もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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AtoZ
第百十一話 AtoZ/始まる宝探し


財団Xが開発した最新ガイアメモリである"T2メモリ"。

それを安全に運ぶためジェット機による運送が行われていた。

 

中には財団Xのエージェントが一人と護衛が二人、

そしてパイロットが二人と言う少人数の編成だった。

そんなジェット機に何かが当たる音がする。

「この音は何だ?」

そう言う財団のエージェントに護衛が答える。

「鳥とぶつかったんでしょう。」

そう言って確認しなかったことが命取りとなった。

 

突如、ジェット機の扉が開くと中に二人の人物が入ってくる。

一人は拳銃で護衛の一人を射殺する。

それに反抗するように残りの護衛が銃を抜き心臓を撃ち抜いた。

しかし、撃ち抜かれた男はけろっとしている。

「良い腕だな。」

そう言うと驚く護衛に近付き脳天を撃ち抜いた。

糸が切れたように絶命した護衛を退かすと財団のエージェントの腹部に発砲し持っていたアタッシュケースを奪い中身を開ける。

 

指でメモリをなぞりながら一本のメモリを見つけるとそれを掴んだ。

「これだな。」

そう言うと男は腰にロストドライバーを装着する。

「ETERNAL」

そして起動したメモリを装填すると仮面ライダーへと変身した。

「仮面....ライダー....」

エージェントはその光景を呆然と見ていた。

 

そして、共に入って来た男に向かって仮面ライダーは言う。

「お前もメモリを選んだらどうだ?」

その言葉に従うように男はアタッシュケースから一本のメモリを取り出す。

すると、アタッシュケースから警告音が発生する。

 

それに驚いてエージェントを見ると何かのスイッチを押した後だった。

アタッシュケースが大爆発を起こしそれによりジェット機が完全に破壊される。

それによってアタッシュケースの中にあったメモリが風都の空へとばら蒔かれた。

仮面ライダーと奪ったメモリで変身したドーパントは近くのビルに降り立つ。

 

そこには仲間とおぼしき4人の人物が立っていた。

筋肉質の男が爆発するジェット機を見ながら項垂れる。

「あーーー!....」

そんな彼を隣の男が励ます。

「そんな悲しい声をあげないで?

一番大事なメモリは...."克己ちゃん"が手に入れたわ!」

そう言って隣の男に抱き着く。

それを振り払うと仮面ライダーに向かって男は言った。

 

「克己は良いかもしんないが、俺たちのメモリはどうするんだよ?」

その問いに仮面ライダーが答える。

「直ぐに見つかるさ。」

「はぁ?」

意味が分からないと言う返事をすると女性の仲間が声をかける。

「自分で探せってことよ。」

すると、寡黙だった男が腕時計のタイマーを起動した。

「ゲームスタート」

 

すると四人はその場を後にする。

「そう、"宝探しだ"。

この風都を地獄に変えるゲームさ。」

すると、ドーパントだった男はメモリを抜き人間の姿に戻る。

「私は装置を受け取ってくる。

風都タワーを占拠したら連絡しろ。」

「あぁ、お前もこの地獄を楽しめ.....」

 

そう言うと純白の仮面ライダー....エターナルはマントを風で靡かせながら風都タワーを見つめるのだった。

 

 

 

 

ジェット機が襲撃される2日前.....

無名とNEVERがいる孤島はかつて無い程、緊迫した状況になっていた。

それはキースの調査に乗り出していたNEVERのメンバーからの報告を聞いたからだ。

孤島にいる無名、マリア、克己、レイカ、京水が調査をしていた芦原と堂本の報告を聞いていた。

 

「すまない克己。

やはり、もぬけの殻だった。

残っていたのはこの仰々しい装置と資料だけだった。」

そう言って映像を無名達に送った。

映像に映っていたのは"五つの生体ポット"と"NEVERが酵素を打つ際に使うインジェクター"だった。

 

「奴等俺達の研究を掠め取りやがって....」

「マリアさん、貴女はこのポットは何を作るために置いていたと思いますか?」

無名の問いにマリアは考える。

「生体ポットと言えど使い方は様々よ。

ただ、このクラスの大きさを使う研究なんて1つしかないわ。

"クローン技術"....人間を人工的に産み出す研究ね。」

 

「クローンですか....ですがキースは財団のエージェントであって科学者ではない。

彼にクローンを作る技術力があるとは思えないのですが」

無名の言葉に克己が賛同する。

「あぁ、アイツは根っからの商人だ。

利益や商売ごとには鼻が効くが無名やお袋程の研究なんて逆立ちしても出来ねぇよ。」

「と言うことはキースに協力している人物がいるってことね?」

 

京水の問いに無名が答える。

「そう考えるのが自然ですね。

......問題は何のためにクローンを作り出したのか?

そして、何故NEVERの技術も必要だったのか?

最終的な目的は何なのか?」

「その答えはこの資料に載ってはいないのか?」

堂本がそう言いながら資料を映していく。

 

それを見るマリアと無名の目に新たな発見はない。

「クローン技術についての記載と改良前のNEVERの酵素について書かれているだけね。

目新しいものは無いわ。」

「そうですね....!?

堂本さん最後の資料をもう一度見せてください!」

堂本は無名の言葉に従い最後の資料の紙を画面に映す。

一番下には英語で小さく文が書かれていた。

 

 

 

Waiting in the Futo(風都で待っている)」と....

 

すると、研究所に警告音が発せられた。

「メイカー何があった!」

無名が訪ねるとメイカーが答える。

「所属不明の戦闘機がこちらに向かって来ます。」

その言葉を受けてNEVERの面々と共に外に出る。

すると、確かに上空を複数の戦闘機が飛んでいた。

 

そして、戦闘機から複数の物体が落とされる。

嫌な予感がした無名はドライバーを装填しメモリを起動する。

 

「Demon」

 

メモリを装填しデーモンドーパントヘ変わると落下する物体に黒炎を放った。

黒炎に触れるとそれは大爆発を起こし空気を揺らした。

そして、遅れて地面に衝撃波が及ぶ。

「あれは..."無誘導爆弾"か!

この孤島を嗅ぎ付けて先に攻撃しに来たのか!」

克己は落とされた爆弾からキースの意図を察する。

そして、別の角度から戦闘機が侵入すると大量の爆弾を屋敷に投下した。

 

「アイツらの狙いは屋敷?」

そう、レイカが言うと克己が焦る。

「マズイ!彼処にはミーナがいる!」

いくらクオークスと言えど戦略級兵器の攻撃に耐えられる能力はない。

それを無名も分かっていたのだろう。

武器を弓矢に変えると戦闘機に向かって放ち落とされた爆弾へと急ぐ。

 

そして、戦闘機に黒炎の矢が当たり爆発するのを遠目で確認しつつ落ちてくる爆弾をどう対処するか考えた。

(あの威力だ....一発でも撃ち漏らせば大変なことになる。

矢で射抜くには時間が足りない....爆弾を誘爆させて上空で片をつけるしかない!)

 

無名は落下する爆弾に突進すると弧を描くように刀を振るった。

振るわれた刀から黒炎が吹き出し横に長い楕円上の斬撃が複数の爆弾に命中する。

すると、攻撃が命中した爆弾は爆発し周りの爆弾にも誘爆していく。

そして、その光は近くにいた無名の身体を飲み込んだ。

 

轟音と共に空気が揺れそれに遅れて衝撃波が地面に流れる。

まるで目の前に台風でも発生したような強い風が吹いた。

そうして、風が止むと当たりに煙が充満するが孤島の建物に被害は出なかった。

克己は嫌な予感がし爆心地に近い場所まで走って向かうとそこには傷と火傷だらけで地面に倒れて気を失っている無名の姿があった。

 

「無名!」

克己は京水に命じて医療キットを取りに行かせると脈を確認する。

脈は正常なことから生きていることは分かった。

だが、身体の傷が酷く意識も失っていた。

そんな彼を研究所に運び治療を施す。

ドーパントから受けた傷ではないため普通の外科的治療が可能なのだがそれでも重症なことには変わりなかった。

 

「重度の熱傷に出血....骨も折れて臓器を傷付けています。

完治まで暫くかかるでしょう。」

メイカーからの診察結果を聞いたNEVERの表情は暗くなる。

「ミュージアムとの通信は?」

「駄目ね....さっきの爆発でアンテナがイカれちゃったみたい。

格納していた輸送機は無事だったけど他の乗り物にも被害が出たわ。

修理しないと動かないでしょうね。」

京水の言葉を聞いてレイカが地面を蹴る。

「クソッ!」

「まんまとしてやられたな....恐らくキースの狙いは無名だ。

現状、ガイアメモリを使えるのは無名だけだ。

ヤツを排除すればこの孤島は機能を失う....そう考えたんだろう。」

「は?何それ?私達、そんな舐められてんの?」

 

克己の仮説にレイカは不快感を現す。

 

「ガイアメモリを持たないゾンビ兵士だと侮ってるのかもな....だが舐められっぱなしは主義じゃない。

芦原と堂本がいるのは風都近郊の廃墟だったな。

ならちょうど良い。」

克己はそう言うと周りに指示を出し始めた。

「メイカー、通信回復と無名の治療をしてくれ。

ミーナと屋敷の皆は無名の看病を頼む。

レイカ、京水...武器と輸送機のチェックをしてくれ。

お袋、何があるか分からない...着いてきてくれ。」

 

克己の指示にレイカは笑う。

「ってことは克己....行くんだ?」

 

 

 

「あぁ、"風都"に行って借りを返す。」

克己は獰猛に笑いながらそう告げるのだった。

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