もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第九話 Tとの接触/優秀な女性

ワードドーパントを介した契約が終わった三人は早速、幹部としての仕事を本格的に任されるようになった。

 

獅子神はその戦闘力を生かしてミュージアムと敵対する組織の壊滅を任され、サラは風都以外の町でメモリを販売するコネと組織作りを任された。

 

そして、僕にはガイアメモリに関する研究と風都で行われるメモリ実験の監督を任された。

実質、園咲文音の後釜として据えられた訳だ。

そして、その過程で園咲来人との謁見を映像ではあるが許された。

 

まぁ、孤島でメモリ開発をしている現状そんな簡単に会いに行けないのは当然なのだがそんな彼だが僕の顔を見ると興味がないように開発したメモリの情報だけを喋り始めた。

「今回、作ったメモリはこの二本だ。

もう、"検索"も終わって興味がない。

好きに使いたまえ。」

そういうとメモリのデータが送られてきてそのまま通信が切れた。

 

残った画面には、"ジーンメモリ"と"バイラスメモリ"が映し出される。

(また、随分と極端な能力を持つメモリが来たな。)

ジーンとバイラス...どちらも能力が特殊で扱いづらいメモリだ。

テストする場所も限られてくるだろう。

 

面倒な事が増えたが良いこともあった。試作型ではあるが文音の残した初期型ガイアドライバーの研究データと設計図(琉兵衛が大事に保管していた。)を元に新たなドライバーが完成したのだ。

 

大道マリアと開発した生体フィルターをベースにガイアドライバーの能力を合体させた新型のドライバー。

 

利点としては製造コストが少しだが抑えられた点と、

ガイアドライバーと同等クラスの毒素の除去を行えた点だ。

だが、デメリットとしてシステム面のデータが不足していた為、稼働時間に限界が出来てしまった。

 

ダメージ関係なく連続稼働は15分が限界で、

それを過ぎると強制的に変身が解除される。

また、時間を過ぎると次の再変身まで8時間のクールタイムが必要となっていた。

 

まぁ、それでも十分すぎる性能がありテストとして四基製作し、僕、獅子神、サラ、そして琉兵衛の要求により師上院にもこのドライバーを渡した。

戦闘データが集まれば稼働時間の延長も可能になるだろう。

 

そして、琉兵衛からの提案で僕達の下に"直属の部下"を付けることになった。

部下とは言うが自分の好きに選んで良いと言われたのでとあるミュージアム関連のつてから探していると懐の携帯が鳴る。

画面を見ると園咲冴子の文字が書かれている。

僕が電話を繋ぐと聞きなれた声が聞こえてきた。

 

 

「この前の"パーティー"以来ね無名。」

ワードドーパントによる契約の後に園咲家のパーティが行われ、そこで園咲家の家族に僕達は紹介された。

そこで一悶着あったのだが、その一件があり園咲冴子に気に入られてしまったのだ。

「えぇ、冴子様も御元気そうで何よりです。」

「お世辞は良いわ。

本題に入りましょう。」

 

「来人からメモリのデータは送られてきた?」

「はい、ジーンとバイラスのデータが」

「なら、話が早いわね。

メモリの実験場所として"風都"の施設が選ばれたの。

だから、風都を管轄してる私に話が回ってきた。」

 

僕達三人は琉兵衛により意図的に風都と関わらない場所へと配属されている。

その理由は不明だがそのせいで僕が風都に行けたのは大道親子をスカウトした時だけであった。

 

「成る程、ではテストするメモリも冴子様がお決めに?」

「いえ、それは貴方が決めるようにとお父様から言われているわ。」

その言い方に僅かながらの不満の感情を感じとる。

園咲冴子は劇中、琉兵衛を越える野望を持ちその理想の為に準じ死んだ女性だが、その根幹は父親に認められたい欲求と妹である若菜の方が父に期待されていることを知ったジェラシーでガチガチに固まった人物なのだ。

 

それ以外に関しては相当優秀なのが分かる。

ガイアメモリ販売を裏で行うIT企業であるディガルコーポレーションの経営を完璧にこなしつつ、表と裏の世界で完璧な活躍をしている。

トラブルに対する対応も的確で抜け目がない。

正直、あんなに冷遇しなくても良いくらい優秀な人だと思う。

 

(まぁ、あの一家は良くも悪くも家族関係では目が曇るからな。)

そんな事を考えながら話を聞いていたが冴子から尋ねられる。

「それで?

どのメモリを試すつもり?」

(どうせなら、原作に無いことを試してみたいな。)

そう考えた無名は口を開く。

 

 

「二本とも試してみましょう。」




Another side

冴子は無名の計画を聞き電話を切ると改めて彼の考えに戦慄を覚えた。
「やはり、無名と言う男は"狂っている"。」
年は自分よりも数段若く、幼さが残ってはいるがその口から放たれる論理や会話はとてもその年齢とは不釣り合いに達観していた。

今回の話だってそうだ。
あくまでメモリの有効能力を調査すれば良いのに、それだけではなくあんなことまで提案してくるなんて....
だが、もし無名の想像通りの結果になるのなら、
お父様の予想すら越える結果を産み出すかもしれない。

聞けば彼がミュージアムに入ってから色々な恩恵がもたらされた。
生体フィルターとコネクターの改良、NEVERと言う怪物の集団を懐柔し自分の利益にした。
そして、極めつけはガイアドライバーの開発。

まだ試作品で私達の使うガイアドライバー程の性能はないらしいがそれでも強大な成果だと言うことには変わりがない。

そして、何よりあの男には倫理観や正義感....もっと言えば善意と呼ばれる感情を感じない。
まるで、"自分の生きている世界が虚構"だとでも思っているかのような行動をする。

まるで、悪魔が人の皮を被ったかのような存在。
彼ならいずれ"恐怖の帝王"すら越える存在に....

「全く、私ったら何を考えているのかしら。」
自分の考えを振り払いながら冴子は実験の準備を行うのだった。

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