もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第十話 Tとの接触/始まる実験

Another side

 

ここは風都にあるビリヤード場"かもめビリヤード"。

その二階に事務所を構える男、鳴海 荘吉(なるみ そうきち)は事務所のソファーに座り一人瞑想をしていた。

 

この街、風都を蝕む悪魔の道具であるガイアメモリ。

その道具に関わったせいで親友(松井 誠一郎)を失い、

ガイアメモリ犯罪に巻き込まれていくことになった。

暫く、センチメンタルな気分が抜けず仕事を休業していたがそんな俺をもう一度、立ち上がらせた人物がいる。

 

「おやっさん!頼まれてたもん買ってきたぜ。」

生意気に帽子を被り紙袋を抱えている短パンの青年、左 翔太郎(ひだり しょうたろう)。コイツは俺に憧れて探偵になりに来た物好きな奴だ。

だが、筋は良い...俺の探偵の技術はほぼ受け継いでいる。

 

(問題があるとすれば....)

 

荘吉は立ち上がると翔太郎の頭を叩く。

「あいたっ!」

「何度も言ってるだろう翔太郎。

お前に帽子は早すぎるってな。」

そう言うと荘吉は翔太郎の帽子をひったくり帽子掛けにノールックで投げ込み帽子をかけた。

 

その姿に「すげぇ!」と感動している翔太郎を見て溜め息をつく。

(まだ、"ガキ臭い"所が抜けてない所ぐらいか)

「帽子を付けたいならもっと大人になれ翔太郎。」

荘吉はそう言うと翔太郎から荷物を受け取り机に戻った。

 

「確かに、おやっさんに比べれば俺はガキっぽいかも知んないけど少しぐらい認めてくれても良いだろ?」

翔太郎の言葉に荘吉は反論する。

「そう言う文句を垂れる時点でまだ子供だ。

翔太郎、探偵と言うのは....」

 

「"我慢を貫く仕事"だろ。

耳にタコが出来る程、聞いたよ。」

殴られた頭を抑えながら翔太郎は自分の場所に戻ろうとすると思い出したように荘吉に話す。

「そう言えば面白い子供にあったんですよおやっさん。」

「面白い子供?」

「はい、おやっさんに頼まれた買い物の途中で、

ひったくりがあってソイツを追っかけてた時、

その子供がひったくりを捕まえるのを手伝ってくれたんです。」

聞けば、ひったくり犯に足を掛けて転ばせてその隙をついて翔太郎が取り抑えたらしい。

 

「その子にお礼を言うと「大したことはしてませんよ。」って言って去ろうとしたんです。」

「気になったんでその子の名前を知ろうと聞いても「名乗る名前を持っていませんから」って言って....」

 

「確かに今の時代にしちゃませた子供だな。」

「そうなんっすよ。

そして、去り際そいつ俺を見て言ったんです。」

 

 

 

 

「まるで"主人公の様な活躍"。

カッコ良かったですよって...」

 

 

 

 

 

夜の風都の工業地帯....ここはディガルコーポレーションが秘密裏に買い取った地域でもある。

 

そこに、テスターと浮浪者の様な見た目の男が立っていた。

「たっ....助けてくれ!頼む!」

男は、泣きながら何処かに向かい懇願しているがその願いが叶うことはない。

 

すると、マスクを付けた無名は現れて彼等に向かい話し出す。

「では、実験を開始します。

テスター、メモリを起動し身体に刺してください。」

その言葉に従うようにテスターはメモリを起動し身体に刺す。

 

Virus」(バイラス)

 

身体が変異しテスターはバイラスドーパントへと変身する。

「さぁ、次は"貴方の番"です。」

そう言われた浮浪者は怯えながらメモリを握りしめている。

「言っておきますが貴方に拒否権はありませんよ。

貴方の犯した罪を揉み消す代わりに我々に協力する、そう言う契約の筈でしょう?」

 

そう言われた浮浪者は「でっでも...」と言いながら決断が出来ないでいた。

僕はそんな彼を見てテスターに追加の命令を行う。

「テスター、彼が戦う気力が出るよう死なない程度に痛ぶってください。」

その言葉に従いテスターは浮浪者を殴り蹴りを繰り返す。

バイラスメモリの能力から考えたら無駄な攻撃ではあるが臆病者に決心させるには充分な力を発揮した。

 

「うっ、うわぁぁぁぁぁ!」

 

Gene」(ジーン)

 

メモリを起動し身体に刺すと右手が特徴的なコイル状の道具がついたジーンドーパントへと変身する。

「では、実験を始めましょう。

テスター、彼に触れなさい。」

その言葉に従うようにテスターはジーンドーパントに触れる。

すると、そこからウイルスが入り込みジーンドーパントは苦しみ出す。

「ぐぁぁぁぁぁあ!」

 

「死にたくないのならジーンの能力を使ってバイラスを改造しなさい。そうすれば生き残れる可能性がありますよ。」

ジーンドーパントは苦しみながらもその声に従い、コイルのついた右手でバイラスの遺伝子の改造を始めた。

細菌も大まかに捕えれば遺伝子の集合体。

ジーンメモリなら何かしらの変化を与えられると考えた。

(普通に使えば街一つをアウトブレイクに出来るバイラスメモリ...それがジーンメモリで改造されると一体、どんな変化を及ぼすのか興味深い実験になりそうだ。)

 

ジーンメモリの効果かバイラスとジーンを包むようにエネルギーが展開し二人の姿が見えなくなる。

この実験の結末を見ようとした時、

招かれざる来訪者が現れる。

 

 

「この街を泣かせる真似は許さん。」

白い帽子を被った鳴海 荘吉が僕にそう言い放ったのだった。

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