もう一人の悪魔   作:多趣味の男

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第百二十八話 AtoZ/乙女の意地

ルナドーパントは目の前で仮面ライダーになった京水に困惑する。

 

「どう言うこと?....アンタが何で仮面ライダーに?」

「さぁね、無名ちゃん曰く気紛れらしいけど、そのお陰でアンタを殴れるんだから私としては万々歳よ!」

 

仮面ライダールナの拳がルナドーパントに直撃する。

そのダメージによりルナドーパントは吹き飛ぶ。

「グッ!何でこんなに効くのよ!」

ルナドーパントはそう言った。

 

幻想を宿す"ルナメモリ"の力により腕を伸ばし鞭の様に振るったりドーパントの幻影を作ることが出来る。

また、副次的効果で打撃によるダメージを減少させる力がある筈だったがそれが機能していないことにルナドーパントは驚いたのだ。

 

「私のメモリもアンタと同じルナよ?

幻想の力同士なんだから打ち消し合うに決まってるでしょう。

覚悟しなさい....私の攻撃は痛いわよ!」

 

すると、仮面ライダールナは腰からメタルシャフトを取り出す。

そして力を込めると片方のシャフトが無くなりもう片方かその分伸びると鞭のようにしなり出した。

「なっ!」

「このドライバーならこんなことも出来るのよぉ!」

そう言って仮面ライダールナはルナドーパントに向かいメタルシャフトを鞭のように振るった。

 

京水の付けている青いロストドライバー"NEVERドライバー"には通常のドライバーと違う能力が備わっている。

 

1つが酵素を使用するNEVERの肉体に負荷がかからないようにメモリを使える事。これにより仮に敵の攻撃で変身解除させられても塵となって死ぬ心配はない。

 

もう1つはWの持つ武器を使えるようになり、使用しているメモリの特性を武器に付与し変化させる事が出来る事。

これにより仮面ライダールナはメタルシャフトを鞭のような形に変形させられたのだ。

使用者が最も使いやすい武器へと変化させる。

其々があらゆる武器や技術のエキスパートであるNEVERにとって、この能力はとても強力だった。

 

現にルナの作り出したメタルシャフトはルナドーパントの両腕の鞭よりも強力で、打ち合えばルナドーパントが負けるどころか"腕が切り飛ばされてしまう程"の性能差を発揮した。

 

「グッ!アッ!痛いっ!」

ルナドーパントはルナによる鞭の連撃により反撃できずダメージしか受けられなくなる。

「どうしたの?さっさと反撃しなさいよ。

優しいレイカはボコボコに出来ても私には手も足も出ないのかしら?」

 

「調子に乗ってんじゃないわよぉ!」

ルナドーパントは周囲に光球を放つとそこにマスカレイドドーパントの幻影が現れた。

「アンタ達、行きなさい!」

 

その声を合図にルナへと襲いかかろうとするがそのマスカレイドドーパントの集団をメタルシャフトで全員捕まえるとシャフトにルナメモリを装填した。

 

「LUNA MAXIMUMDRIVE」

 

メタルシャフトにルナメモリのエネルギーが充填されるとそれをマスカレイドドーパントに放った。

すると、巻かれていたマスカレイドドーパントは全員消滅し、光球へ戻ったそれをメタルシャフトを使い大きな塊へと変えて自分の隣に置いた。

大きな光の塊は"仮面ライダーエターナル"へと姿を変える。

 

「何よ....それ...」

「ルナメモリは幻想のメモリ。

使い手の想像力と力次第ではこんなことも出来るのよ。

雑魚を作り出すだけが能じゃないの、このメモリはね。」

 

ルナドーパントから奪い取りマキシマムの力を込めたエネルギーの塊は、京水の知っている孤島で初めて見た仮面ライダーエターナルを忠実に再現していた。

「流石に能力まで完全にコピーは出来ないけど

戦闘能力位なら据え置きで出せる筈よ。

克己ちゃん....お願い。」

 

仮面ライダールナの言葉にエターナルは頷くとルナドーパントに攻撃を仕掛ける。

「嫌っ、来ないで!」

ルナドーパントは動揺してエターナルを攻撃するが両腕の鞭をエターナルエッジで切られながら近付かれ、格闘攻撃の餌食となる。

その光景を見ていたルナが言った。

 

「やっぱり、アンタ克己ちゃんが好きなのね?

分かるわよ、あれだけ強くてカッコいいなら惚れるのも無理はないわ。

アンタの好きな克己ちゃんでアンタをボコボコにするなんてレイカにやったことと変わらないわね。

これは止めておきましょう。」

そう言ってルナが指を鳴らすとエターナルは光の粒子となって消滅した。

 

かなりのダメージを受けたルナドーパントは肩で息をする。

「はぁはぁはぁ.....どういう...つもり?

あのまま...続けてたら、アンタの勝ちだったのに?」

「私はね大切な者を使ってトドメを指す陰湿なやり方をするつもりがないの。

さっきは一番強いと思う存在をイメージしたから克己ちゃんが出て来ただけ....アンタがその感情を抱いてるなら、幻想でも克己ちゃんの手で葬るなんて優しい結末を私は認めない。」

 

「やっぱりアンタは私が直接、トドメを指してあげるわ。」

するとルナはメタルシャフトに入れていたルナメモリを抜くと右腰に付いているマキシマムスロットにメモリを装填した。

 

「LUNA MAXIMUMDRIVE」

 

「私にトドメを刺すですって?

舐めんじゃ無いわよぉ!アンタにだけは....オリジナルだけには負けるわけには行かないのよ!」

ルナドーパントは気合いで立ち上がるとルナへと突進する。

 

それに合わせてエネルギーが充填された右足でカウンター気味にルナドーパントの胴体を蹴り上げた。

ルナドーパントの身体が黄金の球体のエネルギーに包まれる。

それはまるで満月のように輝いていた。

そして月がドンドンと欠けていくようにその球体のスペースも無くなっていった。

 

半月、三日月、そして新月になるとルナドーパントは完全にその姿を消し爆発するとクローンの京水の姿となって地面に落ちた。

戦いの終わりを感じたオリジナルの京水もドライバーからメモリを抜いて変身解除する。

 

「負け...たの?....わた...しが」

老化現象が起きているクローンがそう呟く。

「そうよ、アンタの負け。

最後に教えなさいよ、どうしてレイカを痛めつけたの?

アンタらの目的が復讐なのは理解できるけど、だったらオリジナルである私を狙うべきじゃない?」

 

「気に食わなかったのよ....レイカがね。

オリジナルもクローンも...だから痛め付けてやったのよ。」

「それだけ?たったそれだけの理由で...」

 

アンタに私の気持ちなんて分からないわよ!想像できる?産まれてから直ぐに殺される痛みと恐怖を.....自分が何者かすら分からないのに化け物にされて挙げ句の果てにそれが復讐のためですって?

ふざけんな!そんな事の為に私を作って殺してんじゃないわよ!」

 

クローンのその怒りは今までの中でも一番感情が籠っている言葉だった。

NEVER化により人間性が失われ続けてもそれだけは忘れず心に怒りを残し続けていたのだ。

計画が成功した後にクローン達がすることは、自分達を産み出したプロスペクトやキースへの復讐だったのかもしれないと京水は思った。

 

しかし、それを理解しながらも京水は告げた。

「それに関しては貴方達を可哀想に思うし申し訳ないとも思うわ。

でもだからと言って親友を殺されかけて許せる程、私は人間辞めてないのよ。

まぁでも安心なさい。

アンタのしたかった復讐も克己ちゃんや他の人が代わりにやってくれるわ。」

 

「それをアンタは地獄で先に行って見てなさい。」

その京水の言葉に老衰しかけている京水の顔が少し和らぐと瞳を閉じて塵となり消えていった。

 

すると、懐に入れていた携帯が鳴り京水はそれを手に取る。

「あら?どうしたの芦原ちゃん。」

「その呼び方だけはどうにかならないのか?

まぁ良い、プロフェッサーマリアは確保した。

だが、重症だった為、独断で処置をしたから早く治療しないといけない。」

「そんなに酷かったの?」

 

「あぁ、無名の研究ファイルにあった霧彦を生存させる方法で使われた酵素の利用を、俺の持つ酵素で行ってみた。

使用量は気を付けたからNEVERにはならない筈だ。」

「そう、分かったわ。

なら、プロフェッサーを安全な場所に退避させて」

 

「あぁ.....それと堂本のクローンを始末した。

本人が直々にな。」

「そうなの....どうだった?」

 

「両方とも殴りあって決着を付けた。

もう限界だった筈なのにクローンがガッツを見せてな。

堂本も中々にダメージを受けてしまったよ。」

「やっぱり、油断できないわね。

分かったわ、私もこのメモリを彼等に返したら貴方達と合流するわ。」

 

「あぁ....頼むぞ。」

そう言って電話を切ると京水は地面に倒れた。

「痛ったぁぁぁぁぁ!何この全身の痛み?痛すぎて死ぬんだけど!えっ、でも私達不死身なのよねでも死ぬってどゆこと?てか死ぬ程、痛いってどんだけヤバいもん渡してくれちゃってんのよ無名ちゃん!」

 

そうこれはNEVERドライバーの唯一の弱点でありまだ改善出来てないデメリット。

"変身後、肉体に負荷がかかり激痛が走る"という副作用であった。

具体的に言うとコロナワクチンを注射した後の激痛が全身に来る感じである。

 

勿論、このデメリットに関しては予め無名より説明をされていた。

それでもドライバーを使うことを決めたのは京水自身だった。

「乙女にはね覚悟決めてやんなきゃ行けない事があんのよ!」

 

そう言って堂々とドライバーを受け取った京水の姿は見る影も無い程、情けなく倒れていた。

 

「うっ....我慢、我慢よ私!

少なくともこのメモリを返すまでは頑張るのよ!」

そう言うとゆっくりと立ち上がっていく。

時限爆弾が爆発しないように丁寧にコードを切る爆弾処理班の様に.....

 

 

 

「待っててね...直ぐにこのメモリを渡しに.....」

ピキリ!

間違ったコードを切ってしまい京水の身体に痛覚の爆弾が襲った。

 

「ピギャァァァァァァ!」

 

その声にもならない絶叫が誰もいない建物に響いた...

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