もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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風都タワーの前にはメモリを握りしめた民衆で溢れ反っていた。
芦原はその光景を見つめて京水は渡されるメモリをを一つ一つ精査していく。

「どれもミュージアムの頃のメモリじゃない!
全然期待できないわっ!」
そう言って落胆していると遠くからこっちに近付いてくる車とバイクを見つける。

「JOKER」

「変身」

バイクの男が黒い仮面ライダーへと変身を遂げる。
「まさか....仮面ライダー?」
京水と芦原は近付いてくる存在が敵だと認識するとメモリを起動した。

「LUNA」
「TRIGGER」

二人は変身が終わるとルナドーパントはマスカレイドドーパントのエネルギー体を生成しトリガードーパントは仮面ライダーに向かい発砲をする。

その弾を車が前に出て代わりに受けると車は大爆発を起こしその破片で二体のドーパントに降り注いだ。
それによりマスカレイドドーパントは消滅し二人のドーパントも倒れるとそこを黒い仮面ライダーの乗ったバイクが颯爽と通り抜けた。

「しまった!」
ルナドーパントがそう叫ぶと二人の前に京水達が現れた。
「奇襲作戦は成功って感じね!」
その光景を見た照井が言う。
「中々、無茶な作戦を思い付くものだ。」
「あら?でも効果的だったでしょ。
お陰で"二人とも"問題なく通せたわ。」

「二人...だと?」
トリガードーパントがそう言うと京水が自信満々と答えた。
「えぇ、翔太郎ちゃんと克己ちゃんよ。
そして......」



「アンタらの相手は私たちよ。」
そうして風都タワーの外での戦いが幕を開けるのだった。


第百二十四話 AtoZ/集まるメモリ

風都タワーの内部に入れた翔太郎と克己は上層階へと目指して走っていた。

翔太郎はライダーになっているためスタミナが高く、克己に至ってはNEVERなのでその概念すら無かった。

 

そうして登っていくと二人の前に鋼鉄の棒が振りかかる。

「あぶねぇ!」

そう言って避ける翔太郎に合わせて克己も回避すると背後のコンクリートが陥没した。

そして、攻撃を避けるように間合いを確保すると目の前の人物に目を向けた。

 

「堂本のクローンか。」

克己がその姿を見て言う。

堂本は服を抜くとその鍛え上げられた筋肉を見せ付けて威嚇する。

対抗して翔太郎もダブルバイセップスのポーズを見せる。

「何してるんだお前?」

「あ?こう言うのは気持ちで負けたら駄目なんだよ。」

「馬鹿馬鹿しい。」

「んだと?...まぁいいや行くぜ!マッチョメン。」

 

「METAL」

 

堂本はメモリを起動すると投げる。

メモリは堂本の背中に回り込み挿さるとメタルドーパントへと変身した。

メタルドーパントと翔太郎がぶつかる。

パワーの違いからか翔太郎が押し込まれ壁に叩きつけられる。

叩きつけられた壁が砕けてしまう。

状況の不利を理解した克己はその身体で無理矢理メタルドーパントの棒術の攻撃を受け止める。

口から大量の血を吐き出す。

 

「克己っ!」

「俺のことは気にするな!.....早くコイツを倒せ!」

翔太郎は克己の言葉に従うようにメタルドーパントを殴り付け攻撃を加え蹴り上げた。

その衝撃によりメタルドーパントは棒を手放し吹き飛んでしまう。

 

「さぁ、勝負だ!」

翔太郎はジョーカーメモリをマキシマムスロットに装填する。

 

「JOKER MAXIMUMDRIVE」

 

RIDER PUNCH(ライダーパンチ)

 

翔太郎の右腕に紫のエネルギーが集まる。

メタルドーパントもそれに呼応するように拳を握りこむ。

そして、両者とも一気に近付くと拳を放った。

お互いのパンチがクロスカウンター気味に炸裂する。

メタルドーパントの拳が翔太郎の頬をなぞるように掠め、翔太郎の拳がメタルドーパントの頬へヒットした。

 

そのダメージからメタルドーパントは爆発を起こすと元の人間の姿に戻り気絶した。

翔太郎はダメージを受けた克己に近寄る。

「無茶しやがって!本当に大丈夫かよ!」

「元が死人だからな...多少の無茶は効く。

お前にはこれからエターナルとやりあって貰う必要がある。

余計な体力は使わせられない。」

そう言うと無理矢理、克己は立ち上がった。

 

「そんな事をしたら仲間が悲しむだろうが!」

翔太郎の声に克己が止まる。

「仲間?....俺に?.....」

その言葉に翔太郎は前に言われた克己の言葉を思い出した。

(記憶が抜け落ちる....まさかもう!)

 

しかし、そこで克己は頭を抑えると動きが止まる。

「そうだ...京水....芦原...堂本...レイカ...俺には仲間がいる。

まだ覚えているぞ....大丈夫だ。

心配をかけたな翔太郎、早く行こう。」

「でもよ!」

「どの道、エターナルを倒さないとこのまま記憶は消え続けるんだ。

早く倒したい...俺の気持ちは分かるだろ?」

 

 

克己のその言葉に翔太郎は言いたいことを噛み殺すと共に克己達がいるであろう風都タワーの中心部へと向かうのだった。

 

中心部に着くとフィリップが謎の機械に取り付けられた椅子に座らされて気を失っていた。

「フィリップ!」

翔太郎がフィリップに近付こうとする。

「危ない!」

克己が翔太郎を下がらせるとその場所に牙のブーメランが通り抜けた。

「まさか、ここに貴様ら二人が来るとは...手間が省けたぞ。」

そう言って上のフロアからファングドーパントとクローンの克己が現れる。

 

「最後のメモリを持ってきてくれてありがとう。

これで俺達の計画は完遂する。」

「計画だと?」

そんな話をしているとフィリップが目を覚ました。

「翔太郎?」

「フィリップ!無事だったか!」

 

「翔太郎!大道克己を止めるんだ!

彼はこの装置を使ってガイアメモリを使った人物を全員NEVERにするつもりだ!

それで敵組織を乗っ取ろうとしてるんだ!」

「話す手間が省けて助かるよフィリップ。」

「何だって!....そんな事が」

 

「安心しろNEVERになるってことは俺らと同じ不死身になるってことだ。

酵素がある限り死ぬことはない。」

「ふざけるな!酵素の危険性をお前自身が知らない筈が無いだろう!」

「記憶のことか?過去よりも今があれば良い!

それ以外は不要なものだ....記憶なんてあるから執着を生む。

それは弱さだ。

現にそれでレイカも....」

 

 

「お前の"お袋も死ぬこと"になったんだからな。」

 

 

「.....何だと?」

クローンの克己が言った言葉に克己は呆けてしまう。

 

「聞こえなかったか?

死んだんだよお前のお袋は、俺の手にかかってな。」

「嘘だ....」

「嘘じゃない...そこのフィリップも見ていたぞ?」

「本当か?フィリップ?」

 

フィリップに翔太郎が尋ねると彼は顔を背けながら苦し気に告げた。

「真実だ.....マリアさんは克己にナイフで刺されて....それで.....」

「答えろ....お袋は何処にいる?」

克己がクローンに尋ねる。

 

「この風都タワーの"何処か"に捨ててきた。

これから行う俺の偉業にゴミは必要ないからなぁ」

クローンの克己の言い方に翔太郎が激怒した。

「ふざけんなぁ!マリアさんはゴミじゃねぇ!」

「テメェの野望が俺が潰す!」

「ふん!出来ないことは言うもんじゃないぞ?」

 

「ETERNAL」

 

「変身」

 

クローンの克己が仮面ライダーエターナルへと変身すると翔太郎は飛び上がり上のフロアにいる彼に思いっきり向かっていく。

その拳に克己の怒りを乗せて....原作以上にジョーカーメモリとの適合率が上がった翔太郎のパンチはエターナルのガードを突破し彼の顔を捉える。

「ほぉ、言うだけのことはあるじゃないか。

少しは楽しめそうだ。」

「言ってろぉ!」

 

エターナルは背中についている黒いマントである"エターナルローブ"で身体を隠しながら相手の攻撃を防御してカウンターを当てる戦法に変えた。

エターナルローブには熱・冷気・電気・打撃を無効化する能力があり、これを使いジョーカーの力を抑えながら確実に翔太郎にダメージを与えていった。

 

その間、オリジナルの克己はファングドーパントと戦っていたが、母親を失ったショックから防御に徹していた。

しかし、徐々にその動きは"本来の状態"へと戻っていった。

それを見たプロスペクトが言う。

「どうした?先程までのショックがまるで嘘のようだな?

母親の死はそんなに簡単なものだったのか?」

「違うな....エターナルメモリのせいで俺達の酵素に影響が出てるんだ。

今の酵素はお前達の使っているものと変わらない。

ここまで言えば分かるだろう。」

 

「成る程、"記憶の忘却"と"人間性の欠如"か。

今のお前を倒せれば私の作ったクローンは名実共にお前らゾンビ兵士を越えた事になるんだな。」

「下らん!死んでもそのつまらない考えは治らなかった様だなドクタープロスペクト。」

「その減らず口も何時まで叩けるか見物だな。」

 

そうしていると翔太郎が克己の前に吹き飛ばされてきた。

そしてエターナルが悠然と降りてくる。

「T2メモリを使ったところで俺との差は埋まらん。」

そう言ってエターナルはアタッシュケースの中にあるユニコーンメモリを取り出した。

 

UNICORN」(ユニコーン)

 

そしてエターナルのマキシマムスロットへと装填される。

 

「UNICORN MAXIMUMDRIVE」

 

エターナルの右腕に旋回するドリル状のエネルギーが纏われる。

その右腕をジョーカーの胸に向けて放たれた。

それをもろに受けた翔太郎は吹き飛ばされて変身解除される。

そして、ジョーカーメモリをエターナルは手にした。

「AtoZ...26本のガイアメモリが今揃った。」

すると、エターナルはゾーンメモリを取り出し"エクスビッカー"のマキシマムスロットへ装填すると起動した。

 

「ZONE MAXIMUMDRIVE」

 

ゾーンメモリの力によりT2メモリが集まりエクスビッカーに装填されていく。

それはドーパントとして戦っている者やエターナルも例外ではなく彼らのメモリもエクスビッカーに装填された。

 

「ACCEL、BIRD、CYCLONE、DUMMY、ETERNAL、FANG、GENE、 HEAT、ICEAGE、JOKER、 KEY、LUNA、METAL、NASCA、 OCEAN、PUPPETEER、QUEEN、ROCKET、SKULL、TRIGGER、 UNICORN、VIOLENCE、WEATHER、 XTREME、YESTERDAY 」

 

「「「MAXIMUMDRIVE」」」

 

T2メモリ26本全てのマキシマムのエネルギーがエクスビッカーを通してフィリップの身体に流れ始める。

「ぐぁぁぁぁぁ!!」

フィリップが流れるエネルギーによるダメージによる痛みで叫ぶ。

「フィリップ!」

その光景をクローンの克己が見ている。

 

「良いぞ!エネルギーがエクスビッカーに蓄積されている。

これを風都に放てば人をNEVERに変えることなんて容易い。

....これで実験動物は俺だけじゃない!

メモリの力に溺れた者は俺と同じ生きる死者となり俺達に従う様になる!

そして不死の軍団を作りこの世界でも支配してやろうか!

あっはっはっは!」

 

そしてプロスペクトはその光を見つめていた。

「これで私の計画も叶えられる。

NEVERになった者と生者を戦わせる無限地獄を作り出す。

お前達が望む最高の地獄をこの風都に作り出してやる。」

「それがお前の望みなのか?」

「一番の望みはお前達への復讐だ。

これはおまけに過ぎない。

だが、復讐は自分で行ってこそ意味がある。

お前が大切な記憶を全て失い何もかも失った時に殺す。

そう決めたのだよ。」

 

そうプロスペクトは白眼になった目で克己を捉えながら歯を剥き出しにして笑った。

「やはり、お前は悪魔に相応しい考え方をしているなドクタープロスペクト。」

克己はそう毒づいた。

 

 

そんな彼等を置いていくように装置の光が充填されていく。

その光は多数のメモリの色が混ざり合い虹の色へと変わっていった。

それが滅びの光には誰にも見えないだろう。

そして、それが風都へと放たれようとしている。

 

それは例え"悪魔"でも止めることは出来ない。

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