エクスビッカーに蓄積されたエネルギーが打ち出されるかと思われた矢先、装置の稼働が急に止まった。
苦しみながらもフィリップが繋がれたコードを握り絞めながら言った。
「こんな奴等に....風都を滅ぼさせやしない!」
「まさか、発射コードを書き換えているのか?」
クローンの克己の想像通り、フィリップはデータ人間の利点を使ってシステム中枢に侵入し、発射コードの書き換えを行っていた。
そして、それと同時にエターナルメモリの破壊をも行おうとしていた。
「エターナルメモリを破壊すれば....僕らのメモリがまた使える!」
「そんな事させるかぁ!」
「こっちの台詞だぁ!」
フィリップに襲いかかろうとするクローンの克己を翔太郎が止めた。
しかし、生身の状態でも戦闘能力の高い克己の方が強く簡単に組伏せられてしまう。
しかし、クローンの克己の手をオリジナルの克己が止めた。
「邪魔をするなぁ!」
「悪いが断る!」
二人の戦いが始まるが両者とも技量と戦闘能力は同じように高かった。
これにより戦闘が拮抗するかに見えたがここで装置が再稼働し出力が上がる。
それによりフィリップの身体により強い負荷がかかった。
「あぁぁぁぁぁ!」
「フィリップ!」
「何だと?」
周りを見渡すと機械の制御盤にプロスペクトが立っていた。
「エクスビッカーの出力を上げた.....これでもう邪魔は出来ないだろう。」
「良いぞ良くやった。」
それに油断したオリジナルの克己は翔太郎と共に吹き飛ばされてしまう。
また装置が起動し絶体絶命となった。
「まずい、このままじゃ風都の皆が」
翔太郎がそう呟くのを聞いた克己は翔太郎に尋ねた。
「おい翔太郎....お前は俺を信じてくれるか?」
「こんな時に何だよ!」
「"男の仕事の8割は決断なんだろう?"この状況を打開出来るかもしれない可能性が1つだけある。
だが、確証はない....寧ろ失敗するかもしれない。
それでも.....」
「"分かった信じる"。」
全て言い終わる前に翔太郎が克己の言葉に即答した。
「まだ何も言ってないぞ?」
「お前とはここに来るまでに組んで来たんだ。
性根が腐ってないのは分かるしお前の考えなら信用できる。
だから教えてくれ何をするんだ?」
「お前に貸していたロストドライバーを返してくれ。」
「分かった....ほら」
そう言うと翔太郎はドライバーを克己に返した。
克己はそれを腰に付ける。
その光景を見ていたクローンが笑った。
「何をしている?T2メモリの無いお前はもう変身することは出来ない。
無駄なことは止めるんだな。」
「無駄かどうかは俺が決める.。
それに気付いたんだ....俺の本当に"守りたいもの"を」
「守りたいもの?」
「俺達は怪物だ....だがそれでも人でいたい人として生きたい。
そして、そんな俺達が虐げられない場所を作る。
俺達の生きることを許された"永遠の楽園"を...
そして、もう迷わない。メモリがクローンのお前を選んでいようが関係ない。
もう誰にも....邪魔はさせない!」
「ETERNAL」
動かない筈のメモリが起動する。
「何だと!何故メモリが動く?」
クローンの言葉を無視してエターナルメモリをロストドライバーへと装填した。
「変....身。」
瞳を閉じてゆっくりとドライバーを展開する。
すると仮面ライダーエターナルへと姿を変えて腕の炎が赤から青色へと変わる。
それは完全なエターナルへの覚醒を意味していた。
「何故だ?どうして?」
プロスペクトからの問いにも答える気はなく克己はメモリを抜くとエターナルエッジにメモリを装填する。
「ETERNAL MAXIMUMDRIVE」
エターナルのマキシマムをエクスビッカーに向けて発動した。
だが、26本のメモリのマキシマムが発動されているので完全に無効化することは出来ず、可能だったのは出力を弱めることだけだった。
だが、それだけでもフィリップにとっては十分だった。
出力が弱まった隙をついてフィリップが力を使い発射コードを完全に書き換えてシステムを無効化した。
結果、蓄積された一部のエネルギーが逆流を起こしエクスビッカーは停止してショックウェーブが発生し26本のメモリは弾けて飛んだ。
その影響によりその場の全員が一瞬意識を失ってしまうのだった。
風都タワーの下で戦っていた面々はそれぞれ別の変化が起きていた。
敵側は風都タワーの光が消えてメモリが帰ってきた事に戸惑い、味方側の照井はアクセルメモリが使えるようになりアクセルドライバーを腰に装着した。
「私、様子を見てくるわ。」
そう言ってクローンの京水が風都タワーに戻っていった。
「お前らはアイツを追え...ここは俺一人で十分だ。」
照井の言う言葉を信じたNEVERの三人は風都タワーへ向かっていった。
「どうやら仲間がやってくれたようだ。
さぁ、今度こそ本気で....振り切るぜ。」
「ACCEL」
「変....身!」
「....ゲームスタート。」
「TRIGGER」
両者がメモリを起動し仮面ライダーアクセルとトリガードーパントへ変身するとアクセルはエンジンブレードを用いた近接戦を行いトリガードーパントはそれを紙一重で回避しながらのゼロ距離射撃で応戦していった。
芦原と堂本は風都タワーの中心部を目指して登っているとそこで棒を支えにギリギリで立っているクローンの堂本を見掛けた。
「お前は.....」
「漸く....来たか....俺の....オリ...ジナル。」
そこに芦原が銃を突きつけて尋ねる。
「答えろ!クローンの京水とドクタープロスペクトの居所はどこだ?」
「知らん....だが...大道マリア...なら...そこに...転がってるぞ....?」
そうして指を指した方向には腹にナイフが刺さり気絶しているマリアの姿があった。
「プロフェッサーマリア.....」
「テメェ!一体何が目的だ!」
堂本の声にクローンが答える。
「ふん....もう...目的など...どうでも...いい....俺は....オリジナル...と決着...をつけられれば...それで...いい。」
クローンの声がそれが本心であると堂本は理解するとジャケットを脱ぎ上半身裸になる。
「堂本?」
「すまん芦原....プロフェッサーマリアの事を頼んだ。
俺は自分のクローンと決着を付ける!」
「.....分かった。
気を付けろよ。」
そう言うと芦原はクローンを無視してマリアの元へ駆け寄り治療を始めた。
「さぁ、始めようぜ!
俺のクローンならここでの戦い方は分かっているだろう?」
堂本は両手を固く握りファイティングポーズを取った。
その姿を見たクローンも支えにしていた棒を投げ捨ててファイティングポーズを取ると一気に近付き殴り合いを始めた。
それはまるで最後の灯火を燃やし尽くす様な戦い方であった。
Another side
エターナルメモリの効力が無くなったことによりメモリが使えるようになった事はミュージアムにも影響していた。
しかし、ここで誰も予期していない事態が起きてしまった。
師上院が突如、苦しみ出す。
「ぐっ!....ぐぉっ!」
「享次郎!」
琉兵衛が驚いたように言う。
「申し...訳あり...ません。
どう....やら....ここ...までの...よう..です。」
「ぐぁぁぁぁぁ!!」
絶叫する師上院の身体から金色の炎が漏れ出すを身体を覆っていく。
そして、暫くすると炎が治まり中から師上院の服を着てドライバーを付けたキースが姿を現した。
「ふぅ!....漸く姿を現せた。
久し振りだな.....ミュージアムの面々よ。
お前達がNEVERになっていないってことは...."第一の計画"は失敗したってことか。」
そう言うキースに冴子が尋ねる。
「貴方、一体どうやって....それに師上院はどうなったの?」
冴子の問いにキースは当然のように答える。
「死んださ...俺を復活させる為にな。
俺のフェニックスメモリには他者のメモリに自分の精神を炎に変換して移す力があってな。
時間はかかるがそれを使うことで完全復活することが出来るんだ。
まぁ、復活には同格のゴールドメモリで無ければ意味が無いのが弱点なんだがな。」
キースは師上院からのワードメモリが発動する前にフェニックスメモリによって作り出したキースの精神を移した炎を忍ばせていたのだ。
そして、師上院の体内で浸透するのを待ち続けて、エターナルメモリの影響が無くなった瞬間に再生したのだ。
「まさか、そんな力がフェニックスメモリにあるなんて....」
「俺とこのフェニックスメモリの適合率は99%....これぐらい出来て当然だ。」
そう自信満々に言うキースの背後では琉兵衛が過去に無い程の怒りの表情をして立っていた。
琉兵衛が若い頃から付き従っていた大切な部下である師上院を亡くした事はテラーメモリにより人間性が欠如してきている琉兵衛の心にも明確な憎しみと怒りを与えていた。
「貴様っ....覚悟したまえ!
死すら救いと思わせる恐怖を与えてやる。」
そう言ってドライバーを付ける琉兵衛の後ろに井坂が現れる。
「おや?中々珍しい光景が見れたものだ。」
「井坂君か?何か様かね。
今は君に構っている暇はないのだが....」
「いえ、用があるのは彼処にいるドーパントですよ。
彼は私の楽しみの邪魔をした。
それにNEVERでしたか?
そんな下らない存在に私を変えようなど....許せない。」
「私も彼を倒すのに協力しますよ琉兵衛さん。」
すると、二人はお互いにメモリを起動した。
「Terror」
「Whether」
お互いメモリを装填しテラードーパントとウェザードーパント(強化タイプ)への変身を完了させた。
それに合わせるようにその場にいた幹部全員がドライバーを付けてメモリを起動する。
キースの目の前にゴールドクラスとシルバークラスで固められたミュージアムのドーパントの軍団が現れる。
彼等を見たキースは獰猛に笑う。
「良いぞ、ここで貴様らを皆殺しにすれば私の強さを財団が知ることになる。
俺を切ったことを、さぞや後悔することだろう。」
「言い残すことはそれだけかね?」
テラードーパントはそう言うと怒りにより強化された恐怖のエネルギーがキースを襲いそのエネルギーをキースの再生の炎が遮った。
「どうやら、力の性質は似ているようだ。
貴方の恐怖は私には効かないみたいだな。」
「では、"僕の炎"はどうでしょうか?」
背後に回り込んだデーモンドーパント"無名"の黒炎がキースを襲う。
しかし、この炎もキースの炎により遮られてしまった。
「僕の炎でもダメですか....」
「その様だな。」
そうして戦いは振り出しに戻っていく。
風都タワーで行われた仮面ライダー達の戦いの中でもう1つの戦いが園咲邸でも行われようとしていた。
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