もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第百十話 気付くH/掴んだ手がかり

「どう言うことだ無名!

何故、俺の部下の邪魔をしたぁ!」

獅子神が無名に詰め寄る様に電話から怒号が発せられる。

 

「どう言うこと...ですか。

それはこちらの台詞ですよ。

リミットギジメモリのデータを勝手に持ち出した挙げ句、腕部ガイアドライバーとそのデータを手に入れようとするとは

あれは僕の研究成果です。勝手に奪い取るのはルール違反ではありませんか?」

獅子神は部下の灯夜からセブンスのメンバーが捕まった事実を聞くと憤慨しその時の事を調査した。

 

そして、その現場に無名の部下がいたことを突き止めるとこうして連絡を寄越してきたのだ。

「大河原はセブンスでガイアメモリの運送を請け負っていた。

奴が捕まってしまった現在、メモリを輸送する手段がない。

お前はミュージアムの理念であるガイアメモリの普及を邪魔したことになるんだぞ?」

「ガイアメモリの普及の件なら問題ありませんよ。

そろそろサラさんの怪我も癒えますし、運搬は別の所でも出来ます。」

「....大河原はホールメモリに適合しその能力を使ってメモリの運搬をしていた。

大量のメモリを一度に運べるメモリを他に持っている奴がいるとはとても思えないのだがな。」

 

「それなら安心してください。

琉兵衛様からも許可が得られる程、信頼に足る組織ですので....それよりもまだ私の質問の答えをいただいてないのですが?」

「何故、勝手にメモリの実験を行ったのですか?」

「....俺は貴様のように臆病ではない。

力があるのならそれを使えるようにするのが道理だろう?

ギジメモリを使ったドーパント強化システム。

これは金になる....だからこそいち早く製品化するべきなんだよ。」

 

「確かに、アクセサリーシステムを使えばドーパントの強化は可能です。

しかし、それはあくまでメモリとユーザーの適合率が高かっただけに過ぎません。

現状、テスターである六人の除いて完全にこのシステムに適合した人物はいません。

ならば、量産性を考慮したメモリを作れば良いと研究をしていますが、製品として売り出せるレベルでは到底ありません。

リミットギジメモリが良い例です。

確かにメモリの力を底上げする強化アダプターのような能力はありますが、メモリの力を引き出しすぎてメモリが耐えられなくなり壊れてしまう....その欠点は盗み出した資料にも書いてあった筈です。

メモリ販売がリピーターを生み出す必要がある以上、リミットギジメモリの能力はむしろ欠点にしかならない。

これは琉兵衛様も納得して下さった事実です。」

 

「無名何が言いたい?」

「貴方達のやったことはもう調べ尽くされた結果をなぞっただけに過ぎない....そう言うことです。

欲をかきすぎたんですよ貴方は.....」

少しの沈黙が流れると獅子神は無名に告げた。

「良いだろう今回は退いてやる。

だが、覚えておけ。

この借りは必ず返す...貴様の命をもって支払わさせてやる。

"俺は俺の邪魔をした貴様を許さない".....」

 

「そうですか....では失礼します。」

そう言って二人の会話は打ち切られた。

 

 

 

 

 

 

事件が終わり報告書を書く翔太郎達の顔は晴れやかだった。

金本歌恋の父親は無事に助けられて今、病院で入院している。

医者の話では順調に回復しているらしい。

 

歌恋は涙を流しながら父親の生存を喜んでいた。

それを見るだけで今回の依頼が成功だったと自信をもって言えた。

今回の事件仕組んだ犯人である大河原組 組長大河原 道明(おおかわら みちあき)は現在、メモリブレイクの後遺症によって意識を失っている。

 

目覚めたらこってりと警察から絞られるだろう。

そして、彼を捕まえた照井も同じように病院で入院していたのだが今、事務所でコーヒーを飲んでいる。

「お前なぁ...医者の話じゃ重症だったんだろ?

大人しく休んでおけよ。」

「俺に命令するな左。

それに、もう身体も動くから問題ない。

漸く捕まえた組織へ繋がる手懸かりだ。

トラブルが起きた時を考えても仮面ライダーは揃っていた方が良い。」

そう言って澄ました顔でコーヒーを飲んでいるが服よ中は包帯だらけであった。

 

それを知っている翔太郎は苦笑いで照井を見る。

「まぁ良いや、それで照井は何でこの事務所に来たんだ?

まさか、コーヒーを飲む為って訳じゃねぇだろ?」

「フィリップから聞いてないのか?

新しく分かった新情報があるから事務所に来てくれと連絡があったのだが」

「あん?、またアイツ勝手なことを....」

翔太郎は頭をガシガシとかきながらフィリップのいるラボに入るとそこに珍しく深刻な表情をしたフィリップがいた。

 

「どうしたフィリップ?

そんな辛気臭い顔をして.....」

そう言われたフィリップは二人に話し始める。

「先ずは照井から渡された手帳に関する話をしよう。

中の暗号が解けた....簡単なモールス信号とアナグラムの複合暗号だったからね。

それを使って新田のパソコンからデータを引き抜いた。

それがこれだ。」

 

そうして渡された紙の資料を翔太郎と照井が眺める。

「セブンス、ナイトタイム....これがガイアメモリを売っている組織の名前なのか?」

「あぁ、恐らくは幹部が運営している組織だろう。

だが、これよりも問題なのはコレだ。」

そうして、フィリップが二人に見せたのは半分に破れた一枚の紙だった。

そこには、図面と英語で書かれている文面が見てとれる。

 

「あの場所で発見した"紙の一部"だ。

これにはギジメモリに関する情報がのっていた。」

「ギジメモリ?.....俺らのメモリガジェットに使われているあのメモリのことか?」

「あぁ、正確には地球の記憶ではなく集めたデータを元に開発されたメモリの事なんだがそれはどうでもいい。

重要なのは何故、そんなものがあの現場で見つかったのかだ。」

 

「僕はずっと疑問に思っていた。地球の本棚で検索出来ないドーパントの存在、もしやと思いギジメモリを追加で加えて検索したら出てきたよ。」

そう言ってホワイトボードに文字を書く。

「アクセサリーシステム?」

「ドーパントメモリとユーザーに適合したするデータを持ったギジメモリを作り強化するシステムだ。

難点は適合率の低さだが適合すれば通常のメモリでも強力な力を得ることが出来る。」

 

「恐らく、これまでにあったドーパントの中でそのシステムを利用している奴がいるのだろう。

照井 竜から聞いた話を総合してこのシステムを使っているユーザーは現在6人いる。」

「6人もいるのかよ.....」

「フィリップ、俺の戦ったリッパードーパントもか?」

「あぁ、このシステムで強化された個体だろう。」

「.....そうか。」

 

「なぁ、コイツらに勝てる見込みはあるのか?」

「エクストリームなら可能性があるだろう.....

ギジメモリの正体が分かれば問題なく対処は出来る。」

「なら、次会う時は勝てるってことだな。」

楽観的に言う翔太郎に二人は苦笑いしつつもこの言葉を肯定するのだった。

 

(だが、これだけのシステムを開発する程、組織の技術力が上がっているなんて....より一層警戒した方が良さそうだな。)

かつて、組織でメモリを作っていたフィリップにとってこのシステムは驚愕に値するものだった。

今までのような自分の知識をベースにした物ではない完全なオリジナル....それを作り上げられる研究者がいることを改めて感じフィリップは組織に対しての警戒を更に強めるのだった。

 

 

 

 

 

孤島にある応接間に一室で無名は加頭と談笑をしていた。

内容は元同僚であるキースに対しての者だった。

「やはり、何か企みをしていますかキースは」

加頭の問いに無名が答える。

「えぇ、NEVERの調査で財団Xを辞めてから色々な設備を集めているそうです。

細胞の培養ポットやヘリ、銃器等です。」

「こちらも財団の管理する保管庫からゴールドクラスのガイアメモリが一点、それに貴方の開発したガイアドライバーが盗まれたと言う報告を受けました。」

 

「まずいですね....メモリの詳細は分かっているのですか?」

「えぇ、こちらのメモリです。」

メモリの資料を見た無名は顔をしかめる。

「また随分と強力なメモリを盗んだものですね。

そう言えば財団が開発していた新型メモリに関してはどうなったのですか?」

その問いに加頭は少し動揺するが直ぐに平静に戻り返答する。

「T2メモリは現在26本開発が終わりました。

今回の件を鑑みて財団の本部へと移送する手筈となっています。」

 

「......そうですか。

なら安全ですね。」

「えぇ、何も問題ありません。」

 

そう言って二人で紅茶を飲む。

「....そう言えば最近、冴子さんの姿をお見かけしませんがどちらに?」

「あぁ、井坂深紅郎が園咲邸を離れたのは知っていますか?」

「いいえ、しかしそうでしたか。

最近、顔を見ないと思っていたのですが...」

そう言って少し機嫌の良くなった加頭が紅茶を飲もうとする。

「新たな井坂の隠れ家に"入り浸っています"よ。」

 

ガシャン!

加頭は持っていたティーカップを落としてしまう。

「そうですか.....無名さん申し訳ありませんが急用を思い出しましたので、今日はこれで失礼させていただきます。」

そう言って立ち上がる加頭に無名は言う。

「あぁ、井坂の隠れ家を知りたいなら風都にいる議員である雨ヶ崎 天十郎を訪ねてみてください。

彼が"冴子様からの要求"で隠れ家を提供したそうですので....それにもしかしたら冴子様も一緒にいらっしゃるかもしれませんよ?」

 

「......大変貴重な情報をありがとうございます。

では、失礼します。」

そう言って加頭は扉を引いて開けようとするが扉はびくともしない。

「....それは押して開けるんですよ。」

「....失礼。」

加頭は無表情で扉を押して外へと出ていった。

 

その部屋に入れ替わるように須藤雪絵が入ってくる。

「貴方も悪い男ね無名。

あの加頭って人、園咲冴子に好意を持っているんでしょう?」

「えぇ、冴子様の話題だけは加頭さんの心を乱せる唯一の情報なんですよ。」

「要は....動揺する姿を見て楽しんでいるって訳?

あまり、良い趣味とは言えないわよ。」

 

「無駄話はこの辺で.....それでここに来た理由は?」

「分かってるでしょう?

私は兄を裏切った園咲冴子に復讐したい。

私の事を応援するなら手を貸して無名。」

「お兄さんは死ななかったのにそれでも復讐を望みますか?」

 

「兄は私にとって全てだった。

何時目覚めるか分からない状態にされて私が怒らないと思う?

貴方が協力してくれなくても私一人で復讐しても良い。」

「それは困りますね。

貴女が死んだらお兄さんが目覚めた時に僕が恨まれてしまう。」

 

「.....へぇ、私じゃあの女に勝てないって言いたい訳?」

「逆に聞きますが"僕にすら敵わない程度の力"で勝てると思うんですか?」

「...........」

無名の言い分に反論できないのか雪絵は黙ってしまう。

 

「安心してください。

今、貴女に合うメモリの選別をメイカーに頼んでいます。

それを使ってみてからどうするか考えても良いんじゃないですか?」

「....分かったわ。」

「納得してくれて良かったです。

では、そろそろ僕は仕事に戻りますね。

ガイアメモリの運送に関してとある方と相談しなければならないので....」

雪絵はその言葉を聞くと部屋を出ていった。

 

そして、雪絵が出ていくのを確認すると無名はタブレットを操作しとある人物とのテレビ電話を開始する。

「お待たせしてすいません。

今回はミュージアムとの契約を選んでくださりありがとうございます。」

 

 

 

 

 

 

 

 

万灯 雪侍(ばんどう ゆきじ)さん」

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