もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第百二十三話 AtoZ/切り札と熱

ヒートドーパントと仮面ライダージョーカーの戦いは苛烈なものとなっていた。

ヒートドーパントの格闘をジョーカーが受けて反撃を行う。

 

しかし、両者には圧倒的な違いがあった。

切り札の記憶を宿したジョーカーメモリ。

使用者の身体能力と潜在能力を引き出す力があるこのメモリの力を、左翔太郎は最大限引き出すことが出来ていた。

事務所からヒートドーパントを引き剥がし外へと出した翔太郎は、徒手空拳でヒートドーパントを圧倒していく。

 

「なめんじゃないわよ!」

ヒートドーパントは拳と足に炎を纏わせると攻撃に合わせて炎を吹き出すことで拳と足を加速させてきた。

しかし、これも翔太郎は冷静に回避と防御を行う。

「お返しだ!」

翔太郎はヒートドーパントに一発拳を当てるとその威力からヒートドーパントは吹き飛ばされる。

 

ヒートドーパントは地面を殴り怒りを露にする。

「クソッ!クソクソクソッ!」

「もう諦めろ!俺達にはやることがあるんだ。」

「ふざけんな!.....アンタ何かに...負けるわけには行かないのよぉ!!」

ヒートドーパントは全身を発火させて力を溜める。

「そうかよ....ならこれで決めてやる!」

翔太郎はジョーカーメモリを抜くとマキシマムスロットへ装填した。

 

「JOKER MAXIMUMDRIVE」

 

RIDER KICK(ライダーキック)

 

翔太郎の右足に紫のエネルギーがあつまる。

両者が走り出し必殺の蹴りを放ちヒートドーパントの左足と翔太郎の右足が衝突する。

両者の強烈なキックは爆発を起こしヒートドーパントは吹き飛ばされるが、翔太郎はそれをものともせず突き進み右足をヒートドーパントの胴体へと突き当てた。

 

その一撃によりヒートドーパントは爆発を起こすとメモリが排出され人間の姿へと戻ってしまう。

顔にはメモリブレイク特有の隈が出ていた。

「ちくしょう!何で私が....」

「オメェの敗けだ...大人しく観念しろ。」

そう言って翔太郎がメモリを抜いて近寄ろうとするとレイカが突然苦しみ出した。

 

「グッ...アァァァァァァ!!」

髪の色が抜け落ち皮膚がドンドン老化していく。

レイカは懐にあった酵素を打ち込むが老化が治まる様子は無い。

「何で?....何でよぉぉぉ!!」

急速な肉体の老化にレイカは怯えその場を這いずり回る。

その姿は近付いてくる死神から逃げ惑う様にも見えた。

 

「どうなってやがる。」

翔太郎はその光景を呆然と見ていた。

プロスペクトにより作られたクローンには重大な欠陥があった。

キースの要望により短期間でNEVERを造る為、細胞を改良した結果、老化スピードが"通常の10倍"にまで跳ね上がっていた。

それをNEVERによる酵素の力で抑えていたのだ。

 

だが、マキシマムを受けた影響により抑えられていた老化現象が解放され、これまで蓄積していた"細胞のダメージ"が一気に返ってきたのだ。

結果、"数十秒でレイカの姿は老婆"へと変貌してしまった。

「あ.....が.....」

もう話すことすら出来ない程、老衰してしまった彼女は虚空を見上げている。

そんな彼女を克己は優しく抱き締めた。

「疲れただろう?ゆっくり休め。」

「.....あ.....え...」

「言っただろう?俺達はNEVER....仲間だ。

お前が眠るまで傍にいる。」

克己の優しい言葉に安心したレイカはもう声も出ない中、口を動かして克己に何かを伝えると眠るように息を引き取りその肉体は塵となった。

 

それを見ていた翔太郎が克己に尋ねる。

「一体どう言うことだ?」

「分からん、だが相当な無茶をして作られたクローンなのだろう。

そのツケが回ってきたんだ。」

そう言って立ち上がろうとすると克己の顔に酵素切れ特有の跡が浮かび始めた。

 

「どうした克己!」

「騒ぐな、単なる酵素切れだ。」

そう言うと懐から取り出したインジェクターガンを首に当てて酵素を注入する。

そして、克己は翔太郎に顔を向けた。

「クローンの俺がエターナルメモリのマキシマムを使った影響で俺達の使う酵素にも不具合が出ている。

"記憶が抜け落ち始めている"んだ。」

「記憶が....抜ける?」

 

「元々の酵素の欠点だったが無名の改良により無効化されていた。だが、この一件でそれが戻ってきた。

現にお前といた筈の"事務所の場所"すら思い出せなくなってきている。」

「何だって....」

「このまま行けば俺は自分の過去やお前達、大事な仲間の事すら忘れてしまうだろう。

翔太郎、お前に頼みがある。

もし、俺が全て忘れちまって俺のクローンの様に暴れ始めたら、お前が俺を止めてくれ。」

 

「何でそれを俺に頼むんだ?」

「お前は良くも悪くも凡人だ。身体能力も考え方もな。

だが、"不可能を越える力"を持っている....そう感じるんだ。」

「んだよ、褒めてんのか貶してんのかハッキリしろよ。」

「一応は褒めているぞ。」

そう言って二人が笑うと翔太郎は真剣な顔で克己に告げた。

 

「分かった....もしその時が来ちまったら克己、お前の事は俺が死んでも止めてやるよ。

だが、"お前を死なせるつもりもないからな"。

絶対に生かして助けてやる。」

「ふっ、甘い男だな。」

そう言うと二人は亜樹子とバイクに乗り風都タワー近くの建物に到着したそこには先に照井が着いていた。

 

「遅かったな....何かあったのか?」

「ちょっとしたトラブルがあっただけだ。」

「そうか、それで作戦はどうする?」

「俺と克己で風都タワーに乗り込んでフィリップを助け出してエターナルを倒す。

照井にはそれまでの露払いを頼みたい。」

「良いだろう。」

 

「ちょっと待て。」

翔太郎の意見に克己が否定の意見を述べた。

「どうした克己?」

「一人じゃ心許ないだろう?

助っ人を用意してある。」

そう言うとその場に京水、芦原、堂本の三人が現れた。

 

「お前達は.....」

「克己ちゃんの仲間よ。

アンタ達に協力してあげる。」

「戦力は多い方が良いだろう?

俺も個人的に風都を破壊されると困るからな。」

「そう言うことだ。」

三人は照井に向かってそう言った。

 

そうして全員が準備を始める中、照井は亜樹子に話し掛ける。

「所長....すまないな。

"約束"を守れそうに無くて」

約束とは風都タワーの記念式典後に行われる花火大会の事だった。

照井はこの花火大会に亜樹子を誘っていたのだ。

 

「仕方ないよ竜君....こんな状況だもん。」

そう言う亜樹子の顔は少し悲しそうであった。

それを読み取ったのか照井が亜樹子に向かって言う。

「約束だ...この事件を解決したら一緒に花火を見よう。

この約束は絶対に破らない。」

「竜君....」

 

二人が甘い空間を作っている所を京水は見つめる。

「あらあら、お熱い関係ね。」

その表情を見た芦原が京水に尋ねる。

「意外だな。

何時ものお前なら食ってかかりそうなものだが」

「アンタ、私の事何だと思ってるのよ。

そりゃ、羨ましさもあるけど今はそれよりも"大事なこと"があるからね。」

「レイカの事か?」

 

「そうに決まってるでしょう。

その為に無名からコレを貰ってきたんだから」

そう言ってアタッシュケースを取り出す。

それは無名とシュラウドが共同で開発したNEVER専用の装備であった。

それを見た堂本が京水に告げる。

「1つ言っておくぞ京水、お前の敵じゃない。

俺達、全員の敵だ.....だから」

「分かってるわよ。

私がキッチリ仕留めるわ...それとありがとうね。

何も聞かずにコレを私に使わせてくれて」

「気にするな....仲間だろう。」

 

そう言うと全員が準備を終えてそれぞれ行動を始めた。

翔太郎が照井に向かって言う。

「じゃあ、行くか!.....死ぬなよ照井。」

すると照井は笑いながら返す。

「知らないのか?...."俺は死なない"」

 

「はっ、そうかよ....お前も死ぬなよ克己。」

翔太郎の言葉に克己も笑いながら返す。

「知らないのか?...."俺はもう死ねない"

これ以上死んでたまるか。」

 

NEVERの四人と翔太郎、照井はバンとバイクに乗って風都タワーへ向かい亜樹子は安全な場所で待機した。

 

 

こうして物語は終局へと進み出す.....

全てが変わったこの世界で笑うのは神か悪魔か

それとも別の何かか?

答えは地球の本棚にも記されていない。

 

 

 

 

Another side

 

若菜が助かった報告を聞いた琉兵衛は即座に行動を始めた。

「ミュージアム全戦力を持ってキース・アンダーソンを始末せよ。」

その命令が出されるとミュージアムの全戦力が消えたキースを探すために奔走を始めた。

そこには合流したサラと無名の姿もあった。

 

「やっぱり、何の手がかりも無いわね。」

サラが手に入れた資料を見ながらそう言う。

財団側から提供されたキースの隠れ家やアジト、仲間の構成員も調べあげたが何の手がかりも見つからなかった。

「仲間が黙っている可能性は無いのか?」

獅子神の問いに無名が答える。

 

「無いでしょうね...メモリを使えなくなっても適合率が高ければメモリの力をある程度は使えます。

それに尋問は琉兵衛様直々に行われているそうです。

獅子神は琉兵衛様に尋問されて黙っている自信はありますか?」

「なら、本当に何も知らないわけか。

キースの使っていたメモリの方はどうなんだ?」

 

「フェニックスメモリはミュージアムでも実験段階のメモリで、ナスカメモリの様にまだ解明されていない謎の多いメモリなんです。

現段階で分かっているのは再生能力に特化した炎を操り、大抵のダメージなら無効化出来ると言うことだけです。」

「ちっ.....それじゃあ何も分からないのと変わらないな。」

 

フェニックスメモリも原作には登場していないこの世界独自のメモリだ。

ゴエティアなら何か知っているのかもしれないが、簡単には教えてくれることはないだろう。

分かっているのはドライバーが必要なゴールドクラスのメモリだと言うことだけだった。

 

「そう言えばサラ、さっき誰かと長く電話をしていたが一体誰だったんだ?」

「あれ?あれは今回の事件に興味を持ったって言ってた人物からの電話よ。

琉兵衛様にお繋ぎしたら通しても良いって許可が出たって訳。」

 

「随分と酔狂な奴がいたもんだな。」

「いえ、来るのはその人じゃなくて"二人の青年"らしいわよ。」

 

「二人の青年....何たってそんな奴らが」

獅子神がその事で疑問を思っていたが無名には1つ心当たりがあったのでサラに尋ねた。

「サラさん、その話を持ってきた人の名前を伺っても?」

「えぇ、良いわよ。」

 

 

 

 

鴻上 光生(こうがみ こうせい)、"鴻上ファウンデーション"の会長よ。」

 

 

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