それも自らメモリの誘惑に負けて犯罪を犯した奴等ばかりだったんですから」

 

「囚人なら死んでも良いって言うのかよ?

それこそふざけた考えじゃねぇか!」

「では、貴方はガイアメモリ犯罪を犯した囚人の罪について考えたことがありますか?

ガイアメモリは人を怪物に変える代物です。

どんなメモリでも普通の人間の一人や二人....いや、何十何百人の人を簡単に殺すことが出来ます。」

 

「そんな彼等の起こした犯罪が一般の犯罪と同じ刑法で裁かれるのは余りにも不公平だ。

あそこに入れられていた囚人の大半はメモリによって最低でも何十人の人間を殺してるんですよ。

それなのに、メモリの毒素に負けて犯罪を犯してしまった。

だから罪は減刑されるべき....それこそ道理が通らない可笑しな話じゃないですか。」

 

「ガイアメモリは再犯率が多い。

風都の守り人である貴方ならそれが分かるでしょう?」

確かにガイアメモリ犯罪を犯した人間がまたメモリに手を出すケースは良く話としても聞いている。

『だから、君達の実験のためにその命を使ってもいいと言うのかい?

それはかなりの暴論だよ。』

 

フィリップの言葉に、これ以上話す意味は無いと考えた赤矢は立ち去ろうとする。

「逃がすかよ!」

Wが赤矢を追おうと近付く。

それを止めようと爆弾を生成して起爆した。

幻覚剤がたっぷり入った爆弾が起爆し周りにその煙が撒かれたが今度のWには効いている様子はなかった。

赤矢が驚いている間にWによってアタッシュケースを掴まれる。

『驚いているようだね?

君の事はエクストリームで検索済みだ。

君の使う幻覚はこの煙に混ざっている粒子を吸い込むことで発揮される。

予め、サイクロンの力を纏っておけば回避することは難しくない。』

 

「成る程、厄介な力ですね。

そのエクストリームってものは.....」

「アンタをメモリブレイクして詳しく話を聞かせて貰うぜ!

組織の事や幹部の事、根掘り葉掘りな。」

「それは勘弁願いたいですね。

とは言え私は荒事は余り得意ではありません。

ですので.......」

 

「それは"専門家"に任せるとしますよ。」

突如、Wの手に何かが当たりアタッシュケースを持っていた手が弾かれた。

「グッ!何だ一体?」

『翔太郎、狙撃だ。

それもかなりの距離から狙われている。』

「何だと?」

Wが動揺するとその隙を付いて赤矢が新たに生成した爆弾をWに投げつけた。

「効かないって相棒が言ってただろう?」

「えぇ、ですが目眩ましになら使えるでしょう?」

 

そう言って起爆すると密度の高い煙がWの視界を遮った。

視界が回復する頃には赤矢はもうその場所にいなかった。

『逃がしたようだね。

仕方がないよ翔太郎、今は正幸さんを病院に連れていこう。』

「....分かった。」

そう言うとWは変身解除を行う。

エクストリームが変身解除すると翔太郎とフィリップが分離してその場に現れた。

翔太郎が正幸さんを担ぎ、フィリップは彼の無事を電話で亜樹子に伝えるのだった。




Another side

メモリを抜いた赤矢は無名に連絡する。
「アタッシュケースの確保とトレインメモリのユーザーの救出....どちらも終わらせたぞ。」
「流石は赤矢教授ですね。
お陰で本当に助かりました。」

「構わないさ....私も新しいガイアメモリ犯罪を見られた。
これで研究も進むだろう。」
「やはり貴方は変わりませんねガイアメモリ犯罪の研究、その為に僕の元に来たあの頃と同じだ。」

「それが君の部下になる条件であり理由だからな。
それでこのアタッシュケースはどうする?
ミュージアムの奴に渡すのか?」
「いえ、そのまま黒岩さんと一緒に孤島に運んでください。
迎えにヘリを送りますので」

「ほう?、余程この中身を獅子神に渡したくないと見えるが?」
「勝手にリミットギジメモリのデータを持っていったんです。
少しはお灸を据えないと....それにアクセサリーシステムはまだ不完全な部分が多い。
今回のデータから更にブラッシュアップするためにも過去のデータと道具を回収して欲しかった....それだけですよ。」

「流石はガイアメモリの研究者だな君は....
ん?これは?」
「どうしましたか?」
「すまないどうやらアタッシュケースのロックが先程の戦闘で緩くなっていたようだ。
隙間から資料が一枚落ちていた。
とは言え真ん中から破けているから完全な一枚とは言えないが.....」

そう言いながら赤矢は残りの資料を確認する。
「枚数は問題ない。やはり落ちたのはその一枚だけだな。
どうする?今なら探せば回収出来る可能性もあるが...」
「いえ、戻ってWと鉢合わせする危険がある以上止めておきましょう。
そのまま戻ってきてください。」

「了解した。」
そう言って赤矢は通話を切った。
すると赤矢はWとの会話を思い出した。
("感情的だが正義感に溢れた声"と"冷静で論理的だがどこか人間味の無い声"....Wから二つの意思と声を感じ取れた。
ガイアメモリにはまだ解明されていない事が多い。
きっと、あのWもその秘密の1つなのだろう。)

ガイアメモリ犯罪を知りガイアメモリについて理解する犯罪心理学の教授である赤矢にとってWやアクセルすらその研究対象の1つにしか過ぎなかった。

(また、新しい研究成果が手に入れられた。
これを使えば何時かは.....)
自分の思い描く結末を考えながら赤矢は無名の用意したヘリを待つのであった。

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