もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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鳴海探偵事務所に帰って来た翔太郎とフィリップは照井を呼び出すと捜査員のマリアから詳しい事情を聞き始めた。
「昨日の夜、風都の港にジェット機の破片が落ちた事件は知っているかしら?」
「あぁ、乗組員どころか誰の所有物かも分からないジェット機が墜落した話だろ?」
「そう、実はその中に新たに開発されたT2メモリを保管したアタッシュケースがあったの。
しかし、それを輸送最中に謎の襲撃に遭い"AからZ"26本のメモリが街にばら蒔かれた。」

「このメモリはコネクター手術を施さなくても使用が出来て尚且つメモリが適合率の高い人間を見つけると強制的に起動するシステムが組み込まれている。」
「そんな物を町の人が手にしたら.....」
「風都はおしまいだ。」
予想外の状況に亜樹子と翔太郎は愕然としている。

マリアは立ち上がりホテルの名刺を置く。
「メモリが集まったら連絡して....私も独自に探すから」
「そんな!危険です!」
フィリップがマリアを本気で心配するように言う。
その姿がマリアには別の人物と重なって見えた。

「大丈夫よ私には頼もしい味方もいる。
それに貴方も助けてくれるでしょう?坊や(フィリップ)
そう言ってマリアがフィリップの頬を撫でる。
恥ずかしかったのかフィリップは顔を背けた。
「それじゃ、お願いね仮面ライダー。」
そう言うとマリアは部屋を出ていった。

マリアがいなくなると翔太郎がフィリップをからかった。
「何だよフィリップ、一丁前に恥ずかしがりやがって...」
「別に良いだろう....僕にだってそんな時もある。」
そう言うとフィリップはラボへと姿を消した。

「アイツ....何時にもまして変だな。」
そう思いつつも翔太郎と照井はT2ガイアメモリの捜索へと乗り出すのだった。


第百十四話 AtoZ/冷たい温度

T2メモリの捜索は順調に進んでいた。翔太郎が町の仲間に頼んでメモリを探し、照井が警察の力を使ったことで半分以上のメモリを回収することが出来た。

 

ドーパントの変身事件も少なく、このまま行けば全て集まるのは時間の問題だろうと考えていた。

翔太郎と亜樹子は風都の情報をくれる女子高生二人組の"クイーン"と"エリザベス"に会いに来ていた。

「じゃじゃーん!友達経由で集めてみましたぁ!」

エリザベスが誇らしげに三本のメモリを渡した。

 

「AとKとBのメモリか、人とメモリは牽かれ合うって言うからきっと何かあるのかもね。」

そうしてメモリを受け取る裏側でクイーンが手の中に隠していたメモリをうっかり起動してしまう。

 

QUEEN(クイーン)

 

「クイーン!お前メモリ隠してやがったのか!」

翔太郎がそう言うとクイーンはメモリに牽かれて腕に挿そうとし始める。

「翔太郎君!ヤバくないこれ!」

「すぐ止めんぞ亜樹子!」

「おぉ、やっ止めれー!」

クイーンの持つメモリを二人で奪おうとするとその拍子にメモリを飛ばしてしまう。

それを赤いバイクに乗った女性がキャッチした。

ヘルメットを外して顔が見えるととても美人だった。

 

「あー、お姉さん悪いけどそのメモリ..返してくれない?」

そう言って翔太郎が彼女からメモリを奪おうとすると拒絶差された時に彼女の肌に触れた。

「!?冷てぇ」

その言葉に女性が苛立つ。

「言ったね?気にしてること」

女性は翔太郎の身体を蹴り吹き飛ばす。

女性とは思えない力に翔太郎は戸惑いながら彼女を見た。

彼女はジャケットのジッパーを下ろして肩にメモリを近づけるが反応しない。

 

「あー、体質合わないっぽい。

やっぱり私の運命の一本はこの子なのかなぁ」

そう言うと懐から赤いガイアメモリを取り出した。

「HEAT」

「ヒートだと!?」

メモリの正体に驚く翔太郎を余所にメモリを投げると彼女の身体に吸い込まれていく。

そして、身体が炎に包まれるとヒートドーパントへと変身した。

 

そして、その光景を遠くから見ていた京水は愕然とする。

「本当にレイカとそっくりね。」

横にいる本物のレイカを見ながら京水は言った。

レイカは偽物を見つめながら不機嫌になっている。

そして、レイカの抱えているカメラから遠隔で克己とマリアもその映像を見ていた。

「これで、キースの作ってたクローンの正体が分かったわね。」

「あぁ、それにあの身体能力...クローンもNEVERとしての処置が施されているな。」

 

「克己....それってつまり」

「あぁ、クローンとして生み出されてから一度死んでNEVERになったってことだ。」

その意味を正確に理解している克己やレイカと京水の顔が怒りに歪む。

「克己ちゃん、芦原と堂本はまだ合流できないの?」

 

「あっちもかなりヤバくてな。

今、キースと接触してるらしい。それも戦闘中だ。」

「それってヤバいじゃない!私達が助けに向かわなくて良いの?」

「そっちはミュージアムと財団が行うらしい。

二人は巻き込まれたから共闘しているだけだ。

それよりも、今は残りのNEVERのクローンを見つけることが先決だ。

五人分の生体ポットがあったんだ。

何処かにいる筈だ。」

 

「俺達全員のコピーがな。」

 

 

 

 

ヒートドーパントと翔太郎が遭遇する前.....

園咲家の処刑人であるミックとゴスロリでイナゴを食べる女は師上院と共に芦原と堂本が調査をした研究所へと到着していた。

芦原と堂本は三人の案内役として待機していた。

「やはり、めぼしい証拠は無さそうですね。」

師上院がそう呟く。

「はい、痕跡も完全に消されているところを見ると始めから逃げる事を目的としていたんだと思います。」

 

「仕方ありませんね。では撤収を.....」

そう言いかけた時、師上院の携帯に着信が入る。

画面には非通知の表示がされている。

師上院は電話を繋いだ。

「はい、どなたでしょうか?」

「俺を探しているのかMr.師上院?」

その声が先程から捜索していたキースの声だった。

「何故、私の番号を知っているのかはこの際どうでも良いですが...今どこにいらっしゃるのですか?

財団とミュージアムが貴方を探していますよ。」

 

「それは脅しか?....こんな簡単に出し抜かれたお前らに俺が捕まるとでも?馬鹿馬鹿しい。」

「我々、ミュージアムを侮辱する者は誰であろうと許しません。

それよりも姿を現したらどうですか?

日陰に隠れていては健康に悪いですよ?」

 

「それなら、外に出ると良い。待っているぞ。」

そう言い終わると通話が切れた。

「......どうやら私達は誘い込まれたようです。

理由は分かりませんが迎撃の準備をしましょう。」

そう言うと二人と一匹はガイアメモリを起動する。

 

「Word」

Hopper(ホッパー)

「Smilodon」

 

そうして、三体はドーパントへと変身が完了すると外に出た。

そこにはガイアドライバーを付けたキースが悠然と立っていた。

「準備は終わったか?」

キースが不敵に笑い師上院に尋ねる。

(獅子神は反対の区画を捜索しているから加勢は期待できない。

この人数差でも焦っていないと言うことはキースには何か秘策があるのか?

それにあのドライバー、無名が製作した新型のドライバーだとすれば使用されるメモリはゴールドクラス。

もう少し彼から情報を抜き取りましょう。)

 

「随分と余裕があるようだ....そんなに強い味方をクローンで作れましたか?」

「ほぅ、調べたのか。

思ったよりも優秀そうだ。」

 

「師上院と言ったな....私の元に来ないか?

君のような優秀な人材は、優秀な私に使われることでその真価を発揮する。

園咲琉兵衛では役者不足だ。」

「何度も我が主を愚弄するとは....相当死にたいと見えますね。」

師上院の言葉にキースは笑う。

「あっはっはっは!死ぬ?この私が?....あり得ない。

私は不死身だ...そして永遠に君臨し続ける。」

 

 

「"世界の王"として」

キースは懐から金色のメモリを取り出すと起動する。

Phoenix(フェニックス)

そして、ドライバーにメモリを装填し倒すと身体を金色の炎が包む。

まばゆい光を上げながら肉体が変化する。

その存在感は園咲琉兵衛のテラーを彷彿とさせた。

 

そして変身が完了するとスミロドンとホッパーが彼に攻撃をした。

キースは攻撃を避ける素振りもなく受ける。

スミロドンの爪に引き裂かれホッパーの蹴りを諸に受けたがその箇所から黄金の炎が上がる。

「無駄だ....その程度のダメージなら受けた瞬間に完治する。

再生の力を持つ黄金の炎...これこそがフェニックスメモリの能力だ。」

「そして、この炎にはこういう使い方もある。」

そう言うと炎をホッパードーパントへ放った。

回避が間に合わず片足が巻き込まれてしまう。

 

しかし、足には全くの外傷がなかった。

不思議に思いながら動こうとするが巻き込まれた足はピクリとも動かなくなっていた。

「人間は電気信号と筋肉の収縮、骨の移動により動作を行うことが出来る....その中で微小なダメージを常に人は受け続けている。

痛みとすら知覚出来ない程の小さなダメージだ。

この炎はそれすら回復し完全に治してしまう。

今、君の身体は自分の足を知覚できていない。

無いものと誤認している。

だから、足が動かなくなった。」

 

「では、質問を変えよう。この炎を全身で浴びたらどうなるかな?」

そう言いながらキーズは黄金の炎をホッパーに向けようとすると突如、飛んできたコンクリート片にキースは吹き飛ばされる。

そこには師上院が作り出したコンクリートの大砲があった。

 

「確かに魅力的な能力だ。

だから、封じさせて貰うことにするよ。」

そう言うと師上院は文字を集めて文を作るとキースに向かって放った。

それをキースは紙一重で回避する。

「危ない危ない....戦闘でのワードメモリの能力は知っている。

そんな厄介な力には他にどんな秘密があるのやら」

 

「私は君と違って自分の力をベラベラと話す趣味は持ち合わせてない。

だから、契約に必要な情報だけ開示させて貰う。

その"炎の力を私の契約の能力と引き換えに"封印する。

契約終了は"どちらかの命が尽きる"までだ。」

師上院がそう言うと周囲にワードメモリ特有の空間が生成された。

「そんな契約、私が結ぶとでも?」

 

「このままでは難しいだろう。だからこうする。」

師上院はワードメモリの編集の力を使い契約完了を"両者の同意"と言う意味合いからどんどん変化させていく。

「まさか、契約内容を変更できるのか?

だが、それを指を咥えて見ていると思うか!」

キースは黄金の炎を師上院に向けて放つ。

しかし、この攻撃は突然、現れたユートピアドーパント加頭により防がれてしまう。

 

「再生とは希望の象徴....故にユートピアの能力が適応できます。」

「貴様は....つくづく私の邪魔をしてくれるな!」

「貴方が財団を裏切りT2メモリを乗せたジェット機を落としたのは分かっています。

財団に不利益を与えた貴方は私が粛清します。」

 

加頭とそう話していると師上院の契約の編集が完了した。

「契約締結の条件を変更....対象と類する組織の人物からの攻撃に変えた。

つまり、これで詰みだ。」

キースの背後からミックが攻撃を加える。

キースは身体に黄金の炎を纏うと師上院に突撃した。

両者の速度には差があるがミックの速度はアクセルトライアルと同じくらいに速い。

故に突撃が当たる前にミックの爪がキースを捕らえた。

炎が師上院に触れるがその場で消滅しフェニックスドーパントも姿を消した。

 

「倒せましたかね?」

加頭からの質問に師上院は答える。

「メモリの能力が未知数な以上、油断はできないがワードメモリの能力が発動している。

暫くは問題ないだろう。」

そんな話をしていると芦原が二人の前に現れた。

「報告します。

俺達、NEVERのクローンが風都でT2メモリを集めているようです。」

 

「では風都に戻りましょう。

クローンを始末して一刻も早く事態の収拾を....」

加頭はそう言うと理想郷の杖の力を使いその場の全員を風都へと移動させるのだった。

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