もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第百十八話 AtoZ/失った炎

"エターナルメモリ"....永遠の記憶を宿したそのメモリは他のメモリの使用を永遠に停止させる力を持っている。

 

エターナルメモリに認められた男、大道克己。

NEVERと言う擬似的な不死性を持ちまた本人も永遠に固執する人物であった。

だからこそ、メモリは彼に適合し青い炎へと昇華したのだ。

 

だが、今の克己の纏う炎は赤色となっていた。

この原因は一重に無名が運命を変えた事に起因していた。

記憶を保持できるようになって"明日への渇望"が減り、ミーナやNEVERを大切な存在として認識した結果、彼は満足してしまっていたのだ。

 

永遠に執着していた彼はもういない。

故にメモリはより永遠を求めるクローンへと傾いた。

二人の戦いは圧倒的にクローンが優勢だった。

戦闘技術は記憶の残る克己に分があるがそれ以外の全てがクローンに劣っていた。

 

そして一撃一撃が確実に克己を蝕み地面に倒れてしまう。

「無様だな....オリジナルもこの程度か。」

「なめるなぁ!」

克己はそう言って拳を振るうがそれをクローンは片手で止めてしまう。

「遅いな...良いか?

パンチって言うのはこう打つんだよ!」

クローンの拳が克己の腹部に打ち込まれる。

 

「ぐはっ!」

「オリジナルの強さは十分に分かった。

もう終わらせよう。」

そう言うとクローンはドライバーからエターナルメモリを抜くとエターナル専用武器であるナイフ"エターナルエッジ"のマキシマムスロットにメモリを装填する。

 

「ETERNAL MAXIMUMDRIVE」

 

そのマキシマムの能力を知っている克己も急いでエターナルメモリをドライバーから抜くと自分のエターナルエッジに装填した。

 

「ETERNAL MAXIMUMDRIVE」

 

両者のエターナルメモリのマキシマムドライブが発動する。

同じ特性と能力を持つメモリが同じ効果を発揮する。

"ガイアメモリの機能停止"....永遠の力を持つエターナルメモリだからこそ使える技だ。

メモリが同じなら後は何が優劣を決めるのか?

 

それかメモリとどれだけ適合して力を引き出せるかだ。

「ぐぁぁぁぁ!」

克己のドライバーに異常が起き始めた。

そして、近くにいたWにも同じ効果が及ぼされる。

「何だ!これは?」

『メモリがっ.....急にっ....』

動かなくなったWの隙をファングドーパントが見逃すわけもなく、身体から出現させた無数の牙をWに放った。

そしてクローンの克己も倒れているオリジナルに回転蹴りを加える。

 

両者ともその威力により窓ガラスを割り風都タワーの外へと投げ出されてしまった。

そして、運の悪いことにこのタイミングで両者の変身が解除された。

「なっ!どう言うことだ?何で変身が...うおぁぁぁ!」

翔太郎は帽子を飛ばされないように抑えながらメモリが入ったままのドライバーを再展開した。

しかし、何度やっても変身するどころか何のアクションも起きなかった。

 

フィリップは意識を取り戻すと翔太郎に話しかける。

「翔太郎!....."僕の意識"がメモリから弾かれた。」

Wドライバーはフィリップの精神をメモリに乗せて転送することで変身できるシステムだ。

それが、機能しなくなったと言うことはメモリそのものが動かなくなったと言う証拠でもあった。

「んなことよりもどうする!このままじゃ俺達、全員地面にダイブすることになるぞ!」

「リボルギャリーを呼んでも間に合わない!」

 

すると、風都タワーの隣のビルからAガンナーが登ってきていた。

そして、翔太郎とフィリップの落下する丁度真横を飛んできた。

翔太郎は持ち前の運動神経でガンナーAにしがみつくそしてフィリップに向かって手を伸ばすが取り逃してしまった。

 

「フィリップー!」

翔太郎が悲痛な声で叫ぶ。

その背後から真っ直ぐと克己がフィリップの前に落下すると彼を掴んだ。

「なっ!君は?」

「俺"がクッションになれば"死ぬ確率は下がるだろう?

大人しくしていろよ。」

そう言って彼をフィリップを抱き締めるように抱えた。

 

しかし、克己達の前に緑色の風が吹くと二人を包み込んだ。

そして、無事に着地したガンナーAの付近に二人は下ろされる。

そしてそこにはサイクロンドーパントもいた。

「大丈夫か!フィリップ!」

翔太郎はフィリップに駆け寄った。

克己はフィリップを離しサイクロンドーパントと何か話し合う。

 

そして、サイクロンドーパントはメモリを抜いた。

すると、そこに大道マリアが現れる。

「マリアさんが....ドーパント。」

その光景にフィリップはショックを受けている。

代わりに翔太郎がマリアに尋ねる。

「俺達の前でメモリを抜いて正体を現すなんてどういうつもりなんだ?」

「詳しいことは彼が自分で話すそうよ。」

そう言うと翔太郎は聞き覚えのある声を聞いた。

 

「久し振りですね左翔太郎さん。」

「まさか、お前が来るとはな無名。」

「えぇ、少し事態が厳しくなりましたので....」

「そう言うってことは俺達と協力したいってことか?」

「えぇ、その通りです。」

 

すると、無名は今回の事件について話し始めた。

「クローンにNEVER、それにエターナルメモリか....

全く厄介なものを風都に持ち込んでくれたものだ。」

照井は無名の言葉を聞いてそう評した。

「エターナルメモリを無効化する方法はないのか?」

「エターナルメモリのデータを直接書き換えればバグにより無効化出来る可能性がありますが、それをするにはエターナルメモリに直接繋がれて尚且つ地球の本棚に入れる存在が必要です。」

 

「実質、フィリップしか不可能な方法って訳か?」

「えぇ、だからこそ代案として予め回収していたエターナルメモリを使ってエターナルメモリを無効化しようとしたのですが.....どうやら駄目だった様ですね。」

無名の言葉に克己の顔は曇った。

 

「教えろ....何で俺はクローンに負けたんだ?」

「エターナルメモリは永遠の記憶を宿しています。

変わることの無い時間と空間...それが永遠です。

貴方は"消え行く記憶よりも今を求めた"。

そんな貴方だったからこそメモリと適合できたんです。

しかし、今の貴方が求めているのは今ではなく"未来"だ。

そう言う意味では今もっともメモリと適合できているのはクローンの大道克己と言えます。

生まれてからすぐに殺されNEVERにされた彼にとって最も求めているのは変わらない"今"なんですから...」

 

「克己.....」

悩む克己をマリアは心配そうに見ていた。

そんなマリアをフィリップは悲しそうな目で見ていた。

それに克己が反応する。

「フィリップと言ったか....俺のお袋に何か用があるのか?」

「....別に何でもない。」

その表情には何か言いたげな感情をひしひしと感じてはいたが黙っていると言う感じだった。

話が纏まらないと思った翔太郎が話し始める。

「んで無名、お前の要求ってのは何なんだ?」

「現状は最悪です。

エターナルメモリのマキシマムが発動したことでT2以外のメモリは全て作動不能になりました。

勿論、僕のメモリも使えません。

この状態を打開するためにも我々と協力しませんか?

勿論、組織ではなく僕個人に対する協力で構いません。

貴方達の流儀に合わせるなら依頼にしても良い。

この一件に限り共闘してください。

それが私の要求です。」

 

照井や翔太郎とフィリップはその提案を聞きどうするか考える。

そして、照井が口を開いた。

「俺は....お前達を信用する気など更々無い。

だがメモリが使えない以上、対抗策が無いのも事実だ。

業腹だがお前の提案に乗らざるを得ないと俺は思う。」

そして、次に翔太郎が話し始めた。

「俺だって照井と同じ感情だ。

お前は組織の幹部で....親っさんを殺した奴等の仲間なんだからな。

だが、それを気にしてこの風都を守れねぇのは違う。

おやっさんだって時には後ろ暗い連中とも組んでたんだ。

それに無名....お前には個人的にも聞きたいことがある。

だから、お前の提案に俺は乗るぜ。」

 

「ありがとうございますお二人とも.....

それでフィリップさん....貴方はどうしますか?」

無名からの問いにフィリップは顔を伏せながら答えた。

 

 

 

「僕は.....反対だ。

君達と組むことなんて出来ない。」

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